森田明夫先生が、日本医科大学大学院医学系研究科脳神経外科学の教授を定年までを無事に勤めあげられましたことを心からお祝い申し上げます。
私と森田先生との最初の接点は、卒後2年目に森田先生と交代で富士脳障害研究所附属病院に赴任したときです。先生は卒後6年目に入った頃で、臨床で大活躍され上司の信頼も厚く、またオフの時でも少年隊の歌の熱唱がとても上手で皆を盛り上げる人気者であったと伝わっていて、後任の私としては少し肩身の狭い思いでした。森田先生はその後メイヨークリニックをはじめ長期にわたりに米国留学され、海外で華々しく活躍する先輩として皆から一目置かれた存在となられていました。2度目は留学から戻られ講師として大学に赴任されたときで、この時には頭蓋底の手術や血管障害の手術を直接的に間接的に教えていただきました。また、私が他大学に異動した後でしたが、UCAS-Japanの仕事を中心的に進められ、皆さんご存知のように大きな業績を成し遂げられました。その後、森田先生はNTT東日本関東病院から強く請われ部長として赴任され、また、日本医科大学に移られ、さらにご活躍なさいました。日本脳神経外科学会の中でも国際派の教授として活躍され、最近でもWFNSのsecretoryとして、大混乱に陥っていたWFNSを見事に舵取りなされ、何とか解決の方向へ導かれたことは、先生でなければ成し遂げられなかった業績だと思います。
森田先生は天才肌で様々な局面で常に斬新なご提案され、頭の回転力の速さにはいつも脱帽していました。また、学会に行くたびにグルメ（B級？）を楽しまれ、そのために熱心に予習されているのは臨床にも通じるところがあるのだと思います。時には私もお付き合いさせていただきましたが、楽しい時間を過ごさせていただきました。また、絵画も楽しまれるなど、森田先生は才能あふれるマルチタレントです。
この度、無事に定年退職を迎えられるにあたり、数々のご活躍をされてきた森田明夫先生の激務を労い、その業績を称えるとともに、先生のご健勝とますますのご活躍を祈念して、寄せる言葉とさせていただきます。

（写真：2016年にヤサジル教授が伊藤国際学術研究センターでご講演された時）