病床数1000床で神戸市唯一の救命救急センターである市立病院での災害当日からの状況を麻酔科医の視点で伝える。
(2)医療機器の倒壊
(3)ライフライン(電気、水道、ガスなど)の中断
(2)手術状況(震災当日から42日間)
Table. Sixty-five cases of emergency surgery which underwent under the circumstances of neither water nor steam supply
Cardiovascular - 2 | Rupture of abdominal aortic aneurysm | 2 |
Orthopedic - 26 | Fracture | 22 |
Amputation of lower limb | 1 | |
Others | 3 | |
Abdominal - 29 | Ileus | 7 |
Perforation of upper GI tract | 5 | |
Intraabdominal bleeding | 4 | |
Acute cholecystitis | 3 | |
Acute appendicitis | 2 | |
Cancer | 5 | |
Others | 3 | |
Obstetric and Gynecologic - 4 | Cesarean section | 3 |
Ectopic pregnancy | 1 | |
ENT - 1 | Pharyngeal fistula | 1 |
Plastic -1 | Burn | 1 |
Neuro - 1 | Acute epidural hematoma | 1 |
(3)震災外科
{救急外来}
{手術}
(2)手術室における災害対策
麻酔科医は日頃から手術室や集中治療部での防災対策を検討し、訓練する必要がある。
救護班の配置過程においては行政サイドの対応職員の少なさ、情報不足から来るトラブルが見られたことも事実である。また、一部の情報ボランティア、組織においてもこの様な大災害における訓練不足、経験不足、軽躁的心理状態からくる混乱があり、これに拍車をかけたことも事実であった。
開業医の立ち上がりに比し、地域中核病院は順調な回復を示したが、問題は、市民がその受け入れ体制に関する正確な情報と、アクセスの手段を失っていたということである。
化学災害とは、何らかの原因により環境中に放出された化学物質により同時に多数の急性中毒患者が発生する事態を指す。我が国では化学災害自体に対する認識が未だ十分とはいえず、したがって化学災害における中毒情報センターの重要性も広く知られているとはいえない。そこで最近の我が国の化学災害の現状と、中毒情報センターの役割について概説する。
このように化学災害、あるいは何らかの化学物質が関与したために多数の傷病者が発生したと推定される事例は我が国では年に3〜4件程度は発生していることになり、決してまれな事態ではなく、むしろ2,3次救急医療機関では常に化学災害による被災者の来院を予測すべきであるといえる。
これらの化学災害の発生要因としては、労働災害に属するもの(4例)、テロ(2例)、搬送中の事故(1例)などが重要であると思われる。
産業事故あるいは労働災害は化学災害の発生要因としては最も一般的であり、産業事故では単に化学物質が流出するだけではなく、火災や爆発を伴うことが多いので、治療に当たっては急性中毒のみならず広範囲熱傷や多発外傷の合併にも注意を払う必要がある。
化学物質運搬中の事故も化学災害の発生要因として重要である。最近の我が国の例では1例であるが、大量の可燃物、毒、劇薬に相当する化学薬品が高速道路網や鉄道を利用して、沿線の各消防本部がその実態を把握するのが不可能なまま運送されているのが現状であり、社会的にはきわめて重要なことと思われる。
テロの2件は松本市サリン事件、東京地下鉄サリン事件であり、化学兵器が平時における無差別テロに使用された点で特異的である。しかし世界的にみれば紛争状態にある地域では枚挙に暇が無く、戦争やテロは化学災害の発生要因として重視されている。
また、上記のような状況だけではなく、日常生活の中の思いもかけない状況下で化学災害、あるいは何らかの化学物質にによると思われる急性中毒患者が集団発生している事例にも注目する必要がある。
この際、3月20日の日本中毒情報センターへのサリンに関する問い合わせは合計143件あり、そのうち医療機関からのものは125件であった。また、事件発生後5日間では合計212件のサリンに関する問い合わせがあり、そのうち156件が医療機関からのものであった。日本中毒情報センターに問い合わせをしてきた都内の医療機関のうち患者の診療数を確認できたものは56病院であり、この56病院全体で3207名のサリン患者が治療されていた。
このように大規模な化学災害では、迅速な情報提供が非常に多数の患者の治療に影響を与える可能性がある、という意味で化学災害時の中毒情報センターの重要性が理解できると思われる。
(1) 救急災害担当官
(2) 医療災害担当官
(3) 看護災害担当官
(2) 前線指令所
(3) 救急車駐車区域
(4) 負傷者避難救護所
(5) 救急車搭乗地点
(1) 第一現場到着隊員
(2) 救急隊安全担当官
(3) 現場情報連絡担当官
(4) 前線救急隊災害担当官
(5) 負傷者避難救護所担当官
(6) 救急車搭載担当官
(7) 救急車駐車担当官
(8) 一次トリアージ担当官
(9) 装備担当官
(1) 前線医療災害担当官
(2) 二次トリアージ担当官
(3) チームリーダー
効果的な命令を出すには、水平(各部門の災害担当官)および垂直(各部門の上下の命令系統)との緊密な連絡を必要とする。
外側立ち入り禁止警戒線:事故災害現場全体を囲む直径数百mの範囲を通常囲んでいる。この警戒線のすぐ外までマスコミや野次馬が集まってくることが予想されるので、この警戒線はどのような危険からも安全な距離にあることが重要である。外側警戒線へ出入りは事故災害統制点で厳しく統制されるべきである。
内側立ち入り禁止警戒線:この領域は、救助活動の場所である。ここへ入る人は名札をつけさせられる。
援護が欲しいという要請は、統制を維持するためにこの命令系統を通じて伝達されなければならない。例えば、1人の消防士が閉じ込められた負傷者を発見したとき、この消防署にとっては近くにいる医者を見つけて、その負傷者のところにつれていくことが理にかなっているように思える。しかし、もしこの医者がその仕事をするために、許可を得なければ、その医者は医療災害担当からすれば行方不明となってしまう。したがって、その消防士は、直属の消防前線災害担当官に知らせ、彼が前線救急隊災害担当官に知らせなければならない。前線救急隊災害担当官は、負傷者のもとへパラメディックをやって、患者の状態を把握させ、もし医者が必要であれば、前線救急隊災害担当官によって、前線医療災害担当官を通じて医者の派遣が要請される。
避難所の救護医療とその問題点
石原亮介、外科診療 37: 1423-30, 1995はじめに
震災直後の医療活動
避難所の設置と救護所
保健医療活動と福祉活動の連携
救護所医療の実態
地域医療司令部としての保健所
災害医療における中毒情報センターの役割
大橋教良、外科診療 37: 1457-62, 1995<我が国の化学災害の現状>
<化学災害と中毒情報センター>
<地下鉄サリン事件における中毒情報センターの活動状況>
<化学災害時の中毒情報ネットワークの今後の展望>
<まとめ>
大事故災害:第13章 医療における命令と統制
小栗顕二・監訳、大事故災害の医療支援、東京、へるす出版、1998年、p.82-931. 医療活動の統制
2. 救急隊と医療サービス部門の活動場所の計画
3. 救急隊の命令と重要な役割
4. 医療サービスの命令系統
大事故災害:第12章 現場での指揮と統制
小栗顕二・監訳、大事故災害の医療支援、東京、へるす出版、1998年、p.77-81<全体的な責任>
<行動の統制>
<命令階層>
<命令系統>