レシニフェラトキシン resiniferatoxin :RTX
- サボテンに類似したユーフォルビアから抽出される神経毒、アルカロイド
- 学名:Euphorbia resinifera トウダイグサ科(Euphorbiaceae)ユーフォルビア(Euphorbia)属、モロッコ産の常緑多年草。白角キリン、老キリン、多角キリン、脂キリンなどと呼ばれている。
(フォルボールエステルもトウダイグサ科から)
- カプサイシンよりも強力なTRPV1のアゴニスト
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ピペリン piperine
(E,E)-1-[5-(1,3-benzodioxol-5-yl)-1-oxo-2,4-pentadienyl]piperidine- コショウ科コショウ(胡椒、英名:black pepper、学名:Piper nigrum)や同属各種の植物に含まれるアルカロイド、pungency(辛味(×)成分)
- コショウは紀元前にはすでに解毒薬として知られ、中世のヨーロッパでは保存肉のくさみ消し・防腐剤として需要が拡大し、大航海時代が生まれたのはコショウの入手も目的の一つであったとされる。
- 西洋では伝統医学や殺虫剤の用途にも用いられてきた。
- TRPV1のアゴニスト
- ピペリンとシス-トランス異性体のカビシン(chavicine Z,Z体)はコショウの辛み(?)成分である。
- 最初は無味であるが、後で口中に辛味を残す。コショウ末を保存しておくと辛味が少なくなるのは、辛味の強いカビシンがピペリンに変化するためである。
1819年 | Hans Christian Orsted(1777/8/14〜1851/3/9, デンマークの化学者、物理学者、電磁気学の基礎を確立したエルステッド)が黒胡椒と白胡椒の原料であるPiper nigrumから単離した。
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- ピペリンの構造中にピペリジンが存在する。
- カレー粉で利用されるインド原産の香辛料ヒハツ(Piper longum)にも含まれる。
- 強い辛味(←辛味は味ではないが、)により食欲亢進作用となる。
- CYP3A4 や P-グリコプロテイン の働きを阻害し、薬物の代謝を阻害するはたらきにより、ピペリンはさまざまな化合物の生物学的利用能を向上させる可能性がある。
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カビシン(シャビシン) chavicine
(Z,Z )-1-[5-(1,3-benzodioxol-5-yl)-1-oxo-2,4-pentadienyl]piperidine
- ブラックペッパーに含まれるpungency(辛味(×)成分)。ピペリンよりも辛い。
- ピペリンのシス-トランス異性体
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サンショオール sanshool
- サンショウ(山椒、英名:Japanese pepper、学名:Zanthoxylum piperitum)の辛み(?)成分。不飽和脂肪酸アミド。
- TRPV1とTRPA1(ANKTM1)受容体のアゴニスト
- 山椒は西洋では歯痛を止める民間伝承薬である。
- 花椒は中国で古くから食されている香辛料。
- ポーラ健康科学研究所は、中国山椒に含まれる数種のsanshool類が熱産生に関与するタンパク質の一種であるUncoupling protein 1(UCP1)を増やすことを発見した。
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ジンゲロン zingerone、ショーガオール shogarol、ジンジャオール gingerol
- ショウガ(生姜、英名:ginger)の辛み(?)の特徴となる主成分は、ジンゲロン(zingerone=Vanillyl acetone; バニリルアセトン)で、ショーガオール(shogarol)やジンジャオール(gingerol)も辛み(?)成分として含まれる。
- shogarolはTRPV1のアゴニストで、zingeroneとgingerolはTRPA1(ANKTM1)受容体のアゴニスト?
- ショウガの根茎は漢方薬として生姜(しょうきょう)と呼ばれ、発散作用、健胃作用、鎮吐作用があるとされる。表面の皮を取り去り、蒸して乾燥させたものは乾姜と呼ばれる。
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樟脳、カンフル (camphre)、カンファー(camphor)
- クスノキの精油の主成分であり、他にも各種の精油からも見出されている。モノテルペン
- TRPV1の活性化を強め、TRPA1(ANKTM1)受容体の活性を阻害する。
- 紀元は西暦600年頃アラビアで最初に薬として使われ、その後ギリシャ、エジプトで霊剤として使用されてきたと言われている。
- 日本での最初の製造は元禄年間(1700年頃)に当時の琉球(沖縄)から生産技術が伝えられてきたと考えられている。
- 血行促進作用や鎮痛作用、消炎作用などがあるために主に外用医薬品(第1世代の局所用貼付剤)の成分として使用されている。
- かつては強心剤としても使用されていたため、現在でも駄目になりかけた物事を復活させるために使用される手段を比喩的に「カンフル剤」と呼ぶことがある。
- 人形や衣服の防虫剤、また防腐剤、花火の添加剤としても使用されている。
- 樟脳は皮膚から容易に吸収され、そのときにメントールと同じような清涼感をもたらし、わずかに局所麻酔のような働きがある。
- 飲み込んだ場合には有毒であり、発作、精神錯乱、炎症および神経と筋肉の障害の原因になりうる。
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アリルイソチオシアネート allyl isothiocyanate、
- マスタード(洋からし:クロガラシ black mustardとシロガラシ white mustard)、
ワサビ(山葵、英名:Japanese horseradish、学名:Wasabia japonica (Miq) Matsum)、
西洋わさび(英名:horseradish、学名:Armoracia rusticana)、
大根、
辛味大根 などのアブラナ科の植物に含まれる辛み(?)成分
- TRPA1(ANKTM1)受容体のアゴニスト
- 植物に直接は含まれず、配糖体(シニグリン sinigrin)として存在し、すりおろすなどして酸素に触れると酵素ミロシナーゼの作用でグルコースと硫酸水素カリウムが遊離し、アリルイソチオシアネートを生じる。
- 植物の老化を早めるエチレンガスを抑制する効果がある。
- マスタードオイルは炎症モデル作成に用いられる。
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シンナムアルデヒド(ケイヒアルデヒド)cinnamaldehyde ←→桂皮 参考1
- シナモン(香辛料)や桂皮(生薬)に含まれるフェニルプロパノイド phenylpropanoids系芳香成分。
- TRPA1(ANKTM1)のアゴニスト
- シナモン(英:Cinnamon、学名:Cinnamomum zeylanicum)は熱帯に生育するクスノキ科の常緑樹で、香辛料は樹皮からとれる。
- 桂皮(けいひ)はシナニッケイ(肉桂)の樹皮からとれる生薬であり、日本薬局方にも収録されている。
- 日本薬局方収載の精油であるケイヒ油はクスノキ科セイロンニッケイ(Cinnamomum verum)やC. cassiaの樹皮から調製されたものであるが、シンナムアルデヒドを70〜80%含む。
- 動物実験で鎮静、解熱作用のあることが報告されている。
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アリシン allicin
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オイゲノール eugenol
- ナツメグ Nutmeg・クローブ clove oilの成分
- ナツメグ(学名:Myristica fragrans)は、ニクズク科の1種の常緑高木。およびその種子から作られる香辛料。和名はニクズク(肉荳蔲)
- TRPV3, TRPV1
- ナツメグは、独特の甘い芳香があり、ハンバーグやミートローフなどの挽き肉料理や魚料理の臭みを消すために用いられることが多い。またクッキーやケーキなどの焼き菓子にも用いられる。
- 日本にも5世紀から6世紀には紹介されていたようで、正倉院の宝物殿にも保存されていた。源氏物語にも丁字染め(蘇芳(すおう))の記述がありし、江戸時代からビンツケ油や匂い袋の香料として使われてきた。
- インドや中国では紀元前から殺菌・消炎・消臭に利用されていた。
- イギリスでは歯痛止めとして普通の薬局で販売されていて、日本でも歯痛薬の今治水(コンジスイ)にはオイゲノール、フェノール、カンフルが配合されている。
- 通常使用量では特に問題を生じないが、多量(約10g以上)のナツメグは毒となる。痙攣を起こしたり、マリファナに似た幻覚を生じることがあるほか、摂取量が多い場合、肝臓障害をひきおこすことがある。幻覚症状が現れ出すのは5gからという。
- 過去には堕胎薬としてナツメグが使われたこともある。
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メントール、メンソール menthol
- 環式モノテルペン、アルコールの一種の有機化合物
- 天然のハッカ・ミント mintから取れるハッカ臭を持つ、揮発性の無色結晶。
- メントールを皮膚に接触させると冷やりとする。これは実際に温度が低下するためではなく、冷感を引き起こすTRPM8と呼ばれる受容体活性化チャネルをメントールが刺激することによる。
- 冷感タイプの貼付剤に配合されている。
- 漢方生薬の薄荷としても、用いられる。
- ミントは、シソ科の多年生草。東洋では漢方薬として、欧米ではハーブやアロマテラピーで用いられてきた。
- ギリシャ神話:ミントはその昔、メンタ(属名のMentheに由来)というニンフでした。冥府の王ハデスは、ペルセポネという妻がいるにもかかわらず、メンタに強く惹かれてしまった。ハデスの妃で嫉妬深いペルセポネはメンタを追いかけて地面の上でメンタを荒々しく踏みにじってしまった。それでハデスはメンタを香りの良い薬草に変えた。
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イチリン、イシリン icilin
- メントールに類似の化学物質
- TRPM8チャネルの合成スーパーアゴニスト
- メントールと構造は異なるが、約200倍強力である。
- 痒みを引き起こす物質として実験に使われている。
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