災害医学・抄読会 2003/05/30

II 病院の施設・設備自己点検

(石原 哲・編著:病院防災ガイドブック、真興交易医書出版部、東京、2001、p.21-27, 15-20)



今、なぜ病院防災体制なのか、第1章 災害に強い病院づくり、I 災害対策の組織づくり

(石原 哲・編著:病院防災ガイドブック、真興交易医書出版部、東京、2001、p.13-14, 15-20)


〔今、なぜ病院防災体制なのか?〕

I.わが国の防災対策の歩み

 わが国は災害が多発するにもかかわらず、死傷者が多数出た後や大都市で起きた物 の後でないと対策が行なわれなかった歴史がある。

 南海沖地震後        災害救助法
 伊勢湾台風後        災害対策基本法
 松本サリン事件後      法的整備されず
 東京地下鉄サリン事件後   サリン防止法
 奥尻島地震後        法的整備されず
 阪神・淡路大震災後     検討中

II.災害の分類

 自然災害
  短期型…地震、火山噴火、台風、津波などの風水害
     →大部分の負傷者は外科的疾患で救急医療期間は約1週間
  長期型…干ばつ、疫病など
     →内科的疾患が多く救急医療期間は2〜3ヶ月である
 人為災害
  戦争・紛争型…地下鉄サリン事件など
  工場・産業型…航空機、列車事故など

 災害が発生した場合、災害の規模によって傷病者の救護活動、応急処置および搬送な どのため、広域かつ多方面の人的資源の動員が組織化されるべきである。災害医学は そうした集団災害に対する救急医療体制の整備から、災害予防や復興まで包括して考 えなくてはならない。

III.災害医療

 被災者の欲求の1番は医療、2番が水、3番が衣服、4番が住居となっており、災害では 各時相を理解し適切で効果的な医療を行うことが重要である。それには迅速評価 (rapid assessment)にもとづき早期保健衛生活動を実行することであるが、日本の 災害の現場ではこのようなアセスメントを行う医療調査員、事務調査員の整備・育成 がほとんど手つかずである。

 以上のことから災害医療のシステム化が求められている。そして、医療施設では具体 的かつ実用的な防災計画の確立が大切である。また、「災害医学」の確立と医療従事 者の教育が重要となっている。

〔災害対策の組織づくり〕

 災害発生時、自らの病院で入院患者をはじめ地域住民の被災者を救うため、機能をフ ルに発揮するにはおおむね3日間の初動対策が大切といえる。

 そのためには、作業分担の指揮系統図・フローチャート作成が必要とされる。 具体的には、災害対策本部指揮系統図、非常召集命令組織図、災害発生時フロー チャート、被害状況報告書などが挙げられる。


8.災害看護の基本と看護婦の役割(下)

(山崎達枝、山本保博ほか監修、国際看護交流協会災害看護研修運営委員会・編:国際災害看護マニュアル、真興交易医書出版部、東京、2002、p.86-92)


5.異文化の中での看護活動

 救援活動を行う場所のほとんどが開発途上国である。従って文化・言葉の違いだけでなく政治・経 済・宗教・制度・医療レベル・教育レベルなど、正確な情報を可能な限り日本で収集し、知識を得て いくことが大切である。

(1)看護活動への影響

 活動被災国での文化・生活習慣・常識・価値観などを知り・理解することは難しい。また、期待し たほどの反応が無いと必要以上に重いストレスになる。これを避けるため、現地の文化・生活習慣な どが「正しい」・「間違い」と決定付ける判断は極力避け、傾聴と観察を怠ってはならない。また保 健衛生概念の違いを認識する(概念が違うことを理解させることは非常にエネルギーのかかることで ある)。そしてもちろん医療援助と宗教を切り離して考えてはならない。さらに遺体の処理は宗教・ 慣習などを考慮し現地の人に任せるか、または指示を受けたほうが良く、公衆の面前には絶対置かな いことが重要である。

6.感染症の予防と看護

7.現地での小児下痢の看護と予防

 途上国では栄養失調と下痢が死亡率を高めているといわれ、特に子供、老人は慢性的な栄養不足・ 栄養不足に伴う感染症疾患で尊い命が失われている。統計によると5歳未満の死亡のうち95%が発展途 上国の子供たちであり、そのうち三分の一が下痢症によるといわれている。

下痢時の看護の留意点

  1. 脱水の予防

     水分と塩分を補うために電解質溶液(ORS)を傾向により補うことが重要である。

  2. 食餌療法

     途上国の子供たちは栄養状態が悪く体重減少すると、その回復に長い時間を要するだけでなく生命 にも危険性があるので、食事を止めるようなことはせず、好きなだけ食べさせるようにする。

重症脱水の治療(看護)

 輸液療法が可能な場合、輸液を開始し、経口摂取できる場合ORSを始めておく。 そして3時間後、6時間後に再評価を行い適切な計画を立てる。輸液が出来ない(施設)場合、ORSを 始めて輸液ができる施設に搬送する。また患者が経口摂取できない場合、チューブを使い補液を開始 し、輸液の出来る施設に搬送する。

母親への教育

 手洗い指導を徹底する。汚物はトイレに処分するか、ビニール袋に入れしっかり口を閉じる。また 排便後にはORSを与える(100〜200ml)。嘔吐がある場合、嘔吐後10分間待ちORSをゆっくり与える。 そして脱水徴候(多量に便が出る、口渇、眼の陥没)が見られる、通常のように飲んだり食べたりで きない、などがある場合は医療施設に連れて行くように指導する。


8.災害看護の基本と看護婦の役割(上)

(山崎達枝、山本保博ほか監修、国際看護交流協会災害看護研修運営委員会・編:国際災害看護マニュアル、真興交易医書出版部、東京、2002、p.75-85)


1. 災害看護の定義

 災害看護とは、刻々と変化する状況のなかで被災者に必要とされる医療および看護の 専門知識を提供することであり、その能力を最大限に生かして被災地域・被災者のた めに働くことである。災害サイクル全てが災害看護の対象であり、災害時の看護婦に は全ての人々が心身共に健康な生活を送れるよう健康を支える役割がある。

2. 災害時における看護婦の役割

 被災者の衣・食・住そして医療を提供する。水・食料・施設等の問題解決に優先的に 取り組む。

3. 災害サイクルからみた災害看護

 同時に多数の死傷者が発生し、発生地域の破壊、治療に当たるべき病院の破壊がおこ り、医療従事者も負傷者になる。阪神淡路大震災の病院の被害を設備ごとにみると、 手術室は39.2%の病院が、ついでレントゲン室は24.7%の病院が被害をうけている。

 また、阪神淡路大震災当日、出務した看護婦は44.2%、医師は58.4%であった。災害と いう多数の負傷者に対し、医療従事者の不足という状況のなか、平時の業務内容を遙 かに越えた看護行為が看護婦に求められる。平時の看護、災害発生時の看護・処置の 両方を考え、救急看護を積極的に学び経験を重ねることが大切である。

1) 急性期(発災〜3日)

 限られた人的・物的資源の制限下で「一人でも多くの人を助ける・救命第一」を目標 にして効果的な医療を行う。

2) 亜急性期(3日〜3週間)

 犠牲者の増加を防ぐことを目的とする。医療機関が徐々に動き始めるも、避難所内で まだ適切な医療が受けられない負傷者も多い。避難所を巡回し、適切な医療を積極的 に行っていく。慢性疾患患者の治療の継続、急性増悪の治療も行う。感染症の発生と 増加にたいして、平時より基本的知識の習得につとめておく。

3) 復旧・復興期(3週間〜3年位)

 避難所を出て家に帰る人が出始める一方、避難所生活が長期に渡る人もいる。その場 合の保健衛生・栄養問題・精神衛生がさらに深刻になる。

4) 精神保健

 心の傷に対する精神的な援助・看護を忘れてはならない。被災後の精神保健的ケアは 難しく、長い経過をたどる。

5) 静穏期

 災害の復興が完了または、完了に向かっている時期。このときに災害対策を十分行 う。災害対策の共通理念は「準備」・「予防」・「被害軽減」の3本柱である。被災 時の医療行為に十分対応出来る専門知識の教育や訓練をおこない、病院マニュアルな ど、十分な防災計画を準備する。

4. 海外における医療援助 看護活動における看護の基本と原則

 「1人1人の患者に対しよい看護を提供すること」という考えは普遍的であるが、実 際の看護教育、役割等の現状は国によって様々である。派遣された国の看護システム に合わせた看護活動を優先しなければならない。国内で行われている実践・業務より も拡大した役割を求められ、医師の指示無く独自の判断で決定し実践しなければなら ないこともある。またその地域で医療活動を担える人材を育成したり、看護技術や方 法を伝授する事も大切である。地域のスタッフとの連携を良くし、公平で円滑な医療 が行えるよう調整する。


7.災害における精神保健

(広末秀人、山本保博ほか監修、国際看護交流協会災害看護研修運営委員会・編:国際災害看護マニュアル、真興交易医書出版部、東京、2002、p.58-74)


 国連は1990年から「国際防災の10年間」を宣言した際に、自然災害による世界中の 被害を軽減する取り組みの中に、災害下の精神保健管理を災害保健計画における重要 な課題の1つとして位置づけた。その背景として、この約20年間発展してきた心理 学・精神医学の寄与するところが大きい。この項では、「災害精神保健」を災害心理 の専門知識と経験を持って、災害時およびその後に行う心理社会的対応全般と定義し た上で、第一に被災者の精神保健、第二に災害における精神保健管理、第三に救援者 の精神保健について述べる。

 まず被災者の精神保健については、アメリカのDepartment of Health Human Servicesが発行する精神保健専門家向けの災害対応ハンドブックが冒頭に述べている 災害精神保健に関するキーコンセプトを抜粋して紹介する。

 次に、災害における精神保健管理について述べる。健康専門家、政策関与者、緊急 担当者向けにPAHO/WHOが作成した災害精神保健管理のための啓蒙用スライドのテキス トの主なところを以下に引用する。

 最後に救援者の精神保健について述べる。先に述べたように、災害にどんな形あれ 関わった人は影響を受ける。これは救援者も例外ではない。救援者のストレス処理に 役立つことは、休養などの自己管理を徹底すること、救援者同士の助け合いを促進す ること、リーダーがメンバーの心理的ケアをし、また各メンバーはリーダーに協力を 惜しまないこと、出動前、現場、任務完了時のミーティングによって全員の精神的ス トレスを解消すること、などがある。

 特に国際救援活動などの場合、異文化への適応からくるカルチャーショックだけで なく、平時の医療活動と異なる災害現場等の悲惨な光景、トリアージなどの重大な判 断を迫られるために救援者にはストレスを受けやすい。このことを救援者自身、また 組織がよく理解して上記のようなストレスの処理方法を実践することが救援者の精神 保健にとって重要である。


5.トリア−ジ

(山崎達枝、山本保博ほか監修、国際看護交流協会災害看護研修運営委員会・編:国際災害看護マニュアル、真興交易医書出版部、東京、2002、p.41-47)


 トリアージとは災害発生により、一瞬に多数の負傷者が発生し多数の医療機関が被害 を受け、通常の地域内での診療・救急体制では対処できない場合に、負傷者を重傷度 と緊急度によって選別し、搬送・治療の優先順位を決め、人的・物的医療資源の限ら れた状況下で医療資源を最大限に有効活用し傷病者の救命に最善を尽くすための作業 システム、そのための傷病者の選別である。この作業は、多数の傷病者に効果的な治 療を提供するためには不可欠である。

 災害医療では、限られた状況の中で一人でも多くの人を救うことが重要であり、一 人の人を救うために多くの人を犠牲にしてはいけない。救命率を上げるために救命の 見込みの無い超重傷者、治療不要な軽症者には優先権は無く、負傷者数が医療施設・ 人員の能力を超えるような場合は救命の可能性の高い人から順に救護・搬送を行う。 負傷者の多い時ほど短時間に判定することが重要である。

 トリアージは次のような判断基準によって限られた時間内に的確に行われなくては ならない。災害の種類、現場の場所と状況、負傷者の概数・重傷度・特徴、参加可能 な救援スタッフ、現場で必要な道具・医療機材、可能な医療施設と資機材、使用可能 な輸送手段、現場から病院までの距離と時間、近隣病院の受け入れ態勢、発生時間・ 天気、知識・技能。

 負傷者の状態は変化しやすく、災害現場は混乱しているため、トリアージは現場・ 救護所、搬送、診療所・病院などで複数回行う必要がある。また、トリアージは、む やみに傷病者を動かさない、トリアージは一人で行う、トリアージオフィサーは気道 確保、致命的な出血に対する止血・圧迫固定以外の治療は行わない、救命を第一とす る、災害弱者(子供、女性、老人、貧困者・病人・障害者)には優先権があるといっ た原則に則って行われる。

 トリアージオフィサーには外科的経験豊富な医師、知名度があり信頼されている、 判断力・指導力・決断力・想像力・創造力がある、物事に動ぜず無用の批判を処理し 静止する能力がある、状況をよく理解している、その地域の医療・搬送などの能力を 熟知している、他人をリラックスさせられる、病院の近くに住んでいる、災害の種類 により新たな患者の発生とその治療計画を予測できるなどの資格を多く満たしている 者が望ましい。

 傷病者は以下のように優先度第1位から4位までに分類され、トリアージタッグに よってそれぞれ赤、黄、緑、黒の4色で示される。1位(緊急治療群)生命・四肢の 危機的状態で直ちに処置の必要なもの、2位(準緊急治療群)2から3時間処置を遅 らせても悪化しない程度で入院治療の必要なもの、3位(軽症群)軽度の外傷で通院治 療が可能な程度、4位(死亡群)死亡または明らかに生存の可能性の無いもの。重傷度 は収縮期血圧、呼吸数、脈拍数、意識状態を参考に決められるが、事態が深刻になれ ばなるほど現場で的確に判断、指示することが難しくなるので迅速な意思決定、調査 能力が必要になる。

 トリアージタッグには、一目で傷病者の重傷度・緊急度が判別できる、簡単な医療 情報が記載できる、傷病者自身の情報が記載できる、医師だけでなく看護士・救急救 命士がトリアージを行うことが考慮されている、傷病者の整理および集計に役立ち傷 病者の流れがわかる機能を持つ、雨などでも使用できる全天候型で丈夫である、全国 的に統一されているといった機能が要求され、記載内容はタッグの通し番号、氏名、 年齢、性別、住所トリアージの実施日時(分の単位まで)、トリアージ実施者のフル ネームが必要である。装着は右手首が原則で負傷や切断の場合は左手首、右足首、左 足首、首の順で装着される。

 海外に派遣され開発途上国でトリアージを行う場合は、その国の文化・宗教・政治 の情報を得る、医療システムを知る、医療・看護業務内容を理解する、他医療職種の 業務内容を理解する、地域の医療能力・診療体制を知る、搬送手段を知るといったこ とが要求される。その上で、与えられた条件、範囲、医療レベルに基づいてトリアー ジを行わなくてはならない。


3.災害医学総論

(二宮宣文、山本保博ほか監修、国際看護交流協会災害看護研修運営委員会・編:国際災害看護マニュアル、真興交易医書出版部、東京、2002、p.21-31)


 アメリカ合衆国のFEMA(Federal Emergency Management Agency連邦緊急管理庁)は西暦2000年世 界の問題としてWater、Food、Urban Terrorism、Cost Rise over Income、Urban & Industrial Wastes、Effects of Biochemical Instructions on our Environment、Natural Disasterの7項目を 挙げている。

 世界の災害被害の年次推移をみると年々増加してきている。

1. 災害の定義

 もっとも一般的なものは、災害医学用語辞典(S.W.A.GUNN著)のなかで次のように定義されてい る。<人間とそれを取り巻く環境の生態系の巨大な破壊によって生じた結果、重大かつ急激な発生の ために被災地域がその対策に非常な努力を必要とするか、時には外部や国際的な援助を必要とするほ どの大規模な非常事態をいう>

2.災害の種類

1) 自然災害と人為災害

 自然災害とは、自然現象によってもたらされる侵襲が社会の防御対応能力を越えたときのことである。台風、地震、津波、火山噴火、干ばつ、集中豪雨、竜巻、洪水など。

 人為災害とは、何らかの人為的な要素が加わったために起こった災害である。航空機事故、列車事故、化学工場事故、爆発事故、大火事、テロ、戦争、紛争難民など。また、この二つの複合例として森林伐採により保水力が低下し集中豪雨で洪水が起こる事が挙げられる。

2) 都市型災害と地方型災害

 都市ではライフラインに被害が及ぶと二次災害や復旧にも時間がかかる。しかし交通網は発達しているので孤立する事は少なく、病院も多い。一方地方では住宅が分散していて井戸が多いが、災害時には孤立性が高く、救援や負傷者の搬送に困難をきたす。

 都市型災害は発展国に多く、地方型災害は発展途上国に多い。その他、都市・地方を含む広域災害もある。

3.災害サイクル

 大災害を発災から復旧さらに防災準備期間について疫学的に考察すると一定のパターン を示している。そのパターンを理解する事によりより効率的な災害対策が可能となる。

1) 自然災害の災害医療サイクル

 発災、急性期、亜急性期、慢性期、復旧復興期、静穏期、前兆期、発災へと続く。

2) 難民サイクル

 前兆期、流出期、キャンプ期、避難先定住期、帰国期、復興期、静止期、前兆期へと続く。

4.災害サイクルに合わせた災害医療

1) 急性期

 現場におけるバイタルの確認、トリアージ、酸素、輸液、除痛、投薬、救出時手術、精神的援助、救護所での医療。

2) 亜急性期

 重症患者に対する集中治療、クラッシュシンドロームなど災害に特有な外傷の術後管理、感染予防対策、PTSDのケア。

3) 慢性期

 2次災害に対する治療、避難所での慢性疾患の管理、避難所から仮設住宅や永住センターへ移動する際の精神的フォロー。

4) 静穏期

 防災計画を作成し、被災時によりスムーズに動く医療システムを作る。災害訓練、災害医療教育、災害医療資機材の開発備蓄を行う。

5.災害種類別による被害の特徴

 災害の種類により人的被害の様相は異なる。自然災害における死亡者は地震、津波、鉄砲水に多 く、暴風と洪水では比較的少ない。重症負傷者は地震は甚大で暴風は中程度、津波と洪水では少な い。

6.災害の医療機関への影響と対策

1) 影響

 病院の損壊、人的被害、外来患者の急激な増加、収容ベッドの不足、機材・医薬品の枯渇、災害現場や救護所への医療チームの派遣要請、医療従事者の肉体・精神的疲労。

2) 対策

 災害時における病院損害の評価と対策、入院患者の一時避難、非常発電や水の整備、災害時外来患者用診療対策、看護体制の見直し、仕事別医療チームの編成、後方病院への患者の転送訓練、医療従事者のストレスの減圧。

7.救急医療と災害医療

1) 救急医療

 救急医療では効率良く動く救急システムが機能している。また救急病院は十分な病院機能と医療資機 材をもって治療を行い、必要な場合にはスムーズに患者転送を行える。

2) 災害医療

 地震などの災害での災害医療では様々な問題が起こる.通信網の崩壊による緊急要請の不能、傷病者 の急増による救急車の不足、道路の遮断による患者搬送の支障のほか、医療機関の損傷による不十分 な病院機能、医療資機材の不足、医療従事者の絶対的不足や後方病院への患者搬送の困難などが挙げ られる。

8. 災害弱者

 災害弱者という概念がある。これは子供、女性、老人、貧困者、病人、障害者に被害が集中する事 に基づく。


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