■治療薬	│アセチルコリン関連│　←→Ach/受容体/関連物質

　→ニコチン受容体関連薬　→ムスカリン受容体関連　→コリンエステラーゼ阻害薬

ニコチン受容体関連薬　←→受容体/関連物質/ニコチン様作用/ムスカリン受容体関連

	作用薬	拮抗薬（遮断薬）
神経節作用薬 中枢作用？	nicotine lobeline tetramethylammonium tebanicline（ABT-594） varenicline	hexamethonium trimethaphan mecamylamine
神経筋接合部位 作用薬 筋弛緩薬	guanidine edrophonium ambenonium carbachol	脱分極性 suxamethonium decamethonium hexafluorenium 非脱分極性 d-tubocurarine gallamine pancuronium vecuronium rocuronium alcuronium


ニコチン受容体作用薬

tebanicline（ABT-594） ニコチン性アセチルコリン受容体の部分作用薬 ヤドクガエル由来のエピバチジンのアナログ 1998年にアルツハイマー病の治療薬を開発していた北シカゴのAbbott Laboratoriesが、開発中の薬（ABT-594）の構造がエピバチジンと似ていることを発見した。 ABT-594はモルヒネよりも強力であるが、副作用は少なかった。 ラットを用いた実験で、急性疼痛、持続性疼痛や神経障害性疼痛などの各種疼痛に対し、モルヒネに比べ数十倍の鎮痛効果を示しながら、薬物依存や禁断症状は観察されず、さらに便秘は起こらなかった。 ABT-594は、ニコチン性受容体のα3β4 とα4β2 サブユニットの両方に結合し、エピバチジン特有の副作用を発現することなく鎮痛作用を示す。 Phase II trials in humans

バレニクリン酒石酸塩 varenicline（Chantix チャンピックス®）　参考1/2 日本初の経口禁煙補助薬 Pfizerが開発した世界初のニコチン受容体パーシャルアゴニストの禁煙補助薬 既存の禁煙補助薬がタバコの代わりにニコチンを補充することによって禁煙に伴う離脱症状を軽減する「ニコチン代替療法」であるのに対し、チャンピックスはニコチンを含まず、脳内のα4β2ニコチン受容体に高い結合親和性をもつパーシャルアゴニストとして禁煙効果を発揮する。 Pfizerが1990年代に基礎研究に着手し、米国では2006年5月に販売を承認され、2006年8月から発売を開始した。2006年9月29 日には欧州での販売も承認された。 日本では2006年6月に厚生労働省へ承認申請し、2008年1月25日に承認を取得した。 「チャンピックスには「作動薬作用」と「拮抗作用」の段階の作用がある。 作動薬作用 α4β2ニコチン受容体に結合し、少量のドーパミンを放出させる。 これにより、禁煙に伴う離脱症状やタバコに対する切望感を軽減させる。 作動薬作用はニコチン代替療法でも同じ。 拮抗作用 α4β2ニコチン受容体に化合物を結合することで、万一、タバコを吸って体内にニコチンが入ってきた場合も、ニコチンの結合を妨ぐ。 α4β2ニコチンを遮断することで、タバコを吸ったときに「おいしい」と感じたり、満足感を得たりすることがなくなる。 拮抗作用がないと、パッチやガムでニコチンを補っていても、タバコを吸った場合にはドパミンが出て、満足感を得る。


ニコチン受容体拮抗薬

ヘキサメトニウム hexamethonium ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬、自律神経節遮断、競合的神経節遮断薬 最初に導入された高血圧治療薬（1952年） 神経筋接合部に作用しない。他に施しようのない高血圧の治療

トリメタファン trimethaphan（カンシル酸トリメタファン trimetaphan camsilate） ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬、自律神経節遮断、競合的神経節遮断薬、降圧薬 神経節遮断薬---節前神経終末から遊離したAchの伝達作用を遮断（交感・副交感） 外科手術時の低血圧維持、異常高血圧の救急処置---持続時間が短いので手術時の出血防止に用いる。低血圧麻酔 禁忌：アレルギー症患者（ヒスタミン遊離作用）

メカミラミン mecamylamine ニコチン性アセチルコリン受容体拮抗薬、自律神経節遮断薬、日本国内未承認 ２級アミンで消化管からの吸収がいいので経口投与 ニコチン依存症（禁煙）の治療に検討されている。

●ニコチン受容体遮断薬
●神経筋接合部位作用薬 Neuromuscular blocking (paralyzing) agent

●末梢性筋弛緩薬 Skeletal muscle relaxant
　←→筋弛緩薬/アセチルコリン/受容体/麻酔薬　←→矢毒クラーレ

□痛みと鎮痛の歴史年表

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全身麻酔4いろいろ クラーレ/筋弛緩薬


→脱分極性筋弛緩薬　→非脱分極性筋弛緩薬　←→筋弛緩回復剤　→コリンエステラーゼ阻害薬


• Daniel Bovet（1907/3/23〜1992/4/8, スイス生まれのイタリア人、パスツール研究所の薬学者、抗ヒスタミン薬の発見、ノーベル医学生理学賞）は1951年に筋弛緩薬を２つに分類していた。

  The lepcurares　→脱分極性筋弛緩薬 　leptos（ギリシャ語） = thin 　薄く、フレキシブルであり、脱分極させる筋弛緩薬

  The pachycurares　→非脱分極性筋弛緩薬 　pachys（ギリシャ語） = thick 　厚く、扱いにくい、非脱分極性で神経筋接合部でのブロック

○脱分極性筋弛緩薬 depolarizing muscle relaxant　←→筋弛緩薬/非脱分極性

• 脱分極性筋弛緩薬は終板膜を脱分極させるが、これらの分解酵素がないために脱分極が持続し、そのため終板に隣接した興奮膜に不活性化が生じて、筋の興奮が生じなくなる。

  スキサメトニウム suxamethonium ＝サクシニルコリン succinylcholine chloride：SCC（サクシン®、レラキシン®） 1906年 Reid HuntとRene de M. Taveauがサクシニシニルコリンを研究していたが、その筋弛緩効果は認識していなかった。 1949年 A. P. Philipsが、サクシニルコリンの筋弛緩作用を発見した。 1955年 本邦でサクシン®の発売開始。 アセチルコリンを2つ合わせた構造をしている。 即効性かつ数分で回復する脱分極性筋弛緩薬。 筋注で使うことのできる筋弛緩薬 ニコチンAch型受容体に結合して脱分極を惹起するが、シナプス間隙のコリンエステラーゼによって分解されないため、受容体に結合したまま再分極を迎える。 作用消失が通常の薬物のように再分布ではなく、血漿中での代謝によって行なわれる点が特徴的である。 数分の後に血漿中のプチリルコリンエステラーゼ（シュードコリンエステラーゼ）によって分解されるので、作用時間は極めて短い。 約1500人に1人の割合で、シュードコリンエステラーゼ活性が低い人がいて、サクシニルコリンなどの薬が不活性化となる場合がある。サクシニルコリンがすみやかに不活性化されないと、筋弛緩が長びき、術後自発呼吸ができるまでの時間が延長する場合がある。 臨床での使用量は減ってきているが、麻酔の導入時の筋弛緩薬としては、依然として有用な薬剤である。 full stomachの挿管時にも利用される。 電気痙攣療法の筋弛緩などにも適応となる。 副作用：サクシニルコリンとハロタンを併用すると悪性高熱症を生じることがある。高熱が出て、筋肉が硬直し、心臓の拍動が早くなり、血圧が下がる。←→ダントロレンナトリウム

○非脱分極性筋弛緩薬 non-depolarizing muscle relaxant　←→筋弛緩薬/脱分極性/筋弛緩回復剤

• 神経筋接合部でアセチルコリンとの競合的阻害により、アセチルコリンの感受性を低下させ、筋弛緩を生じさせる。

  ベンジルイソキノリン系	ツボクラリン/アトラクリウム/シスアトラクリウム/ミバクリウム（日本未発売）
  アミノステロイド系	パンクロニウム/ベクロニウム/ロクロニウム/ラパクロニウム

  
  

  d-ツボクラリン d-tubocurarine、クラーレ（アメリゾール®）　←→クラーレの歴史 アセチルコリン受容体を競合的（compettive）に阻害する非脱分極（＝競合）性筋弛緩薬、長時間作用型 ベンジルイソキノリン型アルカロイド 南米のインディアンが使っていた矢毒クラーレの有効成分、アルカロイド 結合できるアセチルコリン受容体の数を減少させて、終板の電位を下げることによって、活動電位が発生する閾値に達しさせないようにする。 副作用：低血圧とヒスタミン遊離作用。このため喘息には禁忌

  ガラミン gallamine（flaxedi フラクセディル®） 最初に合成された競合的非脱分極筋性筋弛緩薬 1947年 Daniel Bovet（1907/3/23〜1992/4/8, スイス生まれのイタリア人スイス、パスツール研究所の薬学者、抗ヒスタミン薬の発見、ノーベル医学生理学賞）らがクラーレに代わる合成筋弛緩薬としてガラミンを開発した。 1967年 本邦でガラミンが発売された。 1979年 腎不全患者の不適であることが確認され、販売中止 終板のニコチン受容体へのアセチルコリンの結合を競合的に拮抗することにより脱分極を阻害する。その結果、活動電位が発生せず、骨格筋の収縮が抑制される。 コリンエステラーゼ阻害薬の存在下ではシナプスにおけるアセチルコリン濃度が高まるため、ガラミンの筋弛緩薬としての効果は減弱する。 心臓迷走神経に対する副交感神経遮断効果もあるので、頻脈や高血圧を引き起こす。 高用量でヒスタミンの放出を引き起こす。

  臭化パンクロニウム pancuronium bromide（ミオブロック Mioblock®） アミノステロイド系、非脱分極（＝競合）性筋弛緩薬、長時間作用型 1964年 David S. SavageとCollin Hewett（スコットランドのOrganon Labotaries）がパンクロニウムを合成した。 * 1967年 W. L. M. Baird とA. M. Reidが臨床応用した。 作用はツボクラリンの約5倍。 持続時間は長い（約60分）。 ヒスタミン遊離作用は持たない。 腎からの排泄が主であるため、腎不全では作用が遅延する。 副交感神経遮断作用のため頻脈を起こす。

  臭化ベクロニウム vecuronium bromide（マスキュラックス Musculax®） アミノステロイド系、非脱分極（＝競合）性筋弛緩薬、中間作用型 1973年 Roger Buckett（Organon Labotaries）らが開発した。 1980年 Agastonらが臨床応用した。 1988年 オルガノン社（N.V. Organon、現在はシェリング・プラウ社の傘下）が本邦で認可を受け、8月から販売を開始した。 作用はツボクラリンの約8倍、ツボクラリンと異なり、ヒスタミン遊離作用を持たない。 持続時間はパンクロニウムよりも短い（約20〜30分）。 ベクロニウムは、その 1 回投与量を増やしても効果発現までに比較的長い時間（2〜3分）が必要であるため、特に短時間での処置が必要となる緊急時の気管挿管においては、作用発現時間の短いサクシニコルコリンを使用していた。 パンクロニウムより副作用が少ないので、肝機能が正常な人の通常の麻酔ではできればベクロニウムを使用される。しかし肝障害患者では頻回投与で持続時間が極端に延長することがある。閉塞性肝胆道系疾患患者ではその排泄が極端に延長することがある．腎不全患者でも半減期が延長するため、注意する必要がある。 肝に取り込まれ、胆汁中に排泄される。蓄積作用があまり認められないが、数日にわたる投与では代謝産物が蓄積し、遷延性ブロックを起こすことが報告されている。 心血管系に及ぼす影響はほとんど認められない。 胎盤通過は少なく、産科麻酔にも安全に使用できる。 重症筋無力症や筋無力症候群の患者への使用が禁忌である。

  ロクロニウム臭化物 rocuronium bromide（エスラックス Eslax®）　→参考1/2 アミノステロイド系、非脱分極（＝競合）性筋弛緩薬、中間作用型 1994年 英国、オランダ、米国で発売されて以降、2007年6月までに世界80カ国以上で承認されていた。 2007年 オルガノン社（N.V. Organon、現在はシェリング・プラウ社の傘下）が7月31日に本邦で製造承認を取得し、10月から販売開始した。 ベクロニウムの誘導体：ベクロニウムのステロイド骨格のA環のアセチル基を除去し、また4級アンモニウム基のメチル基をアリル基に換えた化学構造を持つ。 作用持続時間は20〜40分。作用発現時間が短いため、気管挿管をスムーズに行うことができ、低酸素血症や誤嚥などのリスク軽減が期待できる。 反復投与しても蓄積性がなく、作用持続時間の延長が見られない。 作用持続時間はベクロニウムに近似して中等度で、用量依存性に延長する。 作用発現時間はベクロニウムよりも短い（0.6mg/kg投与で84.8秒）ことが最大の特徴である。サクシニコルコリンよりは遅い？ ロクロニウムは主に肝臓で取り込まれ、ほとんどが代謝されないまま胆汁中に排泄される。腎からは20から30%程度しか排泄されない。一部は代謝されるが、代謝産物には筋弛緩作用はほとんどない。したがって、腎機能には大きな影響を受けないが、肝不全患者では筋弛緩作用の遷延、回復の延長が起こることが報告されている。 重症筋無力症や筋無力症候群の患者への使用が禁忌である。 アナフィラキシーおよびアナフィラキシー様反応、遷延性呼吸抑制、横紋筋融解症といった重大な副作用にも注意が必要である。 血管痛を引き起こすことが報告されている。 ロクロニウムの拮抗薬→スガマデックス

  
  
• 脱分極性の薬剤は、脱分極に伴う筋収縮により術後筋肉痛、高カリウム血症、眼内圧上昇、脳圧上昇、胃内圧上昇等の副作用が多く、悪性高熱症の発現も報告されている。
• 非脱分極性筋弛緩薬の拮抗には、これまでコリンエステラーゼ阻害薬が使われてきたが、副作用の少ない特異的拮抗薬に期待が持たれている。
  
  

  Priming Principle Primingとは銃などに弾をこめるという意味。 非脱分極性筋弛緩薬の作用発現を早くするための方法。 非脱分極性筋弛緩薬の少量を投与しておき、３〜５分後に通常使用量を投与すると、１〜２分後に筋弛緩が得られ挿管可能となる。 ベクロニウムを使用することが多い。 Priming dose で複視や脱力、呼吸困難を訴える人がいるので、priming dose 投与後の観察を怠らないこと。

  Precurarization スキサメトニウムの使用に伴う fasciculation を防止するために、少量の非脱分極性筋弛緩薬を先に投与し、３〜５分後にスキサメトニウムを投与する方法。

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筋弛緩回復剤　←→筋弛緩薬

Org 25969： スガマデクスナトリウム sugammadex sodium, modified γ-cyclodextrin （ブリディオン BRIDION®）　参考1 世界初の選択的弛緩薬結合剤（selective relaxant binding agent）：SRBA 環状オリゴ糖のガンマ‐シクロデキストリン誘導体 オルガノン社（N.V. Organon→旧Schering-Plough Corporation→現：Merck & Co., Inc., Whitehouse Station, N.J., U.S.A）が創製し、2009年9月時点で、世界35カ国以上において承認を取得していた。 日本ではシェリング・プラウ株式会社が2010年1月20日に、筋弛緩回復剤「ブリディオン®静注200mg / 500mg」の承認を取得し、4月19日に発売した。 スガマデクスはグルコース８個が環状に結合したγシクロデキストリンで、この中央空洞部分にロクロニウムを包接して錯体となり、ロクロニウムを失活させる。 非脱分極性筋弛緩薬のロクロニウム／ベクロニウムを選択的に直接包接（encapsulation）して筋弛緩作用を不活化する。 自発呼吸の回復を待たずに、深い筋弛緩状態からも速やかに回復することが可能。また、コリン作動性神経系への影響もない全く新しい薬剤で、既存製品とは異なる革新的な筋弛緩剤の回復剤 従来筋弛緩からの回復には、コリンエステラーゼ阻害薬のネオスチグミンメチル硫酸塩と、ムスカリン性アセチルコリン受容体遮断薬のアトロピン硫酸塩を混合した静注製剤（アトワゴリバース）が使用されていた。 アミノステロイド系筋弛緩薬に有効で、特にロクロニウムに対する特異性が高くなっている。 ロクロニウム分子との間に１: １のホスト-ゲスト複合体を形成し、筋弛緩に拮抗するという点で本来の特異的拮抗薬といえる。 用量依存性で、従来のコリンエステラーゼ阻害薬による拮抗に比べて作用は2分程度と大変早く、また深い筋弛緩状態にあっても確実にリバースが可能である。 その拮抗作用は迅速かつ確実で、ロクロニウム投与直後の深部遮断時にも1〜2分で完全拮抗が可能である。 残存神経筋遮断（residual neuromuscular blockade）や再クラーレ化（recurarization）の発生も防止できるので、術後の呼吸器系合併症を減らすことが可能と考えられる。 コリンエステラーゼ阻害薬による拮抗とは異なり、神経伝達物質としてのアセチルコリンを増加させないため、ムスカリン作用に対する対策や注意を必要とせず、アトロピンの併用も不要。

→ネオスチグミン---抗コリン作用薬

ネオスチグミンメチル硫酸塩 アトロピン硫酸塩水和物 Neostigmine Methylsulfate Atropine Sulfate Hydrate （アトワゴリバース静注シリンジ AtvagoReverse Intravenous Injection）　参考1 コリンエステラーゼ阻害薬（間接型副交感神経興奮剤）＋抗コリン作用薬（ムスカリン性アセチルコリン受容体遮断薬） テルモ株式会社は、副交感神経興奮剤「アトワゴリバース静注シリンジ3mL」、「アトワゴリバース静注シリンジ6mL」を2008年7月16日に製造承認を取得し、10月1日より全国の医療機関向けに新発売した。 ネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩をあらかじめ2：1に配合したプレフィルドシリンジ製剤 適応：非脱分極性筋弛緩薬の作用の拮抗 ネオスチグミンとアトロピンは、手術中に残存する非脱分極性筋弛緩薬の作用を減弱し、患者の自発呼吸を速やかに回復させ、かつ副作用を抑えるために混合して使用される。 『麻酔薬および麻酔関連薬使用ガイドライン』（日本麻酔科学会）など国内外のガイドラインでは、ネオスチグミンとアトロピンの2薬剤を2：1の割合で混和して使用する方法が、患者の脈拍数の変動が少ない投与方法として推奨されている。 この2剤の混和調整時に小用量のアンプル製剤数本を混合する必要があり、この際、菌や異物が混入したり、混合ミスを起こすリスクがあることなどが指摘されていた。こうしたことから日本麻酔学会は、2005年に「医療過誤を防止する観点からネオスチグミンとアトロピンをあらかじめ混合した製剤が必要」とする要望書を厚生労働省に提出し、これを受けて、メーカーは「医学・薬学上の公知」として今回の混合性剤の承認申請を行い、厚生労働省も混合製剤の有用性や安全性については、コンセンサスが得られ、かつ必要なものであるとして、新たな臨床試験は行われることなく、承認に至った。 自発呼吸を速やかに回復させ、かつ副作用を抑えるために混合して使用される。

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ムスカリン受容体関連薬
　←→受容体/関連物質/ムスカリン様作用/抗コリン作用/ニコチン受容体関連薬

		作用	副作用
コリン作用薬 ＝副交感神経興奮薬 ＝副交感神経刺激薬	carbachol pilocarpine セビメリン （muscarine）	ムスカリン様作用 ニコチン様作用
抗コリン作用薬 ＝副交感神経遮断薬 ＝ムスカリン受容体拮抗薬 ＝抗ムスカリン作用薬	atropine hyoscyamine scopolamine glycopyrrolate 他→	鎮痙薬 パーキンソン症候群治療薬 点眼薬・緑内障の治療 呼吸器疾患 抗胃潰瘍薬 便秘・尿閉の治療	抗コリン作用
M1受容体遮断薬	ピレンゼピン
M2受容体遮断薬	AF-DX116
M3受容体遮断薬	4-DAMP




コリンエステラーゼ阻害薬	physostigmine neostigmine donepezil	緑内障・重症筋無力症の治療 アルツハイマー病治療薬
コリンエステラーゼ再賦活薬	PAM	有機リン中毒
アセチルコリンの放出阻害		ボツリヌス療法

●コリン作動薬 cholinergic drugs
　副交感神経興奮薬 parasympathetic drugs, parasympathetic agonists, parasympathicomimetic drugs

┏→直接型副交感神経興奮薬
┗→間接型副交感神経興奮薬---コリンエステラーゼ阻害薬

　直接型副交感神経興奮薬　←→コリン作動性アルカロイド

塩酸ピロカルピン　→ピロカルピン＜アルカロイド 日本において塩酸ピロカルピン（サラジェン®）：2005 年に発売され、2007年に口腔乾燥症状改善薬の保険適用となった。

カルバコール carbachol 合成コリンエステル剤。 アセチルコリンのアセチル基をカルバモイル基と置換して作る。 副交感神経作動薬。atropineにより拮抗される。 カルバコールにはムスカリン様作用だけでなく、ニコチン様作用がある。 コリンエステラーゼで加水分解されにくいため、作用の持続時間がコリンエステル類の中で最も長い。 縮瞳薬 Miotics：副交感神経を興奮させ、瞳孔括約筋の収縮により縮瞳させる。緑内障、診断または治療のために縮瞳が必要なときに点眼。 馬の疝痛、牛の第一胃アトニーなどにおいて消化管運動を亢進することを目的として使用される。

塩酸セビメリン水和物 cevimeline hydrochloride hydrate（サリグレン®、エボザック®） 2001年9月に発売されたムスカリン受容体の作用薬 雪印乳業株式会社と日本化薬株式会社が共同で開発した。 最初はAF102Bと名づけられ、Alzheimer 病の治療薬としての効果が期待され、開発が進められた。 その後、唾液分泌の持続的な促進作用が見つけられ、その名もSNI-2011 と代えて研究が進められている。 口腔乾燥症、シェーグレン症候群の改善薬 唾液腺のM3受容体を選択的に刺激して持続的に唾液分泌を促進させる。 キヌクリジン環を基本構造とする新規な誘導体 脳においてはM1受容体に作用し、唾液腺においては M3ムスカリン受容体に作用する。 副作用：消化器症状や 発汗など 抗コリン作用のある、抗うつ剤（アミトリプチリン）との併用により、塩酸セビメリンの薬効が低下するので、抗うつ薬と併用する場合には抗コリン作用の弱い他の抗うつ薬に変更することが望ましい。

●抗コリン薬 anticholinergics, anticholinergic drugs
（ムスカリン受容体拮抗薬、抗ムスカリン薬 antimuscarinic agent）
　副交感神経遮断薬　←→アセチルコリン/受容体

• 副交感神経節後線維支配効果器官のムスカリン受容体を競合的に遮断して、その活性化を阻害する拮抗阻害する。
  
  ┏パーキンソン症候群治療薬
  ┣鎮痙薬・↓（消化性潰瘍、向神経性鎮痙薬）
  ┣麻酔前投与（エ一テルなどの気道分泌抑制）
  ┣散瞳薬
  ┗有機リン系化合物による中毒
  
  

  末梢作用	眼：散瞳（瞳孔括約筋の弛緩）、眼内圧上昇、遠視性調節麻（毛様体筋収縮抑制） 腺分泌：胃酸、気管支、汗腺などの分泌を抑制。唾液腺の分泌抑制により口渇。 平滑筋：胃腸管の緊張低下と運動抑制により鎮痙作用。気管支、胆のう収縮の抑制 循環器：心拍数の増加（頻脈）
  中枢作用	アトロピン：多量で中枢興奮作用、大脳運動領の興奮 スコポラミン：比較的少量で鎮静、運動領を強く抑制する
  副作用	副作用となる抗コリン作用 anticholinergic function 副交感神経終末に対する作用だけを指す。 アトロピン様作用　←→ムスカリン様作用（ムスカリン） 副交感神経遮断作用 口渇 散瞳（による羞明）、眼圧上昇、調節障害（かすみ目） 顔面紅潮 悪心、胃部不快感、食欲不振 便秘 排尿困難 血圧上昇、頻脈 中枢症状 眠気 目眩い 立ちくらみ 第3級アミン抗ムスカリン作用薬では中枢性副作用が現れることがある。 特に小児では、点眼薬が鼻粘膜から吸収され、副交感制服作用に加えて中枢性副作用が起こる場合があるので要注意。 副作用の出る薬 慢性痛の治療に使われる3環系抗うつ薬も、抗コリン作用を持っている。 （amitriptyline、imipramineなど） 抗うつ薬のほかに、抗精神病薬や抗不整脈薬にみられる副作用でもある。 抗ヒスタミン薬
  禁忌	抗コリン作用薬は一般にかなり毒性が強いので、高齢者の使用には注意が必要である。 消化管、尿路ともに器質性閉塞がある場合は禁忌である。 重篤な心疾患や麻痺性イレウスでも使用は禁忌。 鎮痙薬は緑内障や前立腺肥大などの病気を悪化させることがある。 緑内障では眼圧が高まり症状を悪化させる。 高度の前立腺肥大症では排尿障害が増強する。

○抗コリン作用によるパーキンソン症候群治療薬　←→パーキンソン症候群

• パーキンソン症候群の振戦や筋固縮などの症状に、抗コリン薬（抗ムスカリン薬）が有効であるものがある。
• L-DOPAによるドーパミン補充療法が確立される以前約半世紀にわたって、中枢性コリン作用薬が使用されていた。
• 重症パーキンソン症候群には著明な効果を示さず、補助的な役割となる。初期治療、軽症パーキンソン病には広く使用され、薬物性パーキンソン症候群にはなくれはならない薬である。

  塩酸トリヘキシフェニルジル Trihexyphenidyl （アーテン®） パーキンソン症候群治療薬 第3級アミン化合物 線条体のアセチルコリン受容体の働きを抑えて、ドーパミンとアセチルコリンのバランスをよくする。 副交感神経を遮断して、パーキンソン症候群によって起こっている、手のふるえ・筋肉がこわばって動かなくなるなどの症状を和らげる。また、発汗・よだれ・不安・いらだちなどを抑えます。 中枢性抗コリン作用によって線条体アセチルコリン神経の機能を抑制する。その結果、パーキンソン病に特徴的な振戦・筋硬直などを改善する。 抗精神病薬の副作用である錐体外路症状を抑制するためには抗精神病薬と併用される。

  塩酸ビペリデン biperiden hydrochloride（アキネトン Akineton®、タスモリン®、ビカモール®） パーキンソン症候群治療薬 抗コリン作用によってパーキンソン病様症状（錐体外路症状）を改善する。

  ヒベンズ酸プロフェナミン profenamine hibenzate（パーキン®） パーキンソン症候群治療薬 線条体のアセチルコリン受容体の働きを抑えて、ドーパミンとアセチルコリンのバランスをよくする。

• 副作用----抗コリン作用

○平滑筋弛緩薬 smooth muscle relaxants
　＝鎮痙薬 antispasmodic agent　←→　腹痛/spasm/筋弛緩薬

• 鎮痙薬という呼称は、最近あまり使用されず、平滑筋弛緩薬 smooth muscle relaxants とも呼ばれる。
• 平滑筋、特に消化管平滑筋の痙縮を抑制する薬物。
• 腸など内臓のけいれん性の痛みをおさえる。そのほか、血管を広げ、血流をよくする作用がある。
• 胃炎、胆管炎、胆石などによる腹痛に用いられます。また、血管を広げ、血流をよくする目的で使用される。
• 鎮痙薬には、抗コリン作用薬、交感神経の作用を高める薬および平滑筋に直接作用して弛緩させる薬が含まれる。
  
  

  向神経性鎮痙薬 neurotropic 　antispasmodics	平滑筋を支配する自律神経あるいはその受容体に働く鎮痙薬 抗コリン作用薬 アトロピン/スコポラミン/臭化ブチルスコポラミン/メトスコポラミン/ホマトロピンメチルブロミド 交感神経作用薬 フロプロピオン＝COMT阻害薬
  向筋肉性鎮痙薬 myotropic 　antispasmodics	平滑筋に直接作用して痙縮を抑制する鎮痙薬 -パパベリン キサンチン誘導体

  
  

  ○抗コリン作用薬のある平滑筋弛緩薬（鎮痙薬） 向神経性鎮痙薬-抗コリン作用薬 管腔臓器の急激な収縮を引き起こす副交感神経を抑制する。 天然アルカロイド、合成3級アミン型鎮痙薬、合成4級アンモニウム型鎮痙薬に大別される。 →ベラドンナアルカロイド 天然アルカロイドとしての鎮痙薬 アトロピン atropine 化学式 C17H23NO3、分子量 289.37 天然アルカロイド、ベラドンナアルカロイド ラセミ体であり、L体（左旋性）はヒヨスチアミン 合成3級アミン型、トロパンアルカロイド（トロパン骨格を持ったアルカロイド） ムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬 アセチルコリン受容体を競合的に阻害することによる抗コリン作用を有する薬物 医薬品としては硫酸アトロピンとして用いられる。 1831年 Mein（ドイツの薬剤師）がAtropa belladonna（和名は西洋キチガイナスビ）の根からアトロピンの結晶を抽出した。同年 Philipp Lounz Geiger（1785〜1836, ハイデルベルグの化学者）とHenri Hess（1802〜1850, Geigerの弟子）もMeinの発見を確認し、純粋なアトロピンを単離した。 1833年 Friedrich Ferdinand Runge（P 1795/2/8〜1867/3/25, ドイツの分析化学者、コーヒー好き）がアトロピンの散瞳効果 mydriatic effectsを研究した。 　年 シーボルトがアトロピンを日本に紹介した。シーボルトはアトロピンとベラドンナを点眼薬として使用していた。日本ではハシリドコロの根（ロートコン、ナス科）が同じ目的で使用されるが、Philipp Franz Balthasar von Siebold（シーボルト P 1796/2/17〜1866/10/18, 出島に来たドイツの医師・博物学者）はロートコンをベラドンナと誤って同定したとされている。 1901年 Richard Willstätter（ドイツの化学者）がアトロピンを合成した。 注射液 胃・十二指腸潰瘍における分泌ならびに運動亢進---向神経性鎮痙作用 胃腸の痙攣性疼痛，胆管・尿管の疝痛、痙攣性便秘 迷走神経性徐脈及び迷走神経性房室ブロック、その他の徐脈・房室ブロック 麻酔前投薬、ECTの前投与 有機リン（殺虫剤や農薬、サリン）などの副交感神経興奮剤中毒 重症筋無力症の治療におけるコリン作動性クリーゼ アトワゴリバース静注シリンジ：ネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩をあらかじめ2：1に配合したプレフィルドシリンジ製剤：アトロピンはネオスチグミン使用によるムスカリン作用を抑制するために配合されている。 点眼液 診断又は治療を目的とする散瞳と調節麻痺 血液脳関門通過するので、大量投与で中枢作用を示す。 アトロピン中毒：強い副交感神経遮断作用 ---中枢症状・循環不全・呼吸麻痺（気管支拡張作用） ---フィゾスチグミン（コリンエステラーゼ阻害薬）で治療 ヒヨスチアミン hyoscyamine ロート根、ベラドンナ根、ダツラ、ヒヨスの主ベラドンナアルカロイド、トロパンアルカロイド (Tropane Alkaloid) ラセミ体であるアトロピンのL体（左旋性） 抽出後、容易にラセミ化してアトロピンに変わるので、アトロピンとも呼ばれる ムスカリン性アセチルコリン受容体拮抗薬 抗コリン作用薬（副交感神経遮断薬）で散瞳、鎮痙、鎮痛、潰瘍治療薬として広く使われている。 昔は麻酔としても用いられていた。 スコポラミン scopolamine ヒヨス、チョウセンアサガオなどから得られるベラドンナアルカロイド、３級アミン アトロピンよりも血液脳関門を通過しやすくので、治療量で中枢作用が現れる。 中枢神経系に対する作用は、アトロピンが興奮作用を呈するのに対して、スコポラミンは末梢作用発現の用量で軽度の中枢抑制作用がみられ、眠気、無感動、健忘、催眠等を起こす。 麻薬の禁断症状などや鎮痙薬として用いる。 パーキンソン症候群にも有効。 無痛分娩に麻薬性鎮痛薬と併用する。 散瞳の目的で点眼する。 鎮静効果や唾液分泌抑制効果を現す。 臭化ブチルスコポラミン scopolamine butylbromide, N-butylscopolamine（ブスコパン Buscopan®） 4級アンモニウム型鎮痙薬 臭化ブチルスコポラミンなどの4級アンモニウム型鎮痙薬は、3級アミンをさらにアルキル化した鎮痙薬である。 抗ムスカリン作用が増大し、自律神経節遮断作用を示す。 内服ではほとんど吸収されず、血液脳関門を通過しにくいので中枢作用はほとんどない。 注射した場合の副作用は自律神経節遮断作用によるものである。 副交感神経節遮断作用による尿閉、口渇、散瞳、目の遠近調節傷害と、交感神経遮断作用による徐脈、血圧降下である。 （ブスコパンの名前の由来：Buscopanの主成分、N-butylscopolamineの下線部を組み合わせて、ブスコパンBuscopanと命名された。） メトスコポラミン 鎮痙薬 メトスコポラミンは、アトロピンよりも作用が弱く、ほとんど吸収されないが、作用時間が長く、通常の経口投与で6〜8時間続く。 主に胃腸管の痙攣に用いられる。 ホマトロピンメチルブロミド homatropine methylbromide 鎮痙薬 ホマトロピンメチルブロミドの抗ムスカリン活性はアトロピンより弱いが、自律神経節遮断薬としては約4倍強い。 胃腸管の痙攣の寛解に他の薬剤と併用する。 抗コリン作用薬は一般にかなり毒性が強いので、高齢者の使用には注意が必要である。消化管、尿路ともに器質性閉塞がある場合は禁忌である。 グリコピロラート glycopyrrolate 日本で販売されていないムスカリン受容体拮抗薬 麻酔の分野ではアトロピンにかわって使われることもある抗コリン薬 頻脈になりにくい、より強い分泌物抑制効果がある、BBBを通過しないのでアトロピンよりも麻酔後の記憶障害が少ない。 米国「MGH麻酔の手引き」によると、MGHのルーチン：Neostigmine 3mgとGlucopyrrolate 0.6mgの混合　参考1 glycopyrrolate Cream：多汗症に有効 副作用----抗コリン作用

  ○平滑筋に直接作用して弛緩させる鎮痙薬 　→パパベリン/キサンチン誘導体 平滑筋に直接作用して、鎮痙作用を示す。 ホスホジエスエラーゼを阻害しcAMP量を上昇させ、Ca2＋流出を促進して平滑筋を弛緩させる。 フラボキセート・ヒドロクロリドおよびオキシブチニンクロリドなどの合成3級アミンは、平滑筋に対して非特異的な弛緩効果を示し、胃腸管、胆管、尿管や子宮の痙攣を減少させる。 特に泌尿器系の障害に使われる。 Ca2＋チャネル遮断薬のニフェジピンはOddi括約筋を弛緩させる。 パパベリン papaverine アヘン中に0.5〜3％含まれるベンジルイソキノリン型アルカロイドであるが、中枢作用はほとんどない。合成可能である。 1848年 Georg Merck（P 1815〜1888, ドイツ→アメリカの化学者）が、生のアヘンからパパベリンを単離した。 1883年 Guido Goldschmiedt (1883〜1889, アルカロイドの研究者）らが、パパベリンの構造を決定した。 1907年 David Macht (米国 Johns Hopkinsの薬理学者）がパパベリンの平滑筋作用を発見した。 モルヒネと異なり非麻薬性であり、鎮痛、麻酔、耽溺性等の中枢作用は全て認められない。 向筋肉性鎮痙薬として用いられる。消化管、胆道などの痙縮を抑制する（疝痛を除く）。 パパベリンの平滑筋弛緩作用は筋に対する直接作用であるが、詳細な作用機序は不明である。 抗不整脈作用：伝導を抑制し不応期を延長するキニジン様の抗不整脈作用を持つ。 ホスホジエステラーゼを阻害してcAMPの分解を阻止して平滑筋細胞内のcAMP量を増やして筋を弛緩させる。 添付文書中に慎重投与として緑内障(眼圧上昇により悪化）の記載がされているが、抗コリン作用があるとする報告は見られない 中毒症状は悪心・嘔吐、口渇、頭痛、排尿障害、心悸亢進、呼吸障害。 伝導を抑制し不応期を延長するキニジン様の抗不整脈作用を持つ。 　→キサンチン誘導体 xanthine derivatives カフェイン、テオブロミン、テオフィリンなどのキサンチン誘導体には平滑筋弛緩作用がある。 平滑筋弛緩作用：テオフィリン＞テオブロミン＞カフェイン 平滑筋作用は消化管では僅かである。 臨床的には気管支喘息に用いられる。

  ○平滑筋を支配する自律神経あるいはその受容体に働く鎮痙薬 向神経性鎮痙薬 neurotropic antispasmodics 　→アトロピン

  
  

  M1受容体遮断薬 ピレンゼピン pirenzepine（ガストロゼピン®） M1受容体選択的遮断薬 ３級アミン、三環系の化学構造　 胃十二指腸潰瘍治療薬、胃炎の治療薬 胃液分泌を抑制するため胃酸抑制薬としても使用される。　←→H2-blocker 胃酸抑制作用は壁細胞のM3受容体の抑制に由来する可能性がある？？？ 抗コリン薬のような消化管運動抑制作用はほとんどない。 瞳孔散大や口渇などの副作用は比較的弱い。 血液脳関門を通過しないので、中枢作用がない。 2004年にベーリンガーインゲルハイムがガストロゼピン®を発売中止したのは、ガストロゼピンの包装工程中にアンプル頭部にひび割れが生じている製品が見つかったため

●コリンエステラーゼ阻害薬 cholinesterase inhibitor、anticholinesterase drugs
　←→コリンエステラーゼ/アセチルコリン/受容体/関連物質

• 間接型副交感神経興奮薬　←→直接型副交感神経興奮薬
• コリンエステラーゼ阻害によりシナプス間隙でアセチルコリンの分解を抑制し、シナプス間隙のアセチルコリン濃度を高める。
• 副交感神経支配器官のムスカリン受容体を間接的に興奮させる。
• 同様に自律神経節、神経筋接合部におけるコリンエステラーゼも阻害し、興奮作用を示す。

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• 非脱分極性筋弛緩薬の拮抗にはコリンエステラーゼ阻害薬が使われてきた。
• コリンエステラーゼ阻害薬は神経筋接合部でのアセチルコリンを増加させて、アセチルコリン受容体で筋弛緩薬との競合的作用により筋弛緩薬の作用を拮抗させるが、副交感神経症状が副作用として出現する。
• 脳脊髄関門を通過して中枢神経に作用すると神経症状を起こす可能性がある。

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• 緑内障・重症筋無力症の治療
  

  フィゾスチグミン physostigmine（医薬）　←→エゼリン eserin（毒） 天然可逆的コリンエステラーゼ阻害薬 カラバル豆 Calabar bean, Esere nut（学名：Semen Physostigmatis、西部アフリカ産マメ科）に含まれるインドールアルカロイド 天然産の3級アミン化合物、カルバメート基を有するトリプタミン誘導体 コリンエステラーゼのエステル水解部（セリン残基のOH）をカルバモイル化（アシル化）し、コリンエステラーゼ活性を低下させる。そのためAChが蓄積し、間接的に副交感神経を興奮させる。 筋終板でのAChの分解を遅延させ、骨格筋収縮作用を現すが、骨格筋のニコチン受容体を直接刺激する作用は持たない。 血液脳関門を通過し中枢興奮作用を示す。 中枢神経系へ移行して作用し、不安感、恐怖心等を生じる。 強い副交感神経興奮作用を示す結果、縮瞳、骨格筋収縮、胃腸運動や分泌の亢進などの作用を示すので、重症筋無力症、緑内障調節麻痺、腸麻痺などに用いられる。 点眼で緑内障に有効（しかし、臨床応用はしない）。 1864年 J. Jobst とO. Hesse（ドイツのStuttgart）がカラバル豆の主要成分のフィゾスチグミンを単離した。翌年結晶として抽出され、eserineと命名した。 1875年 Ludwig Laqueur（1839/7/25〜1909/4/20, ドイツStrassburgの眼科医）がフィゾスチグミンが眼内圧力を下げると考え、緑内障治療に用いた。 1894年 フレデリック・ジョリイがフィゾスチグミンや筋力を緊張させる作用のある薬物が筋無力症の治療に役立つと示唆した 1906年 アンダーソンはフィゾスチグミンが局部神経遮断後も瞳孔を収縮させ、神経を退化させるとその作用が消失する。 1934年 Mary Broadfoot Walker（1896〜1974）はクラーレで処置した実験動物と重症筋無力症の患者との間の類似性に着目して、ある重症筋無力症 myasthenia gravis患者にフィゾスチグミンを投与してその治療効果を観察した。そして臨床的に観察される筋肉の虚弱化は神経筋遮断により引き起こされることが一般に受け入れられた。この考えは重症筋無力症患者のツボクラリンに対する高感受性（これは診断基準として使用できる）により裏付けられた。 1935年 Percy Lavon Julian（1899〜1975, African-American chemist）とJosef Piklがフィゾスチグミンを合成した。

  ネオスチグミン neostigmine（ワゴスチグミン®） カルバメート系の合成可逆的コリンエステラーゼ阻害薬 1932年に合成された。 半合成の4級アンモニウム化合物 血液脳関門は通過し難く、中枢神経系へは移行しない。 消化管、神経筋接合部でのChE阻害作用に強い選択性を示す。 骨格筋のニコチン受容体にも直接作用する。 重症筋無力症、ツボクラリンによる呼吸抑制手術 分娩後の腸管麻痺、排尿困難（膀胱麻痺）、弛緩性便秘症 非脱分極性筋弛緩薬の拮抗薬としても用いられるが、天井効果がある。　←→筋弛緩回復剤 ネオスチグミンメチル硫酸塩とアトロピン硫酸塩をあらかじめ2：1に配合したプレフィルドシリンジ製剤が販売されている。→アトワゴリバース静注シリンジ

  塩酸ドネペジル Donepezil Hydrochloride（アリセプト、Aricept®） ピペリジン系のコリンエステラーゼ阻害薬（可逆性） アルツハイマー型認知症治療薬 エーザイの杉本八郎らが開発し、1999年の発売された。海外市場ではファイザー製薬との提携により、販売されている。 従来のアセチルコリンエステラーゼとは全く化学構造が異なる。 脊髄レベルでムスカリン受容体を介した鎮痛作用を引き起こすことが動物実験で報告された。

  アコチアミド塩酸塩水和物 Acotiamide Hydrochloride Hydrate（アコファイドt®） 世界で初めて機能性ディスペプシア：FDの適応を取得した消化管運動機能改善薬である。 2013年3月25日、機能性ディスぺプシア治療薬のアコチアミド塩酸塩水和物（商品名：アコファイド錠100mg）が製造承認を取得した（ゼリア新薬）。 アセチルコリンエステラーゼ（AChE）を阻害することで、コリン作動性神経終末から遊離させるアセチルコリン（ACh）の分解を抑制し、胃前庭部及び胃体部におけるAChによる収縮や運動を増強させる。 酸分泌抑制薬

  有機リン化合物 非可逆的コリンエステラーゼ阻害 農薬・神経ガス（サリン sarin） 中毒：縮瞳・発汗・悪心・呼吸困難（気管支痙攣） 治療にはアトロピン、コリンエステラーゼ再賦活薬（プラリドキシム pralidoxime：PAM) パラチオン 生体内で酸化され、活性型のパラオクソンとなってコリンエステラーゼのエステル部位をリン酸化し、非可逆的に阻害する。 メチルパラチオンは極めて有毒な有機リン殺虫剤。 中毒症状はフィゾスチグミンの効果に類似する。 イソフルロフェート（DFP） コリンエステラーゼのエステル部位をリン酸化し、非可逆的に コリンエステラーゼ阻害を起こす。 強力で持続的である。 眼内圧を低下させる。 エコチオパート 水溶性で安定。 強力で持続的な縮瞳、眼内圧低下を起こす。 緑内障、縮瞳薬 副作用：白内障、虹彩炎 サリン、タブン、ソマン コリンエステラーゼを不可逆に阻害

  
  

  コリン作動性クリーゼ cholinergic　crisis コリンエステラーゼ阻害薬による治療中におこる呼吸困難を伴うアセチルコリン過剰症状の急激な悪化とされ、人工呼吸を要する状態と説明されている。 クリーゼの発現を予防するためには、その初期症状である消化器症状、腺分泌亢進などのなどのムスカリン作用が発現した時点でコリンエステラーゼ阻害薬（塩化アンベノニウム、臭化ジスチグミン、臭化ピリドスチグミン、ネオスチグミン）の内服を中止し、直ちに主治医を受診するように指導を行う必要がある。 初期症状が継続、あるいは増悪する場合、呼吸困難を認めた場合は、きわめて緊急を要する状態なので、直ちに救急処置を行える病院に受診するように指導する。 コリンエステラーゼ阻害薬を重症筋無力症の治療に用いている場合、筋無力症の増悪による筋無力性クリーゼとコリン作動性クリーゼが類似の症状を呈することに留意する必要がある。 両者の治療は逆で、鑑別を行わず治療を行うとクリーゼをさらに増悪する危険性がある。このため重症筋無力症治療の目的でコリンエステラーゼ阻害薬を服用中の患者に対しては、 上記の症状を呈した場合、筋無力症の増悪と自己判断してコリンエステラーゼ阻害薬を増量するのではなく、内服を中止して直ちに主治医に、もしくは呼吸困難が強い場合には救急病院などに受診するよう指導する。

  
  

●コリンエステラーゼ再賦活薬

プラリドキシム pralidoxime：PAM アセチルコリン受容体の酵素活性中心に結合した有機リン剤を切断解離させる作用をもち、その結果コリンエステラーゼの活性を回復させることによって、有機リン剤に対する解毒作用をあらわす。 1995年の地下鉄サリン事件でも、600人以上の被害者の命を救った。

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便秘薬と下痢治療薬参考1

便秘薬、瀉下薬（しゃげやく）、緩下剤 、laxative, medicine for constipation, cathartics 　←→ 便秘オピオイドの副作用 塩類 腸管内に高浸透圧性の物質を入れることで、腸管内の水分量を保つ大量の水分と併用すると効果的である。 乾燥便に有効。 塩類は、電解質の代謝にも影響を与えるので腎障害のある人には注意が必要。 安全性が高く少量であれば妊婦でも使用できる。多量に使用すると胎児のマグネシウム中毒を招くことがある。 酸化マグネシウム magnesium carbonate マグネシウムは体内で4番目に豊富な陽イオンである。70kgの成人は約2000mEqのマグネシウムを有する。 血漿マグネシウム濃度の維持は主に、食事からの摂取と腎臓や小腸での効果的な保持とに依存する。マグネシウム欠乏食の開始後7日以内に、マグネシウムの腎性排泄および便中排泄はそれぞれ約1mEq/日（0.5mmol/日）に低下する。 主に薬として使用されることが多く、緩下剤として優秀な効果を発揮する。 腸管内で水分の吸収を高める役割を持ち、その結果、腸の蠕動運動を助け、排便を促す。 酸化マグネシウム自体は天然由来成分であるが、体内に吸収されにくく、比較的副作用の少ない医薬品として使用されている。 硫酸マグネシウムは効果は1〜2時間で現れ、高濃度の方が腸管への水分の移行が多い。 酸化マグネシウムは8〜10時間で効果が現れる。 高マグネシウム血症（不整脈や呼吸抑制などが起こる）。高齢者の死亡例が報告されている 厚生労働省が平成20年11月27日「医薬品・医療機器等安全性情報 第252号」で便秘薬や制酸剤などに広く使用されている酸化マグネシウムで、服用との因果関係が否定できない高マグネシウム血症の症例を報告した。 平成20年11月28日新聞社各社の朝刊上に、酸化マグネシウムの製品（粉末及び錠剤が流通）を服用していた患者さんの中に、死亡例と副作用が発現した例が報道された。 水酸化マグネシウム 硫酸マグネシウム（エプソムソルト） 医薬品として便秘、低マグネシウム血症、子癇、子宮運動抑制薬として使用される。 農業の分野でも、溶解度の高さのために硫酸マグネシウムが肥料としてじゃがいも、トマト、バラ等の作物に使用されている。 硫酸ナトリウム 膨張性下剤 便を内部から膨張させることで腸管刺激を誘発し、排便を促す。 バルコーゼ、寒天、小麦フスマなど 弛緩性便秘に有効。 習慣性もない。 狭窄性腸疾患には使用できない。 早流産をおこすことがあるので、妊婦には慎重に。 作用は10〜24時間で現れる。 カルメロースナトリウム Carmellose sodium（バルコーゼ） 糖類下剤 便の浸透圧を上昇させる。 小児の便秘にも使用される。 糖尿病の人は血糖を注意。 8〜12時間後に作用が現れる。 ラクツロース lactulose（モニラック） 塩類下剤、高アンモニア血症治療薬 1930年E.M.Montgomeryらにより乳糖からつくられた物質でガラクトースとフルクトースが結合した構造をもつ合成二糖類 Bircherらにより 肝性脳症に対する治療薬として1966年に紹介された。 糖類が2つ結合した二糖類で、未変化のまま大腸に達し、腸内の水分を増やし、さらに、腸内分解で発生した有機酸によって腸の蠕動運動が亢進する。 D-ソルビトール D-sorbitol 天然にも広く存在し、紅藻類には13％、柑橘類以外の果実に1〜10％含まれる甘味料でもある。 肝グリコーゲンを生成し、ケトン体生成を抑制し、さらに緩下作用がある。 通常、消化管のX線造影の迅速化およびその際の便秘防止、栄養補給に用いられる。 大腸刺激性便秘薬 センナ、大黄、アロエなどの植物成分 アントラキノン系の成分が胆汁で加水分解され、小腸から吸収され血行または直接大腸に移行して大腸の粘膜を刺激する。 大黄以外は痙攣性便秘には使用してはいけない。腹痛などが副作用となる。 センナ（アローゼン、プルゼニド） ジャケツイバラ科の植物（学名：Senna alexandrina）、センナ（ビスアンスロン配糖体） 莢が耳の形に似ていて、アラビア語の耳「Sana」に由来する。 緩下剤、摂取量を多くすると下痢する。 薬理成分：センノシドAが腸内で分解され、瀉下効果を示す。 あまり重症の硬結便、急激な腹痛、痙攣性便秘には使用しない方が良い。 作用は8〜12時間後に現れる。 胃のレントゲン検査後の硫酸バリウム排泄の目的や便秘症に用いられる。 モルヒネの副作用の便秘予防に用いられる。 アローゼン：センナの葉と実を薬にしたもの プルゼニド：センナから有効成分センノシドだけを取り出して錠剤にしたもの。 ダイオウ 大黄（学名：Rheum）←→漢方薬　参考1/2 タデ目 Polygonales、タデ科 Polygonaceae、ダイオウ属 生薬ラテン名：Rhei Rhizoma、生薬・漢方薬の分野では、本属の一部植物の根茎を基原とした生薬を大黄という。 別名を「将軍」とも称され、漢方医学においてはもっとも重要な生薬の一つとされている。江戸時代の代表的な実証主義的漢方医である吉益東洞(よしますとうどう)は著書「薬徴（やくちょう）」の中でダイオウの薬効について「主通利結毒也。故能治胸満、腹満、腹痛及便閉、小便不利。旁治発黄、瘀血（おけつ）、腫膿。」と記述している。 漢方医学では大黄甘草湯に配合されるだけでなく、活血駆瘀血作用を期待して桃核承気湯などに配合される。 消炎・止血・緩下作用があり、瀉下剤として便秘薬に配合される。 大黄は、副作用が少なくて、小児、老人にも使用できるが、長期連用で逆に便秘になる。 ダイオウの薬効成分はセンノシドAなどのジアンスロン誘導体であるが、真の薬効成分ではない。経口投与でセンノシドは胃、小腸では吸収されずに大腸まで移行し、そこで腸内細菌（ビフィズス菌やペプトストレプトコッカス菌など）による代謝をうけて生成したレインアンスロン(Rheinanthrone)が大腸壁を刺激して蠕動運動を活発にして瀉下効果をもたらすとされている。 アロエ 大黄（学名：Aloe ferox）　参考1 ユリ科同属各種に含まれるアンスロン-C-配糖体で、生薬アロエの瀉下作用成分。 生薬アロエの瀉下作用成分：バルバロイ（アロイン） 生薬アロエを処理し、アントラキノン、アンスロンのカルシウム塩として得られた黄色粉末をアロイン(aloin)と称する。 生薬アロエは苦味が強いため、時に苦味の少ないアロインを用いる。アロインを構成する成分のうち、もっとも含量が高いのがバルバロインである。アロインを製するのにAloe veraがよく用いられる。 アロエは、大量に使用すると、骨盤内臓器充血がおきることがある。 ピコスルファートナトリウム液 sodium picosulfate（ラキソベロン、コーラックソフト、ソフィットピュア） 大腸刺激性下剤 胃や小腸をそのまま通過して、大腸の中で腸内細菌の作用を受けて活性化し、大腸の蠕動運動を刺激したり、腸管から水分が再吸収されるのを阻止したりする作用によって、排便を促す。 痙攣性便秘にも使用できる。 造影剤服用後や手術後の排便に用いられる。 作用は7〜12時間後に現われる。 炭酸水素ナトリウム・無水リン酸二水素ナトリウム坐剤（新レシカルボン坐剤） 下剤、浣腸剤／その他の配合剤／便秘治療剤 炭酸ガス発生による生理的排便に近いので小児、妊産婦にも使用可。 直腸の粘膜を直接刺激し、腸の運動を活発にして排便をうながします。 作用は10〜30分後に現われる。すみやかに排便したいときや、飲み薬が飲めないときに用いる。 カサンスラノール、カサントラノール　 casanthranol（ビーマス®、ベンコール®、ビオミットＳ®） カスカラサグラダ cascara sagrada（クロウメモドキ科の低木 Rhamnus purshiana）の乾燥樹皮に含まれる配糖体、cascarosideを含む。 参考1 アントラキノン誘導体を含む生薬 腸内細菌により代謝され、代謝物が大腸粘膜を刺激して腸の蠕動運動を亢進させる。 自律神経遮断剤あるいは抗コリン剤処置による影響を受けない。 蠕動運動を促進するので便秘薬などに使われるが、他の大腸刺激性便秘薬と同様に急性腹症又はその恐れ、痙攣性便秘、重症硬結便には禁忌となる。 ビーマス®は腸管の蠕動運動を亢進させるカサンスラノールと、堅い便に水分を浸透させ、柔らかい便にする界面活性剤のジオクチルスルホサクシネートの合剤 浣腸は依存性があるので、漫然と使用するべきではない。

下痢治療薬、止瀉薬（下痢止め） antidiarrheal, antidiarrheal agent, antidiarrheal drug →ロペラミド →コデイン

Pain Relief