目次: Clinical Engineering、 Human、 INFECTION CONTROL、 INNERVISION、 JAMA日本語版、 Psychiatry and Clinical Neurosciences、 Journal of Radiation Research、 Surgery Today、 第32回明石市民夏まつりにおける花火大会事故調査報告書、 医学検査、 医学史研究、 医学のあゆみ、 医療とコンピュータ、 痛みと漢方、 磐田市立総合病院誌、 エマージェンシー・ナーシング、 大阪精神保健福祉、 大阪府立看護大学紀要、 岡山赤十字病院医学雑誌、 外来小児科、 家族療法研究、 看護、 北日本看護学会誌、 救急・集中治療、 救急医学、 矯正医学、 検査と技術、 神戸常盤短期大学紀要、 筋ジストロフィー患者のケアシステムに関する総合的研究、 公衆衛生、 呼吸、 国際災害看護マニュアル、 心と社会、 心と文化、 こころのりんしょうa・la・carte、 コミュニティケア、 災害医学、 災害ドクター世界を行く、 最新精神医学、 作業療法、 産業精神保健、 実践外傷治療学、 自治医科大学医学部紀要、 児童青年精神医学とその近接領域、 社会薬学、 週間医学界新聞、 小児保健研究、 信州医学雑誌、 心療内科、 神緑会学術誌、 ストレス科学、 精神科治療学、 精神保健研究、 聖マリアンナ医学研究誌、 世界災害報告、 全国自治体病院協議会雑誌、 総合病院精神医学、 地域救急災害医療研究、 地域保健、 中毒研究、 治療、 治療学、 天使大学紀要、 東京都立衛生研究所研究年報、 透析ケア、 ナーシング、 ナーシング・トゥデイ、 日赤医学、 日大医学雑誌、 日本POS医療学会雑誌、 日本医師会雑誌、 日本医事新報、 日本看護学会論文集、 日本看護歴史学会誌、 日本公衆衛生雑誌、 日本小児科医会会報、 日本職業・災害医学会誌、 日本救急医学会誌、 日本救急医学会関東地方会雑誌、 日本災害看護学会誌、 日本集団災害医会誌、 日本手術医学会誌、 日本精神科病院協会雑誌、 日本赤十字看護学会誌、 日本赤十字九州国際看護大学 日本赤十字武蔵野短期大学紀要、 日本地域看護学会誌、 日本透析医会雑誌、 日臨救医誌、 函館中央病院医誌、 発達心理臨床研究、 働く人の安全と健康、 病院設備、 兵庫県医師会医学雑誌、 広島医学、 ファルマシア、 プレホスピタル・ケア、 防衛医科大学校雑誌、 保健物理、 北海道医報、 北海道公衆衛生学雑誌、 保団連、 薬事、 リハビリテーション医学、 臨床栄養、 臨床精神医学、 臨床透析、 臨牀と研究、 臨床皮膚科、 臨床麻酔
■Clinical Engineering ■Human
■INFECTION CONTROL
■INNERVISION
■JAMA日本語版
■Psychiatry and Clinical Neurosciences
■Journal of Radiation Research
■Surgery Today
■第32回明石市民夏まつりにおける花火大会事故調査報告書
■医学検査 ■医学史研究
■医学のあゆみ
■医療とコンピュータ
■痛みと漢方 ■磐田市立総合病院誌
■エマージェンシー・ナーシング
■大阪精神保健福祉
■大阪府立看護大学紀要 ■岡山赤十字病院医学雑誌
■外来小児科
■家族療法研究
■看護
■看護実践の科学 ■北日本看護学会誌
■救急・集中治療
■救急医学
■救急医療ジャーナル
■筋ジストロフィー患者のケアシステムに関する総合的研究
■公衆衛生
■呼吸
■国際災害看護マニュアル ■心と社会
■こころのりんしょうa・la・carte
■コミュニティケア
■災害医学
■災害ドクター、世界を行く ■最新精神医学
■作業療法 ■産業精神保健
■実践外傷治療学 ■自治医科大学医学部紀要
■児童青年精神医学とその近接領域
■社会薬学
■週間医学界新聞
■信州医学雑誌
■心療内科
■神緑会学術誌
■ストレス科学
■精神科治療学
■精神保健研究
■聖マリア医学
■世界災害報告 2002年版
■全国自治体病院協議会雑誌
■総合病院精神医学
■中毒研究
特集:緊急被ばく医療
■治療
特集・総合診療医のためのテロ・被災時の救急対応マニュアル(2002年、4月号)
■治療学
■天使大学紀要
■東京都立衛生研究所研究年報
■透析ケア
■ナーシング
■ナーシング・トゥデイ ■日本手術医学会誌
■日本精神科病院協会雑誌
■日赤医学 ■日大医学雑誌
■日本POS医療学会雑誌
■日本医師会雑誌
■日本医事新報
■日本公衛誌
■日本救急医学会雑誌
■日本救急医学会関東地方会雑誌
■日本災害看護学会誌
■日本看護学会論文集
■日本看護歴史学会誌
■日本公衆衛生雑誌
■日本小児科医会会報
■日本職業・災害医学会会誌
■日本赤十字看護学会誌 ■日本赤十字九州国際看護大学
■日本赤十字武蔵野短期大学紀要
■日本地域看護学会誌
■日本透析医会雑誌
■日臨救医誌
■函館中央病院医誌
■発達心理臨床研究
■働く人の安全と健康 ■病院設備
■兵庫県医師会医学雑誌
■広島医学
■ファルマシア
■プレホスピタル・ケア
■防衛医科大学校雑誌
☆★904まで
■保健物理
■北海道医報 ■北海道公衆衛生学雑誌 ■保団連 ■薬事
■リハビリテーション医学 ■臨床栄養
■臨床精神医学
■臨床透析
■臨床と研究
■臨床麻酔
Abstract:大地震直後又は大地震中に妊娠した女における精神状態について調査し,周産期成績に影響を及ぼす予後因子について検討した.震源地周辺の市町村に居住する女171名を対象に,中国健康調査票(CHQ-12)の地震後質問票と外傷後ストレス障害(PTSD)症状チェックリストを分娩前後で比較検討した.小精神障害(MPM)の出現率は29.2%であった.飢餓経験のある女,地震が妊娠に及ぼす影響についてネガティブな考えを有する女,親戚に死傷者のある女では,CHQの点数が有意に高値であった.MPMとPTSDスコアとの間には有意な正の相関が認められた.妊娠結果が判明した妊婦115名のうち,7.8%(9名)が低出生体重児を分娩した.母体の腹部外傷,配偶者の死傷,及び生活状態の不安定度と低出生体重との間には有意な相関が認められた.一方,配偶者の死傷のみが低出生体重児を予測する有意な因子であった
Abstract:電子スピン共鳴(ESR)を用い,JCO臨界事故関連の放射線被曝者(AとB)2名より摘出した歯牙3本について線量測定を試みた.エナメル質を慎重に分離し,ESR線量計測に供した.被曝者Aの上顎右第8歯の頬側及び舌側の60Coのγ線量に対する線量当量は,各々11.8±3.6,12.0±3.6Gyと推定された.被曝者Bの右上顎第4歯及び左上顎第5歯の頬側線量当量は各々11.3±3.4,11.7±3.5Gy,舌側線量当量は各々10.8±3.3,11.4±3.4Gyと推定された.ESRにて推定された線量は歯萠出部位や向きに非依存性であった.
Abstract:地震から48時間以内に軍病院に搬送された528例中胸部に大きな外傷が認められた19例(4%)について検討した.胸部のみに外傷が認められたのは8例(42%)で,11例(58%)は他臓器にも外傷を伴っていた.平均略式外傷スコア及び外傷重症度スコア(ISS)は各々2.9,22であった.3例(16%)が死亡したが,全例多臓器損傷例であった.この3例の平均ISSは28.7であった.ISSが25以上の多臓器損傷例の死亡率は60%であった.
(明石市民夏まつり事故調査委員会、2002 年1月)
Abstract:災害の危機管理の基本は,1)災害のメカニズムを知る(knowing hazard),2)災害に弱いところを知る(knowing vulnerability),3)災害対策を知る(knowing countermeasures)の3点であり,医療従事者も災害の種類とその特徴を知る必要がある.その特徴を知れば,つぎに地域にどのような災害が起こりうるのか,又,その災害は病院にどのような影響を与えるのか,地域と医療機関の双方の脆弱性を知ることができる.同時に,その起こりえる災害に対して,地域防災計画等の災害対策がどのようにとられているのかを知り,特に医療と関係が深い消防機関等の対応も含め,災害医療計画・対策を熟知しておく必要がある。
Abstract:災害対策本部のもと,多くの関連する部局,部門が参加するが,医療は,国民の生命・健康を守るという観点から,消防・救急,警察などと同様,緊急性も含めて重要な部分を占める.その中でも主要な部分を占める災害拠点病院体制に関して,その体制の確立の経過や,現状,特に災害拠点病院におけるアンケート結果を中心に現状を示した.更に,病院災害マニュアルの作成率,その他の災害拠点病院における災害体制の問題点を提示した.又,これからの災害医療体制のあり方に関しても,欧米先進国における災害医療体制の特徴との比較を含めて述べた。
Abstract:1987年に米国で,連邦危機管理庁(FEMA)が,閉じこめられた負傷者を救出するために救助チームと医療チームが連携したUrban Search and Rescue(US & R)のチームづくりが行われ1991年より米国全土のシステムになった.我が国においては1982年に国際救急医療チーム(JMTDR)が創設された.その後,国際緊急医療チームに警察庁・海上保安庁・消防庁の救助チームを組み入れ,国際緊急援助隊として法律を制定した.国内的には,1995年の阪神淡路大震災後に自治省消防庁は緊急消防援助隊を発足させ救出チームの派遣システムを作った.しかし,未だ医療チームが入っておらず早急に救助チームと医療チームの連携システムが望まれる。
Abstract:大規模災害時には多数の傷病者が一時期に大量に生じ,平時とは異なった救急医療体制が必要となる.治療の優先順位を手早く決定し,治療を行ったり治療可能な医療機関へ搬送する必要がある.この順位を決定することをトリアージという.つまり災害時医療救護はトリアージからはじまるといってよく,的確迅速なトリアージが効率のよい医療救護につながる.トリアージに際しては,カテゴリーやトリアージタッグなど,一定の基準に沿った行動が必要となるが,同じ災害は2つとはなく,同じトリアージや医療救護が行えるわけではない。
Abstract:災害でストレスを受けない人はいない.特殊なPTSD等の障害は精神科の範疇であり,精神科医の関与が不可欠であるが,それは被災者のごく一部に限られ,その他の多くの被災者のストレス反応については,より広い範囲の人材の関与が求められている.とくに心のケアを専門とするボランティアも大勢必要であり,その養成を行うプログラムが必要である.又,被災者の救助にあたる援助者もストレスを受けるのであり,救援者のストレス処理もまた重要な課題である.救援者のストレス処理にはストレスの自己管理法とミーティングによるストレス処理法とがあり,後者にはブリーフィング,デフュージングとデブリーフィングとがある。
Abstract:結果をみるかぎり現代の災害と紛争の境目は不明瞭で,複合災害の様相を呈しており,この傾向はとりわけ発展途上国において著しい.国際医療救援に携わる者は災害・紛争の局面を多角的に理解し,その医療活動が真に被災者の利益となるような効果的方策を考案し実践しなければならない.国際救援活動の指針となるスフィアプロジェクト(人道憲章と災害援助に関する最低基準)を紹介し,更に国際赤十字連盟,各国赤十字社そして日本赤十字社が取り組んでいる緊急対応ユニットの機構について,インド地震での活動と共に概説した。
Abstract:化学物質は1,000万種類以上あり,管理計画にはいかなる突発災害にも対応できるような柔軟性をもった枠組みが必要となる.訓練や覚える必要もないような危険物質個別の計画を立てるべきではない.化学物質災害に対する医療機関の対応の基本について述べた.昨今トレンドになっているNRBC(核・放射性物質・生物兵器・化学兵器)テロ対策に関してはアメリカやイギリスを中心にインターネットで各種情報が提供されており,医療関係者はつねに最新の情報をもとに,"災害が発生したとき(when)"に備えるべきである.
Abstract:化学・生物剤による中毒の適切な治療には常日頃からの予測・予知が重要である.多数者が原因不明の嘔気・嘔吐,発疹,呼吸困難,失神などを起こしたときには化学剤曝露を疑い,特定地域で異例数の患者/死者が出た場合には秘匿的生物剤テロを考慮しなければならない.神経剤・炭疽菌曝露テロの可能性が高い.突然の縮瞳,鼻汁発現では神経剤を疑い,ただちに気道確保・分泌物の頻回吸引と共にアトロピン・PAM投与を行う.生物剤関連疾患の治療は将来的にもワクチンが有用である.吸入炭疽は健常人からの急性縦隔炎発症時に疑い,鼻腔スメア検査や血液,胸水培養からの確定が重要である.治療はシプロキサンを中心とした多剤抗生物質・集中治療が効果的である.
Abstract:中毒対策センターは,情報部門,治療部門,分析部門が各々の役割を果たすべきであるが,治療部門は救命救急センターが果たすとしても,我が国では分析部門の設置が考慮されなかったこと,また臨床に直結する研究が殆ど行われてこなかったことから,課題は山積している.直面している課題は,薬毒物分析の臨床への導入(保険適応の獲得)と解毒剤の同じく保険適応である.そこで,これらに関する活動に加え,標準治療に関する日本中毒学会の取り組みや集団化学災害に対する日本中毒情報センターの活動と課題について述べると共に,中毒教育や今後の取り組むべき臨床的研究について言及した
Abstract:外来血液透析患者114名を対象に,透析中の災害発生時における避難方法を指導し,その効果について指導前と指導後のアンケート調査結果より検討した.その結果,腎センターの非常口について知っていると回答した者は,指導前69%,指導後82%と,指導後に著明な増加がみられた.又,避難経路・避難場所を知っていると回答した者は指導前それぞれ40%・48%であったが,指導後71%・77%と増加した.当科では透析導入時に非常口・避難経路・避難場所について指導を行っており,腎センター内の掲示板にもこれらの説明書きがあるにも関わらず,その指導があまり浸透していないことが指導前のアンケート結果から窺えた.実際,指導後のアンケート結果からは知っていると答える割合が増え,効果的な指導が行えたことが示唆された.透析中に災害が起こりうるという問題を明確にし,それに関連した指導を行うことで,患者の理解を促すことができると思われた.
Abstract:災害が懸念されている地域周辺に住み,慢性疾患で通院治療を受けている患児の保護者100名を対象に,災害に向けてどのような備えをしているのかを調査し,災害時への望ましい対応と援助について検討した.医療依存度の高い患児の保護者ほど災害の備えは良好であったが,全体的に準備状況が十分とは言えなかった.また,災害時の医療機関との連絡方法について話し合っていると回答した割合は23.1%,相談窓口の検討を行っていると回答した割合は13.8%と低い一方で,多くの保護者が医療的な対応に関する説明を受けたいと望んでいた.慢性疾患をもつ患児の保護者が災害発生を想定した医療面での備えを具体的に検討できるような防災教育,および支援と,災害発生時の対応に関する情報提供手段の確立の必要性が示唆された.
Abstract:北陸自動車道高速バス追突事故発生時の富山医療圏における病院前救護,病院間連携,院内災害対策の問題点を検討した.第一報で事故の規模や他の傷病者の有無を確認しなかったため,早期の初動対策の確立ができず,又,災害時対策マニュアルが複雑なため発動に手間どった.現場・搬送トリアージを行ったのは1消防署のみで,二次医療機関4ヶ所の内患者を受け入れたのは2ヶ所のみであった.消防署や他施設からの情報収集や,殺到するマスコミへの情報公開に対するのマニュアルも重視すべきであり,冬期の病院トリアージ対策の検討も必要であった.
(厚生労働省精神・神経疾患研究委託費による11〜13年度研究報告書)
Abstract:40名の入院患者のうち約4割が人工呼吸器装着患者であり,35名以上の担送患者を収容している病棟における,夜間の火災発生時を想定した避難誘導方法の検討を行った.全国の筋ジストロフィー患者収容施設において避難誘導方法の取り決めがあるのは半数であった.今回の検討では,患者の状態による誘導方法を検討する必要があることが明らかとなり,人工呼吸器装着中の患者では離脱可能な患者と不可能な患者を1名ずつベッドに乗せて搬送すると効率よく搬送できた.又,自力移動可能な患者を優先して避難させた方が多くの患者の避難が期待できた.
Abstract:東海豪雨が在宅酸素療法患者(HOT患者)に与えた影響について検討した.対象は,水害時に酸素ボンベの配送ないし酸素濃縮器の交換を要した被災HOT患者であった.床下浸水を受けた103例では,1ヵ月以内に4例(4%)が入院し,被害のなかった症例での入院率と変化がなかったのに対し,床上浸水を受けた症例では31例中12例(39%)が入院した.75歳未満の16例中7例が直接病院へ避難し入院した.75歳以上の15例では病院への直接避難はなく,自宅,親戚宅に避難した9例は入院しなかったが,学校や避難所に避難した6例中4例が後日入院した.75歳以上の高齢者で自宅,親戚宅に避難できない場合は,早期に入院することが望ましいと思われた.また,患者と医療側双方の教育と,HOT患者,酸素供給可能な関係施設の情報を含めた洪水ハザードマップの作成が急務と考えられた。
Abstract:混乱の中でパニックに陥ることなく救援を待たねばならないが,できれば地域の災害医療福祉指令部の指示にしたがうことが望ましい.在宅酸素供給業者の役割は重要であり,災害地域内外における活動拠点を瞬時に立ち上げ災害地域内に介入する体力と能力が求められる.危機管理マニュアルも作成される必要はある.大災害に向けた訓練も必要である.しかし,危機的状況において応用問題を解く能力はそのようなものだけで醸成されるわけではない.日頃の活動の誠実さ,活動の視点の正確さが重要である.地域医療福祉における真の意味での各領域との連携を模索する「タフな医療福祉社会」を実現しようと地道な活動の中で育まれていくものである.
Abstract:産業事故による熱傷は,生活環境で多い高温液体,火焔を原因とする以外に,爆発,蒸気,高熱個体,化学物質が原因となり,熱傷の程度に関しても熱傷面積,深度の点から重症例,気道熱傷合併例が多い.一方患者の年齢は青壮年が多く適切な管理治療により救命の可能性は高い.呼吸管理については,熱傷のショック期,利尿期,感染期,回復期の各時期における病態に基づく呼吸障害発生機序の理解とそれに対する適切な対応,特に感染症のコントロールに着目した管理,熱傷患者の体液管理の中で,肺内水分減少を目指す輸液管理が大切である.頻度の高い上気道型は,疑診例では気管支鏡,喉頭鏡により診断を確定し,気道狭窄,閉塞に対して予防的気管内挿管による対応が可能である.
Abstract:放射線被曝による肺障害は放射線肺臓炎と呼ばれ,肺胞腔滲出期,肺臓炎期を経て肺線維症期(肺間質修復期)へ移行することが知られている.今回著者等が経験した症例(茨城県東海村のウラン加工工場の事故)は,剖検にて放射線肺障害の最終病理形態である肺線維症像はみられなかった.その呼吸管理は肺障害だけ切り離して考えられるものではなく,様々な臓器障害に対する管理と直結するものである.直接死因の1つとなった肺酸素化能の著明な低下を伴う呼吸不全は,全身の皮膚・皮下組織・筋組織の硬化に伴い,重症感染症による血管透過性亢進が肺水分量の集中的増加を引き起こしたことが主因であると考えられた
Abstract:オウム関連の事件が発生した折り,著者等は複数の有機リン系化学兵器によ被害者の診療にあたる機会があった.これらの治療は通常の有機リン剤中毒とほぼ同一であるが,病歴では診断がつかず,縮瞳と血清コリンエステラーゼの著明な低値が診断の根拠となった.治療に有用な薬剤は,硫酸アトロピン,PAM,ジアゼパムであり,これらを投与しても呼吸管理を要する患者がいた.また診療にあたっては医療従事者の二次被曝に十分注意しなければならない.
Abstract:生物兵器のうち,特に重要な吸入炭疽,ボツリヌス中毒,天然痘,肺ペストについて概要,病態,呼吸管理,除染と感染対策を述べる.弛緩性麻痺を起こすボツリヌス中毒は窒息,換気不全を起こすため抗毒素投与と共に早めの人工呼吸管理が必要で,長期に亘る集中治療で救命することが可能である.他の疾患の呼吸器障害は重症肺炎やショック・多臓器不全症候群による末期的な急性呼吸不全であり,病初期における臨床医の的確な治療開始の判断にかかっている.
(山本保博ほか監修、国際看護交流協会災害看護研修運営委員会・編、真興交易医書出版部、東京、2002)
Abstract:阪神・淡路大震災後に見られたPTSD例を提示した.症例1は感応性妄想性適応障害の家族例である.軽い被害妄想で,通院.服薬で維持されてきた30代の娘とその両親である.娘は避難所生活で薬を失い,睡眠がとれていなかった.3日目に水に毒が入っていると不穏になり,やがて両親も同調し,父親が避難所管理者に執拗に抗議した.精神科医の診察で,娘に眠剤を処方し,睡眠状態が改善すると両親も落ち着きを取り戻した.症例2は夫婦共に80代で長年二人暮らしである.震災時,玄関の扉が開かなくなり閉じ込められた形となった.避難所生活の後,家に戻った.妻は家の中にいるのが恐いと言い,ダンプの通る音や,風の音に驚き,玄関の扉は開けたままにしたがった.更に妻の奇行が進み,夫が単独で受診した.妻を実際に診察できなかったが,夫婦とも軽い睡眠薬を処方してもらいぐっすり眠ることで改善したと知らされた.妻だけでなく夫もまたPTSDに罹患していたと思われた.
(山本保博ほか・監修、南山堂、東京、2002)
(滝口雅博、p.112-117)
(金田正樹、東京新聞出版局、東京、2002、p.10-56)
石原 晋・編著:実践外傷治療学、永井書店、東京、2000
Abstract:平成14年4月に「東海地震に係わる地震防災対策強化地域」の見直しに伴い,愛知県災害医療センター薬剤部(14施設)における災害対策医薬品備蓄供給体制の現状について,14施設にアンケート調査を行い12施設より回答を得た.医薬品の災害用備蓄に関しては,災害後流通の回復が見込まれない3日間分の在庫は確保しているが,ほとんどが日常在庫の底上げで対処していた.地震直後にはクラッシュ症候群など特定の疾患患者が急増するため,輸液や透析液などの薬剤が大量に使用されることが想定された.また,通常の患者数ではなく,拠点病院ともなれば被災患者が集中することも想定すべきであると考えられた.災害時の疾患の特性を考慮した医薬品の備蓄が望まれた.
Abstract:42歳男.搬送業務中にトラック車体と壁の間に挟まれ,十数秒間にわたって圧迫され続けた.肝血管損傷・右膝血管破裂と診断され,右膝の人工血管置換術を施行された.術翌日ICUで覚醒した時に初めてパニック発作を経験し,その後も同様の発作を繰り返した.初期治療は覚醒亢進症状や再体験を抑える薬物治療が主体となった.心理治療としては傾聴・共感を心掛け,患者の緊張は減ったが,家庭の経済的困窮,性機能障害も問題化した.事故から2年後,右膝について血管外科医より「治癒(症状固定)」の判断がなされ,PTSDについても労災治療費給付による甘えが改善の妨げになると考え,同様に診断した.その後趣味や復職への意欲も出てきたが,再就職には至っていない.症状遷延の背景として,喪失体験,怒り,ソーシャルサポートの脆弱化,訴訟,治療者転移に絡む疾病利得等が考えられた.
Abstract:兵庫県の救急・集中治療施設10病院を対象に,薬物中毒対応システムの実態調査を質問形式で行った.その結果,7病院から回答が得られ,中毒症例の総数386例,入院総数198例であった.中毒物質別では医薬品中毒116例,急性アルコール中毒34例,食中毒16例,その他工業用品,覚醒剤,マリファナ,自然毒中毒等であった.重症例は93例(医薬品69,アルコール17)で,死亡例は5例(農薬1,工業用品2,医薬品1,アルコール1)であった.救急入院における中毒の割合は1.1〜7.1%であった.解毒・拮抗薬使用は11例(農薬3,医薬品8)で入院の5.6%であった.自殺企図症例は50〜68.7%であった.重症度判断の適否,自殺企図症例の追跡等の面からも登録に基づいた中毒症例の把握と解析が今後の課題と考えられた.
Abstract:PTSD患者は,1)自分が精神的問題を抱えているとは認めたがらないか,或いは気づいていない,2)他者の不安に対して敏感であり,自分よりも身近な他者のことを気遣う,3)生活変化の影響を受けやすい,4)治療を受けることを拒否しがちであるが,健康問題全般或いは日常生活についての援助は受け容れる,等の傾向を有している.一方,非特異的な傾聴的支持的精神療法には,本来,「逆制止」「ディブリーフィング」「除反応」「認知リハーサル」の要素が備わっており,PTSD患者の心性に配慮した上で,薬物療法と併用して非特異的な傾聴的支持的精神療法を適切に用いるならば,通常の外来診療枠内で一定の治療成果をあげることが可能である。
Abstract:学生308名(男118名,女190名,平均19.6歳).事故時に屋内退避を行ったのは131名(A群),非退避は177名(B群)で,事故直後に不安を「強く感じた」は33.8%,「少し不安」「殆ど不安を感じなかった」は65.6%であった.A群は有意に「強い不安」の者が多かった.事故後1ヵ月で,現在・将来の健康,外出に不安を感じているのは60%程度で,東海村を通ることに関しては83.4%であった.A群は現在・将来の健康,食物,外出への強い不安を感じる者が有意に多かったが,「東海村を通ること」には両群間で有意差はなかった.Impact of Event Scale Revised(IES-R)の得点分布は,0点が最も多い右下がりを示し,平均は4.7点であった.PTSDのスクリーニングとしてのカットオフ値25点以上は3.9%で,A群5.3%,B群2.9%と有意差はなかった.サブスケールの平均は侵入1.33,回避2.05,過覚醒1.32であった.IES-R得点は性別では男,直後の不安では強かった者が有意に高く,A群はB群よりも高い傾向であった.
国際赤十字・赤新月社連盟
Abstract:阪神大震災により,自ら被災しながら救援活動を行った看護婦425名を対象に,外傷後ストレス障害(PTSD)発症に調査を実施した調査期間は五年に亘り,震災2ヵ月後,6ヵ月後,12ヵ月後,38ヵ月後,62ヵ月後に実施し,DSM-IVの診断基準に基く調査用紙を用いた.各調査時期においてのPTSDの出現率は,震災2ヵ月後で6.9%,6ヵ月後で4.3%,12ヵ月後で4.7%,25ヵ月後で3.9%,38ヵ月後で3.0%,62ヵ月後で2.2%であったPTSD診断基準の各カテゴリーについては,いずれの調査時期においても診断カテゴリーB(外傷的出来事の持続的再体験)の基準を満たす割合が高かった.調査結果から,PTSDに代表される被災後の心理的ストレス反応の軽減を目的とした救援者に対する有効なメンタルヘルスケアの検討が重要と思われた。
Abstract:授業中に大震災が起きたときの対応は経時的に異なる.震災直後から3時間までは火を消す,机の下に入る,避難路の確保,負傷者の処置,避難場所への誘導,被害状況の通報,生徒のリスト作成,食料・飲料水の確保の順に行う.48時間までは保護者との連絡,学校医による巡回診療,食料・飲料水の提供を行う.14日迄は生徒の避難先での生活への援助,数年迄はPTSD対策に力を入れる.防災対策を平時から行う.
特集【災害医療 危機管理の視点と組織作り】
Abstract:池田小多数刺傷者事件において,所轄消防本部は隣接市消防本部に早期に応援要請を行い,緊急対応を容易にした.災害現場の管理が重要な任務である先着救急隊長の役割が不十分であった.そのため,現場指揮本部の機能も十分には果たせなかった.負傷者を1ヶ所に集める集積場を設営しなかったため,系統であったトリアージは実施されなかった.又,トリアージタッグは使用されなかった.死亡者の中に避けられた死亡症例は,なかった.
Abstract:2001年7月21日明石市JR朝露駅から花火会場に通ずる歩道橋上で発生した群衆雑踏事故(死者11名,負傷者247名)時の救急医療対応について次項にしたがって報告した.1)花火大会の事前準備状況と事故原因について,2)雑踏事故発生時の歩道橋の状況,3)救急通報,救急隊の出動と雑踏事故発生時の状況,4)現場トリアージと傷病者搬送,5)本集団災害における総傷病者の概要,6)考察.
Abstract:東海豪雨に被災したN町の在宅療養者を対象に,在宅療養群別に作成した質問紙を用いて調査を行った.調査対象者は11名(男8名,女3名,平均67.1±8.5歳)で,在宅酸素療法3名,透析療法3名,通院治療又は機能訓練に参加している5名であった.調査の結果,以下の知見を得た.1)透析療養者が最も困ったことは,水路を移動する救命ボートの不足であった.2)在宅酸素療養者が最も困ったことは,停電による酸素供給機器の停止であった.3)避難所で,障害者と慢性疾患患者が困ったことは,環境不備により療養生活の維持が困難なことであった.
Abstract:当院手術室における災害危機管理の取り組みについて報告した.当初,既存マニュアルに沿い避難訓練を実施したが,マニュアルが大まかであった為スタッフにイメージがつき難く,適切な行動ができなかった.そこで火災を想定して新マニュアルを作成し,避難訓練を通して,気付いた点や改善策についてスタッフ全員で検討した.その結果,行動を具体的にマニュアル化し,学習会を行ったことで以前にも増して,避難がスムーズになった.又,危機管理に対する意識の向上が認められた.しかし迅速かつ安全に対応できるかについては,はいと答えたスタッフが少なかった.今後の課題として,定期的な災害訓練を行なうと共に科別・特殊な術式についても具体的なマニュアル作成,避難経路の整備,設備備品の検討の必要性があると思われた.
Abstract:災害訓練に際して,渡島医師会管内,医療機関の医療能力をアンケート方式によって把握した.渡島医師会管内には全体で75施設がある.アンケート発送後1時間以内に回答が返送されてきたのが16件,2時間まで13件,3時間まで11件,3〜6時間が8件で6時間以上が1件であった.全体では75施設中49施設が回答した.病院は13施設中7施設,医院・診療所は58施設中39施設,介護施設は4施設中3施設から回答があった.被災地に出動できると答えたのは全体で24施設(32%)で,病院で4施設(31%),医院・診療所で19施設(33%),介護施設で1施設(25%)であった.被災者を収容できると答えたのが全体で9施設(12%),病院で5施設(39%)で,有床診療所(17施設)で収容できると答えたのは,3施設(18%)であった.重症被災者収容可能と答えた病院は4施設で,その数は12名,中等症は5病院と1診療所で合計31名,軽症者収容可能は5病院,3診療所で合計73名であった。
Abstract:バイオテロリズムに対する救急医療機関の対応に関して,米国などで想定されている生物兵器の中で注意が喚起されている炭疽,天然痘,肺ペスト,野兎病,ボツリヌス毒素について,その臨床像についてレビューした.とくに初期症状からは,感冒様症状との鑑別が困難であり,各々の感染症について自然発生なのか人為的発生なのかを判断するために潜伏期間や初期症状等の疫学的知識,情報の重要性を認識することが臨床の現場では必要と考えられる
Abstract:平成12年秋,全国医科大学・医学部80校に行ったアンケート調査の解析し,救急医学卒前教育の現況と問題点を明らかにした.救急医学の重要性を表明する大学が80%を占め,救急医学講座もこの10年間で29施設開設された.医育機関における救急部門は,国公立・私立大学間のマンパワー格差が解消されていない.救急医学の臨床実習は,80%の施設で,救急部外来で実施されていた.医学生の医行為の拡大に66%の施設が賛意を示していた.救急医療の教育技法の研修に関して46%の施設が研修会を開いているに過ぎず,教員と学生間の教育に対する相互評価を卒前の臨床研修にフィードバックしている施設は60%であった.
Abstract:初療室における災害時対応の見直しを目的として,人材・物品・家族対応の3点についてシステムを変更し訓練を実施した.その結果,人材では,業務分担を行い応援要員が効果的に活動でき,受け持ち制を導入し責任の所在が明確になった.指示命令系統を一本化しリーダーが全患者を把握できた.物品では,カルテ板を作成し,伝票類を一括管理としたことで時間が短縮され,検査漏れなどのトラブルがなくなった.家族対応では初療室に家族対応係を置くことで,承諾が速やかにとれ,家族に対して迅速な対応ができた.
Abstract:約6年に亘り第1第2仮説住宅に暮らす高齢住民31名,平均74歳を対象に,復興住宅へ転居後も追跡して「健康と生活」に関する半構成的面接調査を実施した.過去4回の調査結果と比較しながら分析した結果,過去4回の調査と比較し,対象は仮設生活者から,復興住宅で個としての市民生活に適応しようとしていると考えられた.家族同様に主要なサポート提供者として,かかりつけ医・生活指導員がみられ,高齢対象は,配偶者や兄弟等の身近な人の死によりサポートが減少していると考えられた.GHQ30の高得点の発生率は39%で,発生率は震災2年後の一般住宅における被災者の発生率と近い割合であった.高得点者の発生率は,やや女に多い傾向がみられたが,得点順では男の方がより重症であった.
Abstract:被災地内で水害を直接体験した看護師と被災地外からの援助者で水害を体験していない看護師を調査対象とした.調査方法は半構成的面接法で,水害2ヵ月後に災害状況や活動体制を含めたインタビューを実施した.分析には内容分析法及びユーリア・エンゲストロームの活動システムモデルを用い,内容分析法では,想起した内容に違いが認められた.水害を体験した看護師は水害時の状況に関する内容を想起し,水害を直接体験していない看護師は,援助行為を振り返る内容を想起していた.想起内容を,活動システムモデルを用いて分析した結果,被災地内看護師と被災地外看護師の活動内容には,モデルの各構成要素において質的な違いが認められた
Abstract:災害救援を志望する学生の特性を調べるため,62名の看護学生に対し,援助規範意識・共感性・向社会的行動,ならびに災害及び災害発生地の優先順位決定とその理由についての質問紙調査を実施した.その結果,災害救援を希望する学生の援助規範意識・共感性・向社会的行動得点全てが志望しない学生に比べ,有意に高い傾向にあった.又,災害発生時に最も優先される,もしくは最も優先されない災害及び災害発生地の決定とその理由においても,両群間に顕著な差が見られた.災害救援への志望のある学生は,ヒューマニティーを基盤とした利他的な性格をその基盤としてもつことが示唆された.
Abstract:A県内看護職の災害時の看護活動に関しての日頃からの取り組みの程度(準備状況)とそれに関連する要因を知り,今後の災害看護活動推進のための課題と方策を明らかにする目的でアンケート調査を行った.調査対象はA県内の看護職688名である.その結果,全体として災害看護に対する取り組みは低く,「ボランティアの活用方法の確認」,「他の医療機関との連携方法の確認」が特に低かった.取り組みの度合いは,災害看護の経験の有無,防災訓練への参加経験の有無とも関連があり,経験のある者の方が取り組みの度合いは高かった.又,職位の高い者の方が低いものよりも取り組みの度合いが高かった.この結果から実践を広めていくための動機づけと教育訓練の充実の必要性,実戦経験に基づいた必要性やノウハウの掘り起こしの必要性が指摘された.又,組織を越えた防災訓練の必要性や,地域内のネットワーク形成の必要性も示唆された.
Abstract:平成13年9月に発生した台風16号による被害と住民の健康について,聞き取り調査を行い,災害時の看護ニーズの把握を試みた.その結果,心のケアを必要としていた住民が多く,医療スタッフ以外のボランティアが精神的サポートの面でも貢献していた.困難な交通事情や宿泊事情のために,医療専門職のマンパワーの不足から,医療従事者へのケアの必要もあった.今後,看護職による支援システムの構築が今後の課題である.
Abstract:炭素菌を思わせる「白い粉」事件の院内発生を経験して多くの気付きや学びがあったので報告する.第一発見者を特定しての直接の情報収集が4時間後になったことが,その後の対応に影響した.しかし,対策本部を中心に,職員が一丸となり対応したことで大した混乱もなく,翌日には平壌業務になり,一定の危機管理を遂行できた.対策本部では,刻々と変化する現場の状況を得て集約した情報を判断し,新たな方針・対策を決定・伝達していく情報交換システムを早期に確立することが重要である.この経験から,現場からの情報がその後の対策を効果的にするものであることを再確認した.
Abstract:我が国の災害時医療対応は,阪神・淡路大震災以後,積極的に実施されるようになってきた.しかし,その後の種々の災害において災害発生初動期の対応の遅れが常に指摘され続けてきた.災害の種類に拘わらず,災害発生初動期における迅速かつ適切な医療対応が実施できるような体制の構築である.そのためには,1)地域防災計画の見直し,2)地域の平時と災害時の救急医療対応能力の事前評価,3)災害医療情報システムの管理調整者の設置や災害拠点病院の効率的な運用の見直し,4)現場への迅速な医療救護班の派遣システムの確立,5)救命を主眼とした多機関連携と指揮命令系統の確立,6)災害マネージャーや災害医療コーディネーターの育成,7)教育・研修システムの充実強化を図る必要がある.
Abstract:著者らは厚生労働省の委託を受けて平成10年〜13年度迄の間の災害拠点病院のデータ分析を行った.その結果,これらの病院における災害対策はハード面の整備は進んでいるものの,計画策定等のソフト面については6割程度であり,まだ充分とは云えない状況にあった.訓練についても未だに低い実施率に止まっていた.今後はより具体的な計画策定等のソフト面への取り組みを進めると共に,「災害拠点病院連絡会議」等の場において,拠点病院及び医療関係行政機関等の広域連携体制の構築を進める必要があると考えられた.更に計画を検証・改善する為に,より効果的,実践的な訓練実施も望まれた.
Abstract:2000年7月に沖縄県でサミット(主要国首脳会議)が開催された.我が国でも医療過疎地である県で,しかも首都より遠く離れた離島県であったため,医療の面でも,大いに危機感をもって対処された.その結果,厚生省,日本救急医学会,沖縄県の協力体制がとられ,我が国始まって以来の災害医療対策がとられた.又,災害時の情報管理が最も重要であることは誰しも認めるが,現実は縦割り行政の中,情報も縦割りとなりこれらを有機的に結びつけるのは難しい.今回,行政,医療,警備,消防による情報の一極集中共有化が実行され非常に有意義であったことが証明された.
Abstract:厚生労働省は2001年10月8日に緊急テロ対策本部を設置し,炭疽や天然痘等の診断や治療方法,炭疽菌等に汚染されたおそれがある場合における対処方法など,情報提供及び研修を実施した.炭疽の発生をはじめ異常な感染症の発生等を把握した場合の迅速な連絡の要請,補正予算に必要な経費を計上し,天然痘ワクチンの生産・備蓄,救命救急センターへの除染設備及び防護服の配置を推進するなど,必要な措置を講じてきた.尚,天然痘については2002年3月末までに約250万人分のワクチン再生産を完了した.炭疽に有効とされる抗生物質については,卸・メーカー段階における流通,在庫量を確認した.
Abstract:著者らの病院の内科外来受け付け,待合室及び売店の雑誌に白い粉が発見されたのが2001年11月9日11時過ぎ,当時の社会情勢及び病院の所在地より炭疽菌による生物兵器テロの可能性が否定できないため保健所と共に対策本部を設置し,業務停止措置をとり1階部分を閉鎖した.その後,患者の誘導,職員を含めた名簿作成,ハイリスク者の除染,機動隊による消毒,予防投薬,アフターケア等の対策をとり地域の信頼を損ねることなく翌日に通常業務へと復帰できた.予防投薬は患者,職員を含め409名であった.結果的にはhoaxであったが,炭疽菌に限らずどの種の災害も院内発生する可能性があることを念頭において安全対策を構築する必要があると思われた.
Abstract:某噴火災難において身障者の避難状況,避難所での環境等についてアンケート調査を行った.その結果,身障者,児童は災害に対する正確な情報確保が困難で,避難所の環境設備,待遇等で不充分であった.知的障害児については,両親が主に介護担当し,又,避難もいち早く自主的に行ったが,避難生活が長期間に及ぶことにより,生活場の維持も困難となった.一方,独居高齢者や身障者について,避難情報,避難手段などが個別に連絡され,避難所への誘導が遂行されたが,避難所の構造上の問題,トイレの不備等の原因で,病院・施設への二次避難となった.以上のことから,身障者の支援については障害特性や個別性を考慮すべきであり,避難情報は正確に伝達できるシステムの構築が望まれ,又,避難所の環境整備もノーマライゼーションの立場からもユニバーサルデザインを優先すべきであると思われた.
Abstract:2000年京福電鉄列車事故のトリアージを検証した.検討項目は,1)事故現場における救急隊の参集状況,搬送能力,応急処置能力と経時的の変化,2)日常の搬送先医療機関の収容能力・標榜診療科,搬送に要する時間,3)負傷者の状況,4)医療機関の診断・治療,5)負傷者の転帰とを照合し,全体的に悪化させていないか.又,全ての情報から委員会が判断したトリアージカテゴリーを参照した.その結果,適切なトリアージが行われたと思われた.しかし本事故の管理ではトリアージタグが使用されなかった.トリアージの啓蒙や訓練と共に,実施されたトリアージを評価する方法を確立し,事後に検証することが重要と考えられた.
Abstract:平成12年度に全国の陸上自衛隊衛生部隊に遠隔地医療支援システムが導入された.今回,本システムについて災害時の有用性を検討する為に13年度の防災訓練で実際に運用し検証した.方法は移動型のシステムを訓練会場の救護所に設置し,移動型PHSを用いて,ISDN回線接続している自衛隊中央病院設置の固定型システムと医療情報伝達を実施した.その結果,本システムにより円滑な患者情報伝達が可能であった.しかし専門医による診断と助言は十分可能であったがPHSを使用したため回線の突然の途絶が数回見られた.通信手段は常備のPHSを使用したが,大規模災害時には十分に機能しない可能性もあり,通信手段のバックアップが大切と思われた.被災地内の移動型システムと被災地外の病院からこのシステムを用いた支援は大変有用と考えられた.
Abstract:一般医師を対象にトリアージ反復訓練による習熟効果を客観的に評価することを目的に,過去4年間に四つのブロックにおいて救護訓練を実施した.模擬負傷者30名,同一の資料と方法を繰り返し用いて救護訓練と3回のトリアージを行い,その習熟効果を評価した.その結果,初年度のトリアージの正答率は1回目55%,2回目70%,3回目77%,4年目はそれぞれ80%,87%,87%であった.又,4年間を通じて初年度の正答率は67.3%,その後は77.3%,72.0%,84.7%と年毎に上昇していた.以上より習熟効果を大きく期待するには3回程度の反復訓練が必要であった.
Abstract:急性期の災害救護活動に必要な判断力を養い,被災者に適切な看護を提供する資質を高める為に学生及び担任看護師を対象に,学校3年次の災害救護実習のプログラムの一環としてトリアージ机上シミュレーションを導入した.終了後,著者自作の自己評価表及び自由記載の質問紙を提示し,本シミュレーションの効果について調査し,得られたデータに基づいて検証した.Aグループの場合,トリアージの判断基準の理解及び実施に対する自己評価の平均値,トリアージの平均正解率は学生の方が高かった.自由記載から,学生及び現任看護師の双方の学びについて共通しているのは,的確な判断力の必要性,判断力を養う為の知識と訓練の積み重ねの必要性などであった.この結果から,トリアージする上で臨床経験のある看護師が必ずしも優位というわけではなく,基礎教育で学生に学ばせても効果があることが確認できた.
Abstract:大規模な爆発事故が発生したとの想定で傷病者約30名の受け入れ訓練を企画した.七つの目標,1)災害対策本部運用,2)情報伝達,3)傷病者受け入れ部門設置,4)医療救護,5)災害対策能力確認,6)災害マニュアルの見直し,7)社会へのアピール,をあげ,傷病者搬入からトリアージ,治療,病棟への収容までを行った.訓練内容は参加者に知らせ,模擬患者の想定は知らせず,傷病者受付,検査,レントゲン,処置等は詳細な取り決めを行い事前に説明会を開いた.参加者全員にアンケートをとり評価を行った.模擬患者には防災防災ボランティアを選び,参加者が真剣に取り組むべくマスコミ取材を依頼した.訓練企画は災害対策委員会が行い,訓練のコントロール,アドバイスのみを行い,この結果,訓練全体を詳細に把握することができた.有意義な訓練を実施する為には企画が最も重要と思われた.
Abstract:日本において災害時派遣医療チーム(DMAT)を構築する上で,解決すべき諸問題について検討した.日本全国,あるいは地域としてDMATが一般化すれば,より効率的に,より迅速,かつ機能的な災害時医療対応が可能になると思われ,事前計画や法整備,移動交通手段の確保,派遣者の身分・補償,派遣者の教育と資格認定制度,災害現場での医療の特殊性の理解,災害現場でのメディアコントロール,災害拠点病院の機能の見直し,緊急消防援助隊との連携,精神医療の必要性がDMATを構築する上での課題としてあげられた.
Abstract:2000年3月の有珠山噴火非難時における虻田町在住の精神障害者83名(うち40名は施設入所者)を対象に,精神障害者の非難状況の実態を調査した.その結果,情報伝達が不十分であったこと,情報や地域での孤立化防止のため,相談・連絡相手の確保が必要であったこと,災害初期から内服薬を確保すること,体調の相談,特に,心のケア班が避難所に出向き,ストレス軽減のための活動が必要であったこと,避難場所の住環境整備が不十分であったこと,不眠,不安,焦燥感の増強がわかった.また,将来に対する提言として,情報連絡システムの構築,避難所の環境改善,避難生活の長期化に伴う生活の質の向上を図る必要があった.阪神淡路大震災時との比較では人的被害やPTSDは認められず,また,対象者はパニックも起こさず,原疾患の増強もなかった.精神障害者に対しては,早期には原疾患を増強させない対応,慢性期には生活再建における支援が一般住民以上に必要と考えられた.
Abstract:2001年7月21日開催された兵庫県明石市民夏祭りの花火大会の花火打ち上げ終了直後に,JR朝霧駅から花火会場に通じる歩道橋(幅6m,長さ106m,階段幅3m)上において,群衆雑踏事故が生じ,多数の死傷者(死者11名,負傷者247名)が発生した.本集団災害時の救急医療対応との問題点を検討した.その結果,(1)災害に対する適切な医学管理計画を周辺の救急医療体制能力を考慮して予め策定しておく必要がある,(2)消防庁,警察庁及び医療機関との間に協力体制,連絡体制を確立する必要がある,(3)救急医を現場に迅速に派遣する体制を整備する必要がある,及び(4)救急隊に救急時のトリアージに関する継続的な教育とトレーニングを行う必要がある,と考えられた.
Abstract:病院内に設立した救急艇連絡会の活動を報告した.病院は諏訪湖に隣接し,諏訪湖に流入する川には船着場が設置されている.また,この地域は,東海地震の地震防災対策強化地域にも指定された.こうした背景を踏まえ,諏訪湖における救急艇による水上救助活動の導入を試みた.救急艇連絡会では操船や救護救助の知識や技術を修得し,訓練活動を行うとともに,地域社会との協力や連携により諏訪湖での水難救助訓練や諏訪湖での様々なイベントの救護活動に参加した.今後は,水上救助活動を地域社会の中でシステムとして構築していく必要があると思われた.
Abstract:阪神・淡路大震災では,自衛隊の災害派遣出動の遅れが指摘された.しかし,「新防衛大綱」の制定,防衛庁防災業務計画の修正,および災害派遣を命じられた部隊等の権限により,自衛隊の災害派遣活動がより容易となった.自衛隊阪神病院が参加した地方自治体との合同防災訓練を踏まえ,多機関共同でのより実践・合理的な合同防災訓練のあり方を検討した.大規模災害時には自衛隊の役割は今後ますます大きくなると思われ,地方自治体は,常日頃から自衛隊への要請手順や連絡方法を明確にし,自衛隊をも包括した実践的な防災計画を作成しなければならないと思われた.また,防災計画による医療救援体制の構築には実践的な合同防災訓練を多機関共同で行う必要があり,地方自治体・自衛隊関係者だけでなく,地域の災害医療関係者の理解と協力が不可欠であると思われた.
Abstract:21世紀の災害学会の進むべき方向を模索するため,第1回よりこれ迄に発表された演題内容の推移について述べた.50年代は整形外科関連演題(59%),職業病関連(21%)が圧倒的多数をしめたが,職業病関連演題の減少,生活習慣病関連演題が増加し,90年代には整形外科関連(骨折,外傷,脊損,関節障害など,46%),生活習慣病関連(15%),職業病関連(11%)となっており,これらの課題に今後とも取り組んでいくことが重要と思われた.
Abstract:毒物混入事件が多発して以来,救命救急センター,高度救命救急センターに中毒毒物分析機器が配備されたが,分析体制は追いついていないのが現状である.しかし,救命救急センター,高度救命救急センターの分析担当者は,学会等の支援を得て,分析の技術向上や体制づくりのための努力を行っている.また厚生労働省でも予算をつけて,これらの講習会を定期的に開催できるように準備中である.しかし尚,分析に関わる経費,技術,人的資源,機器更新,標準物質の入手などといった多くの未解決の問題点をかかえており,これらを解決するには,国の施策として,分析をも合わせて行いうる中毒センターが設置されるのが望ましいと考える.
Abstract:日本中毒情報センターで整備している中毒情報データベースは,作用,症状,治療法等15項目の見出しからなり,現在迄に,商品名,一般名,別名などを含めた化学製品や物質の名称数にして約40,000件の情報をデータベースとして整備し,10万種類に達する化学製品の情報を収集している,又,松本サリン事件以降,化学兵器についても情報整備を開始し,昨年,九州・沖縄サミットにおける医療対策の為に神経剤,びらん剤,催涙剤,窒息剤等6系列20種類の情報を完備した.今後の課題として,情報提供件数の倍増,情報収集と提供の自動化推進,解毒剤配送システムや分析ネットワーク等の整備,中毒医療の生涯教育,危機管理への関与があり,これらの実行には関連機関との情報の共有と,機能面で連携する必要がある.
Abstract:産業中毒センター(センター)は,産業化学物質による中毒の治療,分析,情報提供を一環して行っている.本報では4年間の活動について情報提供と分析活動を中心に述べた.センターは産業中毒データベースを作成し,ホームページ上で公開している.このデータベースには13,000以上のデータがあり,その中心は全国の労災病院が半世紀にわたり報告してきたものである.センターへの問い合わせ機関は,作業者とその家族,医療機関,企業の産業保健スタッフ,公的機関,海外の機関等に大別され,これまで391件の問い合わせがあった.これらに対応して,ガス・有機溶剤・重金属など原因物質の分析を行っているが,その数は年に900件を超している.
Abstract:2000年有珠山噴火における避難時の医療状況や問題点について,33の地元医療機関を対象にアンケート調査を行い16機関から回答があった.医療人との使命感のもと,救護班を派遣した病院は7件で,その規模は数日・数箇所単位から延べ245日,11ヵ月まで.費用は2.6〜520万円.診療内容は外傷より風邪,不眠,便秘等が多く,慢性疾患が主体であり,避難生活が長期化したことに由来した.なお急性病変やSAHなど死亡例も報告された.発災二週目から慢性疾患治療薬が不足したが,地元医療機関の避難中のため救護班が対応した.一方,地元医療機関も避難所に自院患者を尋ねたが,管理事務所で拒否された例があった.以上より,以下の避難所医療体制の問題があげられた.1)救護班相互や同じ避難所で,申し送りも含め,連携不足していた.管理事務所に不適切な介在があった.救護班には,その選定基準が不明確であった.2)被災患者受け入れ病院での負担に対する弁償はなかった.3)「災害拠点病院」は,発災前の避難で機能しなかった.4)被災病院入院患者も「災害弱者」であるが,災害で受傷しない限り一般住民と同じ扱いである.
Abstract:看護師及び看護学士課程の学生,大学院生を対象にアンケート調査を行った結果をふまえて,ネパールにおける災害看護教育の今後の課題について検討した.地域防災への参加意識が高く,災害看護や教育に対する関心は高いが,実際の災害管理の面から問題点が示された.ネパールで発生する災害の種類や地域特性,そして看護職や災害看護教育の現状をふまえ,今後の災害看護教育の課題について検討し,看護基礎教育及び継続教育における対象地域別の災害看護教育プログラムの構想等が示唆された.
Abstract:恒久住宅で一人暮らしをしている阪神・淡路大震災の被災高齢者の,被災4年半後における生活力量を構成している要素とその特徴を明らかにした.生活力量の要素として,「被災体験を受け入れる」「全てにあきらめをつける」「被災者同士のつながりと助け合い」「被災地の社会資源を利用する」「被災体験の気晴らし行動をとる」「恒久住宅での生活を受け入れる」の6個のカテゴリーが明らかとなった.看護職は,被災高齢者の生活力量に着目することが必要であり,力量が発揮できるように,社会資源等の地域条件を整えていく役割がある.
Abstract:屋内催涙ガススプレー噴射による集団患者発生事例を経験した.被害者は約50名で,症状の強い8名が事件発生から約30分後に搬入された.症例は男子3例,女子5例,平均15〜16歳であり,眼痛,咽頭痛,咳嗽,嘔気,頭痛,過換気,呼吸困難,顔面紅斑などの症状で,呼吸性アルカローシス,低酸素血症,白血球増多などの異常値を示す例もあった.ガス成分は1時間後,診療開始30分後にカプサイシンであることが判明し,救急処置として,結膜洗浄,肝庇護薬点滴静注などの対症療法を行い,精神的動揺に対するケアも必要であったが,いずれの症例も翌朝には軽快した.集団災害観点から,救急医療を行うにあたり関係各機関との連携が重要と考えられた。
Abstract:JOC臨界事故を実例として,地域住民の不安や心理的負担を解消すること,緊急時対応,防災計画,平常時の情報の提供等を再検討し,都市部に住む一般公衆の原子力災害に対する意識,「線量限度」という表現の適切さ及び最適な情報伝達路を探ることを目的として,一般公衆を対象としたアンケート調査を都市部で原子力災害の直接的被害が及ぶ可能性が少ない地域で実施した.その結果,情報伝達を円滑に行うためには学術的な正確さは重要であるが,一般公衆が理解し易い指標が必要であることが示された.
Abstract:1998年7月に和歌山市内で発生した集団中毒事件を対象とする地域精神保健福祉分野の第一線機関である保健所が地域災害時に果たすべき役割について検討した.保健所が公的機関として危機介入に関わる時には,実践の視座を議論して確立しなければならない.又,人的災害に遭遇し,地域そのものが自治力を失っている現状で,実践が直面しているのは「被害地域のエンパワメント」の課題であった.被害地域住民はその地域に住むことに誇りを失い自己尊厳を傷つけられていた.今回の集団中毒事件により,危機予防・危機介入・地域の回復を一貫とした危機管理システムあるいはコミュニティケアシステム整備の必要性が提起される結果となった.地域社会のケアに福祉の理念を加えるとは,自身が生まれ育つ地域の主体者として,その地域において健康で文化的に生きる権利を保障することにほかならず,保健所は地域における健康危機管理の核として機能しなければならないと考えられた.
Abstract:患者の高齢化及び合併症の多様化に伴い,現在の透析医療はより高度なリスクマネジメントが必要とされる.ここでは,透析室におけるリスクマネジメントを,医療事故防止,感染防止,災害対策の三つの視点から述べた.医療事故防止対策としては,抜針,回路離断,除水ミス等の頻度の多い事故や重大な事故を中心に,事故分析に基づきマニュアルを作成し,それの遵守を徹底させている.感染防止対策としては,「透析医療における標準的な機械操作と院内感染予防に関するマニュアル」に基づき,スタッフ教育を継続している.災害対策においては,平素の準備・体制確立と共に,定期的な訓練を実施している
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Abstract:透析用患者監視装置への地震動検知システム開発を報告した.3次元6自由運動が可能な振動台に透析用監視装置を載せ,加振プログラムの加速度を加えたときの装置の状態変化を観測し,キャスター部分の軸に地震の揺れが感知されていることを認め,この部分にセンサーを設置し地震の揺れと同時に血液ポンプの停止と透析を中断させるシステムを開発した.円盤状金属板に18箇所の長方形の穴を開け,後2輪いずれか一方のキャスター軸に地平面と水平に取り付けた.円盤状金属板を挟むようにフォトマイクロセンサーをキャスター支持脚に設置し,監視装置の外部連動基板と接続した.地震の揺れの発生でキャスターとともに円盤状金属板が回転し,フォトマイクロセンサーの光が通過もしくは不通過を検知し,これを揺れと認識して検知装置が作動し,ポンプの停止と対外循環を中断させることができた.なお,本装置は透析装置と連動し透析工程に入ったときに検知が作動するように設定した.
Abstract:個々の施設では対応不能となるような大規模災害が発生した場合,罹災患者の医療情報を支援施設に対して伝達する必要が生ずる.著者等は,市販のデータベースソフト,自作のソフトなどを用いて患者情報を管理すると共に,緊急時用透析情報カードを作成し配布している.コンピュータシステムは,患者情報を管理する上で必要不可欠な存在となっているが,この中に,災害を想定した機能も組み入れることが重要である.同時に,複数の情報伝達経路を確保すること,地域透析医療ネットワークと情報伝達網を確立することが必要である.日本透析医会及び各都道府県透析医会は,日本透析医学会と協力して災害時の情報ネットワーク構築を推進している.