森田明夫のやってきたこと 1982〜2023

退任を祝して

東京大学大学院医学系研究科循環器内科学

小室一成先生

森田明夫先生、日本医科大学教授のご退任、誠におめでとうございます。
私と森田先生とは大学の同期であり、ベッドサイドでも同じグループであったので40年以上の深い付き合いになります。ここでは学生時代のエピソードをいくつか書きたいと思います。
まず我々ベッドサイドグループの4人は出席に関してあまり熱心ではなかったので、4人が顔をそろえるのは2週間ごとに科を回る初日と最終日の試問の時くらいでした。それ以外の日はどこで何をしているのかお互いにわからず、誰かは出席しているとよいのだけど思っていました。
公衆衛生の演習だったと思いますが、毎年担当教官の指導の下研究を行い日本医事新法に論文を載せ、そのご褒美で旅行に行かせていただけるグループがありました。どうして我々がそのグループにあたったのかよく覚えていないのですが、我々は相変わらずろくに出席せず研究もしませんでした。しかしその教官は心が広かったので、我々4人は悪びれることもなく伊勢志摩に行って海水浴をして伊勢海老を食べました。
国家試験前になると講義もベッドサイドもないので大学には行かなくなります。そこで多くのグループが自主的に集まって勉強会をしていました。我々4人も勉強会をしたのですが、森田先生はすべて丸暗記してくるので、他の3人にとっては何のためにもなりませんでした。もちろん勉強会の後は飲み会でしたので国家試験のためには全く役には立ちませんでした。
このようにどうしようもない学生時代でしたが学年全体の授業の出席率が1割なんてこともよくあった時代ですから我々4人がとびぬけてしょうもないわけではなかったと思います。まあお互い定年なので時効と思って書きましたが決して今の学生に話せたものではありません。半分は冗談と思っていただければと思います。
しかし医者になってからは患者さんのために皆誰よりも一生懸命働いてきたと思います。森田先生の脳外科医としての名声は私の誇りとするところです。
森田先生はこの度大学を退任となりますがまだまだお元気なので第二の人生を楽しみつつ(すぎず)、これからも医師としてご活躍されることを期待しています。森田先生の今までの立派なご功績を祝すとともに益々のご健勝を心より祈念申し上げ、お祝いの言葉としたいと思います。