スウェーデンの災害に対する対応がどれほど早くできていて大規模なものかを知って ほしい!
1月17日の阪神大震災では大きな被害を出し、救済活動では行政側の準備と対応のま ずさが指摘された。この時海外からの救援受け入れを当初断っていたため、救える命 が失われたと、非難されている。例によって海外から最初に救援の申し入れをしたの がスウェーデンだった。チェルノブイリ原発事故でもわずか4時間後にスウェーデン 全土に警報を出し、援助の申し出を伝えたスウェーデンの情報収集システムは、阪神 大震災の時、地震発生後3時間後には日本に向けて出動態勢を完了していたという。 スウェーデンは世界どこに災害が発生しても即時対応できる体制がとられており、日 本は大災害発生危険地区の1つとしてマークされていた。また、国民1人あたり世界最 高額の開発途上国援助を行っている。このようにスウェーデンは地球上すべての災害 に即時対応する体制を備えている。
では、その体制について具体的に見ていきましょう。
1.防衛災害医学の講義は40時間にも上る!
1958年から戦時医学が6時間講義され、1969年には防衛災害医学として40時間に延長 されたばかりではなく、災害現場を模擬した実践さながらの現場での実技訓練が必修 科目として課せられている。また、医師は法律によって70歳まで災害時に出動する義 務を負い、65歳までは10年間で12日間の災害時訓練と7日間の災害医学卒後教育を受 けなければならない。こんなにも災害時医学教育があり、非常時にはすべての医師は 被害者を治療する義務がある。
2.災害時にはこんなにもたくさんの人員、施設、設備を利用できるシステムになっている!
災害現場の市民防衛隊の指揮官である救助指揮官には通常、その地域の消防署長が任 命されている。軍と同等の権限を持ち、全国6つの市民防衛地域に分かれ、非常時に 防備と救助活動を行う。組織的にはスウェーデン王国救助局が市民防衛の中核をに なっており、人員としてはランスティング(日本で言えば県)を指揮して国民に対す る教育と 1)非常時における救助を3万人、2)消防を5万3000人、3)医療を4万人、4)誘 導を4万5000人、5)監視を3万人、6)工場防衛を2万人、を担当している。非常時の市 民防衛隊の動員数は15万人、自由意志による郷士防衛隊15万人、この他、20の救助大 隊、21の衛生大隊、6機ずつの飛行機を有する28の自由飛行士連盟が市民防衛隊に含 まれる。設備としては災害救助に有効な6〜10床の大型ヘリコプターが大都市に4台常 時配置され、それに加え6台が追加動員できる。また非常時には岩盤をくりぬいた要 塞から救急艇や病院船が出動する。それに災害時に必要なテント・毛布・救助器具な どを各コミューンが常時備えておく義務を有している。これだけ多くの人員と設備が 非常時に備えて用意されている。
3.非常時にはここにさえ電話すれば大丈夫!
急病の場合だけでなく、事故、災害の第一報は全国共通の90000番にかければよく、 全国18箇所に設置されている警報管制センター(LAC)に通報され、マニュアルに 従って救急車、警察、消防署、病院などに連絡し、災害・事故現場に指揮所を設営す る。このような仕組みでいち早く緊急事態に対応できるようになっている。
4.緊急事態にも融通が利くシステムになっている!
災害現場の最高責任者は救助指揮官だが、病院長にも広範な裁量権が与えられ、中央 の指揮を待つことなく病院長は自らの判断で非常事態体制を発令することができる。
5.災害の時のためのいろいろな工夫がある!
まずはカラー刷りの災害時マニュアルである。病院内の各病棟や部所には橙色の表紙 のカラー刷りの災害時マニュアルがあり、すべての職員はその所在を徹底周知してい る。内容は1概説、2警報編、3行動編、4器材編、5院外連絡編、に分かれてお り、初めてその病院に勤務した人でも一目で緊急時に適切な行動が取れるようになっ ている。また、スウェーデンは標準化された緊急度判定を用いている。最緊急は赤 色、緊急は黄色、非緊急は緑色、死亡は黒色のプラスチックの札を患者の首にかけて いく。この方法で医師は患者の優先度を決定し、救急処置を行う訓練を受けている。
6.現場志向のスウェーデンの災害対処システムはこんな特徴がある!
まとめ
阪神大震災に対する反省が行われる中、このようなスウェーデンの市民防衛システム が備えられていたなら被災の質も量もこれほどまでにはならなかったのではないだろ うか。日本も謙虚になってスウェーデンに学ぶべきである。
これら毒性のある物質も、今日の産業の中では欠くことのできない重要な物質であ
り、社会生活から排除することはできない。従って、この種の物質の流通に並行して
災害時の対応についての十分な知識と備えが必要である。
製造工場など関連事業所の災害(通報時に明確に有害物質が関連していると推測)の
場合
移送車両の事故、付近住民からの通報の場合
2.現場指揮
消防隊員によって消防警戒区域が設定され、立ち入りが制限される。
3.物質の特定
物質を特定することが現場活動を効率的かつ安全に行うための最優先課題である。
専用運搬車:イエローカード(搬送時携行が義務付けられている)を探す。
その他:サンプルを検査機関に搬送する。特定できるまでは医療機関の患者観察情報
から推定される毒性を参考に救助作業を継続する。(防護や除洗が過度となり非効
率)
4.負傷者搬送
初期:重症度・緊急度の高い患者から三次救急または最寄の二次救急医療機関へ搬送
する。負傷者が多数想定される場合、医療機関は一時的パニック状態になると考え、中等・軽症患者はやや遠方の医療機関に搬送することが考えられている。
一部地域では「救急現場に意思を救急車で搬送するシステム」を活用している。
搬送された患者の引継ぎにはいつも以上に発生原因の推定ができる最大限の情報伝達
が重要であり、現場状況を共有することで現場にフィードバックできる情報が生じる
こともある。
初期〜中期:受け入れ医療機関の許容能力が現場本部で把握されるとともに、救急医
療情報システムの情報活用によって医療チームの地域コーディネーターと協議した搬
送先医療機関が系統的に整備される。
中期:重症患者を遠方の医療機関へヘリコプターで転院する体制も完了する。
5.被害拡大防止
二次的被災や周辺への汚染拡大防止を図るために、警戒区域内の字移民に非難を随時
呼びかける。時間の経過とともに症状のあらわれる者もあり、継続して注意する必要
がある。
危険物の代表的な物質は性状からも物質名を検索できるようになっているが、対象が
消防法に定める危険物に限定されている。それ以外の物質は専門家の知識に頼らざる
を得ない状況であり、性状から推定できるシステムの充実と対象物質範囲の拡大が課
題となる。
2)事業者側への依頼
積載されている物質の情報が直ちに明確化できる体制の徹底と、災害時に備えて常時
連絡できる技術者の配置を望む。
3)医療機関への依頼
消防機関と共同で多数の傷病者発生を想定した訓練を定期的に開催し、同時多数来院
時のパニックの中での円滑な受け入れ体制の充実に努めてほしい。
「自ら何ができるか」を考え行動する事が防災関係者に期待されている。
二つの原型に分かれる:
自然科学の時間(客観性)。運動の前と後を表現、なんらかの変化を知覚し
識別する
心の内に存在(主観性)。過去は記憶、現在は直覚、未来は期待、この記憶
や期待によって時間を長く/短くと感じることになる。
2.時間論と災害の関係
災害が発生すると・・・
自然界は急激に短時間で変化=存在の時間に変化が起こる
突然に起こると、生命のリズムが違っていくため、身体を構成する臓器や組
織が急激に障害され、危機状態になる
何が起こったのかわからない、心が不安定
生活動作が維持できないので、外界から必要なものを取り入れることが
できない
生活を自分で維持できなくなり、生命の危機的状況に陥る
3.時間論と災害看護
時間がキーワードとして災害看護の定義を整理すると
災害看護は刻々と変化する状況の中で、被災者に必要とされる医療および看護
の専門知識を提供することにより、その能力を最大限に生かして被災地域・被
災者のために働くこと。
災害看護領域においては災害の種類別や対象者別、災害の特徴など他の看護領
域と違って、また災害時の看護は常に新しい局面に対応するため、時間論と災
害現象との関係を究明し、時間論は災害看護の方法論の根拠につながる。
人間社会では、個人を中心とする人間関係、集団と集団のつながりが重要と
なる。災害は、被災地外からの多くの援助を必要とし、その内容も多様である
ことから、人と人、集団と集団の結びつきやそのパターンは災害への対応に影
響を与えていく。
人間に特有な高次の意識的・社会的行動と考えている理論。災害において
は、個人と異なった組織が協力して活動を展開している。個人と共同体の複合
的な相互関係に焦点を当て、目的を達成するため、災害看護活動の内容、やり
方、内容の再構築などは活動理論によって説明できる。
人間の社会行動の原理をもとに説明され、人と人の間で起こる物質的あるい
は精神的な活動の交換として、多少とも報酬や罰を伴っているものを指す。満
足、不満足という感情的反応は期待する報酬の受容に対しどのように生まれて
くるのか、また、行為の交換から生まれた社会構造を維持するためにどのよう
な行為が生まれてくるのか、社会構造の形成・維持・変化はどうであるかなど
が検討される。
災害は、自分や家族の生命や生活を脅かすような危機的状況をもたらす。現
実的な受け止め、適切な対処行動そして社会的な支持があれば、危機状態から
脱するといわれる。逆にできない場合、危機状態は遷延していく可能性が高
い。
状況対応理論において把握すべき変数は、仕事の特徴と人間の成熟度であ
る。災害の場合、問題解決行動を取るためには、災害時の活動を困難にしてい
る仕事の特徴と人間の成熟度を把握し、状況に対応しながら行動を変化させる
ことができているかを分析する必要がある。
放射線を取り扱う場所、特に汚染管理区域で負傷した被災者の診療依頼の通報を受け
た医療機関は必要な情報を通報してきた相手から聞き出し收集する必要がある。具体
的には以下の7つの情報が必要。
また汚染の拡大を防ぐために被災者を搬送する通路をシートで覆う、温水シャワー
ブースや特殊フィルター付のエアコンが設置されている部屋を処置室として使用する
などの対処が必要である。医療チームには最低でも医師1名、看護師2〜3名、放射線
管理員1名が必要であり、それらの医療要員は放射線学上の測定技術と除染技術につ
いて教育訓練を受けていなければならない。服装は汚染とα線、および大部分のβ線
に対する防護のために手術ガウン、ゴム手袋、マスク、キャップ、ゴム長靴、アラー
ム線量計、ビニール製のエプロンを装着する。
実際に内部汚染を起こした患者を診察、治療する上で留意すべき点として
が挙げられる。これは事故の種類により内部汚染を引き起こす核種は異なり、核種に
よって物理特性・代謝特性および毒性が様々だからである。また内部汚染のルートは
経口的摂取、経気道的摂取、経皮(傷)的摂取の3つである。そのため問題となるのが
吸収速度であり、吸収速度の速いものからF→M→Sと定義されている。この吸収速度
とAPI、さらにリスクとベネフィットを考慮して医療介入方法を決定する必要があ
る。
これらの教訓から、
兵庫県では基幹災害拠点病院として兵庫県災害医療センター
を開設、災害拠点病院の複数の医師を災害医療コーディネーターに指名し、ドクター
カーの24時間運行、救急ヘリの積極的な利用を図るなどのことがなされた。このよう
な背景下で、JR福知山線脱線事故に対する医療対応が行われた。
その結果、
しかしながら、
1、DMATとは
DMAT=Disaster Medical Assistance Team;災害派遣医療チーム
大地震などの災害現場で迅速に救命治療を行えるための専門的な訓練を受けた機動
性を有する災害派遣医療チーム。
2、構成員
医師、看護師、調整員(事務員) などの医療従事者
3、想定される主な任務
災害急性期における被災地域内での情報収集
4、日本におけるDMAT分類とその任務
a)US&R-DMAT
b)NBC response-DMAT
c)広域搬送対応チーム
5、DMAT体制の比較
翌1977年4月には、中央でも東海地震対策がスタートした。静岡の地震対策班は増
員して地震対策課になった。さらに1978年に大規模地震対策特別措置法が施行され
た。以来東海地震対策は様々に展開し、この円滑な執行を図るために財政措置を実施
する地震財特法が施行され、あらゆる面での防災対策が続けられた。
また国土地理院より、東海地域の西部の地殻内でゆっくりとした「事前すべり」が始
まったと思われる現象が報告された。ある研究者は想定震源域で、プレート同士の固
着域の内陸側で応力が集中進んでいる可能性があると指摘している。これは2000年後
半から2001年にかけて顕著になった。その変動の中心は、時間とともに東北方向にや
や拡散しつつある。
「地震」は残難ながら現代科学では回避することができない。その地震がもとになって生む大きな災害を「震災」と呼ぶ。地震防災とは「地震」を「地震」にとどめ、決して「震災」にしないことである。震災をおこさないために、予想される巨大地震にいかに備えるか、それが私たちの課題である。
化学災害発生時の対応・処置について―行政・消防の立場から
(藤原健悟:中毒研究 18: 41-45、2005)【はじめに】
【事故】
【消防の装備】
【毒物災害への対応方針】
【その他】
【おわりに】
災害看護に関連する理論
(酒井明子:黒田 裕子・酒井明子監修、災害看護、東京、メディカ出版、 2004、p.42-49)(1)災害看護に関連する理論
(2)災害看護と時間論
人間の意識から過去と未来は消えてしまう、さらに現在を直覚することがで
きなくなる=意識の時間に変化が起こる(3)災害看護を説明する他の理論
汚染を伴う被災者の救急外来(I)/内部汚染患者の取り扱い(I)
(衣笠達也、鈴木 元:放射線事故研究会会報 1(1): 4-7, 1997)JR福知山線脱線事故の医療対応/体験を共有する
(鵜飼 卓、加藤 寛:エマージェンシー・ケア 18: 806-810, 2005)JR福知山線脱線事故の医療対応
などである。
1)緊急消防援助隊が作られ、災害時の迅速な応援が可能になった
2)災害拠点病院の指定
3)標準トリアージタッグにより、トリアージタッグの共通化
4)広域災害救急医療情報システムの整備により、災害時の病院の状況が他の病院でも
分かるようになった
5)平時の救急ヘリ搬送の普及率増加
6)医療従事者に対する災害医学の教育の施行
7)がれきの下の医療(CSM)の訓練の施行
8)病院前標準外傷処置トレーニング、メディカルコントロールシステムの普及によ
り、救急隊員と医師との意思疎通の向上
9)厚労省における災害救援医療チームの整備予算の計上
などのことがなされた。
i.多数の医療チームが現場へ早期到着し、トリアージ、救急処置などに従事した
ii.分散搬送、転院搬送がまずまずうまく行われた
iii.重傷者のヘリ搬送が多かった(10名)
など、震災時の経験が生かされており、preventable deathの報告もなく、兵庫県災
害医療センターの存在価値が確かめられた。
など、災害医療の課題はまだ多く残されている。体験を共有する〜救助隊のメンタルケア
日本版DMAT体制について
(大友康裕:エマージェンシー・ケア 18: 707-715, 2005)
トリアージや応急治療
被災地域内医療機関の支援
被災地外への航空搬送
→都市検索チーム(US&R=Urban Search & Rescue)に付随する災害派遣医療チーム
→NBC災害時に、警察・消防による現場対応(除染など)が行われる際、医療支援を
提供する医療チーム
(NBC災害=Nuclear(核)・Biological(生物)・Chemical(化学) 災害)
→広域搬送拠点医療施設(Staging Care Unit)の立ち上げ・運営、航空機搭乗など
を行うチーム
アメリカ 台湾 東京 日本 システム 国家システム(National Disaster Medical System) 国家システム
(Central Hazard Mitigation Council-Taiwan) 東京DMAT計画運営検討委員会
命令者 大統領 副総理大臣 東京都知事 参加省庁 厚生省、国防軍、退役軍人省 厚生省、消防、国防軍、運輸省 福祉保健局、東京消防庁、東京都医師会 チーム数 61チーム 13チーム 21病院 200病院 メンバー 35 20 4 5 出動 12〜24時間以内 6〜24時間以内 15分以内 東海・東南海・南海地震―震源域拡大と今後の展開―
(川端信正:予防時報 213号、p.8-13、2003年)■東海地震の経緯
■東海地震 最近の状況
■東海地震震源域の見直しと強化地域の拡大
■東南海・南海地震対策の着手
■東海・東南海・南海地震 今後の展開