体位、開頭(三叉神経痛)
- 仰臥位 or 側臥位。麻酔下。
- 側臥位で,手術部位を見やすくするために、頭頂部を低くして頭部を三点固定器で固定する。
- 聴覚機能の監視のためには、ABRモニタを設置しておくことが望ましい。
- 同側の耳介の後方(乳様突起部)の皮膚を縦に約7cm切開する。
- 後頭下筋群は一層ずつ剥離して、小後頭神経、後頭動脈を確認て、鋏で切離する。
- 開頭は、横洞とS上静脈洞の露出を確認し、これら静脈洞ぎりぎりまで骨を削除する。
- 穿頭は乳様突起の内側下方に行い、500円玉程度の大きさに拡大する。
- 硬膜は耳のすぐ後ろの出っ張った骨の側に翻転する。通常は小脳がやや張り出してくるので、へらで軽く小脳を圧排して脳脊髄液の自然流出を促す。この時点で,吸引などによるテント下の急激な減圧は避けるべき。
- 硬膜開放時に髄液の自然な流出があれば、小脳は沈下するが、時にくも膜が丈夫で髄液の流出の少ない患者がいる。そのような場合には、マンニトールの静脈内点滴で頭蓋内圧の低下をはかる。
- 不適切な位置の開頭は、頭蓋内操作の際に、トラブルを生じる原因(過度な小脳の圧排、死角の発生)となるので避ける
小脳橋角槽の展開
- 三叉神経根を観察するためには、小脳の圧排は不可避である。ところが、脳の圧排は最も危険をはらんだ手術操作の一つである。このことを深く認識した上で、小脳の圧排を必要最小限にとどめる。
- ある程度の減圧を得てから脳脊髄液の貯留している脳槽を開放すると,容易に脳脊髄液が吸引され、小脳を引っ張りやすくなる。
- trans-horizonntal approach---horizontal fissureを開く。
horizontal fissure開放の利点:小脳のわずかな圧排で三叉神経のroot entry zoneから三叉神経孔まで楽に観察できることと、聴神経への影響が通常の方法に比べてはるかに少ない。
圧迫動脈の転移
- 手術用顕微鏡で,その骨窓から小脳の脳実質と頭蓋骨との隙間に沿って滑り込むように視野を進める。
- 下側には下位脳神経(舌咽,迷走,副神経)がみられ、上側に向かうと聴神経が見える。また、深部には外転神経が波打つように観察される。同部のくも膜を切開すると、より明瞭に各神経が観察できる。しかし、顔面神経は聴神経の内側にあるので見にくいので、脈絡叢、小脳片葉を手前に引いて、聴神経の下を覗き込むようすると、顔面神経が脳幹から出てくる場所がみえる。
- 三叉神経痛の原因となっている血管や構造物を捜し出し,それらを注意深くかつ丁寧に三叉神経からはがして圧迫を取り除いた後に、柔らかいクッションとなるテフロン繊維などをその部に挿入して再び圧迫が加わらないようにする。
- その後、切開した硬膜や取り除いた頭蓋骨窓周囲を修復し,皮膚の切開部を縫合する。
インターポジション法 福島先生によるテフロンスリング法(挿入法)
- 圧迫動脈に絡むくも膜を丁寧に切離した後、血管をテフロンの帯で硬膜側へ転置する。動脈に操作が加わるので、しばしば攣縮がみられる。その際には、塩酸パパベリンを使って、攣縮を解除する。
- 挿入法では、挿入した人工補綴物が経時的に変形・癒着し、血管の圧が再び神経に加わるようになるため、一旦改善した症状が再発することがある。
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トランスポジション法Transposition Technique 吊り上げ移動法
- 脳血管を直接移動させる方法
- 吊り上げ移動法では、神経には何も接しないため、癒着も生じようがなく、再発の可能性は極めて低くなる。
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