すなわち、この地球上に人類が存在していなければ、台風も地震も単なる気象や地殻の変動という自然現象であって災害ではない。災害をもたらすものは自然現象の物理的な大きさではなく、被災地域が備えている対処能力との相対的関係である。
^自然災害(natural disaster)
この中には、地震、台風、火山噴火、雷、豪雨、津波、高潮、地滑り、雪崩などがある。これらは突発型あるいは急性型に分類され、災害自体は短期間に終息するものが大部分である。これに対して、長雨、長期の低温・高温などによる干ばつなどは、徐々に被害が発生する慢性型で、時には数年に及ぶものもみられる。
_人為災害(man-made disaster)
この中には大火災をはじめとし、航空機、列車、大型バスなどの多発衝突事故などの交通災害、ゴムや化学薬品工場爆発、原子力事故などは放射能による大気汚染が発生し、国境を越えた広域災害となりうる。最も忌まわしい人為災害として戦争があげられる。これによる直接的な物的・人的被害のほかに大量の難民や疫病、飢餓を生じる。
`複合災害(complex disaster)
自然災害と人為災害の種々の組み合わせのものが生じる。地震による災害は非常に多く、同時に数カ所に発生する。ダムが決壊すると下流に大洪水が発生する。
aその他
一次災害、二次災害などと言う分類があるが、文字どおり、最初に生じたのが一次災害で、これによって引き起こされた災害を二次災害と呼ぶ。
1987年の第42回国連総会では、1990年からの10年間を「国際防災の10年(International Decade for Natural Disaster Reduction;IDNDR)」とする決議を採択し、世界各国が国際間協調行動を通じ全世界、特に発展途上国における自然災害による人命や財産などの損失および社会的・経済的混乱などの被害を軽減する取り組みを開始することを宣言した。この背景には、過去20年間に自然災害による死傷者が300万人、被災者が8億人を超え、かつ世界的に災害がさらに増加の傾向にあるという認識があったからである。
1968〜1992年までの25年間における地域別の自然災害と人為災害による1年間の平均被災者数をみると、共にアジアにおける発生頻度がかなり高いことが分かる。また、災害被災者数は、その年によって変動が激しいが、全体として確実に増加していることが分かる。
@ 気象的特徴
A地形・地質的特徴
@ ◯住居…都市部への人口集中により急傾斜地、低地、旧水面、
水田などへの居住地域が災害の危険性の高い地域まで
拡大している。
A ◯生活の変化…ライフライン、コンピューター、情報通信シス
テムに依存する現代の生活は新しい都市災害を
発生させ被害を甚大化する。
B ◯東京圏の一極集中…行政や経済活動などの中心である東京の
災害対策の脆弱性が懸念されており、い
ったん災害が発生すると全国的な国民生
活に影響を及ぼす。
昭和20年代〜昭和30年代前半
昭和30年代以降
A自然災害による施設関係等被害状況
A 石油コンビナート災害
B 林野災害
C ガス災害
D 航空機災害
E 鉄道事故
C. 災害発生の状況、日本における災害状況
青野允、事例から学ぶ災害医療、南江堂、東京、1995, pp 5-11
(担当:佐藤)1、災害を受けやすい国土
ア) 前線活動による大雨…大陸と太平洋からの気団の影響を受ける。
イ) 台風…北太平洋西部で発生し毎年数個来襲。
ウ) 積雪…シベリアからの強い寒気団が原因。
ア)洪水・土砂…平地が少なく、河川が急峻で流路が短い
ため
イ)地震…環太平洋地震帯に属し、太平洋岸沖、日本海側を震源とする地震が多い。活火山による地震も少なくない。
複雑な海岸線が多く、地震が起こると津波が発生しやすい。2.都市化と災害
3. 自然災害の状況
戦争による国土の荒廃と相次ぐ大型台風や大規模地震な
どにより甚大な被害を受けた。昭和34年の伊勢湾台風
による被害までこの状態が続く。
伊勢湾台風を機に防災体制が整備され、国民の防災意識
の高揚、災害情報伝達手段の発達普及により災害の死者
行方不明者は減少した。しかし、北海道南西沖地震(平
成5年)、阪神大震災(平成7年)によってここ数年、
災害による死者・行方不明者は飛躍的に増加した。
被害額の国民総生産に対する比率は昭和40年まで1.0%
を超えていたが昭和40年以降、国民総生産の大幅な増加に
伴い0.2〜0.8%に推移していた。しかし、平成4年度
を境に平成5年から再び増加を示す。このことから災害脆弱
性が高まってきた地域が増加しつつあると思われる。4. 人為災害の状況
ここ10年間火災件数はおおむね減少しているが損害額はや
や増加している。
平成5年では50件と意外に多い。消火活動が困難で大規模
化の可能性が高く、大規模な防災訓練を行うための体制の整
備についての検討が進められている段階でいる。
広い焼損面積に対応するため「大規模特殊災害時における広
域航空消防応援実施要綱」(昭和61年)に基づき、消防防
災ヘリコプターの応援出動及び空中消化が行われるようにな
り、ここ10年間の死者の報告はない。
いったん発生すると大惨事に発展する可能性があり、初期救
援活動が極めて困難である。航空機事故のほぼ4割は離着陸
時に発生しており、空港及びその周辺における消火救援体制
の確立が重要であるが、空港の消防力が充分とは言えない。
列車事故は国内のいずれの場所ででも発生する可能性のある
事故でありこれまでほとんど対策が後手に回っている。
区分 | 根拠法等 | 策定主体 | 計画等が対象とする事象 |
都道府県地域防災計画 | 災害対策基本法 | 都道府県防災会議 | 暴風、豪雨、洪水、高潮、地震、津波、噴火その他の異常な自然現象または大規模な火事もしくは爆発その他、その及ぼす被害の程度において、これらに類する放射性物質の大量の放出、多数の者の遭難を伴う船舶の沈没その他の大規模な事故 |
市町村地域防災計画 | 災害対策基本法 | 市町村防災会議(市町村長) | 同上 |
災害救助の基準 | 災害救助法 | 都道府県知事 | 政令で定める程度の災害 |
市町村消防計画(主として救急救助計画) | (消防組織法) | 市町村 | 平常時および非常災害時の消防活動全般 |
救急業務計画 | 救急業務実施基準 | 消防長 | 特異な救急事故(救急隊1隊のみで処理できない災害に起因するもの) |
内容
災害規模等からみて、国が責任をもってあたる必要があると判断された場合に施行され、被災市町村の人口に応じ、ある程度以上の被害が生じたときに救助が実施される。
内容
(とくに“東海地震”について)
救急看護がシステムの整った環境の中で個人を対象にしたマン
ツーマンの看護であるのに対し、災害看護は多数の負傷者並びに
地域全体を対象とし活動している。
→点ではなく線or面の活動
2)活動拠点
被災地に活動拠点を置き、不備な環境で活動しなければならない。
3)医療ニーズと提供できる医療の不均衡
災害初期には負傷者に比し医療従事者が絶対的に不足するとと
もに適切な医薬品の供給も不足する。
4) システムの混乱
交通・情報網の混乱による通常の救急システムの破綻による
・ 患者の搬入・転送の遅れ→病状の悪化
5) 医療ニーズと生活ニーズの充足
衣食住の条件の改善で医療ニーズが解決する場合もある。
2)結果の記録・報告して、ほかの参考に供することが少なかったた
め、災害看護は原則として体系化されず、また過去の教訓を次に生かされることが少なかった。
災害看護 I. 災害看護とは
高橋章子、エマージェンシー・ナーシング 新春増刊194-196、1996
(担当:山内)
1. 定義
2. 日本の現実
3. 日本での災害看護活動
・ 自衛隊…医療よりは救助と支援が主体
・ JMTDR(Japan Medical Team for Disaster Relief)
…主に国外の災害に出動4. 災害看護の特色
・ 救護所に患者が停滞→新たな患者の収容が困難
→被災者を生活全体から把握し、支援することも必要!5. 過去の災害から学ぶ日本の災害活動の問題点
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gochi@hypnos.m.ehime-u.ac.jp
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