カルシトニン遺伝子関連ペプチド Calcitonin gene related peptide:CGRP ←→CGRP受容体/CGRP受容体関連薬
┏末梢---神経性炎症→末梢血管拡張作用
┗脊髄後角---脊髄後角での作用は不明である。
- アミノ酸37個からなる塩基性ポリペプチド
- CGRPとカルシトニンは、同一の遺伝子からスプライシングの違いによって作られる。
- 強力な血管拡張ペプチド、降圧ペプチドである。
- CGRPは1980年代初頭に,米国サンディエゴにあるSalk研究所の研究グループによって甲状腺髄様がん由来の株化細胞でカルシトニン遺伝子からカルシトニンとは異なった選択的スプライシングを経て産生されるmRNA由来の37個のアミノ酸からなるペプチドとして発見された。翻訳後に生じる前駆体pro–CGRPのNおよびC末側が切断されることによって、最終的に成熟型CGRPが産生される。
- カルシトニン遺伝子からはプロカルシトニン(procalcitonin)も産生されるため、プロカルシトニンとCGRP両者の陽性を示すことで,CGRP産生細胞を同定することがある。
[末梢]
- DRGに産生されて、軸索流に乗って、終末に運ばれる。
- 侵害受容器が興奮すると、脊髄内終末から放出されるだけではなく、軸索反射性性に末梢終末からも放出され、神経性炎症を生じさせる。
- 血管内皮細胞のNO産生を介して、また、血管平滑筋のcAMP産生を介して、ミオシン軽鎖キナーゼを不活化させ、血管拡張作用を示す。
- 血管拡張作用は、SPよりも強いが、SPの血管拡張作用よりも遅れて現れ、数時間も続く発赤を生じる。この発赤は顆粒白血球の浸潤を伴う。
- CGRP自身には血管透過性亢進作用を持たないが、他の物質の血管透過性亢進作用を高める。
- CGRPモノクローナル抗体製剤とCGRP受容体関連薬が2021年に片頭痛の「予防薬」として発売された。
[DRG]
- 小型から大型のDRGニューロンの一部で産生される。ラット腰髄DRGの約半数のニューロンがCGRPを含む。
- SPと同様にNGFによって産生が調節されている。
[脊髄後角]
- 人では腰髄に多く認められる。
- 免疫組織化学による陽性細胞---中枢神経系に広く分布する。
- 免疫組織化学---脊髄後角第I層 第II層外層部 第V層。
- 脊髄後角までインパルスが到達すると放出され、2次ニューロンを興奮させる。1次ニューロンのCa2+コンダクタンスを増加させ、伝達物質を放出させやすくする。
- 脊髄での作用はあまり知られていない。
- SPを分解するエンドペプチダーゼを阻害するので、SPの作用時間を延長させる。
[中枢]
- 外惻腕傍核のCGRP細胞が、扁桃体中心核に投射し、痛みの中枢性過敏化機構に関与 参考1
○血管作動性腸ペプチド Vasoactive intestinal peptide; VIP ←→VIP受容体
- 1989年に、宮田篤郎らによりヒツジ視床下部から単離、構造決定した神経ペプチド。脳腸ペプチド。
- 血管拡張作用を指標として分離され、28個のアミノ酸からなるポリペプチドとして構造決定された物質。発見当初はホルモンと考えられたが、循環血液中には放出されず、中枢や末梢神経系に広く分布することが明らかになり、神経伝達物質あるいは神経調節因子として作用すると考えられている。
- 消化管、膵臓、そして脳の視床下部の視交叉上核を含む人体内の多数の場所で作られる。
- 副交感神経の節後線維終末からAchと共に放出される伝達物質。(cholinergic線維と共存する非アドレナリン非コリン(Non-adrenergic non-cholinergic, NANC) 性神経の伝達物質。)Achが臓器・器官に特有な生理機能を持つのに対し、VIPは随伴して出現する血流増加に主に寄与する。
- VIPは消化管などの平滑筋に存在する受容体に結合し、AC活性を上昇させ、細胞内cAMP濃度を増加させ、平滑筋を弛緩させる。(十二指腸や膵臓のD1細胞から分泌される消化管ホルモンでもある???)
- 脳内でもcholinergic線維と共存している。
- 気道にも作用し、粘膜下腺の漿液分泌細胞から粘液分泌細胞に強く作用し、分泌を促進させる。また、気道平滑筋を弛緩させ、活性酸素種を排除し、炎症を抑制すると考えられる。
- 蝶形口蓋神経節(副交感神経節)由来のVIPは、群発頭痛と関係がある可能性がある。
- 脳では、視交叉上核、大脳皮質、扁桃体に分布する。
- 少数のDRGニューロンの細胞体が産生し、脊髄後角の第I層でも認められる。しかし第II層にはない。
- 直径:70%が45μm、約半数が25-45μm。
- SP、SOM、GAR、VIPなどと共存する。
- 末梢神経が損傷されると、DRGでのVIP遺伝子発現が増加し、VIPが産生され、終末からVIPが放出される。
- ACとカップルする。
○下垂体アデニル酸シクラーゼ活性化ペプチド Pituitary Adenylate Cyclase Activating Polypeptide :PACAP ←→PACAP受容体
- 1989年に米国チューレン大学の有村章(1924〜2007/12/10)*が発見した神経ペプチド
- ラット下垂体細胞の、アデニル酸シクラーゼ ACを活性化によるcAMP産生刺激活性を指標として、ヒツジ視床下部抽出物から単離、構造決定された。
- 176アミノ酸の前駆体から形成され、38アミノ酸からなるPACAP38と、N端側の短い27アミノ酸からなるPACAP27の2つのフォームが知られている。
- PACAP27はVIPとアミノ酸配列の相同性が68%と高い。セクレチン/グルカゴンともアミノ酸配列が似ていて、セクレチン/グルカゴンファミリーとして取り扱われる。
- 脳内に広く分布するが、VIPの分布域とは一致しない。AC活性は、VIPよりも1000倍以上も高い。
- PACAP含有細胞は視床下部領域では、正中隆起の近傍の核群(弓状核、腹内側核など)、脳室周囲核で視索前野の領域、視交叉上核、室傍核、上乳頭体核などに分布している。視床下部以外の領域では、分界条床核、脳弓下器官、背側縫線核などに分布が認められる。
- PACAP神経終末の分布は、視床下部の広範な領域にある。正中隆起、視索上核、室傍核、後部脳室周囲核、視交叉上核などがある。視床下部以外の領域では、扁桃体中心核、分界上核、脳室周囲器官(終板器官、脳弓下器官)などがある。これらの領域は、自律内分泌機能、サーカディアンリズム、ストレス反応情動機能などと関連する。
- 末梢神経が損傷されると、DRGでのPACAP遺伝子発現が増加し、PACAPが産生され、終末からPACAPが放出される。
○一酸化窒素 NO ←→NOS/血管作動物質/薬 →参考1
- NOはフリーラディカル、内非依存血管弛緩因子
- NOの半減期は組織においては、普通5秒である。酸素と急激に結合して二酸化窒素に変わる。
- L-アルギニン(L-arginine)が、NO合成酵素 : NOSによって、NOとシトルリンに変換される。
- 1998年のノーベル生理学・医学賞:循環器系における情報伝達物質としての一酸化窒素の発見
Robert F. Furchgott(1916/6/4〜2009/5/19, ワシントン大学→ニュ-ヨ-ク州立大学の薬理学者)
Louis J. Ignarro(1941/5/31〜, NIH→カリフォルニア州立大学ロサンジェルス校の生化学者)
Ferid Murad(1936/9/14〜, ヴァージニア大学→スタンフォード大学の薬理学者)
- Ferid MuradはNOがグアニル酸シクラーゼ:GCを活性化することを見い出した。
- Robert F. FurchgottはNOそのものがEDRFである可能性を主張した。
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- NOはグアニル酸シクラーゼ(GC)を活性することによって、グアノシン三リン酸(GTP)をcGMPに変換する。
- NOは血管内皮依存血管弛緩因子(EDRF)である。
- 血管平滑筋に取り込まれたNOはcGMPの産生を促し、cGMPが増えると、平滑筋が弛緩し、血管が拡張する。
- NOは可溶性のグアニル酸シクラーゼのヘムに結合し、活性化する。
- NOはいわゆる伝達物質的な作用と、逆行性伝達物質として作用する。
- 痛みによる血管拡張作用
- BKは局所の血管内皮細胞のB2受容体に作用し、NOSを活性化させることによって、内皮細胞内でアルギニンからNOを産生させる。
- 軸索反射によって放出されたSPは血管内皮細胞のNK-1受容体に結合してNOの産生を誘導する。
→NOは細胞外に出て血管平滑筋に取り込まれ、cGMPの産生を促し、cGMPが増えると、平滑筋が弛緩し血管が拡張する。
- 伝達物質として、
- NOは膜透過性の気体であるので、エクソサイトーシスの機構も、細胞膜受容体も必要としない。
- 血管に分布する非アドレナリン性、非コリン性神経から放出されるNOや、軸索反射により1次ニューロンの末梢終末が放出されるNOは、血管平滑筋に作用し、血管を拡張させる。
- 逆行性伝達物質として、
→2次ニューロンのNMDA受容体が活性されると、Ca2+濃度が高まり、NOSが活性化されて、アルギニンからNOが産生される。2次ニューロン内で、GCの活性化を介して、cGMPの合成を促進する。cGMPはそれに続くタンパクキナーゼの活性化や遺伝子発現などの反応に関与し、痛覚過敏が起こる。
- NOは細胞外に出て侵害受容線維の終末に働き、末梢から送られてきたインパルスによる伝達物質の放出を増加させる。
- NOSとmRNAは、後根神経節や脊髄に存在し、神経損傷後にそのmRNAが増加する。
- NOSの阻害剤:L-N-nitro arinine methylseter (L-NAME)により、鎮痛が生じる。
- 一酸化窒素供給体は頭痛を誘発する。
国際頭痛分類第2版(ICHD-II)の8 物質またはその離脱による頭痛
8.1 急性の物質使用または曝露による頭痛
8.1.1 一酸化窒素(NO)供給体誘発頭痛 Nitric oxide (NO) donor-induced headache
8.1.1.1 即時型一酸化窒素供与体誘発頭痛 Immediate NO donor-induced headache
8.1.1.2 遅延型一酸化窒素供与体誘発頭痛 Delayed NO donor-headache
○Cholecystokin; CCK ←→CCK受容体
- 消化管ホルモンであるコレシストキニン・パンクレオザイミン(CCK-Pz)は、神経系にも存在する。
- ガストリンファミリーに属する33個のアミノ酸からなるポリペプチド(CCK-33)。
- 十二指腸、上部小腸(I細胞)、空腸のL細胞、中枢神経で合成される、末梢では通常、CCK-A(CCK1)受容体と結合する。
- 十二指腸内のペプチド、アミノ酸、脂肪酸によって分泌が促進される。
- 胆嚢の収縮作用とオッディ括約筋の弛緩作用がある。
- 膵腺細胞のPKCを活性化させ,イノシトール3リン酸の増加により膵酵素の分泌を促進させる。
- 急性膵炎の発症や進展・増悪に関与している。
- 中枢神経系にも広く分布し、主にCCK-8として存在していて、CCK-B(CCK2)受容体と結合する。
- 軸索切断は、DRGでのCCK2受容体の遺伝子発現を促進する。
- 坐骨神経絞扼モデルラットにおいて、CCK-B受容体拮抗物質(YM022)は痛覚過敏を抑制する。
- CCK-B受容体拮抗物質(L-365,260)は、アロディニアや熱性痛覚過敏を拮抗することが示されています。
- CCK受容体は脊髄後角第I層および第II層においてμオピオイド受容体とともに発現していて、神経障害性疼痛モデルにおいて内因性オピオイドの抗侵害受容効果をブロックする。
- CCKはオピオイド の放出を阻害し、抗侵害受容性機構を阻害する。
- CCK-B受容体拮抗物質(Cl-988)は、モルヒネの効果を増強させる。
○ドーパミン dopamine ←→受容体/ドーパミン神経系/中脳辺縁/トランスポーター/関連薬/薬物依存/鎮痛/仮説
- アミノ基を一個だけ含むモノアミンであり、カテコール核を持つのでカテコールアミンと呼ばれる。
- アドレナリン受容体親和性:β1>α1>α2
- 運動調節、ホルモン調節、動機付け、快の感情、意欲、学習などに関わる。
- 学習・記憶、注意、実行機能などの認知機能を調節することが示されており、特に作業記憶に寄与する。
- ドーパミンの前駆体はL-DOPAである。フェニルアラニンやチロシンがTH(チロシン水酸化酵素tyrosine hydroxylase,tyrosine 3-monooxygenase)によってドーパになり、それがAADC(AADC=DDC、ドーパ脱炭酸酵素 L-aminoacid decarboxylase)の働きでドーパミンになる。(TH が律速酵素)
- ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体:ドーパミンはDBH(ドーパミンβ水酸化酵素)によってノルアドレナリンになる。
- ドーパミンはCOMT、MAOによっても代謝される。
- 単に、ドーパミンはノルアドレナリンの前駆体であるだけではなく、神経伝達物質である。
Arvid Carlsson(1923/1/25〜, スウェーデンGoteborg大学の神経精神薬理学者) 参考1/2
- Dr Carlssonの最も大きな功績はドーパミンが脳の重要な神経伝達物質であることを確立したことで、もう1つの功績は基礎的研究の臨床への応用である。
- Eric R. KandelとPaul Greengard↓と共に、2000年 のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
- 1955〜1956年(米国ベセスダにある National Heart InstituteのBernard B. Brodie博士(1909〜1989)の研究室にサバティカルとして訪問し、確立されて間もないスペクトロフォトメーター使った組織中の化学定量法を学んだ)NIHで、血小板をモデルとしてレセルピンがセロトニンの貯蔵を阻害し、レセルピンが動物の脳のセロトニンの貯蔵を減少させる原因であることを示した。
- 1957〜1959年(帰国後)に、Nils-Ake Hillarp(1916〜1965)らと共にレセルピンが脳や副腎髄質細胞組織中のアドレナリンやノルアドレナリンを枯渇させることを碓認し、レセルピンの顕著な降圧効果もこれによって説明できると考えた。
- 1958年に、蛍光分光光度計を用いてドーパミンに高感度で特異的な蛍光分析法を確立し,ドーパミンを脳に発見した。
- ドーパミンはノルアドレナリンの前駆物質とされてきたが、ドーパミンの脳内分布がノルアドレナリンとは異なり、特に大脳基底核に高濃度に分布することを示し、それが神経伝達物質として働いていることを証明した。
- 1958年に、大脳基底核のドーパミンをレセルピンによって枯渇させると動物は動きが緩慢になり、ヒトのパーキンソン病に類似した行動を示すことを見いだした。しかしながら、ドーパミンの前駆物質であり、脳血液関門を通過するL-DOPAを経口的に与えると、大脳基底核のドーパミン濃度は回復し,動物は正常な状態に戻る。Dr Carlssonは、この研究に基づいて、パーキンソン病のL-DOPA療法を開発した。
- さらにドーパミンD3受容体に特異的な拮抗薬を開発してラットの行動が抑制されることを発見し、統合失調症の陽性症状のみならず陰性症状もドーパミン過剰活動によることを示唆した。
- 1960年代に、三環系抗うつ薬はノルアドレナリンのシナプスでの再取り込みを抑制するだけでなく、セロトニンの再取り込みも阻害することを発見し、最初のSSRIであるジメリジンを開発した。ジメリジンはまれに起こる副作用のために臨床使用が中止されたが、現在うつ病に広く用いられるSSRIのProzac発見の2年前であった。
- ドーパミンの枯渇が統合失調症の症状の改善をもたらすことに着目し、抗ドーパミン受容体作用による統合失調症治療薬の開発に貢献した。また、セロトニントラスポーター阻害作用による躁うつ病治療薬の開発にも貢献した。
- 1957年に、シナプス前神経の神経終末に存在して、ドーパミンの遊離を調節するautoreceptorsの概念を提唱した。現在ドーパミン受容体はD1〜D5がクローニングによって構造が決定しており、D2受容体がautoreceptorであると推定されている。
- 1963年にクロルプロマジンやハロペリドールなどの抗精神病薬にドーパミン受容体拮抗作用があることから、統合失調症のドーパミン過剰作用仮説を提唱した。
- 1988年に、統合失調症のドーパミン仮説の修正仮説を発表している。統合失調症を神経伝達物質の不均衡症候群として考える方向性を生み出したもので、パーキンソン病の治療に新しい道を拓く可能性を示した。
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Paul Greengard(1925〜 アメリカの神経科学者、生化学者、2000年ノーベル生理学・医学賞受賞)
- Dr Paul Greengardは緩電位の分子機構の解明に大きく貢献した。ドーパミンが神経終末から分泌され、ドーパミン受容体に結合すると、細胞内のcAMPの濃度を上昇させる。それによってPKAが活性化され,さまざまな機能タンパクがリン酸化されて、活性化される。これらの機能タンパクの1つがイオンチャンネルであり、その活性化が緩シナプス電位を生み出す。
- ドーパミンからcAMP、PKA、機能タンパクのリン酸化に至る細胞内化学反応カスケードの解明で、中心的な役割を果たした。特にcAMPの第2メッセンジャーとしての働きやタンパクリン酸化酵素と脱リン酸化酵素のバランスによる機能タンパクの制御の概念を確立した功績は大きい。
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- 6-hydroxydopamine (6-OHDA):ドーパミン作動性ニューロンおよびノルアドレナリン作動性ニューロンを選択的に変性除去するために用いられる神経毒
- ドーパミンは黒質緻密部や中脳腹側被蓋野などで産生される。←→DA神経系/ドーパミン阻害薬
- ドーパミンが減少するとパーキンソン病になり、過剰になると統合失調症の陽性症状を引き起こす。
- 統合失調症の陽性症状(幻覚・妄想、パラノイアなど)は基底核や中脳辺縁系ニューロンのドーパミン過剰によって生じるという。←→ドーパミン仮説
- 陰性症状の強い統合失調症患者や、一部のうつ病では前頭葉を中心としてドーパミンD1受容体の機能が低下している可能性がある。
- ドーパミンは快物質である!
- 痛みの感受性:COMT活性が強い人(val/val homozygotes型のCOMT遺伝子を持つ人)では、ドーパミンが代謝され、エンドルフィンが放出されるので、痛みを感じにくい。
- ドーパミンは疼痛抑制系にも関与している。→A11神経系/快と痛み
- 下垂体漏斗系において、ドーパミンはプロラクチン放出ホルモン抑制ホルモン prolactin-release inhibiting factor:PlFとして働く。そのためドーパミン作動薬は高プロラクチン血症の治療薬として使用される。逆にドーパミン阻害薬(ハロベリドールなど)の副作用として、高プロラクチン血症を誘発する。
○アセチルコリン acetylcholine:ACh ←→発痛物質/関連物質/酵素/受容体/ACh神経系/薬/ボツリヌス療法/抗コリン作用
- コリンの酢酸エステル化合物。化学式は CH3COOCH2CH2N+(CH3)3
┏交感神経節前線維からの神経伝達物質
┣副交感神経節前線維、副交感神経節後線維のからの神経伝達物質
┣脳内の神経伝達物質
┗神経筋接合部への神経伝達物質
- AChは、最初に発見された神経伝達物質である。↓
1828年 | Ludwig Reimann(ハイデルベルクの学生)と Wilhelm Heinrich Posseltがタバコからニコチンを抽出した。(ニコチンの語源はJean Nicotから。) |
1862年 | Adolph Strecker(1822/10/21〜1871/11/7, ドイツの化学者)がブタの胆汁(chole)からコリンを発見した。 |
1869年 | Johann Ernst Oswald Schmiedeberg(1838〜1921, ドルパート大)とKoppeが著書「ムスカリン」に記載した。 |
1914年 | Sir Henry Hallett Dale(P 1875/7/9〜1968/7/23、英国の神経科学者)はアセチルコリンが神経伝達物質であることを明らかにした。 |
1921年 | Otto Loewi(P 1873-1961、ドイツの神経科学者)が、夢の中でみた実験を再現して、心拍数を遅くする物質を発見し、Vagusschtuff(迷走神経物質)と名づけた。 |
1934年 | Wilhelm Feldberg(1900/11/19〜1993/10/23, ドイツ→英国のユダヤ形成理学者)とJohn Henry Gaddum(P 1900/3/31〜1965/6/30, 英国の薬理学者)がDaleの研究室で交感神経節の伝達物質もアセチルコリンであることを証明した。 |
1936年 | Sir Henry Hallett DaleとWilhelm Feldberg(1900/11/19〜1993/10/23, ドイツ→英国のユダヤ形成理学者)らは、神経筋接合部における伝達物質であり、クラーレによって阻害されることを証明した。クラーレは、アセチルコリンの放出があっても筋の収縮を阻害する。 |
1936年 | LoewiとDaleがノーベル賞を受賞した。 |
- AChは、cholineとAcetylCoAから、コリンアセチルトランスフェラーゼ(Choline acetyltransferase:ChAT)によって合成され、transporter(VAChT)によりvesicleに取り込まれる。
- 刺激が終末に到達すると電位依存性Caチャネルが開き、Caイオンが流入する。Caイオンがvesicleに結合し、vesicleはシナプス前膜に融合し、Achが放出される。
- AChは後シナプス膜のムスカリン受容体あるいはニコチン受容体と結合し、情報を伝える。
- AChはシナプス前膜にあるautoreceptor(M2-receptor)に結合し、AChの遊離や合成を抑制する。
- 不用となったAchは、アセチルコリンエステラーゼ(cholinesterase:AChE)の作用でコリンと酢酸に分解することで、作用した後すぐに除去される。AChEを阻害する神経ガス、殺虫剤、サリンなどは筋収縮、分泌腺、中枢神経系の亢進を持続させる。
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- 中枢に存在するニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)は、記憶・学習・認知などの脳神経機能に関与すると共に、抗不安作用や鎮痛効果、神経保護作用効果など多様な性質を有することが知られている。
- 3環系抗うつ薬では抗コリン作用が副作用となる。
- ボツリヌス療法は、アセチルコリンの放出を阻害することによって、片側顔面痙攣、眼瞼痙攣および痙性斜頸と、それに関連する肩こりや頸部の痛みの治療にも用いられ始めている。三叉神経痛にも有効。
- 脳のコリン神経系は、モチベーションや報酬への期待など、辺縁系や大脳皮質などと結びついた神経回路によって賦活され、皮質や片縁系で発生する情報処理を修飾する。記憶や学習過程における修飾効果、および、レム睡眠や覚醒に皮質脳波を脱同期させる機能などもある。
- アルツハイマー病は脳内のアセチルコリンの不足と関連があるとされ、AChEの阻害剤が治療薬として用いられている。
●抑制性伝達物質 および鎮痛作用を及ぼす伝達物質
○γアミノ酪酸(γ-Aminobutyric acid: GABA) ←→受容体/酵素/トランスポーター/Cl-トランスポーター/薬/発生
1950年 | Eugene Roberts(1922〜, セントルイスのワシントン大)とSam Frankel が、脳のアミノ酸をペーパークロマトグラフィーで分離して、ニンヒドリン陽性物質GABAを発見した。Jorge Awaparaも哺乳類の脳抽出液からGABA発見を発見したが、1960年代まで伝達物質と認められなかった。 |
1953年 | Ernst Floreyのグループが牛の脳抽出液がザリガニの伸張反射の抑制やネコの膝蓋腱反射を抑制することを発見した。 |
1956年 | Alva Bazemoreら(Merckから来たモントリオール神経研究所の研究員)が、Florey's factor(甲殻類のニューロンの抑制に働く物質)がGABAであると同定し、以後GABAが代表的な抑制性神経伝達物質と考えらるようになった。 |
1958年 | Stephen Kuffler(P 1913/8/24〜1980/10/11, 米国の神経生理学者)とEdward A. Kravitzらが、甲殻類の伸張受容器において抑制性伝達物質であると同定した。 |
- GABAは、脳の広汎な領域で短い軸索をもつ介在ニューロンに存在し、抑制性の役割を果たす。
- GABAは、グルタミン酸脱炭酸酵素(glutamic acid decarboxylase:GAD)によってグルタミン酸から合成される。GADには、分子量の違うGAD65, GAD67の2種類のアイソザイムの存在する。
- GABAは、GABA-2-オキシグルタル酸トランスアミナーゼ(GABA-T)により分解され、コハク酸セミアルデヒドになり、さらにコハク酸セミアルデヒドデヒドロゲナーゼにより酸化されコハク酸になる。そしてクエン酸回路に戻る。
- 神経損傷時には、GABAが興奮性となることもある。
ミクログリアのP2X4受容体の活性化に伴って、BDNFが遊離される。BDNFは、脊髄後角第I層のニューロンにおけるTrkB受容体に作用して、第I層細胞のK-Cl共輸送体2(K-Cl cotransporters2:KCC2)の発現量が減少する。(→細胞内のCl-が増加する)その結果、第I層の陰イオンに対する逆転電位が脱分極に移動し、通常では抑制性の神経伝達物質であるGABAが興奮性として作用する。1
○グリシン Glycine:Gly ←→受容体/トランスポーター
1965年 | Aprison MH と Werman R (インディアナ大)は、脊髄に多量にある最も単純なアミノ酸であるグリシンが抑制性伝達物質ではないかと提唱した。 |
- グリシンは脳幹と脊髄において抑制性の役割を果たす。
- グリシンはありふれたアミノ酸であり、特別な代謝経路を必要としない。
- strychnineが拮抗物質である。
- NMDA受容体にもグリシンの結合部位があり、少量のグリシンがなければNMDA受容体は活性化されない。グリアに発現するGlyT-1の阻害はNMDAグリシン結合部位へのグリシンの供給を高めてグルタミン酸神経活性を促進するということが定説になっている。
○ソマトスタチン (somatostatin: SOM) ←→ソマトスタチン受容体
- ソマトスタチンは、内分泌ホルモンでもあり、神経伝達物質でもある。
- ソマトスタチンは成長ホルモン放出抑制因子としてヒツジ視床下部から抽出されたアミノ酸14個からなるポリペプチド
- その後アミノ酸28個からなるソマトスタチンー28も発見されている。
- DRGのの小型ニューロンにも含まれる。
内分泌 ホルモン | - 視床下部で生産されて、下垂体から放出される成長ホルモン分泌抑制ホルモン(somatotrophin release-inhibiting factor)。
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神経 伝達物質 | - DRGの小型ニューロンの一部で産生され、軸索流に乗って、終末に運ばれる。DRGの約20%がSOMを含有する。
- ソマトスタチンの産生はGDNF (glial cell line-derived neurotrophic factor)によって調節されている(?)
- 脊髄後角までインパルスが到達すると放出され、2次ニューロンの活動を抑制させる。
- 免疫組織化学による陽性細胞---脊髄後角第I層、第2層外層部、中心管の周囲、前角
- 脊髄後角や脳幹のニューロンの活動を抑制する。
- 侵害性機械刺激の情報を伝える興奮性伝達物質という報告もある。
- 脊髄内や硬膜上腔注入すると末期がんや術後痛を緩解するといわれている。
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●興奮性-抑制性伝達物質
○セロトニン serotoin=5-Hydroxytryptamine:5HT
⇒発痛物質 or 末梢のセロトニン/受容体/酵素/トランスポーター/抑制系/5-HT神経系/薬/症候群
- 動植物に広く分布する生理活性アミン、インドールアミンの一種
- アミノ基を一個だけ含むモノアミンである。
- 必須アミノ酸であるトリプトファンを材料として作られる。トリプトファンは植物性タンパク質にはあまり含まれてないので、動物性タンパク質を摂取しないとセロトニンが補えない。
- セロトニンは、トリプトファンから5-hydroxy tryptphan:5-HTPに変換され、さらにセロトニン変換される。この2つの代謝の過程で、2 つの酵素が働いている。
- 神経細胞から出て作用するとすぐにMAOにより脱アミノ化され、5-ハイドロキシインドールアルデヒドとなり、さらに酸化され、5-hydroxyindole acetic acid(5-HIAA)となる。その90%以上が尿中に排泄される。
- 生体内では 90%が消化管のエンテロクロマフィン細胞に、8%が血小板に、1-2%が中枢神経系に存在している。
- セロトニンは、行動には抑制的に働くが、気分は興奮させる方向に働く。
- 睡眠、体温調節、性行動、摂食、神経内分泌、認知、記憶、生体リズムなどの生理機能に関与し、不安、攻撃性、衝動性、強迫、気分障害、統合失調症、自閉症、薬物依存などの病態と深く関係していることが知られている。
- セロトニン神経は縫線核にはじまり、脳全体に分布している。特に扁桃体や視床下部、大脳皮質など。
- セロトニンは、炎症の初期において重要な役割を演じ、末梢では発痛物質、血管作動物質として働き、中枢では痛みを制御↑↓する。
- 延髄の大縫線核からの下行性疼痛制御系での伝達物質
- 2次侵害受容ニューロンは、抑制的セロトニン受容体(5-HT1A)を持つ。
- 1次ニューロンの終末は、興奮性セロトニン受容体(5-HT2A, 3, 4)と抑制的セロトニン受容体(5-HT1A, 1B, 1C)を持つ。
- GABAを伝達物質として持つ抑制性介在ニューロンは、興奮性セロトニン受容体(5-HT2A, 3)と抑制的セロトニン受容体(5-HT1B, 1C)を持つ。
- 疼痛抑制
- 2次ニューロンと1次ニューロン終末の抑制的セロトニン受容体にセロトニンが作用
- 介在ニューロンの興奮性セロトニン受容体にセロトニンが作用
- 疼痛促進
- 1次ニューロン終末の興奮性セロトニン受容体にセロトニンが作用
- 介在ニューロンの抑制的セロトニン受容体にセロトニンが作用
- 髄腔内にセロトニンを注入すると、鎮痛効果
- 縫線核の細胞体に存在する5-HT1A受容体(オートレセプター)にセロトニンが作用すると、終末からセロトニン放出が抑制される。この受容体の機能が低下(脱感作)すると、神経終末からセロトニン放出が促進する。←→milnacipran
- ドーパミン(喜び、快楽)、ノルアドレナリン(恐れ、驚き)などの情報をコントロールし、精神を安定させる作用がある。セロトニンが不足すると感情にブレーキがかかりにくくなるため、快楽から抜け出せずに依存症に陥ったり、うつ病になりやすいなどといった指摘もある。
- うつ病や慢性疼痛の一部では、セロトニンが減少している?
- 線維性筋痛症候群で、セロトニンが減少?
トリプトファンの代謝系には2つある。
トリプトファンはセロトニンとキヌレニンに変換されるが、健常者では、主にセロトニンに変換される。
線維筋肉症候群患者では、トリプトファンがキヌレニンに変換されるために、脳内セロトニンが減少する。
- 抗うつ薬には、セロトニン再取り込み阻害作用を持つものがある。
- 抗うつ剤を服用すると肥満になる場合があることから、セロトニンが摂食と関係するらしいと考えられた。セロトニンの量が不足すると満腹感が得られず食欲が増す。
- 脳内のセロトニン濃度が高すぎるとセロトニン症候群が引き起こされる。
- Jacques Mallet(フランス国立科学研究センター:CNRS)らは、哺乳動物の胎児が神経伝達物質のセロトニンを作り出せるようになる前に、母親からセロトニンの供給を受けていることを明らかにした。セロトニンはホルモンとしても働き、消化器系や気分、睡眠覚醒周期、心血管系、痛みの認知、食欲などを制御している。トリプトファンヒドロキシラーゼ:TPH1ノックアウトマウスの胎児43匹のうち37匹は通常よりも小さく,脳などの器官に異常が現れた。参考*
○ノルアドレナリン noradrenaline:NA(米名:ノルエピネフリン:Nepi)
←→ アドレナリン/受容体/抑制系/脳内カテコラミン神経系/トランスポーター/交感神経/薬
- ノルアドレナリンはアミノ基を一個だけ含むモノアミンであり、カテコール核を持つのでカテコールアミンと呼ばれる。
- ノルアドレナリンの前駆体はドーパミン:ドーパミンはDBH(ドーパミンβ水酸化酵素)によってノルアドレナリンになる。
- アドレナリン受容体親和性:α1>α2>β1>β2
- β受容体>β受容体には作用せず、もっぱらα受容体に作用するため、血管壁の平滑筋を収縮させて血圧を上昇させる。
- 交感神経節後線維にもバリコシティがあり、ノルアドレナリンはバリコシティで合成、放出されている。
- 通常交感神経は侵害受容器には作用していないが、神経切断時には、ノルアドレナリンが作用するようになる。
→神経損傷 →末梢性過敏化
- 橋青斑核A6などからの下行性抑制系の伝達物質
- ストレスを受けると、闘争・逃走反応を起こす。長期間回避不能のストレスにさらされた場合、ノルアドレナリンが減少し、また小さなストレスでも減少するようになる。ノルアドレナリンの減少を繰り返すと、受容体の感受性が上昇し、小さな刺激に対しても過敏に攻撃・逃避反応をするようになる。過剰だと、躁状態が起こりやすい。
- ノルアドレナリンを不活性化するCOMTの遺伝子の多型は、痛がりとも関連があるらしい。しかし、痛がりについては、COMTによるドーパミンの代謝と関連するエンドルフィン分泌量の違いによる。
- 6-hydroxydopamine (6-OHDA):ドーパミン作動性ニューロンおよびノルアドレナリン作動性ニューロンを選択的に変性除去するために用いられる神経毒
○ニューロペプチド Y: NPY ←→NPY受容体
- ブタの脳から単離された36アミノ酸からなる神経ペプチドで、膵ポリペプチドファミリーに属し、高い種相同性が維持されている。
- 自律神経系と脳内に広く分布する。特に視床下部に多く、弓状核から室傍核、背内側核に神経線維を投射している。
- NPYは下垂体ホルモン放出作用、自律神経系への作用、摂食、性行動、エネルギー収支の調整、記憶と学習、てんかんなどの対する作用などさまざまな神経内分泌作用をもつと考えられている。
- 摂食を促進するペプチドにはNPY、メラニン凝集ホルモン(MCH)、オレキシン、アグーチ関連ペプチド(AgRP)、グレリンなどがあるが、NPYの摂食促進作用はペプチドの中でもっとも強力
- NPYとAgRPは弓状核で同じニューロンに含まれる。弓状核のNPYニューロンは視床下部内に投射していて、室傍核、背内側核、外側野などでは密な線維網を形成している。とくに外側野ではNPYの線維がMCHニューロンに接して存在し、NPYニューロンはMCHニューロンを調節していると考えられている。
- 一部の交感神経節後線維がNPYを含む。
- ネコの顎下腺に節後線維を送る上顎交感神経節ニューロンの場合、その約半数がノルアドレナリンとNPYを含み、残りの半数がノルアドレナリンのみを含んでいる。NPYを含んだ節後線維は主として顎下腺の動脈洞の動脈の血管に分布し、ノルアドレナリンのみを含んだ節後線維は顎下腺細胞と静脈側の血管に分布している。
- NPYは強力な脳動脈収縮物質で、脳動脈に分布する交感神経節後線維もNPYを含んでいて、アドレナリン作動性の血管収縮効果を増大させる。NPYによる血管拡張は、α/β遮断薬では抑制されないが、星状神経節ブロックでは抑制される。
- NPYは後角細胞の興奮性を低下させる。
- 神経損傷後、DRGにある細胞体の核内のNPY遺伝子発現が増加する。
- 一次求心性線維終末に対しては、侵害受容機能を増強する。
- RSD患者の患肢から採血した血液中のNPY濃度は、コントロールに比べて低く、患部では交感神経活動が低下している。
- NPY脳室内投与により摂食行動が促進し、その作用部位は視床下部である。
- NPY脳室内投与により抗不安作用が促進し、その作用部位は扁桃体とされていて、扁桃体中心核へのNPY局所注入でも抗不安作用がみられるが、摂食行動の促進作用はみられない。選択的Y1レセプターアゴニストの脳室内投与による抗不安効果、Y1レセプターのアンチセンスヌクレオチドを用いたY1レセプター発現抑制に伴う不安増大から、NPYの抗不安作用は扁桃体中心核のY1レセプターを介して発揮されると考えられている。
○メラニン凝集ホルモン melanin-concentrating hormon:MCH
- MCHは北里大学の川内浩司らによって1983年に、サケ脳下垂体から、色素制御ホルモンとして同定された。
- メラノサイト刺激ホルモン:MSHが皮膚色を黒色化するのに対して、MCHはメラニン顆粒を凝集することにより、皮膚を白色化させる。
- サケMCHは17個のアミノ酸残基からなるのに対し、ラットやヒトの19個のアミノ酸残基からなる環状の神経ペプチド
- 哺乳類ではMCHは視床下部外側野に著しく局在し、MCH陽性ニューロンは脳内に非常に広範囲にわたって投射する。
- 哺乳類では、摂食行動、気分、睡眠-覚醒サイクル、エネルギーバランスの調節に関与している。
- 1998年にMCH欠損マウスが作成され摂食量が低下し体重も減少することが報告された
- ほ乳類にもよく保存されており、視床下部に存在する少数の神経細胞がMCHを産生し、脳全体に軸索を投射する。摂食行動亢進に関与するとされてきたが、近年睡眠覚醒調節にも関与していることが報告されている。
- 山中章弘先生のグループはマウスを用いた実験で、視床下部に少数存在するMCH神経がレム睡眠中に活動し、記憶を消去する役割があることを発見した。2/1
- 海馬に軸索を伸ばす神経細胞体を網羅的に標識するために、軸索末端から取り込まれて細胞体に逆行性に輸送される蛍光ビーズをマウス海馬に微量注入すると、視床下部にも蛍光ビーズで標識された細胞体が数多く観察され、免疫組織化学的解析によって、その大半がMCH神経であることがわかった。視床下部にはMCH神経とほぼ同数のオレキシン神経が局在し、睡眠から覚醒への切替えに働くが、ビーズで標識されたMCH神経の数はオレキシン神経の4倍もの数で,MCH神経の海馬への投射は際立って密である。MCH神経の軸索が緑色蛍光で観察できる遺伝子改変マウス(MCH-tTA;TetO YCnano)の海馬の観察においても、MCH神経軸索が密に投射していることが確認された。
- 海馬に投射しているMCH神経の末端をOptogenetics(channelrhodopsin2:ChR2)の手法で活性化すると、海馬の神経の活動が抑制された。
- ファイバーフォトメトリーで神経活動を測定しながら、同時に脳波と筋電図を用いて睡眠と覚醒を判定すると、マウスではレム睡眠時にMCH神経の活動が強くなることが判明した。MCH神経には、①覚醒時に活動するMCH神経、②レム睡眠時に活動するMCH神経、③覚醒時とレム睡眠時の両方で活動するMCH神経の3種類が存在する。
- 新奇物体認識試験や文脈的恐怖条件付け試験による恐怖記憶はMCH神経の活動を活性化したところ、一度記憶が形成されているにもかかわらず、その消去が進むことが判明した。
○アグーチ関連タンパク Agouti-related protein:AgRP
- 摂食を促進するペプチド
- 弓状核ではニューロペプチドYと同じ神経細胞(NPY/AgRP ニューロン)で産生される。
- 哺乳類の場合、視床下部においてMC4Rを介して摂食を抑制するα-MSHと、その作用を阻害することで摂食を促進するアグーチ関連タンパクによってその、エネルギー代謝は調節されている。
マウス
- agouti (A)遺伝子:毛色を決定している遺伝子、α-MSHから受ける刺激を抑制する働きをするアグーチタンパクを作る指令を出す。多くの哺乳動物の野生型遺伝子
- 野性型のマウス:灰色がかった茶色に見えるが、実際は黒い毛の先端の少し下の部分に黄色の帯がある。
- 野性型は断続的に発現するアグーチタンパクによってα-MSHを抑え、適当量のフェオメラニンが合成され、毛色は少し茶色がかった黒となる。
- non-agouti (a) :劣性ホモ (a/a)---劣性対立遺伝子である nonagouti (a) がホモになると、マウスは黒色になる。α-MSHの過剰な場合と酷似している。
- non-agoutiではα-MSHの拮抗作用がなくなったため、α-MSHが過剰となり、毛が黒色化する。
- アグーチマウス(agouti mouse):脳内のMC4受容体を阻害するペプチドを生成させる突然変異をもつマウスの系統で、黄色い毛皮と肥満を呈する。
- 致死性黄色変異(Ay)という突然変異で全身に agouti が発現するとマウスが肥満になる。
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ジャンガリアンハムスター
- ノーマル:茶褐色の体毛を持ち、背面正中線上に一本の黒い帯がある。また、冬になると、毛の色が白色に変化する。
- ウィンターホワイトプディング(Ay遺伝子(Ay/-)):連続的にアグーチタンパクが作られるのでメラノソームはαMSHからの刺激をほとんど受け取れず、フェオメラニンの合成が多くなり、体色が黄色くなる。フェオメラニンは目に対して作用しないので、目は黒い。
- プディングは遺伝学的にはアグーチイエローと呼ばれる毛色で、この毛色のものは必然的に肥満因子を持ち合わせている。
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○コカイン・アンフェタミン調節転写産物 Cocaine and amphetamine regulated transcript:CART ←→コカイン-アンフェタミン
- 摂食を抑制するペプチド
- ヒトのCARTPT遺伝子によってコードされるニューロペプチド
- 報酬、摂食、ストレスの役割を担う内在性精神刺激薬(psychostimulant)
- 動物においてコカインやアンフェタミンと同様の挙動を示すニューロペプチドであるが、コカインの共投与する時には逆にコカインの効果をブロックする。
- CARTは腹側被蓋領域:VTAなどの領域に存在する。CARTをラットのVTAに注入すると、コカインやアンフェタミンなどの物質によって引き起こされる「中枢刺激」の兆候の1つである歩行活動の増加がみられる。ラットは注射された場所に再び戻る傾向があり、これは条件付場所嗜好 conditioned place preference と呼ばれる。
- CARTペプチド、特にCART (55–102)は、エネルギー恒常性の調節において重要な機能を有し、いくつかの視床下部の食欲回路と相互作用する。CART発現は、食欲調節に関与するいくつかの末梢性ペプチドホルモン(レプチン、コレシストキニンおよびグレリンなど)によって調節され、CARTとコレシストキニンは食欲調節に相乗効果を示す。
- CARTは、側坐核における反復ドーパミン放出に応答して放出され、この領域におけるニューロンの活性を調節し得る。CART産生は、薬物乱用の発症に関与すると考えられるタンパク質であるCREBによってアップレグレーションされていて、CARTは、覚醒剤乱用の治療において重要な治療標的であり得る。
- オキシトシンに応答する迷走神経(求心性)の約80%は、神経伝達物質としてCARTを含有していて、迷走神経から脳への情報伝達物質としてCART を利用している可能性がある。
- レプチンの欠損ob/obマウスではCARTの発現が著明に低下している。
○ガラニン Galani:GA ←→ガラニン受容体
- ヒトのガラニンは29〜30個のアミノ酸から構成されるペプチド
- アミノ酸123個のプレプロガラニンからプロセシングされ、2種類のガラニン分子を生じる。
- 分布(生産部位):免疫学的陽性物質は哺乳動物の中枢神経系(視床下部、下垂体神経葉、仙髄)、末梢神経系(消化管神経線維、膵島神経、膵外分泌腺神経、副腎髄質)、腺下垂体前葉、泌尿生殖器系(輸精管、陰核海綿体、膣、子宮)にみいだされる。
神経系 | 反射抑制、海馬からのアセチルコリン分泌抑制。抑制性神経伝達物質と考えられる。 |
腺下垂体 | 視床下部経由(VIP放出、GRH放出)でプロラクチン、GHの放出を促進。 |
胃、膵 | インスリン、ガストリン、SRIFの分泌抑制。 |
消化管 | 平滑筋の収縮抑制。 |
- ガラニンは正常時は侵害受容性であり、損傷時には抗侵害性に働く。
正常 | 損傷時 |
- CGRPやP物質を放出するDRGの小型ニューロンに共発現していて、侵害受容に関与している。
- GalR2受容体は、PLCとカップルし、細胞内 Ca++を上げる。
- ガラニン受容体に対する非特異的アンタゴニストであるM35は、炎症時のワインドアップおよび脊髄の感受性を増進する。
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- 神経損傷時、ガラニンは抗侵害受容作用を有し、脊髄の興奮性の亢進を抑制し、P物質の作用を軽減する。
- GalRl受容体を介して、抗侵害受容性に働く。ACとのカップルを阻害する。
- 脊髄後角II層においては、ガラニンはエンケファリンとともに発現していて、モルヒネの抗侵害受容作用を増強する。この増強作用は、CCK2受容体アンタゴニストPD134,308とともに投与した場合に特に顕著。
- 軸索切断はGalR2受容体mRNAの発現を減少させるが、神経損傷時にも脊髄後角ニューロンのGalR1受容体が正の調節を受けると示唆する知見も最近報告されている。
- 弓状核ARCでは、ガラニンは鎮痛に働いていて、ホルマリンテストやCCIによる神経障害性疼痛により、ARCでのガラニンの放出が減少し、β-エンドルフィンの産生や放出が減少して、痛みが増強する。
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○ボンベシン、ニューロメジン
- ボンベシンはアミノ酸14個の直鎖ペプチドである。
- ボンベシン様ペプチドには、アリテシン、ニューロメジン B、ニューロメジンC、ガストリン放出ペプチド:GRPがあり、受容体を介して、内外分泌の調節、ホメオスタシスの調節等、様々な生理作用を持つことが知られている。
類似物質 | アミノ酸 | 分布(生産部位) |
ボンベシン bombesin | pEQRLGNQWAVGHLM-NH2 | カエル(両生類)皮膚 |
アリテシン Alytesin | pEGRLGTQWAVGHLM-NH2 |
ニューロメジン B Neuromedin B | GNLWATGHFM-NH2 | 哺乳類の中枢神経系(室傍核、脚間核、青斑核、中心灰白質、孤束核の細胞)、視床下部、視床、延髄、脊髄に高濃度に存在。交感神経節、胃腸管神経叢。
ボンベシン様免疫活性陽性物質は、胃、腸粘膜の内分泌細胞、子宮、膣、母乳中に見いだされる。 |
ニューロメジン C Neuromedin C | GNHWAVGHLM-NH2 |
視床下部 | TRH放出抑制、SRIF放出促進(結果としてTSH分泌抑制、またGRH、PGE2に拮抗してGH、プロラクチン放出抑制) |
副腎髄質 | カテコールアミン放出促進 |
胃、腸、膀胱 | 平滑筋収縮 |
胃腸膵管系 | ガストリン、グリセンチン、CCK、インスリン、SRIF分泌促進 |
中枢 | 血圧上昇、心拍数減少、体温低下、血糖上昇、食欲低下、胃酸分泌 |
ガストリン放出ペプチド gastrin-releasing peptide:GRP ←→ガストリン放出ペプチド受容体
- ガストリン分泌刺激作用を有する脳腸ホルモン、ボンベシン様ペプチドの一つ
- 1979年にブタの消化管から精製された。
- 豚の胃から分離された消化管ホルモンであり、本来の作用はガストリンの血中への分泌促進である。
- 中枢および末梢神経系の双方でGタンパク共役型受容体(GPCR)を通して作用する。
- 脊髄レベルで勃起や射精といった雄の性機能を支配する神経ペプチドである。脳へ投射する脊髄GRPニューロン群は雄優位であることから、GRPは雄の交尾行動(性行動)の制御にも関与すると考えられる。
- 脊髄後角神経の中でガストリン放出ペプチド受容体(GRPR)陽性神経は、痒み感覚を選択的に伝達する神経集団として同定されている。
- ガストリン放出ペプチドは小細胞肺がんで高率に産生されていて、肺小細胞がんのオートクライン増殖因子として働いていることが知られている。
- 肺小細胞がんからも産生されることが判明し、GRPの前駆体であるガストリン放出ペプチド前駆体:ProGRPも、GRPと切断されたフラグメントとして同時に血中に放出されている。
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ニューロメジンB neuromedin B:NMB
- ボンベシン様ペプチドの一つ
- 1983年に南野らによって精製された。
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○ニューロテンシン Neurotensin:NT ←→ニューロテンシン受容体 参考1
分子量 〜1,700
- ニューロペプチド:13個のアミノ酸からなる脳腸ペプチド
- 神経伝達物質とホルモンの両方として機能している。
- 1973年にCarraway & Leemanがウシの視床下部から分離した。
- ニューロテンシンは類似ペプチドであるニューロメジンN、ニューロメジンN様ペプチドと同一の遺伝子によりコードされている。
- 生産部位・分布:免疫学的陽性細胞は中枢神経系(視床下部視索前核、大脳辺縁系、脳幹)、脊髄後角、空腸や回腸の内分泌細胞(N細胞)に存在。正中隆起部に高濃度(60pmol/g、ラット)に存在。心臓に陽性神経網。
- 標的器官:中枢神経系、胃腸膵管系、末梢血管
- 受容体:膜7回貫通−Gタンパク共役型PKA系
- 腸では広範な消化過程を調節していて、脳では食物摂取の抑制を調節している。
- ニューロテンシンがオレキシン神経を活性化する。
- 中枢作用:黒質一線条体ドーパミンシステムの調節(ドーパミンの代謝回転や遊離の促進)、侵害刺激伝達の抑制、低体温をもたらすこと、ノルアドレナリンやダイノルフィン投与により引き起こされる摂食行動の抑制などが知られている。
- 脳ではオピオイド非依存性鎮痛作、ドーパミン作動系の機能がある。
- ニューロテンシンを脊髄内に投与すると、侵害受容反応が抑制される。
●オーファンGCRPの内因性リガンド ←→オーファンGタンパク質共役型受容体
→オレキシン →ニューロペプチドB/W
○オレキシン orexin = ヒポクレチン hypocretin ←→オレキシン受容体 参考1
- オレキシン(別名ヒポクレチン)は1998年に2つの研究グループが、それぞれ別に発見した神経ペプチド
- 桜井武 and 柳沢正史らはオーファンGタンパク質共役型受容体の内因性リガンドとして同定した。
- 前駆体タンパク質であるプレプロオレキシンから生成され、7回膜貫通型Gタンパク共役型受容体(GPCR)に結合する。
- 摂食中枢である視床下部外側野とその周辺の特定のニューロンに特異的に発現している。
- ラットの脳室内に投与すると著明な摂食亢進がみられることことから、その生理機能は摂食行動を制御する神経ペプチドとして注目を集めた。
- ギリシャ語で食欲を意味する「orexis」から「orexin」と命名した。
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- Luis de LeceaとJohn Gregor Sutcliffeらは、視床下部に限局して分布する新規神経ペプチドとして同定した。
- 視床下部 「hypothalamus」から「hypocretin」と命名した。
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- オレキシンAとオレキシンBの2つのアイソペプチドからなり,これらは共通の前駆体から生成される。オレキシン受容体も二種類(オレキシン1:OX1Rおよび2:OX2R)存在する。受容体もオレキシンAとBと一対一の対応ではなく、OX1RではオレキシンAに対する親和性がBの10倍高く、OX2RではAとBに対して同様の親和性を持っている。
オレキシンA | - 33個のアミノ酸(分子量3562)からなるペプチド、内部に2対のジスルフィド結合がある。
- ヒト、ウシ、ラット、マウスのオレキシンAの構造は完全に一致している。
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オレキシンB | - 28個のアミノ酸(分子量 2937)からなるペプチド、ジスルフィド結合はない。
- オレキシンAとBの相同性は46%であり、他の既知ペプチドとの相同性は低い。
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- オレキシンを含む神経細胞は視床下部外側野:LHAとその隣接領域に限局している。
- オレキシンニューロンからは脳内の広汎な領域に興奮性の入力を送っている。
神経線維は脳の覚醒/睡眠に関連する神経核(青斑核、背側縫線核、結節乳頭核:TM核、前脳基底核、外背側被蓋核:LDT核など)、血圧調節に関連する神経核、および脊髄では痛みに関係する後角第Ⅰ層および中心管周辺の第X層に興奮性の入力を送っている。
- 腹側被蓋野:VTAや側坐核に投射し、脳内報酬系にも関わる。
ドーパミン神経伝達の増強にも関与している。
- ラットにオレキシン1受容体アンタゴニストを投与すると、コカインに対する運動増感反応が阻害され、VTAドーパミン神経におけるコカイン誘発性の興奮性電位増強が遮断する。
- 生理的に交感神経系を活性化し心拍数、血圧を増加させる。
- 最初オレキシンは摂食促進作用が注目されたが、覚醒/睡眠の調節に重要であると考えられている。
- 視床下部外側野:LHAに局在するオレキシンは覚醒にも関与している。
- オレキシン遺伝子を破壊したマウスにはナルコレプシー症状が現れることが明らかになっている。
- ヒトのナルコレプシー患者においても視床下部のオレキシンを作る神経細胞が消滅していることが明らかにされている。
- 90%以上の患者で髄液中のオレキシンが検出されないことも報告されている。
- オレキシンニューロンも覚醒時に最も高い活動を示すWニューロンであることが確認された。
- オレキシンニューロンに対しては、ヒスタミン、アセチルコリンは興奮性に、ノルアドレナリンとセロトニンは抑制性に作用する。
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○ニューロペプチドW neuropeptide W:NPW
○ニューロペプチドB neuropeptide B:NPB
- NPWは、武田薬品工業(株)グループがオーファンGPCRであるGPR7(Gi共役型オーファン受容体)およびGPR8の内在性リガンドとしてブタ視床下部から発見した。
- 生理活性を指標とした組織抽出物からの単離あるいはin silicoでのデータベースサーチという全く異なるアプローチによって発見された。
- 摂食調節などの生理活性を有することが明らかになっている。
- NPB投与によって摂食を亢進したり、痛覚鈍麻が引き起こされる。
- NPWあるいはNPBは脳室内投与あるいは髄腔内投与により、炎症性疼痛およびアロディニアを緩和する。
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○アデノシン三リン酸 adenosine triphosphate:ATP
←→ATP受容体/発痛物質/ATP感受性カリウムチャネル/トアンスポーター/ABCタンパク/ABCトアンスポーター/ATP製剤 参考1
- ATP受容体がクローニングされる頃までは、ATPが細胞外に放出されて、様々な情報伝達に関与するとは考えられていなかった。
- Geoffrey Burnstock(1929〜, University College Londonの薬理学者)は1972年にATPが情報伝達分子であることを初めて提唱した。さらに1976年に古典的伝達物質と一緒に放出される共伝達物質であることを提唱した。[YouTube]
- ATPやアデノシンなどのヌクレオチドを情報伝達物質とする細胞間情報伝達を、「プリン作動性化学伝達」といい、痛みや味覚等の感覚の伝達だけでなく、中枢・末梢において多彩な生理機能と密接に関わっている。
- ATPは特にグリア細胞から放出されることが知られ、「グリア伝達物質」と呼ばれる。
- グリア伝達物質ATPは、周辺のアストログリア、他のグリア細胞、血管系、さらに神経細胞と積極的にコミュニケーションをとって、脳機能を制御している。
- 脊髄後角内のミクログリアから放出されるATPは、神経障害性疼痛のアロディニアに関与する。
- 神経損傷時に、脊髄後角内のミクログリアに発現するP2X2受容体がアロディニアに関与する。
- 傷害を受けた神経細胞から放出されたATPは、脊髄内ミクログリアのP2X4受容体を刺激して、p38あるいはERK1/2などのMAPKsリン酸化を活性化し、各種サイトカインを遊離させる。
- ATPはアストログリアを刺激し、サイトカインを産生遊離させる。
- ATPはノルアドレナリンの共伝達物質であるが、交感神経伝達に対しても抑制性調節因子として機能する。
逆行性伝達物質 retrograde messengers, retrograde signals 参考1
- 化学シナプスにおいてシナプス後部から細胞外へ放出されて、シナプス前終末に作用しシナプス伝達を調節する物質をさす。
- 逆行性伝達物質によってシナプス後細胞はシナプス前側の活動を調節することができる。
- 逆行性伝達物質には様々な種類があるが大別すると、脂質、気体分子、神経栄養因子、ペプチド、古典的神経伝達物質がある。
脂質
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気体分子
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神経栄養因子
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オピオイド
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古典的神経伝達物質
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