森田明夫のやってきたこと 1982〜2023

論文について

論文について

清々しい季節になってきました。ゴールデンウイークがあければ(中には当直で忙しくしていた人も多いと思います。ご苦労さまでした)、本格的に教室ホームページの改訂、教育の充実、新しい仲間の獲得へ向けての準備を始めたいと思います。いろいろなお願いがいくと思いますが、よろしくお願いいたします。

さて先日大学院講義で英語論文の書き方というお話をいたしました。医局からも“さくら”が何名かきてくれました。ありがとうございます。(癌プロで映像化していますので、興味の有る方はダイジェストで見ることができます)

さて論文についてですが、これまで活発な先生方からの論文を読ませて頂き、感銘しております。寺本教授の培われた力が発揮されていると思います。一方で論文を仕上げにくかった先生方もいらっしゃると思います。

そのような英語、論文など不得意な先生方にもこれからさらに論文作成をシステマティックに教室で補助してゆきたいと思います。

 

さて論文においては最も大事なことは、「自分たちが伝えたいことは何か?」をはっきりさせることです。日頃の臨床上(基礎医学も)の疑問、遭遇した教育的な例をなんらかの形で、解決・検証して科学的な証拠として報告するのが、我々の責務です。

そのポイントをうまくタイトル、抄録とイントロダクションにまとめることが極めて重要です。

また忘れてはならないのは、論文とはそれを読んでくれる人がいなければ意味がないということです。独りよがりの書き方、自分がわかっているつもりでも他人にはまったくなにを言いたいのかわからないこともあります。独りよがりではない書き方(これは友達や、共著者に読んでもらったり、家族によんでもらうのも手です)を覚えましょう。

そのためには先生方もそうかと思いますが、長い論文はそのページ数だけで読む気を削ぎます。まず初稿を書き上げたら、「半分!」で同じことを伝えられないか練りましょう。たくさん読んだ論文を誰がこういった、だれがこう報告しているとつぶさに書かず(論文は先生方の勉強の成果を読ませるものではありません)、しっかりと自分の中で消化してプロジェクトに強く関係するポイントをしっかりまとめましょう。

さてそのようなことを教室内の共同事業として進めるうえでいくつかのことははっきりしておきたいと思います。

  • 論文にするProject(症例報告なども含めて)の登録。誰が1st authorで誰がcoauthorおよび指導者であるかをはっきりさせましょう。(プロジェクトの成り行きで増減・変更は問題ありません。ただし理由報告のこと)。すなわち教室内Projectを目に見える形で、教室内で共有しましょう。登録は教室医局長のもと(現在は田原先生)に集約するようにします。これまでこのようなことはうやむやであったかもしれず、そのことが後で問題になることを防ぐために必要です。米国でもよくそのような事例があります。

また報告に倫理委員会の提出が必要かどうかの判断は指導者および私の判断とします。

必要な項目は 

A:プロジェクト名:(症例報告なら ◯◯の例)など。B: 1st author(主たる研究者、担当医など)C: 共著者、指導者とめざす雑誌。D: 倫理委員会提出の有無。

B, Cの方々は全員そのプロジェクトが完遂する(論文化する)ことに万全の努力をしてください。症例報告は半年以内、研究に関しては1年を目安としてください。それ以上かかる場合には延長を提出してください。すなわちプロジェクト有効期間は1年(延長可)とします。

ただし、依頼原稿は別とします。

  • おおよその英語構成と校正が終わった後(日本語論文の場合には、ある程度校正後)、私か指導者に読ませてください。(基本学会等重なっていない場合には1週間以内の返却努力します。指導者になられた先生もお願いします。)
  • 適切に修正後、ネイティブによる英語校正にだしてください。これは教室のプロジェクトとして提出されているものは、1回は校正料を基本補助します。(ただし(2)の段階であまりにひどい英語と判断された場合には自助努力でまず最初の校正を自費でしてもらうこともあります。)
  • 私の名前が入る場合には基本予備稿または最終稿を一度は森田に読ませてください。

 

学会発表もタイトルと抄録内容がその採否に極めて重要です。よくみかける「当院における〜〜」はやめましょう。基本本来は(日本ではなかなか進みませんが)抄録は施設名ブラインドで判断されるべきもので、タイトルに「当院」とあるのは極めて矛盾しています。抄録は積極的にだされて結構ですが、もし時間的に余裕があれば、私に一度お見せください。こちらには時間的余裕がないかもしれませんが、だれがどのようなことを発表しようとしているのかを把握させてください。

それから、これはなかなか難しいことです、できれば学会で発表したテーマは上記プロジェクトとして論文化するよう努力をしてください。今後学会出席補助もすこしずつ改善したいと思います。そのためには論文数を増やす努力もお願いします。

いろいろ書きましたが、堅苦しく思わず、何でもご相談ください。

教授室は5月より千駄木3号館3F(医局のすぐ上)に引っ越ししました。在室中は、特にアポなしで訪問されて結構です。ご意見、ご相談、心配事などある先生は気軽にお立ち寄りください.