日本医科大学 大学院医学研究科 脳神経学分野 大学院教授の森田明夫先生が定年退職になられますが、「そんな時間が経ったのか」という感慨が湧きます。この数年は大学院医学研究科長として、大学執行部 No.2の立場で日本医科大学の発展にも深く寄与されてこられました。教授という激務を健康の中で勤め上げ、定めの引き際をきれいに迎えることが出来ることは極めて素晴らしく、目出度いことだと思います。素晴らしいご活躍を残されての御定年退職を心から御祝いしたいと思います。
森田先生が本学に着任される前後、日本医科大学では「青年教授陣」と呼ばれるメンバーがおり、坂本現理事長、弦間現学長、汲田現病院長、薬理学の鈴木名誉教授（現常務理事）、私もその一人、であったと思います。日本医科大学に「新しい風」を引き込み、研究、臨床、教育ともに一流の大学として、更に大きく飛躍しようという雰囲気、心意気であったと思います。そんな気概が萌芽しはじめていたころに、森田先生の本学着任が決まりました。まさに「山が動いた」という感じでした。
森田先生の着任後の目覚ましいご活躍については、周知の通りです。森田先生をはじめ、救急救命医学の横田現名誉教授、脳神経内科の木村和美教授、薬理学の鈴木現名誉教授、精神医学の大久保現名誉教授等、神経系に関わる分野のメンバーで時として勉強会･研究会を開いて共に学ぶ機会を作って頂きました。また、臨床医の解剖研修、いわゆる外科的臨床解剖（cavader surgical training： CST）をどうするかについても深いご理解とご協力を頂きました。現在、様々な規約の下にCSTが導入されつつありますが、その為の施設、人員確保、倫理的な課題のクリアなど、いくつもの壁を超える必要がありましたので、CSTではなく、私が「解剖実習」を臨床医の皆さんに行う「advanced anatomy」の形で夏休み期間を利用して実習を開催し、その代わりに学生諸君にも参加してもらい、専門医の立場からの解剖学の必要性について学生に指導して頂く形を作り、数年間にわたって実のある時間の構築に大きなご理解とご協力を頂きました。心から感謝しております。まさに基礎医学と臨床医学が融合した質の高い教育現場であったと思います。
森田先生とは、「美味しいものを食べる、美味しいお酒を飲む」でも意気投合し、（高級レストランではなく）B級グルメの名店を一緒に楽しんできております。これからもその機会をと思っています。日本医科大学の大学院教授職は退かれますが、臨床医としてまだまだ第一線で活躍されることと思います。「一生勉強、一生青春」で、ともに頑張って行きましょう！