□鎮痛法 | │麻酔薬 anesthetic│←→動物麻酔薬/意識/覚醒/筋弛緩薬/麻酔の用語 |
┏全身麻酔薬
┗局所麻酔薬 |
→全身麻酔と局所麻酔との比較 →局部麻酔と麻薬との比較 →全身麻酔と脊椎麻酔の比較 →麻酔により増強される術後疼痛 |
→分節麻酔/分離麻酔 →バランス麻酔→モニター →ニューロレプト麻酔:NLA →全静脈麻酔:TIVA |
吸入麻酔薬 | 亜酸化窒素(笑気)/エーテル/クロロホルム/エチルクロライド/シクロプロパン/フルロキセン/ハロタン/メトキシフルラン/エンフルラン/イソフルラン/セボフルラン/デスフルラン |
静脈麻酔薬 | チオペンタール/ジアゼパム/ミダゾラム/モルヒネ/フェンタニル/レミフェンタニル/ケタミン/プロポフォール(エトミデート)(抱水クロラール) |
□痛みと鎮痛の歴史年表 | all | 全麻1/2/3(用語,麻酔器)/4 | 局麻 |
BC | 古代からマンドレーク/曼陀羅華/ヒヨなどの薬草が鎮痛などに使われていた。 | ||||||
AD2C | 華陀 Hua Tuo(P 110〜207, 後漢末の医師)は、麻沸散を酒と一緒に飲ませて、麻酔をし、開胸手術や頭蓋切開を行っていたと言われている。 ⇒詳細 | ||||||
19C | 19世紀は、人類の長年の夢である「痛みからの開放」が「全身麻酔」技術の発展として花開いた世紀であった。華岡青洲による初めての全身麻酔手術(1804年)、Wellsによる笑気麻酔(1845年)、Mortonによるエーテル麻酔(1846年)、Simpsonによるクロロホルム麻酔(1847年)の成功、そしてPravazによる注射器の開発(1852年)が、現在の全身麻酔の基盤となった。(それまでは、患部を冷却によって麻痺させていた↓。) | ||||||
1804年 (文化1年) 10月13日 | 華岡青洲(P 1760(宝歴10)〜1835(天保12)は、がマンダラゲとトリカブトを主成分とした経口麻酔薬の「通仙散」を開発し、世界で初めて全身麻酔での乳がん手術を成功させた。 ⇒詳細 | ||||||
1813年 (文化10年) 10月13日 | 青洲↑の麻酔術は「門外不出」で普及しなかったとされてきたが、宮河順達(青洲の弟子)が杉田玄白の一門に麻酔術を教え、杉田立卿(りゅうけい、1786〜1846、玄白の息子)が江戸の玄白宅で乳がん手術が行った。立卿の乳がん手術記録は、「療乳記」(漢文6ページの小冊子、松木明知・弘前大名誉教授が東京都内の古書店で発見した。)として印刷して関係者に配っていた。手術には、「麻睡之剤」を用い、重さ数10gのがんを摘出、傷を洗い、香油を塗って縫合した。患者は6時間で意識が戻り、1カ月で回復した。 | ||||||
1835年 | 奥田万里(漢方と蘭方の折衷医、各務文献に整骨術を学んだ)は骨折治療書「釣玄四科全書整骨篇」の中で、「麻睡湯」という用語を使用した。 | ||||||
1846年 | William Morton(P1819〜1868, アメリカの歯科医)がエーテルによる全身麻酔による公開手術を、マサチューセッツ総合病院臨床講堂で成功させた。 | ||||||
1846年 | Mortonの公開手術の成功を知ったSir Oliver Wendell Holmes(P 1809〜1894, ハーバード大学の医学部教授、作家、Mortonの友人、Warren↑の同僚)は、麻酔の様子をギリシャ語から「Anesthesia」という言葉で表現し、Morton手紙を書いた。
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1850年 嘉永3年 | 「麻酔」という用語は、杉田成郷(せいけい、1817/12/18〜1859/3/23、玄白の孫、蘭学者)が初めて使った。成郷が翻訳した「済生備考」「亜的耳吸法試説」は、もともとドイツ語で書かれたJ. Schlesingerの「ether anesthesia 」のオランダ語版を訳したもので、鎮痛状態と意識消失を「麻酔」と表現した。
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1855年 安政2年 | 杉田成郷↑がわが国最初のエーテル吸入麻酔を行った。 |
過去に 使用 | 揮発性麻酔薬 | エーテル/ クロロホルム/フルロキセン/ハロタン/メトキシフルラン/エンフルラン |
ガス麻酔薬 | エチルクロライド/シクロプロパン | |
現在使用 | 揮発性麻酔薬 | セボフルラン/イソフルラン/デスフルラン |
ガス麻酔薬 | 亜酸化窒素 |
亜酸化窒素 nitrous oxid(笑気ガス laughing gas)
[長所]
[短所]
[作用機序]
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セボフルラン、セボフルレン sevoflurane(セボフレン®) →参考1
[長所]
[短所]
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イソフルラン isoflurane(フォーレン Forane®)
[長所]
[短所]
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デスフルラン desflurane(スープレン®)
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ハロタン halothane(Fluothane®)
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エンフルラン enflurane(®)
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メトキシフルラン methoxyflurane(ペントレン®)
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フルロキセン、フルオロキセン fluroxene
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シクロプロパン cyclopropane、サイクロプロパン、サイクロプロペイン
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エチルクロライド ethyl chloride(=クロールエチル、塩化エチル chlorethyl) (Gebauer's Ethyl Chloride®)参考1
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バルビツレート系 | チオペンタール |
ベンゾジアゼピン系 | →ジアゼパム/ミダゾラム |
オピオイド系 | →モルヒネ/フェンタニル/レミフェンタニル |
NMDA受容体作動薬 | →ケタミン |
GABAA受容体作動薬 | プロポフォール(エトミデート) |
ニューロレプト麻酔/全静脈麻酔 |
チオペンタール(ラボナール®)、チアミラール(イソゾール®、チトゾール®)
←→バルビツール酸誘導体-チオペンタール/チアミラール
[副作用]
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プロポフォール propofol(ディプリバン®、プロポフォールマルイシ®) →参考1
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エトミデート etomidate
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ケタミン(ケタラール®) | |||||||||||||||
抱水クロラール chloral hydrate = trichloroacetaldehyde(エスクレ®)
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バランス麻酔 balanced anesthesia
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(完)全静脈麻酔 Total Intravenous Anesthesia:TIVA ←→経静脈局所麻酔法
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オピオイド麻酔 ←→オピオイド/オピオイドフリー麻酔
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オピオイドフリー麻酔 opioid free anesthesia:OFA ←→オピオイド麻酔/マルチモーダル鎮痛療法
マルチモーダル全身麻酔 multimodal general anesthesia 参考1/1 ←→Multimodal pain therapy/バランス麻酔/オピオイド麻酔
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ニューロレプト麻酔 Neurolept anaesthesia:NLA
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全身麻酔 | 局所麻酔 | |
作用 | 中枢神経系でのシナプス伝達抑制 | 主としてNaチャネルブロッカーによる神経伝導抑制 |
意識 | 消失 | あり |
健忘作用 | あり | なし |
鎮痛作用 | さまざま(意識消失により痛みは感じない。) | あり |
反射 | 抑制(全身性) | 抑制(局所) |
筋弛緩 | 全身の骨格筋 | 局所 |
投与方法 | 吸入、静注、筋注、座薬、中枢 | 皮下注、筋注、神経叢、硬膜外、くも膜下腔 |
局所麻酔 | 麻薬 | |
鎮痛作用 | あり | あり |
精神作用 | なし(局所麻酔中毒ではけいれんが生じることがある。) | あり(無関心、多幸感) |
投与方法 | 皮下注、筋注、神経叢、硬膜外、くも膜下腔 | 経皮的、静注、硬膜外、くも膜下腔 |
作用部位 | 末梢神経、中枢神経系の神経膜内部 | 末梢、脊髄後角、下行性抑制系 |
血圧 | 下降 | あまり下降しない |
呼吸抑制 | なし | 呼吸中枢の抑制 |
筋弛緩 | あり | なし |
副作用 | 中毒になると全身けいれん、呼吸停止 | 悪心、嘔吐、呼吸抑制、かゆみ |
拮抗 | なし | ナロキソンなど |
全身麻酔 | 脊椎麻酔 | |
使用薬 | 吸入麻酔薬・静脈麻酔薬 | 局所麻酔薬 |
血圧変動 | 導入時は高血圧になりやすい | 低血圧になりやすい |
術中のストレス | 意識がないが、適当な鎮痛がされないと身体的ストレスを受ける。 | 眠剤を使わないと周囲の音が聞こえる。精神的ストレス。 |
副作用 | 使用薬によっては、肝障害や腎障害。 | 局麻薬アレルギー・神経損傷 |
合併症 | 悪性過高熱、無気肺、歯牙損傷、かすれ声等 | 全脊麻(呼吸筋麻痺・低血圧・意識消失) |
操作 | 気道の確保に熟練が必要 | 注射針一本と2〜3ccの局所麻酔薬でできる。 |
分節麻酔 segmental anesthesia |
分離麻酔(選択的麻酔) differential anesthesia
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鎮静 | Bispectral Index:BISモニター(アスペクト社) ←→麻酔中の脳波/RASS
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鎮痛 |
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筋弛緩 | 筋弛緩モニター
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疼痛刺激に対する循環動態や瞳孔径の変化を観察し(≒MACBAR:MAC of blocking adrenergic response) |
目標血中濃度調節投与 Target Controlled Infusion:TCI
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迅速気管挿管 Rapid Sequence Intubation、クラッシュインダクション
覚醒下挿管 Awake Intubation
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Pain Relief |