森田脳神経外科の10年と私
春日居サイバーナイフ・リハビリ病院 総院長
日本医科大学脳神経外科 連携教授
髙橋 弘先生
森田教授には、日本医科大学に赴任されてからの10年間脳神経外科学教室を支え、隆盛にして頂き心から感謝いたします。私は森田教授の赴任に先立つ半年ほど前から、大学を離れて地方の民間病院でサイバーナイフによる脳疾患に対するサイバーナイフ治療を開始致しました。当初人口の少ない山梨県での診療で患者さんが集まるものか大変不安でしたが、森田脳神経外科のバックアップと各付属病院からの多くの患者紹介などのお陰で、最近は多い年には300件超の治療をするようにまでなり、全国のサイバーナイフ治療施設の中で上位の治療数を誇る施設になりました。また、この10年間に和文・英文合わせて11本の論文も作成することができ(下記)、これらの結果は偏に森田脳神経外科のお陰と大変感謝しています。
森田教授のご専門は、脳動脈瘤の治療に始まり頭蓋底疾患、脊椎・脊髄外科、定位脳神経外科と多岐にわたり、これまで当教室としてやや不得手な領域でしたので、教室の当該領域での対外的知名度向上に果たした役割は多大であったと思います。また、手術につながるとのことで自ら料理に大いに腕を振るい、健康のためには徹底したダイエットに努められるなど、目的達成にかける意思の強さは大いに学ばせて頂きました。教授退任後も、これらのパワーは衰えることはなく更なるご活躍をされる事と思います。そして、私個人としては森田教授が力を注がれていたRobotics手術機器開発の研究に、一時期工学部に籍をおいた者として大変興味を持っておりました。この分野における先生のこれからの益々のご発展も心から願って止みません。
― 論文(2012.04 ~ 2022.12) ―
<和文>
- 髙橋 弘: サイバーナイフ Ⅸ. 脳腫瘍の治療 脳腫瘍の放射線療法 脳腫瘍学―基礎研究と臨床研究の進歩― 日本臨床 74 (増刊号7). 598-603, 2016
- 髙橋 弘: 画像から見た悪性脳腫瘍の定位放射線治療におけるサイバーナイフの有用性. CI研究40: 103-113, 2018
- 髙橋 弘: 29. 定位放射線治療の現状と展望 Ⅳ. 定位・機能 脳神経外科学レビュー. 175-181, 2019
- 髙橋 弘: 三叉神経痛に対するサイバーナイフを用いた定位放射線治療. 日本ペインクリニック学会誌26: 1-9, 2019
- 髙橋 弘: 30. 定位放射線治療の現状と展望 Ⅳ. 定位・機能 脳神経外科学レビュー 2023-'24. 190-195, 2022
- 髙橋 弘: 7-C7コラム三叉神経痛. がん・放射線治療改訂第8版. 2023(印刷中)
<英文>
- Suzuki T, Saito M, Onishi H, Mochizuki K, Satani K, Yamzaki A, Miura K, Taka S, Sano N, Komiyama T, Takahashi H: Comparison of CT artifacts and image recognition of various fiducial markers including two types of thinner fiducial markers for CyberKnife treatment. Rep Pract Oncol Radiother 25: 117-124, 2020
- Imaizumi A, Araki T, Okada H, Sasaki Y, Komiyama T, Suzuki T, Takahashi H, Onishi H: Transarterial fiducial marker implantation for CyberKnife radiotherapy to treat pancreatic cancer; an experience with 14 cases. Jpn J Radiol 39: 84-92, 2021
- Saito M, Suzuki T, Sugama Y, Marino K, Sano N, Komiyama T, Aoki S, Maehata Y, Yoshizawa K, Ashizawa K, Suzuki H, Ueda K, Miyasaka Y, Araya M, Takahashi H, Onishi H: Comparison of rectal dose reduction by a hydrogel spacer among 3D conformal radiotherapy, volumetric-modulated arc therapy, helical tomotherapy CyberKnife and proton therapy. J Radiat Res 61: 487-493, 2020
- Suzuki T, Saito M, Onishi H, Mochizuki Z, Mochizuki K, Satani K, Sano N, Aoki S, Marino K, Komiyama T, Takahashi H: Effect of a hydrogel spacer on the intra-fractional prostate motion during CyberKnife treatment for prostate cancer. J Appl Clin Med Phys 10: 1002/acm2, 2020
- Saito M, Suzuki T, Suzuki H, Komiyama T, Marino K, Aoki S, Oguri M, Yamada T, Takahashi H, Onishi H: Minimum required interval between hydrogel spacer injection and treatment planning for stereotactic body radiation therapy for prostate cancer. Pract Radiat Oncol 12: e556-e559, 2022