外側脊髄視床路: LSTT Lateral spinothalamic tract =新脊髄視床路 neospinothalamic tract 外側系 ←→脊髄切截術
←→脊髄白前交連切断術 |
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前脊髄視床路: ASTT anterior spinothalamic tract =旧脊髄視床路 paleospinothalamic tract 内側系 |
- 外側脊髄視床路よりも系統発生学的に古い脊髄視床路であるが、起始細胞、投射部位および機能面も極めて似ていて、この2つの脊髄視床路は同じ系に属すると考えられている。
- 脊髄中間質や前角の侵害受容ニューロンからの前脊髄視床路は、網様体に側枝を出しながら視床髄板内核群(の主として外側中心核と束旁核)に投射する上行路。
- 対側の前索 anterior funiculus: AF(=ventral funiculus)を上行し、延髄と橋の内側網様体を経由する。
- 中脳では、中脳水道周囲の中心灰白質に接した部位、外側脊髄視床路の内側部を通過する。
腰髄からのものはほとんどすべて、対側に終わるが、頸髄からの投射は両側性である。
- 脳幹網様体を多シナプス性に上行して視床髄板内核群、また大脳辺縁系を含めた広範な領域に送られる。
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脊髄−下部脳幹投射 Spinobulbar projections
脊髄網様体路: SRT +網様体視床路: RTT 脊髄腕傍核路 spinoparabrachial tract 内側系
←→脳幹網様体 |
- 1989年にBernard(J M BessonのLabo)らが脊髄—腕傍核—扁桃体路(spino(trigemino)-ponto-amygdaloid pathways)を同定し、CeAニューロンの侵害刺激に対する応答を報告した1。
- 脊髄前側索線維の多くは橋の(結合)腕傍核外側部に終末する。
参考1/2/3/5
- Andrew J. Toddらは
- 入力
- 脊髄(I 層,IV—V層,) VII, VIII (, X)層細胞。同側投射が多く(両側性)。
- 三叉神経脊髄路核尾側亜核辺縁層の細胞は両側性の(結合)腕傍核に線維を送る。
- 中心灰白質
- 延髄・橋網様体、孤束核吻側の味覚細胞からも線維が入る。
- 脊髄—腕傍核—扁桃体路(spino-parabrachio-amygdaloid pathways)は視床や皮質を介さずに扁桃体に至る系であり、痛みに対する嫌悪・不安・恐怖反応及び、自律神経反応に関与する。
- 出力
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脊髄中脳路: SMT Spinomesencephalic tract 内側系 |
- 旧脊髄視床路および新脊髄視床路から側枝を出し、中脳中心灰白質外側部と背外側部、背側縫線核、上丘深層などに至る。
(STTの側枝も、中脳中心灰白質外側部、背側縫線核、上丘深層などに至る。)
- 脊髄後角第I層から直接PAGへ入る入力が、下行性疼痛抑制系に関与している可能性がある。
- 上丘深層からの出力として、視床髄板内核群に至るものがある。上丘の中、深層に低閾値および高閾値機械受容、広作動域ニューロンが存在し、上丘表層へは視覚刺激も入ることから、上丘は、多感覚種統合機能を果たすものと考えられる。
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脊髄視床下部路 spinohypothalamic pathway |
- 脊髄第I 層, V 層, X 層, LSN にある NS 細胞、WDR 細胞、Non-N 細胞からの上行路。
- 皮膚と内臓の感覚情報を送る。
- 対側の前外側索 VLF経由
- 視床下部、視床、橋、扁桃体に投射。
- 痛みと自律神経系及び内分泌系をつなぐ。
- 視床下部経路は、痛みに対する不安・嫌悪・恐怖反応及び自律神経反応に関与する。
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後索-内側毛帯系 dorsal column-medial lemniscal system ←→↑/↓ →後索核
- 主に触覚を伝える有髄線維は脊髄後角ニューロンにもシナプス接続するが、投射線維は同側の後索を上行し、延髄の後索核に至り、後索核から内側毛帯を上行する。
- 弁別的触圧覚、位置感覚・固有感覚を伝える伝導路
- 後索系は、脊髄内体性感覚伝導路の中で最も大きく、ヒトの頸髄上部横断面ではその約40%を占めている。
- 後索は、触覚情報を伝える後根の線維(一次求心性神経)が、後索を上行し、後索核でシナプスを変えた後、交叉して内側毛帯を上行し、VPLに投射する。
後索系は、薄束と楔状束に分けられる。
薄束 cuneate gracile、ゴル束
- 後索の内側を上行する、胸以下の識別性感覚伝導路
- T7以下の後根を経て脊髄に入る求心性線維を含み、延髄の薄束核に投射する。
- 1860年にFriedrich Goll(P 1829/5/1〜1903/11/12, チューリヒ大学の解剖・生理学者)が記載した。
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楔状束 cuneate fasciculus、ブルダッハ束
- 後索の外側を上行する、上肢の識別性知覚伝導路
- T7よりも頭側の後根を経て脊髄に入る求心性線維を含み、延髄の楔状束に投射する。
- 1826年にKarl Friedrich Burdach(P 1776〜1847, ドイツの生理学者)が記載した。
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- スモン患者の剖検例のすべてに、薄束と腰仙髄の錐体路に変性が認められた。後索の変性により知覚異常が生じるだけではなく、痛覚系に対する抑制が減少することにより痛みが生じると示唆されている。錐体路は運動系の下行路であるが、体性感覚機能を制御する下行性線維を含んでいて、後索核や脊髄後角における体性感覚の伝導を制御している。
- 後索は、触覚の伝導路だけではなく、内臓からの痛覚情報を伝える後索深部の正中部を上行し、後索核でシナプスを変えた後、交叉して内側毛帯を乗降し、VPLに投射する。
- Willisらは、脊髄第X層侵害受容ニューロン(= 2次ニューロン)の軸索が後索を上行することを確認した。
- 久留らは、膀胱感覚情報を伝える後根(骨盤迷走神経=1次ニューロン)が後索を上行し、延髄旁翼核を経て、 VPL に終末すると報告していた。
→Central Cord Lesioningで、両側性内臓痛の除痛
- 脊髄電気刺激療法は硬膜外腔に刺激電極を留置し、硬膜を介して脊髄後索を電気刺激することによって除痛をはかる方法
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