2C | Soranus Ephesus(98〜138 小アジアのエフェソス出身のソラヌス、ギリシャの医師、産科医)は躁と鬱の両方の患者に、エフェソスのリチウム塩を高濃度に含むアルカリ水を処方していた。 |
1817年 | Johan August Arfwedson(1792/1/12〜1841/10/28日, スウェーデンの化学者)がリチウム元素(金属元素)を単離した。「Lithium」の名前は「石」を意味するギリシャ語「lithos」に由来する。 |
1843年 | リチウムが膀胱結石の溶剤として用いられた。A. Ure and Aschenbrennenが尿酸を溶かすために膀胱に直接リチウムを注入した。 |
1859年 | Alfred Baring Garrod(P 1819 〜1907, 英国の内科医)がリチウムを痛風の治療薬と用いた。Garrodは精神病の治療にもリチウムを推奨し、痛風は躁やうつなどの気分障害の原因であるという仮説を立てた。 |
1870年 | Silas Weir Mitchell(P 1829/2/15〜914/1/4, 米, 内科医)は抗てんかん薬や睡眠薬としてリチウムを推奨した。後に臭化リチウムを神経症全般に使用した。 |
1871年 | William Alexander Hammond(1828/8/8〜1900/1/5, 南北戦争時US Armyの軍医、ニューヨークのBellevue Hospitalの神経科医、前公衆衛生局医務長官)が躁病の治療にリチウムを勧めた。 |
1881年 | Carl Lange(1834〜1900, デンマークの心理学者、ジェームズ・ランゲ説)が周期性うつ病の徴候をリウマチ性症状と呼び、リチウムによる予防を推奨した。 |
1892年 | Alexander Meigs Haigが周期性うつ病は尿酸排泄の増加と関連しているとの仮説をもとにリチウムを用いた。 |
1920年代 | リチウムのブロム塩が催眠薬として用いられた。 |
1929年 | 炭酸飲料のセブンアップには、クエン酸リチウムが配合されていた。当時減塩療法として塩化リチウムが食塩の代わりに用いられていたが、リチウムの過剰摂取による死者が出たため、1950年代にセブンアップにリチウムは配合されなくなった。 |
1949年 | Frederick Joseph Cade(P 1912/1/18日〜1980/11/16日, オーストラリアの軍医、精神科医)は躁うつ病患者の尿には体内から躁うつ病の原因物質が含まれているのではないかと考え、モルモットに患者の尿を打つ実験を始めた。尿酸に効果があるのではないかと考えたが、尿酸単体では水溶性に乏しいので、たまたま水に対する溶解性に優れたリチウム塩として、モルモットに与えてみる実験を行ったところ、鎮静効果があることはすぐにわかったが、確認実験として別のリチウム塩を与えたところ、これも鎮静効果を示し、結局尿酸ではなく、リチウムイオンに鎮静効果があることが判明した。早速躁病相患者、統合失調症、重症うつ病を対象にリチウムを投与したところ、躁病相患者全例10名において有効な効果を認めた。 |
1940年代 | 減塩療法として塩化リチウムが食塩の代わりに用いられ、多数のリチウム中毒者を生じたことから毒性の強い物質との概念が広がりリチウムの臨床応用はいったん中断された。 |
1954年 | Mogens Schou(1918/11/24〜1918/9/29, デンマークの精神科医)がリチウムの効果の安全性について研究し、再び注目されることになった。* |
1970年 | 米国FDAがリチウムを急性躁病薬として認可した。 |
1980年 | 2月に大正製薬が「リーマス®」として発売した。Lithium Manic Depressive Psycosis から「Limas」と名づけられた。 |