森田明夫教授のご退任に際して
日本医科大学 名誉教授
湘南医科大学 副学長
寺本 明先生
10年ひと昔というが、森田明夫先生が私の後任を務められて早10年が経過したと思うと感慨がひとしおである。
私が1995年に日本医科大学に赴任した当時、教室員の方々に教室の運営方針をいくつか提示したが、その中で最も重要と考えていたのが「4病院1教室」の理念であった。全国の大学のなかには、付属病院間、特にいわゆる本院と分院の関係が良好でなかったり、まるで別個の大学の施設のような場合が少なくない。これは対外的にも、学生教育上や研究活動面でも極めてマイナスが多い。毛利元就の「三矢の訓」ではないが、4病院がまとまると、臨床面でも卒前卒後の教育面でも国内外を含めて一流の教室となりうるのである。
森田先生は、私がおぼろげに作り上げたこの基本方針を見事に完成させて頂いたと考えている。彼の教室ではコロナ感染症蔓延の前から毎週、4病院合同のWEBカンファランスを始めていたと思うが、昨今の情勢からもこの開催法は正しかったわけである。更に、様々な卒後教育のプログラムを展開して、教室のqualityを大きく高めていただいた。
学内的には大学院研究科長を務められ、国際活動面ではWFNSのSecretaryという重職を担われ、まさに八面六臂の活躍であった。
森田先生の活躍とそれに応えた教室員の努力により、今や日本医科大学の脳神経外科学教室は全国でも屈指の教室と評価されており、この伝統は今後とも継承していって頂きたいと思っている。
最後に、
森田先生、取り合えず大変お疲れさまでした。まだ、人生は長いので、今後のご活躍を祈念するとともに、趣味の世界も深めて人生を楽しんでください。