医学生からの質問:
冬期オリンピックも一段落しました。勝者だけではなく、特にメダルに至らなかった女性アスリートの活躍と言葉に、遠くソチでのこと、またメディアによって多分に修飾された情報とは知りながらながら、深く感動を覚えました。何かに向かって努力し、くじけないことの強さ。日本は大雪で大変なときもありましたが、すばらしい2月でした。
さて先日BSL最終組の学生に文殊カード法(教育セミナーに参加した先生はご存知と思います)で順番に脳外科について聞きたい16の質問を挙げてもらい、それに答えるという総括をしました.当たり前の質問もありますが、なかには脳神経外科や外科領域の永遠のテーマのようなものがありました。
さて皆様ならなんと答えますでしょうか?
- 良い脳外科医のみつけかた?(=良い脳神経外科とは?)
- どうして手が器用なのでしょうか?(=器用さは生まれつきか?努力か?器用でないと脳外科医にはなれないのか?)
- 毎日のように長時間オペで辛くないのかどうか?
- 脳外科医が一人前になるまでの期間?(=一人前の脳外科医とは?)
- 脳外科医は研修後、脳外科に直接行かれる方が多いのか?救急へいくなどは、どれくらいの割合か?
- 記憶力を高める方法がありますか?(=記憶とはどのようにつくられ、どのように保たれるか?記憶の改善治療は?)
- ロボトミー手術ってどうなんですか?
- 腫瘍をCurrettingしていると若干腫瘍が残存しないのか? それでよいのか?
- 内視鏡下経鼻的下垂体切除術でなぜ鼻の片側からアプローチするのか?(=どのように片側と両側を使い分けるのか?)
- フィブリン糊以外に接着する方法はないのでしょうか?
- 脳外科領域の閉じ方が以外と心外にみえてしまうのですが、大丈夫なのでしょうか?(大雑把にみえる。下垂体とかテントとか、大脳鎌とかしっかり閉じないのは?)
- 下垂体腺腫を摘出した後に脂肪をつめる理由?
- 水頭症でのドレーン留置はどのようにやっているのでしょうか?
- 脳外科ではドレーンをあまり留置しないようにみえますが、、、なぜですか?(=なぜドレーンをおく手術、おかない手術があるのか?期間はどのように決めるのか?形成外科など長期におくが?)
- どうして着衣失行は劣位半球(あまり適切な言葉でないことは指摘しました)でしか出ないのでしょう
- どのくらい頭痛の頻度が高ければCTをとったほうがいいのでしょう?(=外来でのCTの適応は?)
など でした。
いつも当たり前にしていること、今一度なぜこうしているのか?を見直すことで、新しい発想がわくかもしれません。
そして正しい伝統を引き継ぎ、因習や決まりにとらわれず、科学的視点で脳神経外科を見直すこと。それが次代をさらに発展させるために必要なこととおもいます。
何度かお話していますが、どんなことでも、不思議に思うこと、質問しあうようにしましょう。今の当たり前は、永々に当たり前ではありません。