■治療薬 | │オピオイド系鎮痛薬(オピオイド系鎮痛薬と拮抗性鎮痛薬)│ |
麻薬 narcotics:依存性を持つために、国によって規制を受けている薬の総称 アヘン(アヘン) opium:ケシの未熟果実に傷をつけて滲出する乳液を乾燥したもの アヘンアルカロイド:アヘンに含まれるアルカロイド オピエート opiate:モルヒネ由来の天然物及び合成薬物 内因性オピオイドペプチド endogenous opioid peptide:オピオイド受容体に作用する生体内で産生されるペプチド オピオイド系鎮痛薬(麻薬性鎮痛薬):オピオイド受容体に作用する鎮痛薬 オピオイド opioid:オピエート様物質。内因オピオイドペプチド、天然アルカロイド、合成物質などのモルヒネ用作用を持つもの、及びそれらの拮抗物質。 |
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→ |
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○オピオイド系鎮痛薬↓と麻薬拮抗性鎮痛薬↓
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◎:強作用性オピオイド:天井効果がないオピオイド ○:弱作用性オピオイド:天井効果があるオピオイド △:部分作動性 ×:拮抗 →レボルファノール →ジヒドロモルヒネ →エトルフィン →ナルトレキソン →ヘロイン
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アヘンアルカロイド(オピエート)=天然オピオイド |
半合成オピオイド semi-synthetic opioid |
合成オピオイド synthetic opioid |
内因性のオピオイド |
morphinan モルフィナン系 | ||||
benzomorphan ベンゾモルファン(ベンゾアゾシン)系
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phenylpiperidine フェニルピペリジンあるいはフェニルプロピルアミン系
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モルヒネ則 morphine rule:オピオイド鎮痛薬に共通する構造的特徴
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モルヒネ morphine ←→硬膜外
[モルヒネの薬物動態] オピオイドの薬物動態↓
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フェンタニル fentanyl(フェンタネスト® デュロテップ) ←→硬膜外
フェンタニルアナログ fentanyl Analogs、違法フェンタニル Illegal fentanyl ←→危険ドラッグ
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レミフェンタニル remifentanil(アルチバ®)
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メペリジン meperidine/塩酸ペチジン pethidine(オピスタン Opystan® demerol®)
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コデイン codeine
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オキシコドン OxyCodone
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(ジヒドロモルヒネ/)ヒドロモルフォン hydromorphone(ナルラピド®、ナルラピド®、ナルベイン®)
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メサドン methadone(メサペイン® dolophine®) 参考1
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テバイン thebaine
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ブプレノルフィン buprenorphine(レペタン®、ノルスパンテープ®) ←→硬膜外
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塩酸トラマドール tramadol(tramal®, クリスピン®, Ryzolt®) 参考→1
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タペンタドール tapentadol(タペンタ®、Nucynta®、Palaxia®)
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ペンタゾシン pentazocine(ソセゴン®/ペンタジン®/ペルタゾン®)
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ナロルフィン nalorphine
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ブトルファノール butorphanol | ||||||||
酒石酸レバロルファン levallorphan | ||||||||
エプタゾシン eptazocine(セダペイン®) | ||||||||
塩酸ナルブフィン Nalbuphine hydrochloride, nubain(セダペイン®) | ||||||||
ナルフラフィン塩酸塩 Nalfurafine hydrochloride(レミッチカプセル®) 参考1/2
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ナロキソン naloxone
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ナルデメジン naldemedine(スインプロイク® Symproic)
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レボルファノール levorphanol(レボルファン®)
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エトルフィン etorphine(Immobilon or M99)
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ナルトレキソン naltrexone
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ヘロイン heroin(diamorphine)
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→内因性オピオイドペプチドと同様の作用機序
中枢と末梢のオピオイド受容体に作用する。
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末梢 | |
中枢 |
グルクロン酸抱合 glucronization
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グルクロン酸 glucuronic acid
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50分の1量 | 10分の1量 | 鎮痛に必要な量 | 高用量 |
便秘を起こす! | 吐き気を起こす! | 眠気や呼吸抑制などの危険な副作用! |
3大副作用 ・便秘 ・悪心・嘔吐 ・眠気 |
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(1)便秘に対する予防と対策 ←→緩下薬
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(2)悪心・嘔吐に対する予防と対策 ←→嘔吐中枢
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(3)眠気に対する予防と対策 ←→睡眠
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その他の副作用 ・耐性 ・依存性 ・呼吸抑制 ・錯乱 ・せん妄 ・オピオイド誘発性痛覚過敏:OIH ・無気肺 ・気管支痙攣 ・喉頭浮腫 ・麻痺性イレウス ・中毒性巨大結腸 ・肝機能障害 ・尿閉 | |||||||||||||
口渇 | 唾液の分泌を促す。 | ||||||||||||
発汗 | 換気、衣服の交換 | ||||||||||||
めまい、ふらつき | 前庭神経・前庭神経核の機能的異常によって生じる。ふらつき感を自覚する患者の中には耳鳴りを伴うことがある。 オピオイド量の調節、多薬への変更 | ||||||||||||
痒み | 抗ヒスタミン剤(症状が強いときには、モルヒネ不耐性を疑う。) | ||||||||||||
排尿障害 |
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せん妄 |
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気分高揚 |
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うつ状態 |
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呼吸抑制 | |||||||||||||
ミオクローヌス |
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オピオイド耐性 opioid tolerance モルヒネ耐性 morphine tolerance ←→モルヒネ不耐性/オピオイド型薬物依存/耐性
退薬症状(離脱症状、禁断症状) withdrawal symptoms ←→オピオイド型薬物依存@退薬症候
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オピオイド誘発性痛覚過敏 opioid-induced hyperalgesia:OIH *
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→オピオイド誘発性便秘 opioid-induced constipation:OIC |
オピオイド使用障害 opioid use disorder:OUD ←→オキシコドンの誤用/乱用/使用障害/物質使用障害
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continuous dose
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レスキュー・ドーズ rescue dose→参考1
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lock out time
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→速放性製剤 immediate release:IR、 fast release:FR オピオイド速放製剤 immediate-release opioids
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長時間作用性オピオイド製剤 long acting opioids:LAO 徐放性製剤 sustained release preparation:SR、slow release、extended release:ER、prolonged release
OxyContin®、オキシコドン徐放錠®、オキシコンチンTR錠®、オキシコドン徐放錠NX® |
薬剤名 | 製品名 | 一般名 |
硫酸モルヒネ | MSコンチン錠 | 硫酸モルヒネ徐放錠 |
モルペス細粒 | 硫酸モルヒネ徐放性細粒 | |
MSツワイスロン | 硫酸モルヒネ徐放性カプセル | |
カディアン | 硫酸モルヒネ徐放性製剤 | |
塩酸モルヒネ | 塩酸モルヒネ末 | 塩酸モルヒネ末 |
塩酸モルヒネ錠 | 塩酸モルヒネ錠 | |
オプソ | 塩酸モルヒネ内服液 | |
アンペック坐剤 | 塩酸モルヒネ坐剤 | |
塩酸モルヒネ注 | 塩酸モルヒネ | |
プレペノン注射液 | 塩酸モルヒネ | |
(ブロンプトンカクテル) | ||
塩酸オキシコドン | オキシコンチン錠 | 塩酸オキシコドン徐放錠 |
パビナール注 | 複方オキシコドン注射 | |
フェンタニル | デュロテップパッチ | 経皮吸収型フェンタニル製剤 |
フェンタネスト | クエン酸フェンタニル注射液 | |
イーフェンバッカル錠® | 口腔内吸収製剤 | |
アブストラル舌下錠 | 口腔内吸収製剤 | |
リン酸コデイン | リン酸コデイン原末 | リン酸コデイン原末 |
リン酸コデイン散 | リン酸コデイン散 | |
リン酸コデイン錠 | リン酸コデイン錠 | |
リン酸ジヒドロコデイン | リン酸ジヒドロコデイン原末 | リン酸ジヒドロコデイン原末 |
リン酸ジヒドロコデイン散 | リン酸ジヒドロコデイン散 |
ブロンプトンカクテル Brompton cocktail
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経口投与 oral | がん性疼痛の管理によく用いられ、効果がある。 |
経直腸投与 rectal | 経口投与と同僚を投与するが、吸収量に個人差がある。 |
経皮投与 transdermal | 脂溶性が高いフェンタニルが用いられる。 2-3日間隔の投与でコントロールでき、QOLを向上させる。 |
経口腔内粘膜投与 oral transmucosal | フェンタニルが用いられる。 急性増悪した痛みのコントロールに優れた効果を示す。 |
皮下投与 subcutaneous | ポンプでの持続投与が可能で、在宅管理が可能である。 耐性が生じやすい。 |
経静脈内投与 intravenous | 静脈確保し、持続投与を行う。 耐性が生じやすい。 |
経脊髄投与 epidural/intrathecal | 全身作用を少なくして、局所に高い鎮痛作用を持つ。 耐性が生じやすい。 |
→PCA |
硬膜外/くも膜下オピオイド | 神経ブロック | |||
作用部位 | オピオイド受容体 | 神経細胞膜 | ||
作用機序 | 神経伝達物質の放出抑制 2次ニューロンの過剰興奮抑制 | 神経伝達の遮断 | ||
作用神経 | C/Aδ線維 | 全ての脊髄神経 | ||
随 伴 症 状 | 交感神経遮断 (血圧・発汗低下) | なし | あり | |
感覚低下 | なし | あり | ||
運動障害 | なし | 可能性あり | ||
悪心、嘔吐 | 可能性あり | なし | ||
眠気 | 可能性あり | なし | ||
便秘 | あり | なし | ||
掻痒感 | あり | なし | ||
尿閉 | あり | あり |
よくあるオピオイドに対する誤解
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オキシコドンの誤用/乱用 ←→OxyContin®の粉砕/乱用防止製剤/改変防止製剤/オピオイド使用障害
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ブランディング branding
OxyContin®のブランディングミス misbranding、誤解を招くmisleading marketing * |
リチャード・ミルハウス・ニクソン(Richard Milhous Nixon, 1913/1/9日〜1994/4/22日)政権時代(第37代大統領 1969年1月20日〜1974年8月9日、共和党)
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ビル・クリントン(Bill Clinton)政権時代(第42代大統領 1993年1月20日〜2001年1月20日、民主党)
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ジョージ・ウォーカー・ブッシュ(George Walker Bush)政権時代(第43代大統領, 2001年1月20日〜2009年1月20日、共和党)
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バラク・フセイン・オバマ2世(Barack Hussein Obama)政権時代(第44代大統領, 2009年1月20日〜2017年1月20日、民主党)
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ドナルド・トランプ(John Trump)政権時代(第45代大統領, 2017年1月20日〜2021年1月20日、共和党)
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ジョー・バイデン(Joe Biden)政権時代(2021年1月20日〜 民主党) 参考1
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米国司法省 United States Department of Justice:DOJ | |||||||
米国保健社会福祉省 United States Department of Health and Human Services:HHS
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アメリカ合衆国農務省 United States Department of Agriculture:USDA |
米連邦破産法 Bankruptcy Code
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1977年 | IASPのchapterとして設立された。 |
1980年代 | APSは疼痛治療への幅広いアプローチを推進する最前線にあり、オピオイドの使用に慎重であった。しかし、リーダーシップの変化により、痛みを和らげるために麻薬を支持する異なる立場を取るようになった。 |
1986年 | Russell Portenoyは、難治性で、悪性でない痛みを持ち、薬物乱用の病歴のない38人の患者を対象とした研究で、オピオイド維持療法は嗜癖の恐れなく、安全かつ効果的に使用できると結論した。(Pain. 1986 May;25(2):171-186.) |
1989年 | フロリダの疫学者のJames David Haddoxは「疑似嗜癖 pseudo-addiction」に関連する用語を作った。処方薬依存症の典型的な徴候には、より多くの薬を必要とする人、薬を手に入れようと必死になっているように見える人、医師が処方しようとしている量よりも多くの薬を手に入れようと医師に相談している人などであるが、Haddoxは、鎮痛薬を渇望している人、依存性の高いオピオイドを入手するために医師に嘘をつくことをいとわない患者、薬を買いだめしたのに、さらに欲しいと懇願する患者は、疑似的な嗜癖に悩まされるかのようであるので、「pseudo-addiction」という用語を考案した。 |
1993年 | Russell Portenoyはオピオイド恐怖症について言及し、オピオイド嗜癖と乱用「医療神話 medical myths」であると述べた。オピオイドを「自然からの贈り物 a gift from nature」と表現していた。 |
1993年 | Russell Portenoyはニューヨーク・タイムズ紙で、「これらの薬は、副作用が少なく、長期間効果を発するという文献が増えている。」述べた。 |
1995年 | APSの会長であったJames Campbellが「痛みを体温、血圧、心拍、呼吸数に続く、第5のバイタルサイン」と定め、痛みは医師が対処すべき症状になった。 APSは「痛みは第5のバイタルサイン」という概念を推進するキャンペーンを主導した結果、2000年代には米国中の病院で、フェイススケールを診察室に導入し、医師に疼痛治療の優先順位付けさせることになった。患者が危険にさらされる可能性がある場合でも、痛みを緩和してほしいという要求に応じなければ、医師は倫理審判などの懲戒処分を受けることになるので、患者が医師に処方箋を書かせるようになっていた。 2001年からは、医療施設合同認定機構が、痛みの緩和を重視した治療手続を策定するよう病院等に求める、新たな基準を設定するに至り、その結果オピオイドの処方は急性の痛みや手術後の痛みの緩和、終末医療といった、治療上の伝統的な境界を超え、様々な症状に対して行われるようになった。 |
1997年 | APSと米国疼痛医学アカデミー(American Academy of Pain Medicine)は、慢性疼痛の治療にオピオイドが慢性的な痛みの治療に安全で効果的であり、依存症のリスクが低いという、影響力のある声明を発表した。James David Haddoxは声明の共著者であり、委員長として声明を発表した。 |
2009年 | American PainSocietyとAmericanAcademy of Pain Medicineは慢性非癌性疼痛のガイドラインを出した。 安全で効果的な慢性オピオイド療法 chronic opioid therapy:COTには、オピオイド処方の原則と、オピオイド乱用、依存症、および流用に関連するリスクの評価と管理の両方における臨床スキルと知識が必要である。 |
2014年 | 会員数ほぼ半分に減少し、会議への出席も著しく減少していた。 |
2017年 | 3月6日 William Maixner(1952〜2020/11/2, Duke Anesthesiology)がAPSの会長に選出された。 |
2018年 | 次期大統領Gary A.Walco博士、ABPP;財務官Tonya Palermo博士;Yenisel Cruz-Almeida |
APS、米国疼痛医学アカデミー(American Academy of Pain Medicine)と米国老年医学会(American Geriatrics Society)は、オピオイドクライシスを引き起こしたとされるPurdue PharmaやJohnson & Johnsonなどのオピオイドメーカーと共に、州政府や市政府が提起した多く訴訟で、被告として指名された。オピオイド訴訟で、数十億ドルの損害賠償を求めているSimmons Hanly Conroyを始めとする、複数の法律事務所に、APSは被告としての標的にされたのだ。 APSは製薬業界に取り込まれ、年間数十億ドル規模の産業に成長した麻薬性鎮痛剤の販売を促進することに加担したと批判された。2018年の上院の報告書によると、APSは製薬会社の資金で「オピオイドのチアリーダー cheerleaders for opioids」にさせられた組織の一部であるという。 APSは2017年までの5年間に、Purdue Pharmaを含む主要なオピオイドメーカーから100万ドル近くの支援を受けていた。APSを含む学会の専門家グループも、オピオイド製造業者から定期的に多額の助成金を受けていて、その見返りとして、医師が慢性疼痛に対してオピオイドを処方することを「一見」奨励し、製造業者が期待する「フロントグループ」として機能していたと、原告の弁護士は述べた。 | |
2019年 | 1月31日木曜日 統合的疼痛管理アカデミー Academy of Integrative Pain Management :AIPMが運営を停止した。 4月 会長のMaixnerは2019年の年次総会で、訴訟から解放されることを期待しているとAPSのメンバーに話した。APSのスポークスマンChuck Weberは、訴訟の状況が4月以降に変わっていないと言った。 5月22日 全会員にメールが送られた。理事会はAPSが破産手続きに入ることを推奨したことを説明した。時間と費用がかかると予想される訴訟と、会員数の減少や会議への出席の減少が相り、APSを不安定な財政状況に陥っている。 APS理事会は、会員メンバーが第7章破産申請の提出を承認することを推奨するかどうかを投票で決めることを、11対の1投票で決めた。 全会員の破産申請の承認の投票の締め切りは5月29日水曜日午後11時55分CDTまで APSのスポークスマンChuck Weberは、メンバーが理事会の推薦に投票すると、Journal of Pain、多数の研究助成金、若い投資家基金、およびグループの年次科学会議が消滅するか、他の組織に引き継がれると述べた。2020年の年次総会はすでにキャンセルされている。 6月 40年近くにわたって痛みの教育、研究、および支援を推進してきた、APSが解散した。学会の方針がオピオイドクライシスに寄与したと主張する訴訟と戦い、法的債務を負っていて、事業停止を投票で決め、連邦破産法第7条の適用を申請した。残り訴訟の防御に充てる代わりに、APSは2019年6月28日にイリノイ州北部地区の米国破産裁判所で、事業を停止する決定を下し、破産申し立てをした。 |
Russell Portenoy
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James David Haddox
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Lynn R. Webster
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Perry G. Fin
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「Empire of Pain: The Secret History of the Sackler Dynasty * 痛みの帝国:サックラー王朝の秘密の歴史」 Patrick Redden Keefe(1976年〜) 2021年4月発刊 |
「Dopesick: Dealers, Doctors, and the Drug Company that Addicted America * 禁断症状:アメリカを中毒(嗜癖)に追いやった売人、医師たちそして製薬会社」 |
1892年 | John Purdue Gray(1825/8/6–29〜1886/11/29)とGeorge Frederick Binghamの2人の医師がニューヨーク・マンハッタンに小さな製薬会社・Purdue Frederick Company(パーデュー・フレデリック社)を設立した。 | ||
1952年 | サックラー一族(Sackler family)(両親は東欧からのユダヤ系移民)の3兄弟(3人とも精神科医)が、Purdue Frederick Company(年商:約2万ドル)↑を買収し、事業はニューヨーク州ヨンカーズに移転した。 長男:Arthur Mitchell Sackler(1913/8/22〜1987/5/26) 次男:Mortimer Sackler(1916/12/7〜2010/5/24) 三男:Raymond Sackler(1920/2/16〜2017/7/17) 当時Purdue Pharmaは、下剤のSenokot、耳垢除去剤のCerumenex、消毒剤のBetadineなどの製品を販売していた。 | ||
Arthur Mitchell Sacklerには天才的なマーケティングの才能もあり、医師として働きながらも、広告代理店のWilliam Douglas McAdams Agencyで医療分野の担当者として画期的な戦略を立てた。当時ロシュが製造していたLibrium®(@クロルジアゼポキシド)とValium®(@ジアゼパム)や他の薬には副作用がほとんどなく、特に中毒性がなく、できることを医師に説得する、これらの非常に独創的な広告キャンペーンを考案した。サックラー一族の最初の財産を築いた。Arthurは生前収集美術品と400万ドル(約4億円)を米国政府に寄贈した。米国政府はスミソニアン博物館群の美術館の1つ「Arthur M. Sackler Gallery」を1982年に設立した。また、ハーバード大学のArthur M. Sackler MuseumもArthurが寄贈した。 | |||
1966年 | Purdue Pharmaは英国ケンブリッジの製薬会社Napp Pharmaceuticals Limitedを買収し、姉妹会社とした。Mortimer SacklerとRaymond Sacklerの子孫が管理している。 | ||
1967年 | Mortimer SacklerとRaymond Sacklerはドイツのフランクフルトで、Mundipharma GmbHを設立し、後に世界中にOxyContin®を販売する。 | ||
1970年代 | Percocet®とVicodin®が導入されたが、医師達は中毒性があるため、処方することを警戒していた。 | ||
1971年 | Raymond Sacklerの長男のRichard Stephen Sackler(1945/3/10〜)↓がPurdue Frederickに入社し、研究開発および、マーケティングの責任者になり、OxyContin®の開発における重要人物であった。 | ||
1972年 | Purdue Pharmaの姉妹会社のNapp Pharmaceuticals Limited医薬品が、長時間かけて体内に放出されるコンチン法(controlled drug-release system:Continus®)を開発した。 ←→徐放性製剤 | ||
1984年 | Purdue Frederick Companyが、医薬品のモルヒネを長時間放出型にした最初の薬剤MS Continの販売を開始した。MS Continは1990年代のピーク使用時に、年間約1億7000万ドルの売り上げを記録した。 | ||
1991年 | Arthur Mitchell Sacklerの死後、MortimerとRaymondがPurdue Pharmaを設立し、「人類の苦痛の主な原因である痛みを軽減するための医薬品開発のパイオニア a pioneer in developing medications for reducing pain, a principal cause of human suffering」と自称し、疼痛管理のための医薬品に焦点を当てた。 | ||
1993年 | 6月15日〜1994年4月15日 Purdueは変形性関節症を患う高齢患者を対象に、開発中のOxyContinの安全性と有効性をテストするための臨床試験を実施した。133人の患者が登録されたが、63人だけが試験を完了した。患者の約82%が治療に関連した何らかの有害事象を経験していた。しかしPurdueは、この研究は「徐放性オキシコドンは変形性関節症関連の痛みを制御するために、安全で効果的な鎮痛剤である」と結論付けた。 | ||
1994年 | 12月29日 セールスおよびマーケティングエグゼクティブのMichael Friedmanは「極秘」と記したメモをRichardを含むSacklerファミリー3人の幹部に送信し、マーケティング戦略の計画の概要を説明した。現在のMS Contin事業で、定期的に薬の処方箋を出す家庭医、一般の医師、および内科専門医とフランチャイズ契約を結んでいる。これらの医師達を架け橋として、OxyContinの使用をがん性疼痛だけでなく、慢性疼痛に拡大するために、年間6,870万の処方を見込んでいた。 | ||
1995年 Wave 1 | 3月31日のマーケティングチーム会議の議事録 OxyContinの発売が間近に迫っていて、Purdueのスタッフは、OxyContinは幅広い疼痛患者が対象であることと、1日2回投与の徐放性であることが最も重要な利点であることが強調された。 Mortimer Sacklerはイギリスに渡ってイギリス国籍になり、テート・ギャラリー、ロイヤル・カレッジ・オブ・アート、ルーブルなどに多額の寄付をしたことから、1995年にエリザベス女王から「honorary Knight Commander of the Order of the British Empire:KBE」という勲章を授与され、"Sir"の称号を得た。 Purdue Pharma laboratoryは、OxyContin®の錠剤を粉砕すれば、68%のオキシコドンを抽出できることを確認していた。 | ||
1996年 | 1995年暮れ 食品医薬品局:FDAはPurdue Pharmaにオキシコドンを長時間放出型にしたOxyContin®の販売を認可し、1996年からOxyContin®の販売を開始した。(MS Continを開発していた)Purdue Pharmaがオキシコドン徐放剤(OxyContin®)を発売した(controlled drug-release system:Contin)。 MS Continの特許が切れる数年前に、ジェネリック医薬品との競争に対抗するための索を検討し始めた。オキシコドンは強力なオピオイドであるが、安価に製造でき、すでにパーコセット(オキシコドン/タイレノール)とパーコダン(オキシコドン/アスピリン)で使用されているので、処方者や患者に馴染みやすいと考えられたので、オキシコドンの徐放性製剤に焦点を当てることも決定した。 FDAはPurdueによる6つの臨床試験の後、中等度から重度の慢性疼痛を患う患者にとってOxyContinを「安全かつ効果的」であると承認した。(OxyContin®は、骨折や手術直後などの短期間の痛みには適応されない。)医師の処方箋があれば誰でも近くの薬局でいつでも購入できる。「より安全で、常習性がより低い(safer, less addictive)」、「12時間効果が持続するため、痛みに苦しむ人が薬を飲むために夜中に起きなくてもすむ「奇跡」を実現した」などのPRのうたい文句に掲げ、医師や病院、スーパー内の薬局に対しても猛烈な販売攻勢をかけたために、常用者が全米に一気に広がり始めた。 Purdue Pharmaは、OxyContin®は12時間かかって放出されるので、競合オピオイドよりも嗜癖になりにくいので、乱用されないと宣伝して、販売していたが、OxyContin®は強力なので、薬物乱用者は錠剤を粉砕して粉末を吸引したり、注射すると、ヘロインと同程度の陶酔感を得ることができた。(←→OxyContin®の粉砕) 「Perc30」や「Roxies」の通称で知られる、オキシコドン30mgを含む錠剤の需要が高まっっていて、錠剤粉砕による過剰摂取によって、多くの常用者が死亡した。 1996年5月6日 PurdueとSacklersのグローバル製薬会社Mundipharma社の幹部は、スイスのジュネーブ大学病院の薬理学グループと会い、影響力のある医師をグループに参加させて、OxyContinの研究を実施しました。会議の概要はリチャード・サックラーと報告した。 「スイスの医療分野で最も重要な人物」である Pierre Dayerとの「良好な協力」について説明した。この開発は「将来を決定する」と見なされていた。Dayerは興味を示したが、メモによると、腰痛が「ヨーロッパではオピオイドの適切な適応症と見なされていない」など、いくつかの懸念を提起した。この適応症には、オピオイドが治療に使用された場合に依存症のリスクを伴う心理的要因が伴う。」 | ||
1996年 | 5月 Purdue Pharmaの社長のRichard Sacklerと顧問弁護士のHoward R. Udellは、薬物乱用者が薬物を注射するためにMS Containの錠剤からモルヒネを抽出する方法を説明する古い医学雑誌の記事を受け取った。Purdueの科学者のGary Ritchieはこの記事を調査し、「MSコンチンがレクリエーショナルドラッグの使用向けのオンラインフォーラムや掲示板で何度か言及されているのを見つけた」ことなどを、8月2日付けのE mailで数人のサックラー一族に送った。(Mortimer Sacker, Raymond Sacker, Richard Sacker, Kathe Sacker, Jonathan Sacker, Mortimer D,A, Sacker, Chief Financial Officer Michael Friedman, Paul D. Goldenheim, Howard R. Udell)
Purdueは積極的なマーケティングキャンペーンでOxyContin®をデビューさせ、「重大な」乱用について早い時期から知っていたにもかかわらず、中毒性は軽視したので、その後の5年間にオピオイド鎮痛剤の処方数は4,400万件増加した。 7月 徐放性(CR)オキシコドンの鎮痛効果と安全性を調べる二重盲検,ランダム化試験の結果が報告された(J Clin Pharmacol. 1996 Jul;36(7):595-603.*)腹部手術後に中等度から重度の疼痛を経験した入院患者182名を対象にしたもので、CRオキシコドンは10〜12時間の鎮痛効果があり、安全かつ効果的であり、痛みの治療に有益であることが示された。ニューヨーク大学のPaul D. Goldenheimが所属する内科学講座の研究で、Goldenheimは後にPurdue Pharmaの最高医療責任者 Purdue's chief medical officerになった。 | ||
1996年↑〜 2000年 | Purdue PharmaはArthur Sackleが数十年前に開拓した戦略の下で、積極的なマーケティングキャンペーンを行っていた。OxyContin®は長時間放出型であるが、臨床試験のデータ↑は短期間のものしかないにもかかわらず、従来の鎮痛薬(Percocet®やVicodin®)よりも長時間作用し、薬物依存性が低いと宣伝し、医師に積極的に薬を処方するように圧力をかけた。販売部の陣容を2倍以上に増強し、1996年〜2001年の6年間に、フロリダ、アリゾナ、カリフォルニアでなどのリゾート地で40回以上開催した疼痛緩和シンポジウムに、全米の5千人以上の医師、薬剤師、看護師をアゴアシ付きで招待した。ぬいぐるみや音楽CDなどのブランドのプロモーションアイテムを配るといった過度なプロモーションも行い、営業担当者には売上金額を元にした高額なインセンティブを払い、マーケティングデータを駆使して、慢性疼痛患者を多く診ていて、オピオイドの処方が多く出している医師を選別して、新規患者にはOxyContin®の無料の期間限定処方箋を提供するスタータークーポンプログラムを推進するなどの、猛烈的なマーケティングが行っていた。 1瓶の値段が数百ドル(数万円)という高額設定だったが、他社製品の2倍も長持ちし(12時間)、苦痛のために夜中に眠れないことがないという宣伝が効いて、米国の鎮痛剤のベストセラーになった。販売開始後4年の2000年にOxyContin®は年商10億ドル(約1000億円)に達した。 | ||
1996年↑〜 2002年 | Purdue PharmのパートナーであったAbott Laboratoriesは1996年から2002年までOxyContin®を販売していた。Abottの営業担当者の戦術は、2004年にウェストバージニア州が、AbottとPurdueに対して提起した訴訟によって明らかになった。AbotはPurdueよりはるかに大きな会社で、病院や外科センターに営業チームを配置し、麻酔科医、救急治療室の医師、外科医、および疼痛管理チームと既存の関係を持っていた。AbottはPurdueとの共同販促契約の一環としてOxyContin®を販売していて、PurdueもAbottも、少なくとも300人の営業社員がOxyContin®の販売に関わっていた。Abottは、米国食品医薬品局によって承認された後、1996年から2002年までオキシコンチンを販売していた。「Abottの助けを借りて、OxyContinの売上高は市場での最初の通年のわずか4900万ドルから、2002年には16億ドルになり、裁判所の記録によると、パートナーシップの存続期間中、PurdueはAbottに約5億ドルを支払った。Abottのセールス担当者は「Oxycontin」と綴ったドーナツやスナックケーキが入った箱を持って開業医を訪ね、他の鎮痛剤からOxyContinに切り替えるように依頼した。 「ドーナツの策略 doughnut ploy」はOxyContin®を10億ドルの大ヒット商品にさせた。営業部隊は医師のためにテイクアウトディナーを購入し、書店で彼らに会い、購入代金を支払った。メモの中で、営業スタッフを「十字軍 crusade」、営業スタッフのディレクターJerry Eichhornは「キング・オブ・ペイン King of Pain」と、経営幹部は「オキシコンチン王立裁判所 Royal Court of OxyContin」と呼んでいた。Abottは営業チームに、贅沢な休暇と最大2万ドルのボーナスでなどの、インセンティブを与え、オキシコンチンの販売を推進していた。Abottは薬物の「乱用/嗜癖の可能性が少ない less abuse/addiction potential」ことを強調するように営業担当者に強要していたので、Purdue Pharmaは医師と消費者を誤解させるためにオキシコンチンのブランドを誤った罪(misbranding)で2007年に有罪を認めた後、6億ドル以上の罰金を支払うことになった。Abottはこの事業部門を分離して新会社のAbbVie Incとして独立させ、Abottは米国で医薬品を販売しなくなった。* | ||
1997年 | Arthur Mitchell Sackler(1913/8/22〜1987/5/26)は、「広告と宣伝の全力を医薬品マーケティングにもたらした」として、死後医療広告の殿堂入り(Medical Advertising Hall of Fame:MAHF)を果たした。 | ||
1998年 | Purdueのオーディオテープ、パンフレット、ビデオテープ、文献、およびそのWebサイト「Partners Against Pain」で、「OxyContinによる依存症のリスクは非常に小さい」と主張していた。 Purdue Pharmaは積極的なマーケティングを通じてオピオイドの流行の種を植えつけることになった。Purdueは、ブラックマーケットでOxyContin®がヒットしたことを早くから知っていたが、Purdueの2人の上級幹部は、レクリエーショナルドラッグユーザーの間でOxyContinの人気であったことを最初に知ったのは、2000年以後であると議会に証言した。しかし1998年頃には社内に乱用に関する内部メモや電子メールが飛び交っていたことを、FDAの検察官はつきとめた。 1997年〜1999年 The New York Timesの2018年5月29日の記事によると、117の内部メモでに、営業担当者が医師や他の医療専門家を訪問した時に「snort」、「street value」、「crush」という語を使用していたと言う記録があった。 1998年 UdellはSackler一族の7人に、「MS Contin Abuse」というタイトルのメモを送信した。このメモには、乱用の報告やブラックマーケットでの価格、バンクーバーの新聞記事が含まれていた。 Richard Sacklerと当時Purdueの顧問弁護士だったHoward R. Udellが、古い医学ジャーナルのペーパーを入手した。
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1999年 | Richard Stephen Sackler↑がPurdue Pharmaの2代目社長に就任した。 Richard Stephen Sacklerは、乱用者がOxyContin®をどのように吸引するかについて、インターネットチャットルームで議論されていることを知った。 後半 フロリダ州ジャクソンビル(Jacksonville, Fla.)の医師が、オピオイドや他の薬物を違法に処方した容疑で逮捕された後、Purdueの幹部であったJames David Haddoxは、同社が危機対応計画を採用することを提案したが、Purdue Pharmaの当時のCEOであったMichael Friedmanはその案を却下した。(Haddoxは、APSが1996年に「オピオイドは慢性疼痛の治療に安全かつ有効であり、嗜癖のリスクは低い」とする有力な声明を発表した時の、共同執筆者であり、同意した委員会の委員長であり、Purdue Pharmaの有料講演者であった。Haddoxはその後、Purdueの健康政策担当副社長(vice-president of health policy)になり、OxyContin®の処方を奨励していた。) | ||
2000年 | OxyContin®の乱用・薬物依存に関して、あちこちで問題視する報告書が提出された。特に米国のアパラチア地方で、薬物中毒者が急増した。同時に薬物関連の犯罪も急増した。 Purdueのマーケティング担当副社長であるMark Alfonsoは、CEOのMichael Friedmanに、「ウィスコンシン州、ミネソタ州、オクラホマ州では、MS continの過剰な処方のために、医師が起訴された。」というメールを送信していた。 | ||
2001年 ブッシュ政権 | コネチカット州の司法長官BlumenthalはPurdue Pharmaに、OxyContin®の乱用に関して、強力に対処することを要請する公式声明を出した。 7月 FDAはOxyContin®にブラックボックス警告を添付させたが、Purdue Pharma社は、乱用指導をカモフラージュに、オキシコンチンの処方箋を無差別に乱発する医師を多く見つけた営業担当者に四半期あたり10万ドル(約1100万円)ものボーナスを払っていた。OxyContin®の売上げは2001年のバイアグラを抜いて10億ドルに達した。 | ||
2002年 | Purdueは「乱用および流用検出プログラム(Abuse and Diversion Detection Program:ADD)」を作り、「Region Zero」と呼んでいた。診療所を訪問して、自社製品を処方するように勧める営業担当者は、処方箋の数に応じたボーナスを受け取ることができるが、Region Zeroに基づいて、薬のプロバイダーがオピオイド製品の乱用または違法な転用に関与している可能性があることを示唆する事実を会社に報告する必要がある。Purdueは営業担当者から報告されたプロバイダーの内部調査を行い、乱用または違法な転用が認められれば、プロバイダーの名前を「ノーコール no-call」リストに追加する。ノーコールリストに記されたプロバイダーには、営業担当者は接触できなくなる。2013年のTimesの調査によると、当時同社はノーコールリストに1,800人以上のプロバイダーがいることが判明した。 | ||
2003年 | Purdue Pharmaの幹部が「自己破壊文書と電子メールメッセージングシステム self-destructing document and e-mail messaging system」の特許を2002年8月11日に出願し、2003年7月2日に受理された。「文書または電子メールメッセージに「ウイルス」を添付することにより、設定の時間後に文書または電子メールを破棄することを目的とした特許である。2002年に出願した特許は、1997年に取得した同様の特許に代わるものとして出願されたので、PurduePharmaはOxyContinの発売の1年後、「自己破壊メッセージシステム」の特許を取得していたのである。特許の所有者はHoward R. Udellで、Purdueの外部弁護士および取締役会のメンバーであった法律事務所Chadbourne&ParkeのパートナーであるStuart D. Baker、およびPurdueの外部弁護士でもあったCaryKappelが含まれている。このシステムには、作成時にファイルに自動的に添付されるウイルスが含まれていて、「ウイルスが添付されているファイルを必要なときに上書きまたは削除するように、コンピュータに指示するコードが含まれている。ファイルがディスクやテープドライブにコピー、転送、または保存された場合でも、添付されているウイルスは、ファイルと一緒に移動する。 麻薬取締局:DEAは、Purdue Pharmaの攻撃的な方法がOxyContin®の広範な乱用を大きく悪化させたことを確定した。 | ||
2004年 | Purdue Pharmaはウェストバージニア州との訴訟で1,000万ドルを支払った。 | ||
2005年 | Purdue Pharmaがスポンサーとなっていた、「乱用、転用、依存症関連調査(Researched Abused, Diversion, and Addicition-Related Surveillance:RADARS)」と呼ばれる予防的乱用監視プログラムから得られた結果から、OxyContin®とVicodinが米国内で最も乱用されている鎮痛薬であることが判明した。(J Pain. 2005 Oct;6(10):662-72) | ||
2006年 | Purdue Pharmaは「OxyContin®が乱用されている」という社内データがあったのにもかかわらず、「長時間型の放出製剤であるので、短時間作用の薬剤よりも致命性や乱用性、依存性が低い」と主張して、猛烈な販売を促進していた。司法省:DOJの検察官(ブッシュ政権時代)は4年間、E mailを含む様々な調査を行い、2006年9月下旬にPurdue Pharmaと、当時の最高経営責任者のMichael Friedman、最高医療責任者のPaul D Goldenheim、顧問弁護士のHoward R. Udellの3人の幹部を提訴した。Times紙によれば、有罪判決を受けた場合に、実刑になる可能性が含まれていた。被告側弁護士と3人の幹部は司法省の最高幹部に面会し、2000年以前に幹部がOxyContin®の誤用について知らなかったことを示す証拠などを提出した。 | ||
2007年 | 5月 営業担当が一般の診療所などの医師に効用を偽って販売していた手法が発覚し、連邦政府はPurdue Pharmaに、薬物の「misbranding」および薬物の中毒性のリスクと誤用の可能性を軽視したという内容で訴訟を起こしていたが、Purdue Pharmaの3人の幹部↑に科せられたのは軽罪の告発であり、Purdueと経営幹部は合計6億3450万ドルの示談金を支払うことで、和解した。(Purdueが6億、Friedmanは1900万ドル、Udellは800万ドル、Goldenheimは750万ドルの罰金を支払うことに同意した。)この示談金額は米国史上で当時の最高額であったが、一般には公開されなかった。2007年の裁判の前後には、売り上げは一度落ち込んだものの、2008年には持ち直し、その後2014年まで、年商20〜30億ドル(約2000〜3000億円)の売り上げが続いた。 ピューリッツァー賞を受賞したCharleston Gazette-Mail investigationの 調査によると、2007年から2012年の間に3つの医薬品販売業者(McKesson、Cardinal Health、AmerisourceBergen)がウェストバージニア州の薬局にオピオイド鎮痛薬を大量に販売させ、170億ドルを稼いだ。 11月 PurdueはOxyContinの改変をFDAに申請した。↓ | ||
2010年 オバマ政権 | 4月 FDAは乱用抑止徐放性オキシコドン塩酸塩OxyContin(abuse-deterrent extended-release oxycodone hydrochloride:OxyContin-OP)の申請を許可し、8月9日に全米の小売薬局に参入し始めた。錠剤の刻印は「OC」から「OP」に変更された。従来のOxyContin-OCと、改変されたOxyContin-OPの直径は、80 mgの錠剤以外は同じであるが、幅はOxyContin-OPのほうが少し厚い。鈍い物体で丸薬を粉砕すると、OxyContin-OCは細かく粉砕することができるが、OxyContin-OPは幾つかの塊にすることはできるが、粉砕はできない。コーヒーグラインダーでも粉砕はできないので、吸引や注射することはできない。OxyContin-OPを砕いて水を加えると、ゼリーやグミのようにゲル化してしまうので、注射には適さない またFDAは、アヘン剤を含む他の医薬品にも同様の再処方を提案することを予定とした。 | ||
2011年 | ブラックマーケットでは、30mgのオキシコドンは20ドルから30ドルで流通していた。OxyContin®の古い処方(乱用薬物として使用するために粉砕された)は約80ドル(80mgの1錠)で、OPオキシコンチンとして知られる新しい製剤の価格は約40ドルであった。 | ||
2012年 | 「ヘロイン中毒者の76%は、OxyContin®を最初に乱用し始めた」ことが確認された。(N Engl J Med 2012; 367:187-189) | ||
2013年 | 3月29日 Grünenthal GmbHとPurdue Pharmaはライセンス契約を締結した。* 11月19日 塩野義製薬はMundipharma社との間において、オピオイド系鎮痛薬であるオキシコンチン®乱用防止製剤(「オキシコンチン®ネオ錠」)およびオキシコドン/ナロキソン配合錠(海外における製品名:TARGIN®錠またはTARGINACT®錠)について、日本国内における独占的な開発・製造・販売権に関する契約を締結した。(TARGIN®錠はオピオイド誘発性便秘症やむずむず脚症候群に有効) | ||
2014年 | Mark TimneyがCEOに就任した。(2017年まで) 9月8日 Purdue PharmaはVM Pharma社と契約を結び、フェーズII対応のVM-902Aの、慢性疼痛を治療するためのファーストインクラスのアロステリック選択的トロポミオシン受容体キナーゼA(TrkA)阻害剤プログラム(allosteric selective tropomyosin receptor kinase inhibitor program)に対する完全な世界的開発および、知的財産権を獲得すると発表した。この取引により、VM Pharmaに最大2億1300万ドル以上の利益がもたらされる可能性がある。VM-902Aは、神経成長因子(NGF)の高親和性受容体であるプロテインキナーゼTrkAの経口で生物学的に利用可能な、末梢に作用するアロステリック阻害剤である。 | ||
2015年 | 7月 Forbesは、サックラー一族が米国の第19番目の大富豪家で、推定130億ドル(約1兆3000億円)の資産価値があると報告した。アメリカン・ドリームの代表でもあった。 Purdue Pharmaはケンタッキー州との訴訟で2400万ドルを支払った。 | ||
2016年 | 5月5日 Los Angeles Timesは、OxyContin®の12時間毎の投与では、多くの人は痛みを適切に制御できず、薬物への激しい渇望などの離脱症状を引き起こしていると報道し、なぜこれほど多くの人々が中毒になったのかについての新しい洞察を与えるものであると言及した。 | ||
2017年 トランプ政権 | 大ヒット薬はPurdueに約350億ドルの収益をもたらした。Sackler familyは、2016年の米国の第19番目の大富豪家で、130億ドル(約1兆3000億円)の資産を持っていた。 Purdue Pharmaはペンシルベニア州のGeisinger Health Systemと提携して、慢性疼痛患者が鎮痛薬の使用を減らすためのiPhoneアプリを後援した。慢性疼痛患者にiPhoneとApple Watchに症状を記録し、医師は患者を追跡し、理想的には薬を減らすか排除することができる。Purdueは は2015年にApple's ResearchKit medical studies platformの利用を開始していた。 6月22日 Craig LandauがCEOに任命された。Landauはイェール大学で麻酔科研修を修了し、慢性疼痛管理、産科および末梢血管麻酔の専門トレーニングを受けた。コーネル大学で生理学と解剖学の博士号を取得し、マウントサイナイ医科大学で医学博士号を取得した。1992年5月〜2006年12月の14年 8ヶ月はUS Army。1999年にPurdue Pharma LPに入社し、2013年にはPurdue Pharma(Canada)の社長兼CEOに任命されていた。 写真家で、社会活動家のNan Goldin(1953/9/12〜)が、オピオイドの流行と、ニューヨーカーとエスクァイアでのオキシコンチンの生産へのサックラー一族の関与の報道に応えて、「Prescription Addiction Intervention Now:PAIN」を組織し、サックラー一族の慈善活動からの撤退を迫った。彼女自身も、処方箋によるオキシコンチン投与による依存症と戦った経験があった。ベルリンに住んでいた2014年に手首の腱炎(tendinitis)の手術を受けていたが、その前にOxyContin®40mg/dayを処方されていた。最終的には450mg/dayまで増量し、複数の医師に処方箋を求め、最終的にニューヨークのディーラーに依頼して、フェデックス経由でオキシコンチン錠を購入し、ベッドで錠剤をクラッシュして服用していた。何年にもわたってオキシコンチンを過剰摂取後、ヘロインと違法フェンタニルに移った。ヘロインははるかに安価だったからである。彼女はオピオイドから離脱するために、マサチューセッツ州郊外にあるマクリーン病院のファーンサイド治療プログラム(McLean Hospital's Fernside treatment program)に参加し、2か月以上かけて離脱していた。 | ||
2018年 | Richard Stephen Sackler↑は離脱症状を緩和するために使用される軽度のオピオイドであるSuboxone®@ブプレノルフィンの新しい形態の特許を取得した。 6月 マサチューセッツ州の司法長官は、Richard Stephen Sacklerとサックラー一族の7人のメンバーに対して、「オピオイドを販売するための致命的で欺瞞的な計画」に関与したとして訴訟を起こした。Purdueと一族は申し立てを否定し、Purdueは申し立てを却下する申し立てを提出する予定であると語った。 7月 Steve Millerが会長に就任し、取締役会は5人のメンバーからなる。2018年までは、Richard Stephen Sackler↑の長男のDavid Sackler(家族投資事務所を運営し、2012年から2018年8月まで取締役)*を含む、サックラー一族の8人が現役または取締役員であったが、2019年の初めまでにサックラー一族はPurdue Pharmaの取締役員会を去った。 8月 ニューヨーク州は、詐欺的な手法でOxyContin®を販売し、オピオイドの過剰摂取の要因を作ったとして、Purdue Pharmaを提訴した。クオモ知事は声明で「オピオイドの蔓延は、4000億ドルの産業を作り上げた、無節操な業者によって作り出されたものだ」と非難した。 | ||
2019年 | 5月22日 民主党議員連盟の副議長のKatherine Clark(MA-5)と、処方薬乱用に関する議員連盟の共同創設者で共同議長であるHal Rogers(KY-5)は、Purdue Pharma LPが組織、個人、および研究に資金を提供し、世界保健機関(WHO)のオピオイド処方の推奨事項に影響を与えることを明らかにしたレポートを発表した。レポートは、2011年と2012年に公開された2つのWHOガイドラインに、危険な誤解を招くような、場合によっては処方オピオイドの安全性と有効性に関する完全な虚偽の主張が含まれていることを明らかにした。これらのガイドラインは、処方箋を増やして売上を拡大するためのPurdueのマーケティング戦略を反映していた。 オクラホマ州の州検事総長であるMike Hunterは、Purdue Pharma、Teva Pharmaceuticals、Johnson & Johnsonを含む製薬会社に、合計200億ドルの損害賠償を求めていて、Purdueは3月に2億7000万ドルを払うことで和解した。これは氷山の一角であり、1600件の係争中の民事訴訟があった。訴訟が終了した後、集団訴訟の弁護士グループが共同声明を発表した。「この和解は、Purdue Pharmaに対する請求の並外れた重要性と強さを反映したものである。しかし、Purdueの不正行為は単独ではない。連邦裁判所で彼らに対する係争中の申し立てをしている他の約20人の被告がいる。オピオイドの製造業者、流通業者、薬局など、これらすべての被告は、エピデミックにおける彼らの役割に責任を負わなければならないと信じていて、私たちが代表する何千ものコミュニティに対する説明責任を引き続き追求していく。」と述べた。 オクラホマ州の訴訟では、サックラー一族は被告として指名されていなかったが、一族はタルサのオクラホマ州立大学に今後5年間で7500万ドルを寄付することを約束した。オピオイド治療センターと研究センターの資金として使われる予定である。 9月15日 Purdue Pharmaはオピオイド乱用問題を巡り2600件を超える訴訟をかかえていて、ニューヨーク州の連邦裁判所に「米連邦破産法11条」の適用を申請した。 12月 Tufts university(タフツ大学:マサチューセッツ州メドフォードにある私立大学)のAnthony P. Monaco学長とPeter Dolan理事長は、生物医学研究科 Graduate School of Biomedical Sciencesを含むタフツボストン健康科学キャンパス Tufts Boston health sciences campusのすべてのプログラムと施設から「Sackler」の名前を削除する決定を発表した。 | ||
2020年 | 10月21日 Purdue Pharmaは司法省:DOJ相手に計83億ドルの和解案に合意し、アメリカの「オピオイド危機」悪化に果たした役割について有罪を認めると発表した。ただし、州政府や個人による数千件の訴訟は継続している。 | ||
2021年 バイデン | 9月1日 米連邦裁判所はPurdue Pharmaに対し、2024年までに解散する計画を承認した。Purdueは消滅し、実質的にすべての営業資産は、オピオイド危機への対処という公共性の高い使命を持って設立される新会社に譲渡されると発表した。2024年までにPurdueは売却され、新たな信託型事業体となる予定。サックラー一族はOxyContin®をめぐる数々の訴訟の和解金として45億ドル(約5000億円)を支払う一方、「不正や故意の違法行為に起因する場合を除き」、費用や罰金などの「一切の責任を免れる」としている。 |
英国 | 大英博物館にレイモンドルームとビバリーサックラールーム the Raymond and Beverly Sackler Rooms at the British Museum (ロンドン) ビクトリア&アルバート博物館のサクラーコートヤード Sackler Courtyard at the Victoria & Albert Museum (ロンドン) ロンドンのサックラールームナショナルギャラリー the Sackler Room at London's National Gallery テート・モダンのサックラーエスカレーター the Sackler Escalator at the Tate Modern オックスフォード大学 「サックラー図書館 Oxford university sackler library」 |
フランス | パリのルーブル美術館は、2019年に東洋の古物の翼からサックラーの名前を削除した。 |
アメリカ | タフツ大学 Tufts Universityの「サックラー生物医学大学院 he Sackler Institute of Graduate Biomedical Sciences」は2019年にすべての施設から「Sackler」の名前を削除する決定をした。 メトロポリタン美術館のサックラー棟 Sackler Wing, The Metropolitan Museum of Art」(ニューヨーク) |
Michael Friedman
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Howard R. Udell(1941/7/17〜2013/8/2)
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Paul D. Goldenheim
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Robert Josephson
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Rhodes Pharmaceuticals、Rhodes Technologies
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Napp Pharmaceuticals Limited
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Mundipharma GmbH ムンディファーマ社
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Abbott Laboratories アボット・ラボラトリーズ
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AbbVie Inc
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Johnson & Johnson ジョンソン・エンド・ジョンソン
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Janssen Pharmaceuticals ヤンセン ファーマ
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Grünenthal GmbH
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ノスカピン noscapine
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ヒドロコタルニン hydrobromide 参考1 | ||||||||||
ロペラミド loperamide
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ルビスコリン Rubiscolin-6 [PubMed]
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