森田明夫のやってきたこと 1982〜2023

日本の行方

こんなことを書くとバチが当たってしまうかもしれないが、時に様々なニュースをみていると日本という国はつくづく平和だなと思う。

アフガンの状況を、テレビドラマのようにみてしまう。命がとても軽くて、脱出しようと飛行機に群がった人たちが亡くなる。鮨詰め以上の密なんてものではない状況で、輸送用の飛行機で他国へ脱出する。

日本との差がとても想像がつかない。そんな国で井戸をつくことに尽力していた医師がいたことに本当に敬意を払う。

卑近なことでは、中国上海の最新鋭の病院でのこと。トイレにはトイレットペーパーはない。昔の日本の駅のトイレの様である。ものすごい勢いで水が流れるので、周辺びちゃびちゃしていて、筆舌に尽くし難いくらい汚い。トイレットペーパーはおいておくと盗まれてしまうのである。国民性の違いというか、、と言っても日本でも、経済の急変とかになってトイレットペーパーが盗まれることがある様である。西片のQueens Isetanによく行くが、そこのトイレには、「誰か必ず見ているぞ!」という張り紙がしてある。その張り紙を見ると日本人の「誰にもみてられなければなんでもして良いーーー」ていう無宗教な心が見えるようでとても寂しくなる。

 

また一方で、日本では詳しいことはまだわからないが、高校生に嫉妬して妻が刺殺してしまうなんていうあきれた愛憎事件。綾瀬はるかさんがコロナにかかって中等症なのに即入院できてるっていう、、上級国民って文句行っているNewsが上がっている。なんでこんなに足を引っ張ったり妬んだりするのでしょうか?こんなに平和なのに。

国家の議論も、コロナ対応の遅れ、デジタル化の遅れは重大ではあるが、それ以前はやれ桜を見る会での支払いがどうか、とか、どこかの政治家がコロナで夜に飲食したとか、、なんか「それ国会で議論すること?」クラス会でも出てこないような低次元の議論がくり返されていた。

 

日経新聞を医局で取ってもらっているが、日経新聞には様々な日本や世界の課題が特集化されている。

その一つは

1)少子化

もう一つは

2)デジタル化の遅れ

3)日本の科学論文の質・数の低下

など である。

当然アフガンをどうするかなどという世界的な課題もあるし、温暖化やサステナブルな社会の構築なども課題として上がる。

 

さて我々の仕事に直接関与することとして、少子・高齢化は重大な課題として考えないといけないだろう。

国力=(労働人口・領土+経済力+軍事力)(戦略・目的+国家意思)という方程式をCIAの長官が提唱したそうであるが、人口は国力の大事な要素であり、出生率が1.5をきるとどうしても人口増に向くことは将来不可能になるという数式があるらしい。日本の出生率はちなみに現在1.34 韓国は世界最低で0.84だそうである。従って日本はどんどん人口減少が進む方向性にあって、2030年まで年間50万人の労働人口が減少するそうである。フランスでは今出生率は1.8以上あるが、これは1870年の普仏戦争での敗戦をきっかけに、国家100年の計で人口減少を止めようとした努力の結果だそうである。

従って、人口減少を止めるためには、長い歴史的視野を持って、女性が社会進出しても子供を持ちやすいような社会構造を作らないといけないし、そのためには都市の働き方の変革が必要なのかもしれない。

杏林大学は郊外にあるために看護師さんたちの子供保有率が高いそうである。(ただそのためにコロナの家庭内感染が激増、、なんということが起こっているらしい)日本医大での状況はわからないが、どうしても都内の人口過密地帯では託児所もおいそれとは見つからないだろうし、お子さんをもって働くのはなかなか大変だろうと考える。

 

ではどのようにその労働人口の減少を他国や日本は乗り切ろうとしているのか?

  • 当然育児のしやすい社会や、出産育児の補助を徹底することは重要かと思う。出産女性に10万円、、、とか与党の張り紙があるが、それで足りるの?と考えてしまう。

もっと画期的に高額な、優遇が必要と思う。

次には日本人を増やすことは、諦めて、、?

  • 移民の受け入れ 日本でも夜間担当の看護助手さんやセブンイレブンのレジなどは外国人が多くなったな〜と感じます。でも当然均質な一民族の日本で移民を多く受け入れることは、差別や犯罪、その他あまり日本が経験してこなかった社会問題が増えてくるという可能性は否定できない。
  • 人の労働をロボットとかAIに担当してもらう。これはロボット先進国の日本ですから、様々工場がロボットの導入で効率的な作業過程が出来上がっている。 人口が少なくなってもスマートに生きる手段を開発してゆくのも日本の課題かと思う。

 

では医療ではどうだろうか?先ほどの看護助手や看護師、また介護の世界では移民や海外労働者に力がどうしても必要になってきている。医師の数はどうだろう。現在の医療でどの様な医師数が適正なのかの判断はかなり複雑な様相がある。

様々な医科大学の医学生の数、地域枠、そして今度は専門枠(!?)などという話が出ている。そして専門領域でも都市部ではシーリングを設けたりされている。

でも今後働き方改革にて夜勤の制限、労働時間の短縮などが徹底してゆくと医療の質の担保をいかにするか?これも上記と同様な考え方で、夜間救急医のドラマ(ナイトドクター)とかも今やってますし、AIなどを駆使した効率的な医療体制を作ることは喫緊の課題なのかと思います。

 

そしてそれは先にあげた日本の重大な課題の一つ「デジタル化の遅れ」ととても密接に関わっています。

日本はあまりにも個人情報への配慮が行きすぎていて、制度ががんじがらめで動きが取れなくなっている。マイナンバーカードの普及も個人の希望でしているという状況。所持者は40%に満たないと言う。韓国や米国では生まれた時に番号が付くし、留学生でも移民でも全員にSocial Security Numberが付与される。

ワクチンが紙媒体で番号とか割り振られていて、どうやって厚労省は誰がどの様にワクチンを受けているのかを把握しているか?考えるだけでも気が遠くなる。

個人番号に医療情報がデジタルで紐付けされていれば、救急の世界や、多重処方の改善に役立つであろう。

この話題は、機会があれば又別の時に。いずれにしてもマイナンバーって名前が悪いように思いますし、秘密の番号にしすぎていて意味がありません。納税通知のために企業に番号を渡しているのに個人情報なので人に見られないようにって、、、非常に矛盾しています。

 

いずれにしても、少子高齢化は我々の医療や、普段の社会を大きく変えてゆくことは確かです。江戸時代日本の人口は3000万人くらいだったと聞いています。その社会は鎖国されていたので海外からの影響を受けにくく、とても穏やかな生きやすい国であった様です。もしかすると日本の適正人口ってこの国土だとそれくらいなのかもしれませんね。ただそうなるとよほどうまく組織改善しないと日本の経済力は低下し、貧しくなり、世界での位置づけは劇下りになるかもしれません。北欧やバルト3国やアイスランド、ルクセンブルグやシンガポールみたいな特徴ある国力作りが必要になるのかと思います。

 

取り止めのないお話でした。

平和で良い国だな。他に住もうとは今は思わないな。と思う反面、ちょっと行先が心配な日本についてつらつら考えました。

 

日本の行方1