タイトレーション titration 参考1
- タイトレーションとは、化学用語で「滴定」の意味である。「中和滴定」など、化学における定量分析法の一
- 医学用語として適切な日本語訳はないが、用量の調節、用量の最適化といった意味合いで一般的に使用されている。
- 薬剤を変更する場合や新たな薬物療法を開始するときに、効果と副作用のバランスを注意深く観察しながらその患者にあった至適用量を決定することをいう。
- 低用量から始めたオピオイドを、除痛するために必要な量まで段階的かつ速やかに増量する。デュロテップパッチのような長時間作用型オピオイドは、タイトレーションが難しいので、ベースライン鎮痛薬として使用する。
- 一般的にオピオイドスイッチングの時にはタイトレーションを行う。
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優先審査制度 ファストトラック Fast Track:FT
→タネズマブ/AAK1阻害剤
- 重篤な疾患を治療し、アンメットメディカルニーズを満たす新薬の開発を促進し、審査を迅速化する制度
- 完治が難しい疾患に対し、高い治療効果が期待できそうな新薬をFDAが優先的に審査する制度
- 新薬の承認審査において、一定の基準を満たす医薬品の審査を優先的に行う制度
- アメリカでは1980年代後半頃から、医薬品の必要度に応じて審査の優先度を変更するようになった。
- 日本では1993年の薬事法改正以降に導入された。
- 日本でファストトラックが適用される製品は、稀少疾病用医薬品(オーファンドラッグ)と医療用具である。
- ファストトラックが適用される場合、国内で治験を開始すると同時に、欧米で承認済みのデータを元にした審査が開始される。ファストトラックを適用することによって、治験の全フェーズを国内で行う必要がなくなり、承認までの期間を非常に短縮できる(最短4ヶ月)というメリットがある。
- 新型コロナワクチンや新型コロナウイルス治療薬などはファストトラックで日本でも承認された。
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ファースト・イン・クラス First-in-class:FIC
→タネズマブ]- 医薬品の中でも特に新規性・有用性の高い医薬品で、従来の治療体系を大幅に変えるような画期的な新医薬品、これまでなかったタイプの独創的新医薬
- 「画期的新薬」の俗称。ピカピカの新薬という言葉が短縮した「ピカ新」の俗称で呼ばれることもある。
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画期的治療薬 Breakthrough therapy:BTD
- アメリカ合衆国の2012年7月9日の法律FDA安全及びイノベーション法の902項を根拠として整備された、アメリカ食品医薬品局 (FDA) の医薬品開発迅速化制度
この「画期的」(Breakthrough)とは、臨床試験において特定の疾患に対する顕著な治療効果が確認できたというわけではなく、重篤あるいは致命的な病気のために、既存の治療選択肢よりも治療上の利益が大きいことを示す予備試験の臨床試験がある場合に、FDAは優先審査認めるということである。
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OTC薬:over the counter drug
患者さんと薬剤師がカウンターを挟んで相談の上、販売される薬。「一般薬」「大衆薬」 |
スイッチOTC薬 switch OTC
医療薬でのみ使用が認められている成分の中で、使用実績があり、比較的副作用が少なく、安全性の高い成分を市販薬にも配合したもの。 |
OTC薬:over the counter drug
患者さんと薬剤師がカウンターを挟んで相談の上、販売される薬。「一般薬」「大衆薬」 |
ジェネリック医薬品、後発医薬品 Generic Drugs、Generics:GE
- 新薬(先発医薬品)の再審査期間、物質(成分)特許期間満了後、新薬と効き目が同等であることを証明する様々な試験、①規格試験(原薬・製剤の品質確保)、②安定性試験(加速・長期保存)、③生物学的同等性試験(溶出試験、ヒトBE試験)を実施し、厚生労働省の承認を得て製造・販売する医薬品
- 新薬(先発医薬品)と同じ有効成分を使っていて、品質、効き目、安全性が同等な薬
- 先発医薬品(新薬)の開発には、9~17年程度の長い期間と数百億円もの投資が必要といわれているが、ジェネリック医薬品の開発には、期間が新薬ほどかからず、費用も少なくすむため、価格を安くすることができる。
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デザイナードラッグ designer drug ←→DREADD
- 現存する薬物の分子構造を組変えたり、同じような機序を目的とした医薬品設計(drug design)を行った向精神薬である。しばしば規制薬物を回避するために行われ、現行法では対処できなくなっている薬物の事を指すこともある。
- デザイナードラッグの本来の目的は、既存の薬物の効果をより高め、副作用などの有害作用を低下させるように薬物の構造を修飾することにあった。
- Sir J. Black(1988 年にノーベル生理学・医学賞を受賞)による交感神経β受容体やヒスタミン H2 受容体の遮断薬はデザイナードラッグである。
- 乱用目的のデザイナードラッグは主に欧米で広まってきたが、最も初期のデザイナードラッグはモルヒネ誘導体である。1874年に初めて合成されたヘロイン(ジアセチルモルヒネ)は、モルヒネのデザイナードラッグであった。
- この用語は元々、1980年代にヘロインに構造が似た数々のフェンタニル系合成オピオイドに言及するため、アメリカ当局が利用し始めたものである。1980~1990年代には、フェンタニル誘導体(α-methylfentanyl、通称チャイナホワイトなど)が米国カリフォルニア州を中心に、ヘロインの代用として乱用され、多くの死者を出した。
- アメリカでこの用語が知名度を得たのは、1980年代中盤のMDMAの流行時であった。覚醒剤のデザイナードラッグである methylenedixoyamphetamine(MDA, ラブドラッグ)や methylenedioxymethamphetamine(MDMA, エクスタシー)が乱用された。この他にも、2000年前後からは、筋肉増強剤としてのアナボリックステロイド類がスポーツドーピングとして見られるようになった。
- トリプタミン系薬物は、5-MeO-DIPTのデザイナードラッグ、フェネチルアミン系の薬物はMDMAのデザイナードラッグ、と評される。2000年頃から、ケミカルな合法ドラッグの流通、使用が日本でも盛んなため、ぞれを指してデザイナードラッグと評価されることが多い。
- 2005 年以降、新規デザイナードラッグの乱用が、ネットを介したグローバル化も伴い多種多様化した。この新規乱用薬物の中に合成カンナビノイドが含まれることになる。
- 1960年から1980年代に化学者のAlexander "Sasha" Theodore Shulgin(1925/6/17〜2014/6/2)が多くのデザイナードラッグを生み出しその合成法や作用について記した著書を出版している。Sashaは2050年までに新たな幻覚剤が2000種類ほど誕生するのではないかと予測している。
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