森田明夫先生の教授ご退任を祝して
国立がん研究センター理事長
中釜 斉先生
森田明夫先生、教授ご退任おめでとうございます。
平成25年(2013年)に教授就任のお祝いの会に参加させて頂いてから、あっという間に10年が経ったのですね。改めて時の流れの速さを実感しているところです。
森田先生と私とは大学の同期となります。当時、授業でお会いする機会は互いに多くなかったと記憶していますが、医学部3年次頃からの本当に長いお付き合いになります。最初の出会いは、同じく同級生の小室一成先生(東京大学医学部・循環器内科学教授)を通じて、森田先生が所属していた美術サークル(踏朱会)やスキー部に関連したイベントに参加した時ではなかったかと記憶します。
当時、私はバレー部に所属していましたが、森田先生のスキーの腕前は相当なものだと同級生のスキー部員から伺っていました。その森田君からスキー部への入部を促され、早速にスキー部合宿や部主催のスキーツアー、その他の様々な部活動に関連したイベントへの参加など、南国育ちの私が冬の代表的なスポーツに見事に弄ばれるきっかけを作ってくれました。スキーに関しては目に見える程の上達はありませんでしたが、それでも、Keystone(米国)での学会参加の際に一人でスキーを楽しむまでになれたのはそれなりの財産です。有り難うございました。
医学部5年〜6年時には、外来での臨床実習(ポリクリ)や病棟での臨床実習(BST)において一緒のグループとして行動を共にしましたが、何事にも動ぜず、時に大胆な森田先生の振る舞いが私の記憶には鮮明に残っています。同世代の著名な脳外科医として、臨床のみならず研究面においても大きな業績を残されて来られた森田先生の、医療者としての芯の強さや矜恃が当時から見え隠れしていたのだと思います。森田先生の人並外れた記憶力とともに、私にとっては身近に存在する「ややヤンチャでつかみどころの難しい目標」とさせて頂いて来ました。この場を借りて、改めて感謝します。
大学を卒業してからの40年間は、脳外科と内科系の基礎研究という専門領域の違い以上に互いに異なる道を歩んできましたが、それでも折に触れて森田先生のご活躍の様子は耳に入っていましたので、自らの励みとしていきました。この度、教授職を退任されますが、森田先生はまだまだ活力に満ち溢れていますので、医療者としての新たな可能性を見出され、これからも益々ご活躍されることを祈念しています。最後になりますが、そろそろ社会全般的に「with コロナ 時代」への移行が求められていると思います。美味しいワインを探しておきますので、是非、近々一献交えましょう。