災害医学 論文表題集(1995) |
目次: Acta Paediatrica Japonica、 Clinical Engineering、 Expert Nurse、 ICUとCCU、 INFECTION CONTROL、 INNERVISION、 International Medical Journal、 Japan Hospitals、 Journal of Cardiology、 Journal of Clinical Rehabilitation、 JIM、 LiSA、 Modern Media、 Neonatal Care、 New Diet Therapy、 Nurse eye、 OS NOW、 Quintessence of Dental Technology、 Radioisotopes、 アスカ21、 あなたが思っているより早く関東にM7以上の大地震がやってくる、 医器学、 医学検査、 医学のあゆみ、 医学評論、 医材と滅菌、 医療、 医療情報学、 医療とコンピュータ、 エマージェンシー・ナーシング、 オペナーシング、 香川県医師会誌、 看護、 看護学雑誌、 看護管理、 看護教育、 看護展望、 救急医学、 救急医療ジャーナル、 九州神経精神医学、 外科診療、 外科治療、 健康教室、 現代医学、 口腔衛生学会雑誌、 公衆衛生、 公衆衛生研究、 厚生の指標、 交通科学、 甲南病院医学雑誌、 心と社会、 災害医学、 歯科衛生士、 歯界展望、 歯科救急医療、 自然災害科学、 実験社会心理学研究、 実験動物技術、 児童青年精神医学とその近接領域、 島根県立中央病院医学雑誌、 事例から学ぶ災害医療、 週間医学界新聞、 診療録管理、 周産期医学、 集中治療、 市立秋田総合病院医誌、 市立伊丹病院誌、 市立札幌病院医誌、 新医療、 人工臓器、 震災診療日誌、 心身医療、 腎と透析、 整形・災害外科、 整形外科、 精神医学、 精神神経学雑誌、 精神科看護、 精神科治療学、 生活と環境、 脊椎脊髄ジャーナル、 善仁会研究年報、 蘇生、 大災害における海上輸送システムの実態とそのあり方に関する調査研究、 地域医学、 逓信医学、 東京都医師会雑誌、 東京都病院薬剤師会会誌、 道南医学会誌、 都市政策、 栃木県医学会々誌、 鳥取医学雑誌、 十和田市立中央病院研究誌、 ナースデータ、 奈良女子大学保健管理センター年報、 新潟市民病院医誌、 日本医事新報、 日本救急医学会誌、 日本救急医学会関東地方会雑誌、 日本呼吸管理学会誌、 日本災害医学会会誌、 日本歯科評論、 日本小児科学会雑誌、 日本社会精神医学会雑誌、 日本精神病院協会雑誌、 日本赤十字社幹部看護婦研修所紀要、 日本透析医会雑誌、 日本透析医学会雑誌、 日本の眼科、 日本病院会雑誌、 日本補綴歯科学会雑誌、 人間の医学、 阪神・淡路大震災の記録、 病院、 病院建築、 病院設備、 病院図書室、 病院防災の指針、 病理と臨床、 平田市立病院年報、 広島県立病院医誌、 ファルマシア、 福島医学雑誌、 プライマリ・ケア、 プレホスピタル・ケア、 ペリネイタルケア、 防衛衛生、 防災白書、 保健の科学、 保健婦雑誌、 麻酔、 メディカル朝日、 薬事、 理学療法ジャーナル、 臨床栄養、 臨床整形外科、 臨床精神医学、 臨床透析、 臨床麻酔、 労働の科学、 ロスアンゼルス危機管理マニュアル
■Acta Paediatrica Japonica
■Clinical Engineering
■Expert Nurse
■INFECTION CONTROL
■INNERVISION
■International Medical Journal
■Japan Hospitals
■Journal of Cardiology
■Journal of Clinical Rehabilitation
■Journal of Integrated Medicin(JIM)
■LiSA
■Modern Media
■Neonatal Care
■New Diet Therapy
■Nurse eye
■OS NOW20
■Quintessence of Dental Technology
■Radioisotopes
■アスカ21 ■あなたが思っているより早く関東にM7以上の大地震がやってくる、地震科学班、東京創文社、p.133-174、1995 ■医器学
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別冊:集団災害救急1995;阪神・淡路大震災とサリン事件)
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■栃木県医学会々誌
■鳥取医学雑誌
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■日本透析医学会雑誌
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■プライマリ・ケア
■プレホスピタル・ケア
地方会レポート 第71回近畿救急医学研究会―阪神,淡路大震災の体験から―
報告 神戸消防ヘリポートから
特別寄稿 救援活動と被災者のこころ
講義 挫滅症候群-crush symdrome-
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小特集:阪神淡路大震災−その時に麻酔科医は?!−
■労働の科学
■ロスアンゼルス危機管理マニュアル
災害時医療への6つの提言
Abstract:兵庫県南部地震によるライフライン停止時に8例の手術を経験した.地震により万が一,ライフラインが寸断されるような事態に陥っても,極めて緊急を要する様な症例に対しては手術の実施が可能であるということを証明した.
Abstract:本災害では65歳以上の高齢者に多数の死亡者が認められた.一般に,2世帯以上が同居している家庭では,階段の昇降が負担であるとの配慮から高齢者が1階,若者が2階に居住することが多いと言われており,又,独居高齢者は家賃の安い文化住宅に居住していると言われているが,今後,倒壊家屋の分布との比較をし,詳細な分析を行う必要があると思われる.又,死亡率においても,20〜24歳及び34〜39歳以外の全てで女が高くなっているが,高齢になるほど女の比率が上昇する人口構成の違いが補正された状態での男女差には何らかの要因が作用していると思われるが,現在はまだ不明である.
Abstract:避難所生活者は避難所以外での生活者よりも高いストレスを自覚していること,性別・世代毎に比較すると60代の女性が最も高いストレスを自覚していることが明らかになった.又,子どもと母親は物理的ダメージが大きい場合に強いストレス症状を示すこと,母親にとっては避難状況や家屋に受けた物理的ダメージ以上に,子どもの示すストレス症状の特徴が,ストレッサーとして強い影響力を持っていることが示唆された.
Abstract:70歳男で胸部食道の中部から上部に及ぶ大きな棍棒形腫瘍を切除し,組織学的に食道の原発性ACC(腺様嚢胞癌)と診断された.組織学的に不完全な篩状,管様,或いは充実性パターンを示した.SCC(扁平上皮癌)の小さい巣が見られ,ACCとSCCとの中間の移行性特徴が認められた.電子顕微鏡上,腫瘍細胞は正常食道腺の小管細胞に著しく似ていた.食道扁平上皮の顆粒層に見られる膜-被膜顆粒及び張原線維が腫瘍細胞の細胞質内に認められた.
(河野博臣:震災診療日誌、岩波書店、東京 1995、p.1-15)
Abstract:被災者を傷つける可能性があり,被災者の利益にならない複雑な心理検査は多用しない,震災の外傷的なイメージを繰り返し惹起してしまう面接はしない,この2点を旨として症状チェックリストを作成した.症状チェックリストを用いることにより,阪神・淡路大震災規模の災害ストレスによって,高血圧,消化器疾患,心理的異常という心身の問題が生じ得ることが明らかにされた.被災者と対話をしながら問題点を明らかにし,暫定診断をつけ,対策を話し合ったことはボランティアと被災者の双方に有益であったと思われる.
Abstract:高度の筋挫滅を受けた患者の中に急性腎不全を生じた症例(crush syndrome)が認められた.腎不全は骨傷なく発症しており注意を要する.高度の圧挫傷を受けた患者の中に,病態の判断に苦慮するような麻痺症状を呈する例がみられた.
Abstract:雲仙・普賢岳噴火災害によって3年間以上の避難生活を送る住民に対する地域精神保健活動が継続される中で,1992年6月から1994年11月までに著者が危機介入した事例は計76(男性21,女性55)例であった.年齢別構成は,41歳以上が男女とも大多数を占め,女性では61歳以上の高齢者が半数を越えた.ICD-10に基づいた暫定的診断分類は,うつ病圏(F32,F34.1,F41.2,F43.2)が全体の57.9%を占めた.これら76例のうち,49例はカウンセリングによってほぼ良好な経過を辿ったが,22例は精神科以外のホームドクターからの向精神薬投薬,5例は精神科施設への通院・入院または老人保健施設への入所を必要とした.1994年11月時点の転帰は,寛解60例(再発6例を含む),増悪6例,末治10例であった.また,代表的事例と危機介入の実際を紹介するとともに,避難住民の特有な心理,つまり災害下で受けた心の傷は語られずに抑圧されたままでいることについて考察した.
Abstract:震災時には心血管系疾患が著増する.震災時の血圧上昇は一過性で通常1ヵ月以内で収まる.公衆衛生学的にはこの期間に被災者の血圧管理を集中的に行うべきである.震災後,新たに出現した血圧高値を示す患者には白衣高血圧の可能性も念頭に置く.震災後,血液粘度は増加する為,特に震災初期から避難所等に飲料水を十分に配給し,水分を多くとるよう指導することが大切であろう.震災直後には血液凝固亢進状態が起こる為,心血管系疾患を有する者,特に抗凝固療法中の患者では再発に注意し,より強い抗凝固療法が必要となる場合もある.心血管系疾患の発症と死亡の増加は震災後2-3ヵ月間は持続するが,これには避難生活の長期化で偏った食生活による総コレステロール,HDLコレステロール,血糖等の心血管系危険因子の悪化が影響する可能性がある.
Abstract:今回の事件では外傷はなく,重傷者はごく少数で治療が単純であった。この事件に対する特別の対応体制が翌日の休日を含む48時間で概ね終了できたことも幸いであった。今回の報告にはないが,小児3名,妊婦5名も入院した。いずれも縮瞳が主体で小児1名を除いて翌日には退院した。その小児には右上下肢の筋緊張低下,喘息様症状を認めたが,1週間後には軽快退院した。妊婦1例は既に無事出産を終え,母児とも健康である。次のような対応の改善があげられる。(1)情報の収集・統合,指令伝達をより一層迅速,効果的にするため,はっきりとわかるように対策本部の設置を行うことが最重要であろう。(2)患者情報の把握と一般に対するその的確な広報,報道機関への対応の改善。(3)個々の患者や現場の医療関係者へ全体像を把握しやすくする情報の伝達。(4)医療関係者への二次災害予防のための情報伝達の徹底。(5)患者や現場の医療関係者への飲食物などの後方支援の中央化。(6)医療関係者間の通常の電話以外の情報伝達機器の導入.
Abstract:身体的異常を示したものは, 1)職種別では看護助手,看護婦,ボランティアに多かったが,これらは直接患者に接触している他に全員が女である.女ではサリンに対する感受性が高い可能性が考えられる. 2)治療に従事した場所別では,礼拝堂,集中治療室,回復室で身体的異常を示したものが多く,救急室では異常出現頻度は低かった. 3)今回の医療者の二次災害については,眼症状,頭痛等の身体的異常を示した者が多かったが,入院を必要とした者は1名であった.しかし補液,散瞳薬,PAM等を使用するような病状は示さず,軽症例が多く,何れも1〜2日で回復した.
Abstract:災害後のストレスについて神経内分泌学的に検討したところ,身体的に傷が癒えた後の受傷2週間後でも高度の精神的ストレスに曝され,ストレスに抗して十分な適応ができていない状態であることが判明した.従来から被災者に対して,経済的,社会的側面からの援助のみが重要視されていたが,このような急性期の急性反応や災害後1ヵ月前後から発症するといわれている心的外傷症候群は,被災者のみならず救助者,同地域の住民にも精神的ストレスによって発症することが報告されており,長期にわたる精神的ケアの重要性を感じた.
Abstract:対象102例中,震災後2ヵ月以内に14例が死亡し,過去2年に比べて明らかに多かった.震災後1週間以内に当院を受診できた例は2例にすぎなかった.震災の影響で酸素の供給が一時的に途絶えた例は15例(21%)にすぎず,大部分が1日以内であった.避難所へ避難した例が5例あったが,いずれもボンベによる酸素供給がなされていた.
Abstract:調査対象は15歳以上の男性に限ったSD139例,AMI後24時間以上の生存例189例である.発病前1週間のストレスは若年と老年のSDの発生を促した.AMIに対しては若年のみならず老年での影響も認められた.睡眠減少,競争心,飲酒習慣の関与は,疾患,年齢により一様ではないが,ストレスの関与はそれらにかかわらず有意であった.AMI群では高血圧,糖尿病等の冠危険因子の病歴が高率であったのに対し,SD群では循環器系の器質的疾患とそれに伴う不整脈を高率に認めた.死因がAMIのSD群では冠危険因子,循環器の器質的疾患のいずれも高率であった.
Abstract:1992年のエルジンジャン地震の被害についてStructured Interview Studyを行った.この地震では死者の55%が遷延死で,気道閉塞と循環不全の徴候,12時間以降の救助が遷延死の危険因子であると考えられた.
Abstract:著者自身の名前で嘱託された司法解剖558例のうち,死亡の種類が明らかに災害死であった175例について検討を行った.災害死者は50代と40代の男性に多く,事件内容としては交通事故死と作業中の死者が多く,働き盛りの男性が被害者となっていた.又,罪名としては,業務上過失致死被疑事件が最も多く,次いで業務上過失致死ならびに道路交通法違反被疑事件が多い.これらは何れも純粋な災害死というより人災に近い災害死であり,交通標語として,又,作業中の標語として様々な言葉が掲げられているが,事件概況から判断する限り防止することが可能であったものが大半である.
Abstract:普賢岳噴火から12ヵ月,本格的な避難生活開始から6ヵ月が経過した1991年11月時点に,GHQ-30を用いて,16歳以上の避難住民3564人の精神医学的問題の構造と性状について調査した。非精神病性障害の有無を識別する閾値点8点以上の高得点者は男女平均で67.0%と極めて高かった。高得点者は全年齢階層で男性より女性に多く,男女とも30歳〜50歳代に多かった。GHQ-30の因子分析によって,第1因子「不安・緊張・不眠」,第2因子「無能力・社会機能障害」,第3因子「抑うつ」,第4因子「快感消失」,第5因子「対人関係困難」などと命名できる5因子が抽出された。これら5因子全体の累積寄与率は56.1%であった。標準化因子得点を男女別・年齢階層別にみると,「不安・緊張・不眠」は40歳〜50歳代の中年齢層で高く,「抑うつ」や「無能力・社会機能障害」は50歳代以降の高年齢層で高くなっていた。標準化因子得点の年齢階層特徴は,男性より女性に顕著に現れていた.
Abstract:兵庫県透析医会では阪神・淡路大震災による県下の透析施設の被害状況をアンケート調査した.施設の被害は半壊4件を含め64施設(62.7%)にのぼり,設備の被害もRO装置39.2%,透析液供給装置20.6%,患者監視装置12.7%の施設で起こった.水道の被害は50施設で起こり断水期間は平均12.8±11.0日で最長37日に及んだ.給水は43施設で受けたが,行政からは充分な給水は受けられず,自力で水を確保した施設が15施設あった.情報伝達に関して震災直後,電話が使用不能と答えたのは18.6%,公衆電話は使用不能が11.8%,携帯電話の使用不能は31.4%と最も高かった.スタッフの不足した施設は36施設あり,そのうちスタッフの応援を受けたのが26施設で,残り10施設では応援がなかった.
Abstract:1)義歯装着未経験者を含む一般の人々の義歯あるいは義歯装着者に対する認識の程度は低く,義歯の必要性やその役割などについての啓蒙が必要であった。2)災害発生時の医療活動には歯科医師の参加が望ましく,特に災害発生後の避難生活が長期化することが予測されるような場合には,咀嚼機能を確保するための補綴処置をも行い得る歯科医療援助活動体制を整理する必要がある。3)新義歯装着3ヵ月後の予後調査から,今回の診療班が製作・装着した義歯はおおむね良好な経過を辿っており,咀嚼,発音,外観など機能的にも形態的にも多くの改善点が認められ,義歯を紛失した被災者にとって本診療活動が有意義であった.
(産業時報社大阪支局編集部編、東京、1995)
(p.45-56)
Abstract:JDRの特機準備の為の予防接種業務の,特に運用面の問題について報告した.実際の接種は当初の計画から大幅な変更を余儀なくされた.これら予定通り接種できなかった者の全接種対象者に占める割合は災害派遣による者は11%,体調不良による者は9%,入校による者は4%,その他失念等による者は2%であった.接種に関する問題点を, 1)計画段階で生じた問題(予防接種期間の短さ,ワクチンの有効期限,新規指定者と再指定者,医療従事者の定義), 2)接種実施時に生じた問題(災害派遣,体調不良,入校,失念,ワクチンの無駄,追加要員)に分類し,これらの問題点のそれぞれについて今回現実に行った対応と今後行うべき対応策について述べた.
(黒田裕子、p.6-15)
:保健婦雑誌 51巻9号 Page739-747(1995.09)
Abstract:1)保健婦は毎日避難所を巡回して,住民の生活を整える視点で活動し,その問題把握に努めていった.そのため問題を早期に確認し対応することができた.そして,様々な活動を展開する中で,瞬時に優先順位を決定しながらの活動が必要であった. 2)治療中断者の送薬体制づくり,仮設住宅入居における配慮など関係機関や役場職員との連携,支援体制づくりが図られていった.その体制の中で保健婦の活動は保障されるものであった. 3)個人の問題を家族,地域の視点で捉えた活動を重視し,交流や仲間づくりなどを意図的に健康相談に取り入れた.悲しみを共有しあえたことは住民自身の回復につながり,生活しやすい地域づくりに効果があった.
Abstract:心的外傷後ストレス障害(PTSD)や急性ストレス障害(ASD)等のストレス関連障害の出現頻度を検討し,代表的な3症例を提示した.対象は,総合病院内科にて治療を受けた106例(男性29例,女性77例)の患者である.調査は大震災後から73.1日経過した時点で行い,診断はDSM-IVを用いた.PTSD及びASDの出現頻度は,106例中ASD22例(20.8%),PTSD21例(19.8%)[PTSD急性型12例(11.3%),PTSD慢性型8例(7.5%),不明1例(0.9%)]であり,これらの結果は総合病院内科に身体的愁訴で受診した患者の中にもPTSD等のストレス関連障害を呈する患者が多いことを示していた.
Abstract:阪神大震災によって多大な被害を受けた地域において,アンケート調査を行った.WHOに基づく統合国際診断面接とDSM-III-Rの診断基準を参考にしアンケート調査表を作成した.PTSDの疑いのあるものをP群,それ以外のものをN群に分類し,その特徴を比較検討した.N群と比較しP群に多い誘因は,自宅の被害状況が大きいこと,看護学生としての救援活動への参加,接死体験,死亡喪失体験の存在であった.抑うつ傾向を認めた者は29.4%であった.阪神大震災の及ぼした影響は看護学生にも甚大であった.被災者であると共に,被災した患者を助ける立場にある看護学生は,困難を極めた状況にあった.
Abstract:大震災直後の避難所生活から,罪業妄想を中心とした急性の妄想状態で発症し,極期には激しい自殺企図を認めたが,入院加療によって短期間で完全寛解した女性例を報告した.本例は,DSM-IVでは短期反応性精神病と診断された.本例に内蔵された病理性として,地域共同体との"親和-疎外"の葛藤をめぐる脆弱性が指摘でき,避難所でのストレス,過覚醒による身体状況の悪化等が相まって,避難所生活で思考,判断力の妄想的変容が準備されやすい状況にあったと推察された.妄想が出現した時期が避難所からの退去時であったことは,本例の妄想形成に"共に被災したもの"が形成した共同体意識からの離脱感が大きく関与していたものと考えられた.
Abstract:58歳女.地震の起こった時には被害の少なかった地域で生活しており,直後には特に反応することはなかった.地震の起こる前から転居を決めており,それが今回の地震により被災地となってしまった.しかし転居先の家屋は無事であったため転居したが,転居後急激に不穏な状態となった.このような状態にはSchneiderのいうような驚愕体験反応の要素が関与していると考えられた.またその症状には世界没落体験が先行していた.本症例の症状形成にも転居と共に更に心的外傷によるストレスが重なってきたものと考えられた.
Abstract:神戸市東灘区で1995年1月19日からの2ヵ月間に診察した患者は,外来で106名,病棟リエゾンで22名,往診で14名であった.外来初診患者106名のうち,男性36名,女性55名,性別不明15名で,50歳代23名,40歳代17名,60歳代15名,70歳代13名の順であった.精神科治療歴の既往不明の43名を除くと,既往なしが47名(74.6%)と多かった.状態像別には,急性精神病状態・躁状態が12名,うつ状態20名,不安状態23名,PTSD・PTSRが10名等が多かった.直後から第3週までは,既存の精神疾患の急性増悪や急性精神病状態,躁状態等が多く,第4週から第9週までは,不安状態,うつ状態,PTSDとPTSR,不安愁訴等が多かった.
Abstract:著者等のチームは一般医療班,保健婦班との合同チームとして編成され,密に連携して活動した点に特色があった.精神医療班は救護所外来で,或いは避難所を巡回して診療を行い,長田保健所からの往診依頼も引き受けた.精神医療班への受診者数は70人,診療延べ件数は295件であった.受診者の内訳は震災前からの精神障害が19人,震災後に発病したストレス反応性の障害が32人,不眠のみの者が19人であった.転帰としては治療を終了した者が37人,現地の医療機関での治療継続が23人,治療中断ないし転帰不明が10人であった.
Abstract:平成7年3月1日〜8日迄の8日間,神戸市長田区の救護所医療班活動に従事した.この間,一般診療の他に10数名の精神科患者の診療・相談にあたった.症例には震災を契機に問題が顕在化したグループと,震災そのものと関連した疾病性をもつグループとが存在した.活動従事者が短期滞在の場合,患者の長期展望を考えて積極的介入を避け,事例化してしまわない対応も必要であることを感じた.又,今後精神疾患患者が地域で生活できる"受け皿",即ち,精神障害者援護寮や福祉ホームといった住居面からのサポートの有効な利用と新規設置が解決に向けての実効的な手立てとなるのではないかと考えた.
Abstract:8例のクラッシュ症候群患者について,救出まで平均6.4時間,救出から来院まで平均67時間要した.4例で6mEq/l以上の高カリウム血症を認めた.平均ICU入室日数は7.7日で,2例で人工呼吸管理,4例で筋膜切開術を要した.全例で血液透析を必要とした.血液透析施行回数は平均9回で,全例が離脱できた.高カリウム血症合併時も,一見非常に元気なためトリアージ,搬送時に危険性を十分認識すべきである.
(p.21-34)