森田明夫のやってきたこと 1982〜2023

大分というところ

年の瀬が迫っておりますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?

私は先週末、休みをいただき旅行で大分を訪ねました。みなさん大分というと何を思われるでしょうか?

おんせん県と言われるだけあって、別府温泉や湯布院などを思い浮かべられる方が多いと思います。また食通は関サバ、関アジ、歴史好きは大友宗麟などを思い浮かべられるかもしれません。

私の今回の旅の目的は以前ANAの機内誌で読んだ記事で、国東半島の石の遺跡、仏教遺跡を少しでも良いので見ることでした。

大分は、あまり学会で行くことが少ないし、九州新幹線からも外れているので、あまり知名度がありません。でも黒田如水が晩年を過ごし、今は唐揚げて有名な中津、天領だった日田(日田天領水で少し知名度あり)とか、バーナードリーチ、柳宗悦が注目した飛びかんなという技法で有名な小鹿田(おんた)焼などがあります。

そのほか臼杵には有名な石仏、さらに国東半島があるわけです。湯布院と中津の間には、紅葉が美しい耶馬渓がある。

今回はそれらを満喫させてもらいました。九州でも大分だけに特化した旅というのも良いものです。

温泉は温泉で当然楽しみました。湯布院とか日田の琴平温泉とか、とてもお湯が柔らかくぬるぬるした温泉で気持ちが良いものでした。

さて、国東半島ですが、半島にある仏教寺院を総称して六郷満山といい、往時は60以上、今も33の寺院が、半島にあるということです。元々は国東半島は平安時代宇佐神宮の荘園であり、神仏融合の独特の宗教が生まれたそうです。半島はお椀をかぶせたような丸い形をしており、中心が両子山です。そこに両子寺という六郷満山の中心となる天台宗の寺院があります。山門には立派な石造りの金剛力士像があり、よく大分のポスターになっています。足を触ると健康になるそうです。紅葉もものすごく、山門をくぐると“うわーーー”というような紅葉が広がっています。寺院の中にも多くの堂があり、たくさんの階段を登ります。

またこのあたりの寺院は岩山を掘ってその中にお堂が半分埋まっているようなものもあり、岩の中にもお祈りするところがあったりします。今回はあまり時間もなかったので、この両子寺と、国宝の平安時代のお堂のある富貴寺、それと川の中に磨岩仏のある天念寺を訪れました。富貴寺には、国東半島に特有な灯篭(国東塔)があったり、古い苔むした地蔵菩薩の石像などがあります。天念寺は鬼界との境界(鬼会の里)とも言われ(この地で鬼は祖先のことらしいです)、その裏にすごく切り立った山があり、そこは山岳修験の場となっているようです。写真も添えましたが、その山頂をつなぐように丸い石橋があり、近くの記念館の中に、その橋を修験僧になって渡る経験がVRでできる装置があり、すごい迫力でもありました。

半島からは少し離れますが、中津と耶馬渓の間に羅漢寺という寺もあります。こちらもリフトで(足でも登れるが)上がるほどの山中(羅漢山)に、岩山をくりぬいて千体以上の石仏(羅漢)が収められています。残念ながら写真は禁だったので、皆様に様子をご覧いただけませんが、これも圧倒的な迫力のある寺院でした。また日田―湯布院と中津の間には耶馬渓という渓谷があり、特に一目八景と言われる場所は奇岩と沢、紅葉が入り混じり、なんとも幻想的な光景でした。実は来年も同時期に大分に行き、今回訪れることのできなかった宇佐神宮と、国東の残りの名所、臼杵の石仏あたりを見てこようと思っております。

海外も色々素晴らしいところがありますが(また別の機会にルーマニアのお話をしたいと思います)、国内にも、あまり混まずに素晴らしい歴史や景観を楽しませてくれるところが多くあります。

週末だけでも国内ならチャッといけますので、みなさんも時には息抜き(私は息抜きばかりをしていると言われるかもしれませんが、一応日常は忙しくしております)をされてはいかがでしょうか?

日常モヤモヤしたものが心に溜まってしまい、どうにも解決策のない時など、頭を空っぽにして、時間を過ごすことも、新しい発想を産むために必要なのかと思います。

 

以下写真です。目を休めてください:

両子寺

富貴寺

天念寺

耶馬渓

小鹿田焼