森田明夫のやってきたこと 1982〜2023

森田部長との思い出

国立国際医療研究センター国府台病院 脳神経外科

西村健吾先生

森田教授の偉大な業績については既に多くの方々に知られている通りかと思うので、私からは私の知る森田部長の人柄やエピソードをいくつか紹介したい。なお私はNTT東日本関東病院脳神経外科時代から森田部長と呼ばせていただいているため、ここでも同様に森田部長と書かせていただく。

森田部長との思い出はたくさんあるが、中でも最も印象に残っているのが、West Palm Beachで行われたcadaverに一緒に参加した時のことである。部長と同室で宿泊していたホテルは、アメリカのホテルによくある防音がイマイチな部屋だったのだが、そこで部長がトイレに行った際の音の大きさにびっくりしたこと。美味しいカニ料理を提供してくれるレストランをホテルに置いてあるパンフレットから見つけ出し、食事をして私の誕生日をお祝いしてくれたこと。レンタカーを降りて海沿いの小さなお土産屋でウエストパームビーチと書いたTシャツを買って「俺、現地の地名が書いてあるTシャツ買うのが好きなんだよ。」と言っていたこと(私はそんなの買う人いるんだ〜と心の中で思った)。車を止めて散歩していたときに犬の糞を思いっきり踏んでいたこと、などの数々のエピソードが思い出される。私にとっては脳外科の師匠である森田部長だが、それ以上に親しみやすい人間味溢れる先輩であり第二の父親のような存在なのだ。

NTT関東病院脳神経外科時代には、朝いつも気難しい顔をしながらカンファランスに出ていた森田部長が、後に、毎晩夜な夜な韓国ドラマを見過ぎたせいで眠いのを我慢していただけだと知ったときはそのタフネスさに驚いた。それも当時は毎週長時間の頭蓋底の手術をしていたからだ。手術といえば、あのどっしりとした姿勢とオペ着からはみ出る太い足首も思い出深い。ATの手術も本当に丁寧に細かくしつこく腫瘍を摘出し、手術の完成度は常に高かった。ご存知の通り、手術が非常に上手なのだが、シャープなだけの手術というより、鈍的だけどシャープで滑らかといった、緩急ついていないように見えていつの間にか進んでいるという、まさに達人にしかできない手術ができる人である。また、NTT時代は仕事後にみんなでご飯食べに行くことも多く、本当に楽しい夜を過ごさせていただいた。どんなところでも本音が出過ぎてしまう森田部長の人間らしいところが皆大好きで、仲間内ではいつも森田部長のモノマネばかりしていた。まだまだ思い出話は尽きないのだが、森田部長の人柄が少しでも多く伝わることを願う。

森田部長へ。長い間お疲れ様でした。脳外科としての道や留学中のアドバイスをいただき、またいつも叱咤激励をしてくださり、感謝の気持ちでいっぱいです。
脳外科医として最高峰に上り詰め、研究業績もあり、その他、旅行にグルメに、その人生を謳歌する積極性にいつも感嘆させられています。やりたいことがたくさんでグルメな森田部長なので今後もお忙しいと思いますが、森田部長らしい生活をこれからも楽しんでください。今後とも色々ご指導賜れば幸いです!