森田明夫のやってきたこと 1982〜2023

研究について

研究について     2014年9月

研究倫理に関する問題で、今年初頭に華々しく報告されたSTAPの真偽、Lancetに掲載されていたJIKEI STUDYなどに関わる薬剤関連の研究の取り下げの事態などが相次ぎ、日本ではとうとう最も優れた研究者の自殺にまでいたる事件となってしましました。

マスコミの不必要な騒ぎ立て、そして研究の本質が何もわからない人たちによるTwitterによるバッシングなど、とても居心地のわるい年でした。

本来研究の本質や論文、お金のことなどは、科学的そして予算措置にかかわる行政や企業が整然と対応すべきことであり、全く新聞やメディアが介入すべき事ではありません。しかし実は一方で問題は様々な大学や研究所が研究成果についてメディア発表をするなど、逆の意味でメディアを宣伝や自己主張の道具にしようとしたことから端を発していると思います。理化研しかり東大や京都もしきりに研究発表会のようなメディア報告を近年おこなってきました。その裏にはいかに国にアピールし、予算をとってくるかという下心も伺えます。

本来研究のメディア発表とは、社会や国民の健康に直接影響を及ぼすような事項、そして間違ってとらえられてはいけないことをしっかりとつたえる為に行われるべきだと思います。

SATP細胞発見がノーベル賞を受賞したり、本当に患者救済に役立つ手段となったらそれで良いでしょう。論文がサイエンスやネイチャーに掲載されるとプレス発表される事が多いのですが、本当に基礎的な内容の論文のものも多く、それを一般国民がしるようにすることに意味があるのでしょうか?

そのようなことをするから逆に様々研究内容が嘘であったり、または変な研究費の使い方をしたりすることを、おおっぴらにメディアが誹謗中傷するのでしょう。いわばこのような国民のバッシングは実は我々研究者側自らが招いたこととも言えるのです。

ただ一方で日本には、そのように問題をおこす基本的問題があるのだとも思います。企業だよりにしないといけない臨床研究、国家の予算をすこしでも多くとってこないと維持できない研究室の維持・運営。以前山中先生が日本と欧米を本当に竹槍とB29に例えていました。そのような少ない予算をぶんどるためには、少しでも宣伝して自分たちの存在をアピールしなければいけないのです。

科学をしっかりと評価する機能もかなり貧弱なのかもしれません。

なんとか日本の科学予算をふんだんに、研究を公平に判断し、望みのある研究には長期に豊富な資源が投入される時代がくることを望みます。

さらに我々の務めとしては、1) 研究に嘘をつかないこと。”すべて台無しに“します。2) そのような環境でも怠けずに、本当に人のためになる研究を、お金が乏しくても、資材が無くても続けること。3) Interestingな研究をすること。自分にも他人にも。

と思います。10月末には科学研究費の占め切りがあります。資格のある先生(助手以上、および研究生、大学院生も名前を借りて)は必ず申請してください。

9月には付属病院各所で申請の説明会が催されます、これも時間をつくって出席すると役にたつでしょう。まだ私の年ではと思わないでください。若手研究は40前までです。時間はわずか、もし研究テーマ、申請をつくっても 資格がなくても、ほかの研究予算もありますので、申請はかならず可能です。

いつも自分はどのようなことを究めたいのかを自問して、考えてください。

そのためのリサーチカンファもありますし、もしテーマにお困りの先生はいつでもご相談ください。すこしお手伝いできると思います。