JCIについて
暑い日が続いておりますが、如何おすごしでしょうか?健康には気をつけましょう。さて皆様Joint commission internationalという言葉をご存知かとおもいます。米国の医療機能評価のようなものです。現在やっきになって日本の医療機関もこれを取得しようと努力しています。その上でなんのメリットも権利・資格もない日本医療機能評価を受けようという医療機関が激減しているという情報も耳にします。さて私の前職のNTT関東病院では本JCIを亀田に次いで日本で2番目に取得しています。その主な内容を今回は紹介したいと思います。それをどう思われるかですが、私個人的に医療機関の力を上げる作用があるとおもいます。可能な限りTRYしてみてください。すでにされている内容もたくさんあるとおもいますが、一部の抜けが大事件を起こすことがあるのが周知の事実です。
実際にこの基準を大学病院全体で目指すか、診療科として目指すかは別として、同レベルのことをしているという自負をもちましょう。
本基準には大きな6つの目標があります。わたしなりに大切と思う順にまとめます。
1)(正確な患者識別)患者確認: 何回も、名前生年月日を自分でいえるひとは言ってもらう。言えない人はリストバンドなどで2名で確認する。外来、病棟、手術室、検査どこでも行います。看護師さんや技師さんはほとんどしていますが、医師がしていないのが目立ちます。医師は医療のリーダーであるべきであり、率先して行いましょう。
2)(正確な部位、手順、正確な手術患者位置の確保)いわゆる手術部位確認です。以前にも本通信で触れましたが手術部位の患者との確認とマーキング。その上で手術部入室。タイムアウトでの手術部位の確認。手順などは、各手術や検査の手順についてマニュアルやパスをつくること。それをいつ作り、いかに いつ改訂したかを記録する。すでに暗黙でやっていることですが、だれもが理解できる形で成文化してゆきましょう。
3)(医療関連感染の減少)感染予防です。手洗いと手指消毒。各部屋に入室、各患者診察の前、後には必ず 手指消毒をおこなうことを癖としてください。回診の際やその他のときに、目につくのは看護師さんとの差です。恥ずかしくないですか?まず自分たち、そして脳卒中科やその他の医師たちにもその事項を徹底してもらうようにしてゆきましょう。そうでないと新病院ができたとたんに菌まみれになり某TK大学病院のようになります。
4)(効果的なコミュニケーションの改善を図る)まどろっこしい表現ですが、コミュニケーションを図るのは当たり前で、その改善を日々めざすことが目標です。要は情報伝達方法、情報共有方法の日々改善です。これは医師同士、職種間で必要。また患者さんと医師や医療者とのコミュニケーションも意味します。患者は自分の病態や治療の内容、治療にかかる期間、予想される効果と退院の目安までしっかりとどの時点でもしっている必要があります。よくお話をし、ICなども紙に印刷して渡すように努力してください。職種や医師間は今は電子カルテの時代、様々な掲示板がありますので、これを上手くつかい、電話や便利な機器をうまく活用しましょう。また医療運営上非常に重要なのは紹介医師とのコミュニケーションです。かならず返書はすぐに丁寧に書く。脳外科用のテンプレートを作ってもよいと思います。ご検討ください。退院の際もこれ以上ないという位の情報(相手が脳外科医なら手術記載も含める)を丁寧にまとめて送って下さい。決して退院サマリーを添付したので、読め(んでください)!はしないこと。(実際にあった話しです)
5)(転倒による患者負傷リスク軽減)これは一度経験すると大変重いです。転倒アセスメントなど看護師さんまかせにせずに、自らも積極的にかかわってください。神経所見を取るのであれば必ず歩かせる。目を閉じてSTEPを踏ませるということをして下さい。下肢の筋力を自分の手で評価するだけなのは問題外です。そういう評価も必要ですが、最も簡単な下肢筋力の検査は歩行とつま先、かかと立ち、そしてTENDEM GATE、閉眼歩行です。それをみると患者さんはどれくらい転びやすいかわかります。
6)(厳重注意薬剤の安全性改善)これは例えばInsulinでも鍵保管させるという徹底度です。患者の命に影響しうる薬剤はそういうところにあるといことを、新米の看護師や医師が知ることになります。先日の酢酸で胃カテのつまりを取り除く操作など。。。よい反例です。
以上のように、本来当たり前のことを当たり前に誰もがわかるようにするというのが基本コンセプトです。まず馬鹿にせずやってみてください。すこし違った世界がみえると思います。