多数傷病者発生事故とは?:
そこで多数傷病者発生時に1人でも多くの傷病者を助けるためには?
*3R:for the Right patient (適切な患者) in the Right time (適切な時間に) to the Right place(適切な場所に)
→ 十分な"3Ts"が行われることが必要
*3Ts: 1)Triage(トリアージ) 2)Treatment(治療) 3)Transportation(搬送)
1)Triage:トリアージ
搬送順位は重傷度が傷病者数やその重傷度に応じて決められる。
赤、黄、緑、黒の4色
Ex).同じ赤タッグの腹腔内出血の傷病者がいて、1人は「輸液を行ってもショック状態」、もう1人 は「輸液によって血圧が保たれている状態」であれば、搬送順位はショック状態の傷病者の方が優先 される。
2)Treatment:治療
傷病者を安定した状態で受け入れ、搬送するためには、必要最低限の治療、処置を現場救護所で行う ことが不可欠である。
Ex).気道閉塞→気管挿菅、気胸→胸腔ドレナージ
出血性ショック→輸液ルートの確保 など
3)Transportation:搬送
i)受け入れ病院の選定
受け入れ可能な病院数、それらの病院までの距離、現在の収容能力、救急医療レベルを考慮して選定
する必要がある。
ii)最適な搬送手段の利用
主な搬送手段は救急車 →しかし、多数傷病者発生事故では救急車両は不足状態!
⇒搬送能力、入手可能性、付随する医療設備などを十分考慮して別の搬送手段を選択する必要性
Ex).軽傷者搬送にマイクロバス
最重症傷病者はヘリコプターで専門医療機関へ など
iii)分散搬送
2005年4月25日に起きた列車事故。乗客数約580名、死者107名、負傷者549名。 傷病者の搬送、受診は44医療機関にあったが、事故現場に近い医療機関に集中がみられた。しかし重 症傷病者の受け入れは1施設あたり平均2〜3名であり、平時の救急医療レベルの維持が可能であっ たと推測される。
2.ドイツICE高速列車事故
1998年6月3日に起きた高速列車事故。乗客292名、死者101名(96名即死)。 事故発生時16分後には事故現場に最初の外傷医が到着し医療処置が開始されたこと、また39機の航空 機を活用し、事故現場より150km圏内の22医療施設に87名の重中等症傷病者を分散搬送したことによ り、preventable deathは0名!
この教訓から広域搬送の必要性とそれを行うための医療チーム派遣の必要性が強く認識され、拠
点となる病院の整備を行うことになった。
国は、県に若干数の基幹災害拠点病院を、二次医療圏を目安に災害拠点病院を指定した。これら
の病院は高度の診療機能・地域医療機関への応急用資材貸し出し・自己完結型医療チームの派遣機
能・傷病者の広域輸送への対応、といった機能を持つよう期待され、基幹災害拠点病院はさらに、要
員の訓練・研修機能も持つ必要があるとされた。
また、新潟県中越地震の教訓も踏まえて災害時の医療支援を行うために訓練された医療チームの
必要性が繰り返し認識され、国によるDMATの整備が開始された。
その活動内容は、災害急性期(おおむね48時間以内)における医療救援活動であり、被災地から被
災地外へ患者を搬送する広域搬送や被災地内の医療活動支援を行うものである。
DMATは防災基本計画上、以下のように位置づけられている。
広域医療搬送では、被災地内で広域医療搬送の対象となる患者を広域搬送拠点に集約し、そこか
ら自衛隊機などによって被災地外へ航空輸送を行う。
広域搬送拠点には広域搬送拠点医療管理所(SCU)が設置され、集約された患者の搬送優先順位を決
定するトリアージや航空輸送に耐えうるような応急処置が行われる。
DMATはSCUにおける医療スタッフとしての役割を果たすことが期待されており、患者搬入・応急処
置・トリアージ・患者搬出などに携わる。また、航空搬送時には患者の搬送介助を行う。
今後、訓練や研修における議論を通じて課題を明らかにし、災害時に1人でも多くの救える命を救
うべく、さらなる体制整備を目指しているところである。
また、そのときの患者の被爆線源はγ線である。なぜなら、α腺、β線というのは仮に存在していた
としても二次被爆線源としてはほとんど考慮しなくて良いからだ。
レベル0 0(表面密度限度の1/10未満の放射能―線量率は測定不能)
(レベル分類と作業者の二次被爆)
レベル0 作業者の二次被爆は0(測定不能)
原子力発電所等の労災事故のほとんどはレベル1以内に収まると考えられる。
大地震発生時には電気・水道・ガス・電話が使用不能になり、交通機関は途絶し、火災が発生するこ
とが想定される。ゆえに以下の地震用語を理解しておくことが必要である。
(1)震度
震度は、地震動の強さの程度を表すもので、震度計を用いて観測する。現在は次の十段階に分類さ
れる。
(2)マグニチュード(M)
地震そのものの規模や大きさを表す。Mが大きいほど規模が大きい。これに対し震度は観測場所ごと
の強弱間の度合いで出すため、場所により異なる。Mの大きさで以下のように分類される。
2.地震警戒宣言発令時の措置
地震発生による被害を最小限にとどめ、防火活動を円滑に行うため、次の措置を講ずる。
(1)全職場に共通の措置
(2)警戒発令時診療
(3)病棟における措置
3.地震発生時の行動
地震時には火災が多く発生する。それは震動に動転して火を消さずに逃げる人が多いからである。地
震発生時はより冷静な行動が必要である。
(1)出火防止措置
(2)消火活動
(3)入院患者の避難誘導
(4)情報の収集と伝達
(5)地震後の設備・器具の点検整備
(6)震災時の患者避難場所の確保
(7)患者の帰室
1.避難方法
(1)水平避難
(2)上下方向避難
2.避難誘導時の注意事項
拡声器、メガホンなどで患者全体に火災状況を知らせ、混乱防止に留意し、勝手な行動をとらせない
ようにする。
災害時には建築物の損壊、物品の落下、火災の発生などで骨折・創傷・熱傷などの救急患者が多数来
院し、非常に混乱することが予想される。ゆえにいつでも救急診療体制がとれるよう、応急救護所の
設置、医薬品の確保、診療担当者の任務分担を明確にしておくことが必要である。特に夜間、休日は
人員の確保に全力を注ぐべきだ。
2.災害時の外来患者の診療
大規模な災害で患者が多数来院し、通常の体制では処理しきれない場合は増員して診療に当たる。
3.救護班の派遣
市区町村長より知事を経由して日赤都支部に救護班の要請があった時は支部長の指令で救護班を派遣
する。救護班は医師1、看護師長1、看護師1、助産婦1、主事1、補助員1の6名からなり、主に
薬剤や治療材料の支給、処置、小手術、病院などへの搬送を行う。出動期間は14日となっているが状
況により、増減する。
災害が発生した時に必要なあらゆる活動を能率的かつ組織的に遂行する。人命救助がもちろん最優先される。消防・緊急点検・避難・救護・給食・庶務の6部門よりなる。状況により、臨機応変に対応することが必須である。
2.火災予防のための組織
平素における火災予防及び地震時の出火防止を図るため各病棟ごとに防火責任者、各部屋ごとに火元責任者をおいている。
(2)防災教育
■災害派遣医療チーム(DMAT)と広域医療搬送
近藤久禎:エマージェンシー・ケア 19: 139-146, 2006経緯
DMATとは
広域医療搬送
被災地内の活動
DMATの研修
今後の展望
■放射線管理面から見た放射線物質による汚染傷病者のトリア−ジの提案
古賀佑彦:平成17年度緊急被ばく医療全国拡大フォーラム講演録集 p.4-16放射線管理面でのトリアージとは
トリアージの目的
レベル分けをするために必要な情報
レベル分類
安全宣言のレベルをどこにひくか?
まとめ
□参考
レベル1 〜0.02mSv/h未満の放射能を出す放射能(50時間作業で0.1mSv未満)、α核種は表面密度限
度未満
レベル2 0.002mSv/h以上〜0.1mSv/h未満の放射能を出す放射能(50時間作業で5mSv未満)、α核種は
表面密度限度以上
レベル3 0.1mSv/h(50時間作業で5mSv)以上の放射線を出す放射能。線量率を記載すること
レベル1 50時間作業でも年間自然放射線の約1/20、公衆の年限度の1/10未満。Alpha核種では0
レベル2 50時間作業で自然放射線の2年分。胸部CTの実効線量程度。アルファ核種では0
レベル3 レベル2を超える線量武蔵野赤十字病院防災救護対策マニュアル 2.地震対策
武蔵野赤十字病院、病院防災の指針、日総研出版、1995、p.130-145I. 地震対策
震度0: 人は揺れを感じない。 震度1: 屋内にいる人の一部がわずかな揺れを感じる 震度2: 屋内にいる人の多くが、揺れを感じる。眠っている人の一部が、目を覚ます。電灯などのつ
り下げ物が、わずかに揺れる。 震度3: 屋内にいる人のほとんどが、揺れを感じる。恐怖感を覚える人もいる。棚にある食器類
が、音を立てることがある。電線が少し揺れる。 震度4: かなりの恐怖感があり、一部の人は、身の安全を図ろうとする。つり下げ物は大きく揺れ、棚
にある食器類は音を立てる。電線が大きく揺れる。歩いている人も揺れを感じる。自動車を運転して
いて、揺れに気付く人がいる。 震度5弱: 多くの人が、身の安全を図ろうとする。棚にある食器類、書棚の本が落ちることがある。
窓ガラスが割れて落ちることがある。電柱が揺れるのがわかる。建物の壁に亀裂が生じる。ガスの遮
断、断水、停電がまれにおきる。 震度5強: 非常な恐怖を感じ、多くの人が、行動に支障を感じる。食器類、本の多くが落ちる。変形
によりドアが開かなくなる。ブロック塀の多くが崩れる。自動車の運転が困難となり、停止する車が
多い。建物の壁に大きな亀裂が生じる。ガスの遮断、断水、停電が起きることもある。
(深度5共通:脆弱な地盤に亀裂が入ったり、落石や山の小崩壊が起きる。深度6弱: 立つのが困難になり、多くのドアが壊れる。建物内の多くの壁や窓ガラスが破損、落下す
る。建物が倒壊することもある。ガス、水道が一部でとまり、停電することもある。 深度6強: 這わないと動けない。ドアが吹き飛び、耐震性の高くない建物は倒壊することが多々あ
る。一部で停電、広範域でガス、水道が止まる。
(深度6共通:地割れや山崩れが発生するがある。)深度7: 揺れに翻弄され、自分の意思では動けない。ほぼ全ての家具は移動し、飛ぶものもある。耐
震性の高い建物でも、大きく傾いたり倒壊する。広範囲にガス、水道、電気が止まり、地形が変わる
ほどの地割れ・地すべり・山崩れが起きる。
中地震…M5以上M7未満
小地震…M3以上M5未満
微小地震…M1以上M3未満
手近の火を声を掛け合って消す。
全力を挙げる。余力があれば周辺地域の消火も行う。
避難路の確保に支障となる物品を排除し、非常口の鍵を開けて本部の指示を待つ。被害状況の確認を
速やかに行い、本部の指示を待つ。
ラジオや消防機関から積極的に情報を収集し、正確な情報を周囲に伝える。
安全を確認してから部屋へ帰す。II.患者避難対策
同一階の安全な他の防火区画内へ、火元から遠ざかる方向へ避難する。
当該階にいることが危険になった場合は、原則として本部の指示により階段を利用して避難する。出
火階とそれより上の階を優先的に避難させ、エレベーターは使わない。III.救急診療体制
IV.職員非常招集計画
V.予防管理体制の確立
VI.自衛消防組織
VII.防災訓練と教育
災害時に患者の命、そして自分自身の命を守るために、日頃から防災の重要性を認識し、いざというときには迅速に行動できるように心がけるべきである。そのため、総合訓練・部分訓練・基礎訓練・震災訓練を定期的に行っている。
防災の意識高揚のために映画上映や講演会などを行っている。抄読担当学生の感想