放射線事故:1945年から400件以上で3000人以上
被ばくの形態:外部被ばく、体表面汚染(創傷汚染)、内部被ばくの3種類
医療処置の観点から、外部被ばく、体表面汚染、創傷汚染、内部被ばくの4種類
(1)外部被ばくにおける線量の評価
(2)全身被ばく
(3)局所被ばく
皮膚か皮下の小血管の障害
紅斑、脱毛、感性落屑、湿性落屑、水泡形成、潰瘍、壊死
⇒ 疼痛に対する治療、皮膚移植、四肢切断
2.汚染
一般に、放射性核種が環境中に流出し、空気中、水中に入ったり、建物、動植物、人に付着したりすること。緊急被ばく医療では、人の衣服や対表面に放射性核種が付着した場合。
汚染患者の診療
汚染に関する情報として、放射性核種の種類、汚染程度、汚染部位、除染の有無と結果などを収集。
受け入れ準備:二次汚染対策(防護服、施設内及び機器の養生、チーム) ⇒安心して医療処置に
専念、GMサーベイメーターなどの準備
除染:まずは創傷汚染が先。また、除染に際して大量の水を使うのは原則禁忌(二次汚染や内部被
ばくの原因となる)
3.内部被ばく
放射性核種が体内にはいり、臓器や組織に付着して、放射性核種から放射線が照射されること。体 内に入った放射性核種は、その種類により付着する臓器や組織が異なる(例:ヨウ素は甲状腺、スト ロンチウムは骨、プルトニウムは骨と肝)。
(1)内部被ばくの経路
呼吸器系、消化器系、皮膚
(2)線量評価
口角と鼻腔のスメア検査から算出、ホールボディカウンター、尿中や便中の放射性核種の分析・測定
(3)内部被ばくの診療
線量評価を行い、20mSv以下なら治療は行わない。20mSv以上なら治療する。
治療目的は、体内からの放射性核種の排泄促進 ⇒内部被ばく線量の低減 ⇒臓器障害の発症予防
(骨髄や甲状腺など)
4.緊急被ばく治療における治療
一般の患者と最も異なる点は、汚染の取り扱い、障害の程度が線量に依存しその発症が数日後から 数ヵ月後に起こってくること。
忘れてはならないことは、何よりも救命処置が最優先であることと、2次汚染を防ぐこと
a.情報の収集
b.医療チームの策定
放射線総合研究所への連絡!!!!!
災害現場では限りある医療資源と人材を有効に活用して、一人でも多くの人を救命する特別な医療展
開が必要とされる。防災体制の進歩に伴い、災害発生時に看護師に求められる課題も増えてきてい
る。緊急事態や災害などの危機に対応できるように洗練された医療と看護の組織化、救急体制の確立
が必要である。
一つの具体例として看護・救急業務でのトリアージについて考える。阪神・淡路大震災時に看護師が
実際に行った「通常では行わない医行為」のなかで「重症度・緊急度の判別」は2位であった。ま
た、兵庫県下2病院の調査でも看護業務の拡大を期待するとの結果が得られたという報告がある。こ
れらをふまえて救急看護業務のあり方と新たな災害発生時のシステム改善の必要性を提起することが
できる。ここで、まず我が国の災害看護教育の現状について触れておく。看護教育校においては、基
礎科目として災害看護が設置されておらず、災害発生時に中心的な役割を担う施設でさえ、院内にお
いて災害看護研修が行われていない施設があるというのが現状である。看護職として災害発生時には
率先して活動することが求められ、したがってすべての看護師が看護教育施設での基礎教育から災害
看護活動ができる能力を身に付けることが望ましい。しかし、残念ながら教育体制が十分確立された
とはいえない。今後の課題として、看護師が災害現場でトリアージを行うという役割を果たすために
は教育プログラムを構築していくことが必要である。加えて、トリアージプロトコールを作成し、確
立されたシステムの下でトリアージを実施させること、また資格制度を採用することで、災害現場で
の看護師の役割を明確にでき、その枠を広げていくことが可能になる。
地震等の非常事態下でも医療・看護に従事する者は適切な判断に基づき冷静かつ機敏に行動すること
が要求される。役割分担を明確にし、より効果的な医療が期待されるなかで、看護師がどれだけ主体
性を持った活動を行うことができるかは重要な鍵になる。医師だからできる、救命救急士や看護師だ
からできないのではなく、大切なのは劣悪な状況のなかで、災害の種類・規模・被災状況・負傷者・
地域の救護力・医療資源等々の全体を見渡すことのできる個人である。災害の教訓や記憶を生かし、
現実に即した対応を構築していくことが重要であり急務である。
アメリカの危機管理の特色は、準備、対処、復旧が三位一体で考えられていることである。要するに災害も戦争もテロも必ず起きるものとして位置づけ、それぞれの対策が準備されているのである。情報交換に当たっての中心テーマは「危機が発生した時、いかに被害を克服できるか」である。そこにおいては、危機を克服するための標準化されたシステム(SEMS)が準備されており、自治体と民間企業が協力して聞きに対処しようという「緊急計画と準備のための産業協議会(BICEPP)」のような活動も活発に行われている。
SEMSとは多数の管轄体や機関の関係する緊急事態への対応を標準化することであり、カリフォルニアにおける全緊急事態対応者の需要に対して柔軟、適応性がある。定義、原則、構成、利用基準などが定められている。SEMSはICS(全国的に使用された基準化された現場における危機管理概念)、MACS(複数機関調整システム)を含む危機管理の要素、基本原則を使用する緊急事態対応機関、活動地域概念、相互援助システムを必要とする。SEMS機構には5つの指名レベルがあり、現場対応、地方政府、活動地域、地域、州のそれぞれのレベルによって必要に応じた対応をする。また、相互支援制度があり、消防、警察、医療保険、通信、交通輸送、公共設備などを含む支援やサービスを状況に応じて適切な支援を受けることができる。
MACSとは職員、施設、設備、手続き、支援機関の人材調整を提供する一般システムに統合された通信網などの共同システムのことであり、複数機関、あるいは複数管轄区の緊急事態を支援するものである。
日米とを比較すると、日米の防災意識については三つの違いがある。
一つ目は、認識の差である。日本の地震対策は、必ず「警戒宣言」が出ることを前提に計画されている。それに大してアメリカでは「警戒宣言」など出ないことが当たり前だから、いつ何が起きても被害を局限できるような計画が地震対策の前提となる。
二つ目は、災害対策の差である。アメリカでは、災害対策について、法律で義務づけられたもの以上はやらない傾向がある。その点日本は法律で補えない部分を行政指導で行っており、防災コンサルトの役割を果たしているところもあり、成功を収めている。
三つ目は、企業の災害担当者の差である。アメリカの防災担当者は、防災セミナーやBICEPPのような会合に参加するため、常に新しい情報に接している。日本の場合、情報交換が十分に行われず、新しい情報に接する機会が少ない。
以前アメリカLAで、ノースリッジ地震という極めて大きな地震があった。LAがノースリッジ地震を克服できたのは、市・州・連邦という公的組織が緊急対応計画を周到に準備していた結果であると同時に、背後にBICEPPのような公的組織と企業の緊密な連携が存在し、有効に機能したこともある。日本も大地震を克服するために、一層情報交換を活発にし、あらゆる対策をたて、次なる地震に備える必要がある。
20世紀最後のサミット首脳会議は、沖縄県で2000年7月21日〜23日に開催された。過去3回本邦にお
いて開催されているサミットは、東京が開催地であり、会議開催時の集団災害や危機管理体制はとら
れていなかった。今回、沖縄という離島県で、医療体制の不備、警備、防災面の不十分が不十分だっ
たため、各方面で準備が始められた。
このような状況のなか、外務省は救急医療に関して、従来自省内の調整で済ませていたのが、縦割
り行政を越えて今回は厚生省にその構築を委ねた。
厚生省は今回の医療体制の基本を次のように決定した。1,主賓の首脳に対しては最良の医療を提供
する。2,従来から行われている県民への救急医療を損なわない。3,集団災害を想定した危機管理体制
をとること。
以上の基本の元、救急医学会、国、県の三者が結集し、連携して組織体制を構築した。
国の対応
県の対応
基幹拠点病院を沖縄県立北部病院とし、医療支援チームを北部病院に配置、首脳の治療に当てた。
拠点支援病院として沖縄県立中部病院を当てた。通常救急を受け入れていない市中病院にクリニカル
パスを配布し、各病院における集団災害マニュアルを早急に作成した。
今回のサミット医療体制で、今後の救急医療、集団災害対策、危機管理対策の構築に一石を投じた。
また、各施設ごとの災害医療マニュアルがサミットを機に作成され整備がなされた。そして、病院の
職員各自が危機管理意識を持つようになったことは喜ばしいことである。
看護・救急業務でのトリアージ
看護婦人(士)がトリアージを行うことの是非と看護業務の拡大を考える
(山崎達枝・著、有賀 徹・編:平成13年度 厚生科学研究費補助金総括研究報告書 災害時の適切
な Triage実施に関する研究 89-97, 2001)次なる地震に備えて:カリフォルニア州緊急対応計画(抄)
(小川和久:ロスアンゼルス危機管理マニュアル、集英社、東京、1995、p.223-237) 農業バイオテロ
(Wheelis MR・著、杉島正秋・編:バイオテロの包括的研究、朝日大学法制研究所、岐阜、2003、
p.38-48)農業バイオテロとは?他のテロ攻撃との違いは?
誰が実行するのか?
いかなる結果をもたらすのか?
今後の展開は?
サミット開催時の救急医療体制
(宮城良充ほか、救急医学 26: 198-204, 2002)被災者としての直接経験と自己回復課程
(高橋哲、現代のエスプリ1996年2月別冊、p.165-172)