阿膠 あきょう Donkey Glue
- ロバ(ウマ科)の毛を去った皮、骨、けん又はじん帯を水で加熱抽出し、脂肪を去り、濃縮乾燥したもの
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- 2500年ほど前、日本の縄文時代から東洋医学の世界で服用されてきた生薬
- 主な成分::コラーゲン、タンパク質、アミノ酸など
- 薬効:強壮作用、止血作用、滋陰作用、補血作用、滋養・鎮静作用 滋陰潤肺作用
- 月経過多・肺虚による喀血。止血薬として、血管壁弛緩と血液凝固減退の為に起る血液の浸透性亢進による出血に応用する。また、包摂薬として化膿、疼痛、利尿減少または頻数にも用いる。
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益宝 イーパオ
- 食用蟻製剤 「イーパオ」は食用蟻に加え、ハトムギ、マメ科植物の甘葛藤(シナノクズの根)を配合したもの
- 蟻は紀元前から中国で活用されてきた食品素材である。中国では、小さな蟻がからだよりはるかに大きな物を運んでしまう力強さが注目されてきた。
- 蟻は免疫を高め、経絡を通し、痛みやしびれを楽にする。
- 血を巡らせ、湿をとり、経絡の通りをよくする。
- 辛い肩こりに、他の漢方薬と組み合わせてよく用いられる。
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威霊仙 いれいせん clematis root
- サキシマボタンヅル(キンポウゲ科)の根及び根茎を乾燥させたもの
- 成分:アネモニン、オレイン酸、ヘデラゲニンなど
- 薬効:抗菌、血糖下降、血圧下降作用
→疎経活血湯
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延胡索 えんごさく
- ケマンソウ科エンゴサクの塊茎(かいけい)の外皮を除き、湯通しして乾燥したもの
- 成分:プロトベルベリン系アルカロイドのコリダリン、デヒドロコリダリン、コプチシン、イソキノリン系アルカロイドのブルボカプニン、グラウシンなど
- 鎮痛作用があり、頭痛、胃痛、胸焼け、腹痛などに効く。
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黄耆 おうぎ astragali radix
- マメ科キバナオウギ又はナイモウオウギの根
- 利尿・強壮・血圧降下・末梢血管拡張・抗アレルギー作用などがあり、疲労倦怠・胃腸虚弱・内臓下垂・皮膚化膿症などに用いられる。
- 人参とともに元気をつける代表的な補気薬の一つである。
- 成分:トリテルペノイド(アストラガロシドI、II及びIV)、イソフラボノイド(フォルモノネチン)、アミノ酸(γ-アミノ酪酸)など
- 薬効:主として体表の水のうっ滞(発汗異常や浮腫)を治す。したがって、黄汗、盗汗、浮腫を治す。
→当帰飲子/防已黄耆湯/補中益気湯/十全大補湯
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黄芩 おうごん Scutellaria root
- シソ科コガネバナの根の周皮を除き、乾燥したもの
- 一般にコガネバナ Scutellaria baicalensis Georgの和名が用いられ、漢字で「黄金花」とするところから、黄金のような黄色の花が咲くように思われやすいが、実際は紫紅色の花である。享保年間に朝鮮半島より渡来,その後,奈良県や群馬県に広がった。コガネバナ(黄金花)の名は根が黄色であることに基づいたものである。
- 主成分としてフラボン誘導体のバイカリンが約10%含まれているほか、オウゴニン、フラバノンのカルタミジン、ステロイドのカンペステロールなど、多数の類縁物質が含まれている。
- 消炎、解熱薬として、炎症、充血、発熱を伴う疾病で、心下部の痞え、胸脇苦満、煩熱、下痢など
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黄柏 おうばく Phellodendron bark
- 黄柏は1578年、李時珍の著した偉大な本草書、本草綱則に初めて登場した。
- 黄柏は黄色いモミという意味で、ミカン科の高木、キハダ(フェロデンドロン アムレンス)の樹皮を乾燥させたもの
- 成分:アルカロイド(ベルベリン、パルマチン)、トリテルペノイド(オバクノン)など
- 非常に苦く、古くから胃腸薬として使用
- 寒/涼 全身の「実熱」による諸症状を改善する。
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黄連 おうれん Coptis Rhizome
- キンポウゲ科のセリバオウレン
- 主成分のベルベリンのほか、微量のパルマチン、コプチシン、オーレニンなどの苦味アルカロイドが3~7%含まれている。
- 薬効:主として胸苦しく、煩悶し、動悸がするものを治す。みぞおちの痞え、嘔吐や下痢、腹部の疼痛も治す。
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何首烏 かしゅう polygoni multiflori radix
- タデ科のツルドクダミの塊根を乾燥したもの
- 何首烏の原産は中国で、1720年(享保5年)に長崎に渡来。八代将軍 徳川吉宗が国内での栽培を命じたが、日本の風土が非常に適していたため、今では日本の丘陵地や平地の道ばた、都会の石垣など、いたるところに野生化している。
- 成分:アントラキノン誘導体、スチルベン配糖体、フラボノイド、タンニン、レシチン、エモジンなど
- 薬理作用として血中コレステロール低下、血糖降下や感染症予防などが知られていることから、現代人の生活習慣病に最適な生薬
- 薬効:強心作用、血糖下降作用、抗菌作用、抗高脂血症作用、育毛作用、腸蠕動促進作用、肝障害抑制作用
- 漢方処方では至宝三鞭丸のほか、当帰飲子など
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葛根 かっこん kakkon(Pueraria Root)
- 葛の根
- 和名の「クズ」は昔、大和の国栖(くず)地方の人が、この植物の根から精製した澱粉を売り歩いていたことから名付けられたと言われ、その後漢名の葛が当てられるようになったものと考えられる。
- 葛根には後頸部から後背部の筋肉を緩める作用があり、頸部の交感神経の緊張を緩和する。
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乾姜 かんきょう processed ginger
- ショウガ科ショウガの根茎。生のショウガを「生姜」、蒸して乾燥したものを「乾姜」という。
- 芳香性の精油を含み、血液の循環促進、健胃、解熱、鎮痛などの作用がある。
- 急性胃炎、消化不良に効く黄連湯(おうれんとう)、更年期障害、貧血に効く柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)、気管支炎、気管支喘息に効く苓甘姜味辛夏仁湯(りょうかんきょうみしんげにんとう)などに含まれる。
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甘草 かんぞう glycyrrhiza
- マメ科の多年草。中国大陸原産で,まれに日本でも栽培される。
- 根を干したものを「甘草」と呼び、咳止め、鎮痛剤などに使い、また甘味料にも用いられる。
- 成分であるグリチルリチン酸およびその加水分解物には、ショ糖の150倍の甘さがある。
- 緊張を緩和させる作用がある。
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桔梗 ききょう platycordi radix
- 秋の七草のキキョウの根を薬用として用いる。生薬には皮付き品と皮去り品がある。
- 成分:サポニン(プラチコジンD)、多糖類(イヌリン)など
- 肺・気管支の熱を解く力、排膿の作用、去痰作用がある。
- 薬効:去痰作用、排膿作用 主として膿の混じた喀痰や化膿性の腫れものを治す。また、咽喉の痛みも治す。
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羌活 きょうかつ Notopterygium
- セリ科のNotopterygium incisum Ting ex H. T. Chang又はNotopterygium forbesii Boissieu の根茎及び根を乾燥させたもの
- 成分:ノトプテロール、ベルガプテン、クニジリン、ノトプトール、ベルガプトール、ノダケネナン、ノダケニンなど
- 漢方処方用薬:発汗、鎮痛作用があり、筋肉痛、神経痛、関節痛などの痛みや皮膚病を改善する薬方に配合される。
→疎経活血湯
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杏仁 きょうにん apricot kernel
- ホンアンズ又はアンズ(バラ科 Prunus armeniaca)の種子 果実が熟してから核を割って種子を取り出し、乾燥させたもの
- 医薬として使われるアミグダリン含量の多い杏仁を苦杏仁(くきょうにん)と呼ぶのに対して、食品には杏仁(あんにん)、甜杏仁(てんきょうにん)または甘杏仁(かんきょうにん)と呼ばれるアミグダリン含量の少ないものを用いられる。
- 成分:青酸配糖体(アミグダリン)、ステロイド、酵素(エムルシン)など
- 薬効:胸にたまった水分、痰などを治す。したがって、呼吸困難、咳嗽を治す。
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枳実 きじつ Immature OrangeB, Kijitsu, kijitsu
- ミカン科ダイダイの未熟な果実を乾燥したもの。ミカン、ナツミカンといった類似植物も用いる。
- 特異なにおいがあり、味は苦い。
- 自律神経を整える、健胃、去痰、心機能促進などの作用がある。
- 不眠症、自律神経失調症に効く温胆湯、胃炎、更年期障害に効く五積散、便秘、便秘にともなう痔に効く麻子仁丸などに含まれる。
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荊芥 けいがい schizonepeta spike
- Schizonepeta tenuifolia Briq. シソ科(Labiatae)の花穂
- 成分:精油((+)-メントン、(+)-リモネン、(-)-プレゴンなど)、モノテルペン配糖体: シゾネペトシドA~Eなど、フラボノイド配糖体: アピゲニン-7-O-β-グルコシド、ルテオリン-1-O-β-グルコシド、ヘスペリジン
- 薬効:発熱、解熱、鎮痛、抗炎症、抗菌
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桂皮 cinnamon bark ←→シンナムアルデヒド
- 一般にシナモンとして知られる。シナニッケイ(肉桂)の樹皮からとれる生薬
- 紀元前4000年頃にはミイラの防腐剤として使われた。古代エジプト以来の香辛料
- 古代バビロニアに楔形文字で書かれた粘土版や、古代ギリシアの詩人サッフォーの書いた詩にも、その名が記されている。
- 傷寒論の最初にみられる生薬で、多くの漢方処方中に配合されている。
- 日本には、飛鳥時代に遣唐使によって持ち込まれた。奈良の正倉院の宝物の中には、「桂心」としてケイの樹皮が所蔵されている。以来、多くの漢方薬に欠かせない生薬として重宝されてきた。
- 薬効の幅が広く、免疫力を回復させたり、胃腸の機能を整えたり、血液循環を改善する作用がある。
- 桂皮は身体を温め発汗させて経絡の気血の流れを良くするので、身体を温める。
- TRPA1(ANKTM1)のアゴニスト
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膠飴 こうい Koi, xiáo yí
- 小麦、粟などの粉に麦芽を混ぜて糖化させ、それを煮詰めた水飴状のもの。とくに糯(もち)米が適するとされる。
- 餅米を蒸し麦芽で糖化したもの
- 滋養強壮、健胃、鎮痛、鎮咳などの作用がある。
- 2000年以上前より、膠飴は小建中湯、大建中湯の主要な構成生薬として記された。
- 膠飴には消化管の攣急による疼痛を緩和する力や、虚弱体質の非炎症性の咳嗽に対する止咳作用もある。
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紅花 こうか
- ベニバナの花弁を乾燥させたもの
- 紅花は、紀元前から栽培されている女性のための薬草といわれている。
- 成分:紅色素(カルタミン)、黄色素(サフロールイエロー、サフロミンA、B)、フラボノイド(カルタミジン、ネオカルタミン、カルタモン)、脂肪油(リノール酸(主)、オレイン酸等)、ステロール類
- 活血化瘀作用
- 血行を促進し、鬱血を除く漢方薬として用いられている。また、婦人病特有の血行障害による生理痛や、産後の腹痛などに効果があるといわれている。
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香附子 こうぶし Cyperus rotundus
- カヤツリグサ科ハマスゲの根茎を乾燥したもの
- カヤツリグサ属の Cyperus は、ギリシャ語のキュペイロス(キュペイロンとも綴られる)「スゲ」から。和名のカヤツリグサ属のカヤツリグサ(Cyperus microiria)は漢字では「蚊帳吊草」。カヤツリグサの茎を引き裂いて蚊帳を吊ったような形を作る子供の遊びに由来する。
- 生薬名の香附子とは、塊茎の形が生薬の附子に似て、香気があることに由来するとされる。
- 主な成分:精油0.6~1.0%が含有されている。精油の主成分としてセスキテルペノイド系のα-キペロンが含まれるほか、キペロール、キペレン、スゲオノールなども含まれている。
- 薬効:「女化の主師」という別名を持つように、月経不順や月経痛といった婦人科疾患にも効果を持つ。
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粳米 こうべい nonglutinous rice
- イネ Oryza sativa Linné(Gramineae)の果実
- 生薬名:コウベイ(粳米) 薬用部位:えい果
- 日本では一年草として栽培されているが、本来はインドおよび東南アジア原産の多年草です。日本には縄文時代晩期に渡来したといわれている。草丈は50~100cmで6~7月の開花時には直立しているが、9月以降にえい果と呼ばれる果実が充実してくると垂れた稲穂となる。生薬「コウベイ」は本種のえい果で、でんぷん、デキストリンなどの成分を含み、健胃、滋養強壮などの作用がある。
- 主要成分:でんぷん、ステロール(γ-オリザノール)など
- 薬能:体臭の喪失を防ぎ、口渇を止める。恒に食して元気を持続する。
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牛膝 ごしつ achyranthes root
- ヒナタイノコズチAchyranthes fauriei Leveille et Vaniot 又はAchyranthes bidentata Blume(Amaranthaceae ヒユ科)の根
- トリテルペノイド、サポニン、ステロイド(イノコステロン、エクダイステロン)、ステロール類が含有される。
- 通経、利尿、筋骨を強める作用があり、婦人科疾患、関節痛、神経痛、足腰の筋肉の萎弱や疼痛、化膿性のはれものなどを治療する薬方に配合される。
- 排尿困難、頻尿に効く牛車腎気丸、腰痛、神経痛、筋肉痛に効く疎経活血湯、関節リウマチ、慢性関節炎に効く大防風湯などに含まれる。
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厚朴 こうぼく Japanese bigleaf magnolia bark
- モクレン科カラホオノキや凹葉ホオノキ、ホオノキの樹皮や根皮を乾燥したもの
- オイデスモール、ピネン、カンフェンなどの精油、結晶性フェノールのマグノロールやホオノキオールのほか、マグノクラリンやマグノフロリンなどのアルカロイドが含まれている。
- 薬効:鎮痛、鎮痙
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呉茱萸 ごしゅゆ goshuyu, wu zhu yu 参考1/
- ミカン科ゴシュユ(呉茱萸)、中国原産の落葉小高木。江戸時代に中国から雌株だけが渡来し、各地で栽培されてきた。
- 語源は、「茱萸」が赤い実をもつ植物を表している。特に、中国の「呉」由来のものが高品質とされたことから、「呉茱萸」が一般的になった。
- 呉茱萸の味はとても辛く、同じミカン科の山椒に似ていることから、日本では唐椒「カラハジカミ」とも呼ばれる。
- 温経湯(うんけいとう)、呉茱萸湯、 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)、左金丸(さきんがん)など7処方に配合されている。
- 呉茱萸は成分としてエボジアミン、ルテカルピン、エボカルピン (アルカロイド)を含み、体を温める、鎮痛などの作用を有す。
- エボジアミンにはTRPV1の活性化、セロトニントランスポーター増強作用がある。
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柴胡 さいこ upleurum Root, saiko, siho
- セリ科ミシマサイコの根を乾燥したもの
- 特異なにおいがあり、味は僅かに苦い。
- 消炎、解熱、解毒、鎮痛などの作用がある。
- 神経痛、肋膜炎に効く柴胡桂枝湯、気管支炎、気管支喘息に効く神秘湯、肝炎、高血圧に効く大柴胡湯などに含まれる。
- サポニン、サポゲニン、フィトステロール類を含む。
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山梔子 さんしし gardenia fruit
- クチナシ Gardenia jasminoides Ellis(アカネ科 Rubiaceae)の果実を乾燥したもの
- 梔子(クチナシ)の果実 果実が熟しても開裂せず口を開かないので「口無し」になった等の説
- 成分:ゲニポシド(イリドイド配糖体)、クロシン(カロチノイド色素)
- 主として胸苦しいものを治す。また、黄疸も治す。
- 漢方処方用薬として、消炎排膿薬、皮膚疾患用薬、尿路疾患用薬、精神神経用薬とみなされる処方及びその他の処方に配合されている。
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山茱萸 さんしゅゆ asiatic dogwood, Cornus officinalis, Japanese cornel, cornus fruit
- ミズキ科サンシュユの果肉を乾燥したもの
- 内部にある種子を取り除き 、乾燥させた果肉(正確には偽果)が生薬に利用される。
- 疲労回復、滋養、強壮、止血などの作用がある。
- 強精薬、止血、解熱作用がある。
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山椒 さんしょう Japanese zanthoxylum peel
- サンショウ Zanthoxylum piperitum De Candolle (Rutaceae ミカン科)の成熟した果皮で、果皮から分離した種子をできるだけ除いたもの
- 腹の中の冷えや痛み、間歇熱を治す。回虫を殺し、脾胃を温めて寒を散ずる。
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酸棗仁 さんそうにん
- さねぶとなつめは、クロウメモドキ科実部とナツメの成熟種子
- 薬効:鎮静作用 催眠作用 鎮痛作用 血圧降下作用 体温降下作用
- 神経強壮、鎮静、催眠薬として、心因性神経性の不眠症、健忘症、口渇、虚弱体質者の多汗症などに応用
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山薬 さんやく Dioscoreae rhizoma, Japanese yam
li>薯蕷(しょよ)とも呼ばれる。
- ヤマノイモ科ヤマノイモの皮を薄く剥いて乾燥したもの
- ヤマノイモ・ナガイモの根を、外皮をはぎ乾燥させたもの。
- 滋養強壮、止瀉、鎮咳などに効果がある。
- 強壮及び滋養作用と緊張を緩和させる作用を持っている。
- アミラーゼを大根の約3倍量含むほか、活性酸素の除去するカタラーゼも豊富に含んでいる。
- ステロイド:ジオスゲニン,β-シトステロールも成分として含む。
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地黄 じおう rehmannia root
- ゴマノハグサ科ジオウ属植物の根茎。生のままを「鮮地黄」、そのまま乾燥させたものを「乾地黄」、蒸してから乾燥したものを「熟地黄」という。
- 補血、強壮、止血、滋潤などに効果がある。
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蒺藜子 しつりし Tribulus fruit
- 暖かい海辺の砂地に自生するハマビシ科(Zygophyllaceae)のハマビシ Tribulus terrestris L. の未成熟果実未成熟果実を乾燥したもの
- 成分:テレストリアミド、ケンフェロール、トリブロシド、アストラガリン、ハルミン、ハルマン、精油、サポニン、ケンペロール、タンニン、脂肪油
- 脂肪油やサポニンを含み、強壮、利尿、消炎、かゆみ止め、鎮静などの作用がある。
- 蒺藜子はしばしばアトピー性皮膚炎の治療薬として選択される漢方処方「当帰飲子」に配合される生薬
- 虚弱体質者や高齢者で、血虚により皮膚が枯燥し掻痒のあるものに用いられる。処方の中で蒺藜子は掻痒の改善薬として重要で、中葯学では平肝熄風薬に分類され、肝経に入り、内風を平熄し肝陽を平定する薬物とされる。
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芍薬 peony root
- ボタン科シャクヤクの根を乾燥したもの
- 鎮痛・鎮痙、収斂、緩和作用などに効果がある。
- 芍薬には筋肉の緊張を和らげる効果と自然な腸の動きを取り戻す作用とがあって、便秘と下痢のいずれにもよく使われる。
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車前子 しゃぜんし platago seed
- 原植物はオオバコ科のオオバコの種子
- 非サポニン性の去痰薬
- 成分としてアウクビンおよび多量の粘液を含む。
- 鎮咳、去痰、止瀉、利尿作用を有する。
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朮 じゅつ、jutsu
蒼朮 そうじゅつ atractylodes rhizome, sojutsu, cangzhu
- キク科ホソバオケラとシナオケラ又はそれらの雑種の茎を乾燥したもの
- ホソバオケラは中国原産の多年生草本で、中国から江戸時代の享保年間に種苗が渡来し、特に佐渡島で盛んに栽培されたことから、一名「サドオケラ」の名称があるが、現在,日本での生産はほとんどない.。
- 健胃、利尿、発汗、抗炎症、鎮痛などの作用がある。
- 主成分はヒネソールやアトラクチロール、アトラクチロジン、アトラクチロンなど
白朮 びゃくじゅつ atractylodes rhizome, byakujutsu, baizhu
- キク科のAtractylodes macrocephala KOLDZ.オオバナオケラの根茎
- ニワトリのモモのからあげのような姿をしている。本来、オケラの仲間は白い花が咲き、根茎は独特な精油成分による芳香を持っているが、白朮だけは赤い花が咲き、根茎は油分が少なく、ほとんど芳香性がないのでが蒼朮とは異なる。
- 中国の浙江省、安徽省、江蘇省などで広く栽培されている重要な中国生薬の一つ
- 漢方で健胃・利尿薬などに用い、屠蘇散・蚊やりなどの材料ともする。
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生姜 しょうきょう ginger ←→ジンゲロン・ショーガオール・ジンジャオール
- ショウガ科ショウガの根茎。生のショウガを「生姜」、蒸して乾燥したものを「乾姜」という。また、そのまま乾燥したものを「乾生姜」という。
- 熱帯アジア原産の多年生草本であり,根茎を薬用とする。品種が多く、薬用には辛味性の強い小生姜(ショウショウガ)又は中生姜(チュウショウガ)が使われ,食用には甘味のある大生姜(オオショウガ)が主として使われる。
- 芳香辛味性健胃、食欲増進、発汗などに効果がある。
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石膏 せっこう GYPSUM FIBROSUM
- 天然の含水硫酸カルシウム(石膏)をくだいて粉にしたもの
- 組成は硫酸カルシウム(CaSO₄・2H₂O)
- 主として激しい口渇を治す。また、うわごと、苦しみもだえるもの、体全体に熱感のあるものを治す。
- 肺の熱や炎症をしずめる働きと利尿作用がある。咽喉炎、口内炎、肌のほてりなどの熱や炎症をしずめるのに有効。
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川芎 せんきゅう Cnidium officinale Makino
- セリ科センキュウのひげ根を除いた根茎を、湯通しした後乾燥したもの
- 中国四川省が原産と推定されるが、わが国でも江戸時代の寛永年代以後、栽培される。本格的には明治の中期、北海道に始まり現在も大量に栽培されている。
中国の古典(「神農本草経」など)には,芎藭(キュウキュウ)と書かれているが、四川省産のものが良品とされたため、川芎という呼び名が生じたといわれている。この川芎に使われている「藭」や「芎」の字は、葉柄が弓状に曲がった様を表すものと考えられている。
- 料理用ハーブとして主に使われるヨーロッパのラビジや、北米で人気のあるハーブ、オシャ(学名L.porteri)の仲間
- 活血化瘀薬
- 中国では、月経異常や心臓疾患の際に血を活気づける治療薬として14世紀から使用されている。
- 腹痛に関連する肝臓の気の停滞を緩和し、頭痛にも有効な生薬 身体のバランスをとる薬
- 熱感よりも寒けが強い風邪による頭痛、片頭痛、肩こりによく効く。
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蘇葉 そよう Perilla Herb
- シソ科シソの葉を乾燥したもの
- 主成分は精油で、約50%を占めるシソアルデヒドや約30%を占めるリモネンのほか、ピネンなどが見出されている。その他成分として、カロテンやシソニン、シアニンなどが含まれている。
- 薬効:鎮咳、去痰作用
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大黄 だいおう
- 初夏に黄緑色の小花を咲かせるタデ科の多年草で、ハート型の大きな葉をしている。江戸時代の薬種商や、今でも生薬を扱う人々の間では、「将軍」という別称で名が通っている。
- 成分:アントラキノン誘導体のセンノサイドA~F、アロエエモジン、レイン、クリソファノールなどです。その他、フェノールのトラクリゾン、カテコールタンニンのカテコールなども含まれている。
- 薬効:瀉下作用 利胆作用 消炎作用 健胃作用
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大棗 たいそう jujube
- クロウメモドキ科ナツメの果実を乾燥したもの
- 体を温め、緊張を緩和させる作用をもつ。下痢で傷ついた消化管を補修し、また興奮した腸の動きを抑制することで腹痛を緩和させる。
- 強壮、利尿、矯味などに効果がある。
- 甘味があり、補性作用・降性作用がある。
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沢瀉 たくしゃ alismatis rhizoma, alisma tuber
- オモダカ科サジオモダカの根茎を乾燥したもの
- 水分代謝を調整し不要な水分を排泄する作用を持つ。
- 利水、止渇などに効果がある。
- 止渇、鎮痛、コレステロール降下のほか、強い利尿作用があり、とくに腎炎に有効とされる。
- 四環性トリテルペノイドのアリソールA、B、Cとそれらのアセチル化合物などを成分として含む。
- 腎炎、むくみ、下痢に効く五苓散、前立腺肥大、頻尿、排尿困難に効く八味地黄丸、排尿痛、残尿感、膀胱炎、尿道炎に効く竜胆瀉肝湯などに含まれる。
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猪苓 ちょれい Polyporus Sclerotium
- サルノコシカケ科のチョレイマイタケの菌核を乾燥させたもの
- 主な成分:エルゴステロール、α-Hydroxytetracosanoic acid 、ビオチンなど
- 薬能:利尿作用があり、膀胱炎やむくみ、下痢などに効果がある。
→五苓散、柴苓湯(さいれいとう)、猪苓湯(ちょれいとう)など
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知母 ちも ANEMARRHENAE RHIZOMA
- ユリ科のハナスゲの根茎
- 成分:サポニン(チモサポニン類)、キサントン類(マンギフェリン)など
- 薬効:清熱作用 瀉火作用 去痰作用 鎮咳作用 解熱・消炎・止渇作用
- 主として、手足のほてりなど不快な熱感を治す。
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陳皮 ちんぴ Mandarin
- ミカン科ウンシュウミカンの果皮を乾燥したもの
- 果皮にはリモネン、リナロール、テルピネオールを主成分とする精油約0.2%や、配糖体のヘスペリジン、フラボノイドのノビレチンなどが含まれている。また果肉にはクエン酸を主とする有機酸を1~3%含有するほか、ビタミンCやカロテンも豊富に含まれている。
- 風邪の症状改善やリラックス効果
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当帰 とうき Angelica
- トウキ Angelica acutiloba Kitagawa
ホッカイトウキ Angelica acutiloba Kitagawa var. sugiyamae Hikino
- セリ科シシウド属の多年草 Umbelliferae
- 神農本草経の中品に収載され、漢方では婦人病の要薬である。日本では17世紀に大和・山城で多量に栽培生産された。
- 冷え性、月経不順、貧血を主訴とする婦人病などに用いられる。根を薬用とする。
- 補血・保健強壮・鎮静・鎮痛・貧血・月経不順・冷え性・更年期障害などの婦人病に用いる。血流を促し、身体を温める。普導丸では他の生薬との組み合わせにより、めまい・気分不快などを軽減する。
- 甘味があり、補性作用・降性作用がある。
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桃仁 とうにん peach kernel
- モモの成熟した種子を乾燥させたもの
- 成分:青酸配糖体(アミグダリン)、酵素(エムルシン)、タンパク質、脂質類など
- 薬効:主として、血液の停滞、下腹部の膨満して痛むものを治す。(薬徴)
- 血のめぐりをよくして、腸をうるおす働きがある。月経不順、月経痛を治し、便通を整えるのに効果的
- 女性の「血の道症」に多く用いられる。
→桂枝茯苓丸/桃核承気湯/疎経活血湯
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人参 にんじん Ninjin, renshen, ginseng
- ウコギ科チョウセンニンジンの根を乾燥したもの
- 果実は7月下旬頃に熟し、鮮やかな紅色になる。細根や皮を除いて乾燥した根を「白参」、蒸して乾燥した根を「紅参」といい、調製法によって大別されている。
- 健胃整腸、鎮痛、去痰、駆風などに効果がある。
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麦門冬 ばくもんとう ophiopogonis radix, ophiopogonis root
- ジャノヒゲ Ophiopogon japonicus (Thunb.) Ker-Gawl. キジカクシ科(Asparagaceae)
(局方)Ophiopogon japonicus Ker-Gawl. ユリ科(Liliaceae)
- 生薬名:バクモンドウ(麦門冬) 薬用部位:根の膨大部
- 日本、中国、朝鮮半島などに分布する常緑性の多年草。花は7~8月に開花し、冬には光沢のある青色の果実をつける。
- 生薬「バクモンドウ」は本種の根の膨大部で、オフィオポゴニン(ステロイド配糖体)などの成分を含み、鎮咳、止渇、去痰などの作用がある。一般用漢方製剤294処方のうち、麦門冬、竹茹温胆湯など23処方に配合されている。葉の形から、蛇のヒゲあるいは竜のヒゲと呼ばれている。日陰でもよく育ち、公園や庭の垣根ぞいに植えられていて、緑の少ない冬ではひときわ目立つ。
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半夏 はんげ hange
- サトイモ科カラスビシャクの球茎の外皮を除いて乾燥したもの
- 多年生の雑草で、4~5月頃に長さ10~20cmほどの3枚の小葉からなる葉を1~3枚出す。花はサトイモ科特有の変わった形で5~7月に開花する。種はわずかで、1つの花に平均で20粒前後なる。
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白芷 びゃくし Angelica Dahurica Root
- ヨロイグサ Angelica dahurica Bentham et Hooker filius ex Franchet et Savatier(Umbelliferae)の根
- 成分:ビャクアンゲリコール、ビャクアンゲリシン、フェロプテリン、インペラトリン、クマリンなど
- 風寒・寒湿に適す
- 薬効:解熱、鎮痛、解毒、排膿作用
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防已 ぼうい Sinomenium Stem and Rhizome
- オオツヅラフジ(ツヅラフジ科)のつる性の茎及び根茎を乾燥させ、通例、横切したも
- 薬効:主として水分の偏在・代謝障害を治す。
- 漢方では下半身の浮腫、関節水腫、腹水に対する利尿、また関節痛、リウマチに対して鎮痛を目標に用いられる。
→防已黄耆湯/
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防風 ぼうふう
- セリ科(Umbelliferae)のボウフウSaposhnikovia divaricata Schischkinの根及び根茎(関防風、東防風)、川防風、雲防風などの根
- 風邪を防ぐ重要な生薬として、お屠蘇にも古くから用いられてきた。
- 神農本草経上品に収載されている。
- 古書に「風邪を治療する最要のものだから」と名前の由来が説明されている通り、ボウフウには発汗・解熱作用があり、四季を通じて感冒による頭痛、悪寒、発熱や予防薬として使われる。
- 痛みを止める作用もあり、関節炎・筋肉痛・身体疼痛・リウマチなどに用いられるほか、消炎・排膿作用があるので、湿疹や皮膚のかゆみ、皮膚が化膿する病気の場合には、薄荷(ハッカ)や荊芥(ケイガイ)などの生薬と合わせて使われる。
- 有効成分:抗ウイルス作用、解熱作用、消炎鎮痛作用、血圧降下作用、胃粘膜を守る作用、関節炎を抑制する作用などがあることも薬理実験で報告されている。薬酒に合う生薬で、独特な香りの精油成分がアルコールによって効果的に引き出される。
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牡丹皮 ぼたんぴ moutan bark
- ボタン科ボタンの根の皮を乾燥したもの
- 特異なにおいがあり、味は僅かに辛くて苦い。
- 血中の熱をさまして活かす作用を持つ。
- 消炎、止血、鎮痛などに効果がある。
- 婦人病や下腹部、下肢、腰部の化膿症に用いられる薬方に配合される。
- 成分として、モノテルペノイドのペオニフロリン、ペオノール、ペオノサイド、ペオノライド、安息香酸、ベンゾイルオキシペオニフロリン、ステロイドのカンペステロールなどが含まれている。
- 成分のペオニフロリンは腸内細菌でペオニメタボリンに代謝され効果を発揮する。腸内細菌には個人差があるため、効果に個人差が生ずるといわれている。
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茯苓 ぶくりょう Poria Sclerotium
- サルノコシカケ科のマツホド菌の菌核を乾燥し外皮を除いたもの
- 成分として、四環性トリテルペン酸:eburicoic acid、pachymic acidや多糖類:pachymanを含む。
- 鎮静、利尿の作用があり、漢方では動悸、胃内停水、小便不利、筋肉の間代性痙攣を改善する薬方に使用する。
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牡蛎 ぼれい oyster shell
- 神農本草経の上品に収載されている漢薬
- イタボガキ科のオウミガキ、イタボガキ、コケゴロモ、マガキ、イワガキ、オハグロガキ、ケガキ、カキツバタガキなどの左殻
- 鎮静、制酸、収斂、利尿、止渇、止汗などに効果がある。
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麻黄 マオウ Ephedra Herb, ma huang ←→エフェドリン
- Ephedra sinica Stapf, Ephedra intermedia Schrenk et C.A.Meyer 又は Ephedra equisetina Bunge (Ephedraceae マオウ科)の地上茎
- 成分:アルカロイド:(l)-ephedrine、(d)-pseudoephedrin、ephedroxane
(l)-norephedrine、(l)-N-methylephedrine、(d)-N-methylpseudoephedrine
その他:オキサゾリジン誘導体、フラボノイド、タンニンなど
- 麻黄湯や葛根湯の構成生薬のうち、麻黄、桂枝の組み合わせで発汗作用を増強する。
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薏苡仁 よくいにん yokuinin
- ハトムギは外から「殻→薄皮→渋皮→子実」となっていて、渋皮を取り除いたもの
(ハトムギの殻は固く食用には向かないため、脱穀前のハトムギは煎って、ハトムギ茶として飲用されている。)
- 体にたまった水分をさばき、痛みを取る作用があり、腫れて熱をもっているような関節痛や筋肉痛、神経痛などに用いられる。関節リウマチの関節痛、筋肉痛などにも使われる。体力は中くらいの人に向くとされる。
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竜骨 りゅうこつ dragon bone herb powder, long gu
- 竜骨の基原となるのはゾウ、サイ、馬、鹿、猪、牛などの仲間である。ナウマンゾウのように絶滅してしまった動物も多い。
- 収斂作用がある。
- 成分は、炭酸カルシウム(50〜80%)、リン酸カルシウムなどである。
- 煮た牛骨等を粉砕し、石灰水に浸けてザラザラした感じにした偽物の竜骨もある。本物は舐めると舌に吸い付く感じがするという。本物は化石であり、化石は多孔質なため水分を吸着しやすいからである。
- 亀甲獣骨文字(甲骨文字)は、竜骨を持病の治療薬として求めた王懿栄が、文字の書かれた骨から発見したといわれる。また、北京原人の化石は竜骨の産地である周口店竜骨山で発見された。
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竜胆 りゅうたん japanese gentian
- トウリンドウ(リンドウ科)の根及び根茎を乾燥させたもの
- 成分:セコイリドイド配糖体(gentiopicroside、trifloraside、swertiamarin、gentianine)、キサントン誘導体(gentisin)
- 糖類:gentianose、sucrose
- 薬効:苦味健胃、胃液分泌促進作用、鎮痛作用、抗アレルギー作用
→疎経活血湯/竜胆瀉肝湯 (りゅうたんしゃかんとう)/加味解毒湯 (かみげどくとう)など
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