大麻 Cannabis, hemp 学名:Cannabis sativa L
- アサ科 Cannabaceae アサ属 Cannabisの一種の葉上植物。雌雄異株。
- 中東原産で、中国では4500年前から栽培されていたようである。
- 中国やインド、ギリシャ、ローマでは紀元前から、大麻の鎮痛作用や陶酔作用を治療や儀式などに利用してきた。
- 日本でも紀元前から栽培され、『後漢書』の東夷伝や『魏志倭人伝』に記述が見られる。
- 大麻の葉及び花冠には陶酔作用がある。
マリファナ marijuana:花冠を乾燥させて切り刻んだもの
ハシシュ hashish:花冠から採取した樹脂を加工したもの(大麻樹脂)
ガンジャ ganja:樹脂に花冠を混ぜたもの
- 2000年以上前から中央アジアで品種改良された亜種のインド麻(ラマルクによる命名)は、大麻より多くの陶酔成分を含んでいる。
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△-9テトラヒドロカンナビノール (△-9 tetrahydrocannabinol ): △9-THC
- マリファナの有効成分
1964年 | ヘブライ大学のRaphael MechoulamとYechiel Gaoni が分離に成功した。 |
1992年 | Mechoulamの研究室において、チェコの分析化学者Lumír Ondřej Hanušアメリカの分子薬理学者William Anthony Devaneがアナンダミドを分離し、構造決定が行った。 |
- △9-THCは、CB1受容体とTRPA1(ANKTM1)受容体 を活性化させる。
- マリファナを摂取すると,時間感覚・空間感覚の混乱,多幸感,記憶の障害,痛覚の低下,幻覚など多彩な精神神経反応がみられる。
- マリファナは、快楽を誘う一方、がん患者での苦痛の削減や食欲増進、多発性硬化症のけいれん治療に効果があるとされている。
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カンナビジオール (cannabidiol): CBD 参考1
- 大麻草の花穂の樹脂の中にできる天然の化合物
- 麻に(薬用の大麻以外にも)含まれる、少なくとも113あるカンナビノイドのひとつ。
- 主なフィトカンナビノイドで、麻の抽出物の計40%までの割合を占めることもある。商品名エピディオレックスとして、アメリカで2018年に医薬品に承認、欧州では2019年に承認
- 大麻草の成熟した茎や種子のみから抽出・製造されたCBD(カンナビジオール)を含有する製品については、大麻取締法上の「大麻」に該当しないが、当該製品を輸入する前に、麻薬取締部においてその該否を確認している。*
- 多くの試験から良好な安全性の特徴、忍容性があり、テトラヒドロカンナビノールのような典型的な効果(精神作用)はなく、乱用、依存、身体依存、耐性はみられない。
- CBDは広く医療への応用の可能性があるとみなされている―臨床報告によると、副作用が少なく、特に向精神作用がなく、精神運動学習や心理的な機能に影響がない事などがその理由である。医薬品としての治験が完了しているものがあり、また規制を緩和した国が見られる。
- 薬物規制に関する国際条約による規制はない。健康食品や化粧品成分としても流通している。
- 2009年の文献レビューでは、抗不安、抗てんかん、神経保護、血管弛緩、抗けいれん、抗虚血、抗ガン、制吐、抗菌、抗糖尿、抗炎症、骨の成長促進についてCBDの薬効が列挙されている。
- 日本で流通しているものは規制対象ではない麻の茎と種から抽出されている。健康食品としてのCBDは、オイルやバーム、キャンディーなどに加えられ摂取される。
- 日本では2020年頃から、既成の輸入食品ではなく、CBDを輸入し国内で食品を加工する国産ブランドが台頭してきた。
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- 1998年11月には、英国上院の科学委員会が医師による大麻の処方、患者による使用の合法化を政府に対し推奨した。医薬品基準に必要とされる 大麻の長期臨床試験を認可したものの、政府は即刻の医療大麻開放を求める上院 の推奨を拒絶。とはいえ、医療目的で大麻を所持し逮捕された人々に対し、英国 法廷の陪審員が無罪判決を下すという、現行の法律に矛盾する状況が生まれつつある。
- 1999年米国NIHと米科学アカデミーの報告では、マリファナはエイズやがんの痛みなどにも有効とした。
1999年3月、米国政府から研究資金を得て医学研究所(IOM: Institute of Medicine)が実施した研究レポートが、「大麻の摂取は、特定の患者にとって、 摂取によるリスクを上回る治療的有益性がある」ことを示す「相当規模の合意」を見たと報告した。同報告書は、「痛みやエイズによる憔悴といった慢性的症状 を呈する患者にとって、大麻吸引以外、症状が緩和される明瞭な代替方法がない ことを認識」し、医師による個別のマリファナ臨床研究を許可することによって 患者のマリファナ入手を可能にする勧告書が出された。しかし、米国政府はそれを拒否した。
2005年も、米国最高裁は、再び「医療マリファナ」の使用を違法とする判定を下した。しかし、今回の判定も、マリファナの医療目的での使用を認める州法を侵すものではなく、連邦議会が全米での使用を禁じる法案を決議すべきとしている。
- 2001年にカナダ政府が、治療用大麻を末期患者に限って世界で初めて使用を認めた。
- 2003年11月オランダは、世界で初めて国家レベルで、薬局での医療用大麻の販売を解禁した。医師の処方箋があれば購入できる。
- オランダ政府の認可を得た2企業が生産し、薬局で販売している。しかし、麻薬の輸出入は厳しく罰せられ、取引・生産も処罰される。
- オランダでは、ハードドラッグ(覚醒剤・コカイン等)とソフトドラッグ(大麻・マリファナ等)を法律でと区別している。
ソフトドラッグはハードドラッグにみられるような禁断症状等の中毒や常習化を起こすことが少なく、アルコールやタバコに比べても犯罪を犯すケースが少ないと考えられている。
- しかし18才以上であれば、医療用大麻以外のソフトドラッグをコーヒーショップで購入できる。
(オランダでは、コーヒーを飲む店はカフェ、コーヒーショップはマリファナやハッシシを扱う店。)
- それ以降、ベルギー、スペイン政府が試験的な医療大麻機関設立へ踏み出している。
- 日本では医療目的であっても大麻の使用は禁じられている。
- 大麻取締法・覚せい剤取締法等により、ソフトドラッグ・ハードドラッグ共に使用が違法となっている。
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