さる2020年1月9日(木曜日)に浜松にて、第22回日本脳神経減圧術学会を開催いたしました。本学会は脳の機能的外科の中でも顔面痙攣、三叉神経痛や舌咽神経痛その他、脳神経等が血管やその他の構造物で圧迫されることによる疾患をいかに診断・治療するかという技を共有し学ぶ学会です。英語ではMicrovascular decompressionという手術がこれにあたり、ピッツバーグの故Peter Jannetta先生によって広められたため、ジャネッタ手術とも呼ばれます。日本では本技術をいち早く取り入れ本学会を開始された近藤明悳先生と私の師匠でもある福島孝徳先生が広められました。本学会は今回で22回目を迎え、10年ほど前から機能神経外科の他の学会(日本てんかん外科学会、日本定位・機能神経外科学会)と同時期に同じ会場で実施するようになっております。それで今回も浜松での学会となったわけです。
本会はテーマを脳神経減圧術のArt&Scienceとして、技術だけではなく、外科的センスまた科学を追求する学会といたしました。特別講演を福島先生にお願いし、前日に書き上げたという手記・メッセージを聴衆に配って、熱のこもった、「正しい方法で、一生懸命やりなさい」という講演をなさいました。受付、機器展示にいらした会社の人たちも含めて全員が聴き入りました。教育講演には近藤先生の本手術の基本的概念、松島先生には手術に必要な解剖の知識、さらに本学薬理の坂井先生には、痛みに関する分子生物学的研究をお話しいただきました。ランチョンセミナーでは私の同僚の杏林大学の塩川先生から脳卒中外科から入る本手術の課題について、Interactiveな講演をされました。その他手術記載の描き方や、日本での本手術の統計データなどの報告を含め総計62演題のご講演をいただきました。さらに手術の記載方法はそれぞれ独自の方法がありますが、本学会では私の手術記載コーナーで手術記載の一例と自分の記載の方法を11人の先生にポスター形式で呈示していただきました。非常に勉強になる会で、各方面からもご好評をいただきました。約170名の参加で、本学会の規模では過去にはない参加者数でした。
朝浜松のホテルからは東方に朝日を浴びた富士山を望むことができ、西は浜名湖、前日は美味しいうなぎ料理をいただきました。
このような学会を開催できましたのも、同門・同窓会からの積極的ご支援の賜物でございます。ありがとうございました。また事務局で支えてくださった千葉北総病院梅岡克哉先生、秘書の相澤朋美様に感謝いたします。