インフリキシマブ infliximab(レミケード®)
- 1990年に開発され、1998年に米国でクローン病治療薬として、1999年に関節リウマチの適応追加。
- 本邦では2002年にクローン病治療薬として販売、2003年に関節リウマチにも適応が追加された。2007年にはベーチェット病によるぶどう膜炎にも適応が追加された。
- 免疫·炎症性疾患の治療を目的として開発された、抗ヒトキメラ型TNFαモノクローナル抗体製剤
- TNFαと結合する部位のみがマウスのタンパクからなり、その他はヒト由来のタンパクで、遺伝子工学によって2種のタンパクを合体したもの。
- 従来の抗リウマチ薬メトトレキサートの併用療法が確立されていて、症状·症候の軽減、関節破壊進展の防止、身体機能の改善効果が期待できる。
- 関節破壊の進行を防ぐだけでなく、痛みを和らげる抗炎症作用も強い。
- 英国立臨床評価研究所(National Institute for Health and Clinical Excellence :NICE)は、潰瘍性大腸炎の急性増悪に対するインフリキシマブの使用に関するガイダンスを出した。活動性潰瘍性大腸炎に対する選択肢として使用する場合、シクロスポリン禁忌の患者か臨床的に不適切とされる患者に限定し、ここの患者に対し慎重にリスク便益評価を行うことを推奨している。
- 米食品医薬品局(FDA)は平成21年8月4日に、インフリキシマブについても、小児、青少年が使用した場合にがんの発症リスクが上昇するとして、注意書きで、強く警告するよう製薬会社に指示した。
|
エタネルセプト etanercept(エンブレル Enbrel®)
- 1998年にアメリカで、世界で初めて生物学的製剤として承認され、本邦では2005年3月発売された。
- 完全ヒト型可溶性TNFα/βレセプター製剤
- TNF受容体とヒトの免疫グロブリンの一部を人工的につなぎ合わせたもので、すべてヒトタンパクでできている。マウスタンパクがないので抗キメラ抗体はできないため、メトトレキサートとの併用は必ずしも必要ではなく、単独でも使用できる。
- 米食品医薬品局(FDA)は平成21年8月4日に、エタネルセプトについても、小児、青少年が使用した場合にがんの発症リスクが上昇するとして、注意書きで、強く警告するよう製薬会社に指示した。
|
アダリムマブ adalimubmab:ADA(ヒュミラ®)
- 独BASF傘下の製薬会社であったKnoll AG(後に米アボット・ラボラトリーズが買収)が創製し、本邦では2008年6月発売
- モノクローナル抗体医薬品/抗体医薬品@分子標的薬
- 遺伝子組換えによって作られたヒト型抗ヒトTNF-αモノクローナル抗体製剤
- インフリキシマブと同様のモノクローナル抗体製剤なので、エタネルセプトとは異なり、TNFβとは結合(中和)せず、TNF産生細胞上の膜型TNFαと結合し、その細胞を壊す作用がある。
- インフリキシマブとの違いは、マウスタンパクを含まないことと、皮下注製剤であるので、メトトレキサートは併用不要で単独での使用が認められている。
- 米食品医薬品局(FDA)は平成21年8月4日に、アダリムマブについても、小児、青少年が使用した場合にがんの発症リスクが上昇するとして、注意書きで、強く警告するよう製薬会社に指示した。
|
トシリズマブ tocilizumab(アクテムラ®) 参考1
- 大阪大学と中外製薬によって共同開発された国産初の抗体医薬品として製造承認を取得(2005年4月11日)、2008年6月発売
西本憲弘先生(大阪大学大学院生命機能研究科免疫制御学講座(中外製薬寄附講座)→和歌山県立医科大学免疫制御学講)
- 欧米各国でも2009年に発売
- モノクローナル抗体医薬品/抗体医薬品@分子標的薬
- 他の生物学製剤と違い、単独でもメトトレキサートよりも症状を改善する効果が高い。
- ヒト化抗ヒトインターロイキン-6受容体モノクローナル抗体で、IL-6の生物学的作用を抑制し薬効を示す、分子標的治療薬
- マウスで作成された抗ヒトIL-6レセプターモノクローナル抗体をもとに、遺伝子組換え技術により産生されたヒト化モノクローナル抗体である。
|
アナキンラ anakinra(kineret®)
- 遺伝子組み替えで作ったヒト型IL-1受容体拮抗体(IL-1Ra)
- 米国のAmgen社で開発し、2001年11月にFDAの許可がおり、中等度以上で18歳以上の関節リウマチ患者さんに使用できるようになっている。
- 欧米ではすでに関節リウマチに認可されていて、メトトレキサートを投与しても無効あるいは効果不十分な症例の治療薬として位置づけられている。
- IL-1には軟骨・骨破壊作用が知られていて、関節リウマチの関節破壊に対する抑制効果が期待されている。
|
アバタセプト abatacept:CTLA4Ig(オレンシア Orencia®)
- 米Bristol-Myers Squibb社で開発され、2005年12月に米食品医薬品局から販売認可された。現在治験が進行中
- CD28、 CD80、CD86分子を介してT細胞を活性化させる際の補助刺激シグナルを調節することで効果を発揮する薬剤
- T細胞副刺激モジュレーター(T-cell co-stimulation modulator)としての役割があり、T細胞機能を抑制する。適応はリウマチ様関節炎の治療である。
- 完全なヒト型可溶性融合タンパクで、CTLA-4の細胞外ドメインがヒトγグロブリン(IgG-1)の修飾Fc部分に結合したもので構成されている静脈内投与製剤である。TLA4Igとも呼ばれている。
- TNF-α阻害薬と作用メカニズムが異なるため、TNF-α阻害薬に反応しない関節リウマチ患者の選択肢として期待されている。
|