森田明夫のやってきたこと 1982〜2023

森田明夫教授のご退任によせて

東京医科大学 脳神経外科学分野 主任教授

河野 道宏先生

森田先生、長い間の責任あるお立場のお務め、お疲れさまでした。ご退任の日を無事に迎えられましたことを、心からお慶び申し上げます。

森田先生には、同じ医局、同じ頭蓋底外科領域の尊敬する先輩としておつき合いを頂いて参りました。特に先生と共に立ち上げました「手技にこだわる脳神経外科ビデオカンファランス」は先日10周年を迎え、その長い期間にわたり大変お世話になりました。

WFNSのsecretaryを務められ、世界的なご活躍はもとより、国内においても日本脳神経外科学会をはじめとして数多くの学会の理事、日本頭蓋底外科学会の理事長を務められ、また、数多くの学会を主催されました。

臨床面でも、フジタ医科器械から「森田のハサミ」を出されたり、「コトルの剥離子」を日本に導入されたり、いずれも私の手術の必須アイテムとして愛用させて頂いております。また、NF2の聴神経腫瘍に対して適用外使用にあたるベバズシマブ(アバスチンR)を院内の倫理審査を経て国内へ初導入される等、精力的にパイオニアとして臨床を牽引されてこられました。

美食家で知られる森田先生ですが、学会の時などに食事をご一緒させて頂く機会が何度となくありました。以前にその席で、私が「もっと同業者に評価されたい」と愚痴的に話したことがありましたが、「オレは河野のことはいつも見ている」と言って頂いた言葉はその後の励みになりました。1年前に発刊した自著書籍の書評を森田先生にお願いした際にも二つ返事でご快諾頂き、すぐにうれしい内容の文章を作成して頂きました。

最近、インドでの学会をご一緒させて頂いた際に、現地の店で店員にわりとあっさり口説き落とされ、次々と重いゾウの置物から絨毯その他を「買わされて」いたのは少し意外でした。さらには、そのとんでもない総重量の物資を別便で送ることなく、すべて自ら飛行機で持ち帰られたという、普段クールでスマートな森田先生の「らしくない」一面をかいま見ることができました。

今後も、引き続き、ご活躍されるとお聞きして安心しております。末永く、おつき合いを頂けましたら幸いです。これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

 

写真解説


写真1:2015年1月 第2回手技にこだわる脳神経外科ビデオカンファランスにて


写真2:2018年8月 WFNS Symposia 2018(マレーシア・クアラルンプール)にて


写真3:2019年1月 第6回手技にこだわる脳神経外科ビデオカンファランスにて


写真4:2019年10月 第31回脳神経外科学臨床講座(最終回)にて


写真5:2019年12月 15th Asian Australasian Congress of Neurological Surgeons(インド・ムンバイ)にて


写真6:同上


写真7:2020年9月 第29回脳神経外科手術と機器学会 (CNTT)(森田会長・横浜)にて


写真8:2022年12月 NSICON 2022(インド・アーグラー)にて


写真9:同上

動画リンク