近年、想定されるテロの中で、NBC物質を用いたテロが問題になっている。このNBC災害の中での放射線災害は、被爆したこと自体をすぐには認識できないために対応が遅れることが多いこと、対応に専門的知識・機器を要すること、などの特殊性がある。放射線の人体影響として主なものは、被爆後早期に現れる急性放射線症と、数年以降に現れる晩発影響がある。急性放射線症の病態は、被曝線量に依存して現れてくる臨床症状から血液・骨髄障害、消化管障害、循環器障害、中枢神経障害に分けられる。晩発影響は、白血病や固形癌などにかかるリスクが増加することが主である。
このような放射線災害に対して日本では、スクリーニング・簡単な除染・応急処置などを行う初期緊急被曝治療、高度な除染・内部被曝の検査を行う二次緊急被曝治療、重症被曝患者や内部汚染の患者のケアを行う三次緊急被曝医療の三段階の緊急被曝医療体制が整えられつつある。現行では、初期医療施設を事業所内施設・避難所の救護所・近隣の病院、二次医療施設を地域の基幹病院、三次施設を放射線医学総合研究所など放射線障害専門病院としている。この体制は、主に原子力災害を想定して設けられているため、原子力施設の立地県においては整備されてきているが、その他の地域では殆ど整備されていない。従って放射線テロが起こった場合、今の体制では混乱が起こる可能性があるため、しっかりとした患者診療における知識を習得しておくことが重要となる。
放射線テロなどの災害が発生した時における放射線被曝患者の診療について、まず受け入れ準備をすることが必要である。 1)消防機関からできるだけ情報を得る 2)汚染拡大を防止するため、床や器財にシートなどを敷く 3)受け入れ時の患者の流れを想定し機材資材を配置する 4)医師・看護婦・サーベイ要員などの人的体制を整える 5)医療従事者は防護服を着用し、個人線量計を装備しておく。
次に、多数の患者がいるものと想定されるため、トリアージについて考える必要がある。いかに高線量の被曝を受けた場合においても、影響が現れるのには時間がかかり、また救命に関わるような緊急の放射線に特異的な治療も存在しないため、トリアージは全身状態、合併損傷の評価を基本に行う。被曝に関しては、汚染の有無と高線量の被曝の有無について判断する。
脱衣・全身状態の安定化を図ることも重要である。すなわち、患者の生命に危険がある状態であれば、放射線による障害や汚染への対応よりも全身状態の安定を優先する。また、脱衣により体表面の汚染の大部分が除去できるため、汚染の可能性のある患者は直ちに脱衣させる。体表汚染サーベイは全身状態の安定のための処置と平行して行う。これにはGMサーベイメーターなどを用いて、内部汚染による可能性の高い創部、口や鼻などの開口部を優先して行う。
そして除染を行う。除染は汚染部位からの被曝線量を減らすこと、体内汚染の防止をすること、二次汚染を防止すること、正確な体内汚染の評価を目的に行われる。実際の作業は、ふき取りや水洗いで汚染物質を拭い取ることであるが、この際汚染を広げないように注意しなければならない。汚染面積が広い場合には、専門家の指導の下でシャワーを使用することもある。創部の除染は、汚染部位以外をドレ−ブなどで覆い、生理食塩水などで洗浄する。除染は汚染レベルが下がらなくなるまで行う。内部汚染を伴う状態や、広範囲の重症の汚染例、高線量被曝例、被曝の形態が不明な例は、放射線医学研究所などの三次機関への搬送を検討する。
このように、放射線テロが発生時の診療の流れをしっかりと認識しておかねばならない。しかし、実際の放射線テロでは生物兵器や化学兵器と比較して、汚染をサーベイメーターで検出することができるので、適切な防護・除染を行うことにより、医療従事者は安全に作業することができる。放射線の防護、サーベイは放射線による災害・テロ対応では非常に重要であることがわかる。これから将来発生するかもしれないテロ対策には、緊急被曝医療体制の整っている地域との連携・協力をしていかなければならない。
核兵器(N:Nuclear weapon)と 生物兵器(B:Biological weapon),化学兵器(C:Chemical weapon)は、いずれも大量殺戮の可能性のある兵器であるということで、合わせて「NBC兵器」とまとめられることがある。テロにおいては、生物兵器と化学兵器の使用される可能性が心配されている。このうち化学兵器テロ、すなわち毒ガステロへの医療機関における対応,準備について以下にまとめる。
化学兵器テロ対応の最大の目標は汚染の拡大を制御し、二次災害を最小限にとどめることである。これを行うためには、事前に次の各項目について十分に検討されたマニュアルを医療機関ごとに策定しておくことが非常に重要である。
[1] ハザードプロファイリング
周囲に存在するテロリストの標的となりやすい施設を把握し、周辺の人口分布,岩盤の構造,地理的条件,気象条件などを加味して、テロが起こった時の危険性(被災区域,被災者数など)を予測しておくこと。
[2] 医療従事者の安全確保
医療従事者の安全確保のためには個人防護装備が必要となる。これは大きく分けて「呼吸防護」と「四肢体幹防護(防護スーツ)」とに分けられる。防禦装備は次の4段階に分類される。
[3] ゾーンニング
汚染区域と非汚染区域を明確に区別すること。医療従事者を「汚染区域で働くグループ」「汚染/非汚染境界線で被災者を非汚染区域に手渡すグループ」「非汚染区域で治療にあたるグループ」の3つのグループに分け、1人が兼任することのないようにする。
[4] 連絡・通信手段
化学災害時に必要な連絡先をリスト化しておく。中毒情報センター,他の医療機関,行政機関との情報交換・連係をはかる。
[5] 除染設備
医療機関の除染設備には、大きく分けて3つのタイプがある。「水道水のシャワーを病院の屋外に接地するタイプ(イスラエルタイプ)」,「空気膨張式のユニットを病院前に展開するタイプ」,「医療機関内に存在する除染室」の3つである。1番目は安価に設置できるが、排液の貯留を考慮しておらず、屋外で水道水を使うため気候が年中温暖な地域でしか使えない。2番目は全国の災害拠点病院に導入されているものであり、除染排液を貯留でき、ユニット内の保温や照明も設置されているため最も理想的である。3番目は欧米に多く存在するが、病院内に汚染を持ち込むことになるため集団除染には向かないと考えられる。
[6]被災者の転院,退院,フォローアップ
災害発生時に備え、あらかじめ医療機関で退院,転院,その後のフォローアップについて計画を立てておく必要がある。また、被災者の移送手段の確保の方策もあらかじめ立てておくべきである。
[7]医療スタッフ,被害者のデブリーフィング
事故が一旦収束した後に行う検討会。多くの被災者に対応した救助者や小さい子供の親や基礎精神疾患を有している人はPTSD(心的外傷後ストレス障害)などのハイリスク群であるといわれており、テロ後の詳細な検討会によって問題提起や公的な報告がなされることでこれらの精神的に好ましからざる反応を抑制できるといわれている。
次に、実際に毒ガステロが起きてからの対応について述べる。一旦毒ガステロが起こると、発災後およそ3時間でその対応の成否が決定すると言っても過言ではなく、時間との勝負であると言われている。毒ガステロではまず解毒法の確立した兵器から鑑別をすすめていく。警察や自衛隊には小型の検知器が配備されてきているので、平時より両者が話し合い、有事の際に除染の必要性の判断や評価などに使用できるようにしておくことも必要である。毒ガスの種類が判明すれば、それぞれの治療プロトコールに沿った治療を開始できる。また、医療機関にて生体試料を確保し、中毒情報センターや自施設等で分析をすすめることも重要である。
診断および治療のプロトコールを左の表に示す。特に神経剤についてはDDABCの順番に対応すべきだと言われている。つまり、Decontamination,Drug,Airway,Breathing,Circulationの順である。(心肺蘇生法のABCとは異なることに注意。)
以上のように、毒ガステロへの対応と準備としては、各医療機関ごとにマニュアルを策定しておき、有事の際にはそれに沿った対応をする必要がある。また、事件後には徹底的なデブリーフィングを行うことも重要である。
多発外傷・多発骨折患者の治療においては、トリアージが必要となる。つまり、最重症患者から治療を始めるのではなく、緊急処置によって救命が可能な患者を最優先にする必要がある。
米国では一次トリアージではSTART式(図1)を採用し、2次トリアージでは定量化したRTS(図2)を使用しているが、野戦状態ではSTART式となる。START式とはSTEP1で呼吸の評価・STEP2で循環の評価・STEP3で中枢神経系の評価を行う。この方法によって、赤・黄・緑・黒(表1)に分類する。
1) 閉鎖性損傷
2) 開放性損傷
3)熱傷
9の法則により受傷面積を算出し、輸液管理を行う。創部は洗浄、消毒の後、顔面は開放療法、四肢体幹は閉鎖療法を行う。水疱はなるべく温存する。気道熱傷では数時間後に気道閉塞などの重篤な呼吸障害が起こりうるため、1〜2時間以内の気管内挿管が必要となる。
4)麻酔
ケタミンの静筋注が使用可能であるが、胃の状態、呼吸の監視、覚醒後のケアを配慮する。実際には局所麻酔下の処置となり、主幹神経ブロックによる伝達麻酔が利用しやすい。
5)多発外傷
100%酸素を投与。頻脈と冷汗を認めれば出血性ショックとみなし細胞外液を1〜2l急速負荷する。緊張性気胸・心タンポナーデ・血胸・腹腔内出血・骨盤骨折・脊髄損傷を念頭におき、優先順位を考える。
まとめ
野戦状態では資器材の有無が生死を分けうる。日常より蘇生用具、外科用具、注射輸液用具、衛生材料、薬剤・消毒薬などの医療セットを準備し、有事に備えることが必要である。
防災のための訓練に関する法律の規定の主たるものである。同法の第48条に
「防災訓練義務」が置かれており、次の3項が規定されている。
2.災害救助法
本法第1条「目的」には「この法律は災害に際して国が地方公共団体、日本赤十字社
その他の団体及び国民の協力の下に、応急的に、必要な救助を行い災害にかかった者
の保護と社会の秩序の保全を図ることを目的とする」とあり、第32条の2の第1項で
「日本赤十字社の協力義務」がうたわれている。
災害対策基本法に基づく訓練は毎年のように各地方自治体などで実施されているが、
その多くは応用性に乏しく、大がかりな割に実際の効果がないように思われる。
医療機関もそういった訓練に参加しているが、医療面ではどこがリーダーシップを
発揮して訓練を実施していくのかという合意ですら、地域によって存在しなかったり
まちまちであることが問題である。医療機関でリーダーシップをとるところが赤十字病院であり、NPOであったりという曖昧さがある上に、どのような訓練を実施するのが効果的
であるかについても、一定のものがあるとは言い難い。また、指導的人材も少ないのが
現実である。
以上のようなことを解決するには、医療の中心的な存在である医師会が
リーダーシップをとっていくことが大切だと考えられる。なぜなら、医師会は医師を
代表する機関であり、医療における実務審議は医師会の代表者が行うからである。
医療現場での医療スタッフは一元化された命令の下にそれぞれの役割を果たすことが
大切であり、それには医療現場指揮者、例えばドクターコマンダーを決めることが必要
である。また、そのような現場指揮者は他の機関との連携や上位者への報告も
行わなければならない。北九州消防局主催の化学災害訓練を例にとると、消防局から医師会に
訓練の協力要請があり、医師会の要請により市内6病院からそれぞれ医師・看護師・事務職員
の参加を得た。そのときのドクターコマンダーは市内公立病院の救命救急センター長で
あった。医療に関する指揮命令は全てこの救命救急センター長が行い、全ての医療情報は
彼に集められた。そして情報を受けると現場に指示をあたえた。
しかし、通信手段の問題や指揮命令の適任者が不在の場合はどうしたらいいかなど、
様々な問題があり、今後その問題の解決が必要である。
実地訓練には、実働訓練と図上演習がある。実働訓練とは何らかの災害を想定し、
実際に動いてみることで指揮命令系統や各自の持ち場での取るべき行動を確認して
対応能力を向上させ、各組織間の円滑な連携を図り、また、災害時に用いる設備や器具に
習熟することなどを目的として行うものである。図上演習とは頻度の高い災害、実際に
起こった災害、万一起これば重大な被害を生じる可能性のある災害、対応が特殊である
災害などを想定して行う訓練である。集団災害は様々であり、それぞれに対応した実働
訓練は容易ではないため、後者の方が望ましいと考えられる。次に図上演習の一例を
あてる。
1)想定
1999年11月16日午前10時、危険物を搭載したトラックが走行中に中型トラックと
衝突し横転した。ここに後続車両が5台連続して衝突し炎上、危険物が道路に飛散した。
2) 訓練
想定に沿って起こりうる各場面設定と問題提示が時間進行にあわせてなされ、
「現場に到着した救急隊員の対応」など質疑応答も行われた。おおまかな方向性が得られた
時点で「住民等の避難対策を立案せよ」などの課題が関係者に突きつけられる形で
訓練が進行した。
この訓練の終了後は専門家の講習や意見交換も行われた。実働訓練よりはるかに
緊張感のあるものであった。
2000年9月11日8時50分頃、日本橋郵便局4階集配室において作業中、ダンボールの国際郵便小包を移動するため持ち上げたところ、液体が漏れ強い刺激臭が充満し、郵便局職員数名が目の痛みを訴えるなど、建物内で多数の傷病者が発生した。
薬品名は3-クロロプロピオン酸クロライドで、中国南京市から都内製薬会社への郵便物であった。
傷病者の発生状況
傷病者:45名(郵便局員44名、清掃員1名)で、傷病程度は中等症2名、軽症43名であった。
傷病名:角結膜化学熱傷、角膜びらん、ガス中毒など。
出動隊の内訳
救急隊15隊、マイクロバス1隊、消防隊24隊(指揮隊、ポンプ車、化学機動中隊)
救急車によって搬送した医師4名、ドクターカーに搭乗してきた医師2名および救急救命士3名
活動内容
先着した指揮隊が異臭原因である小包がビニール袋に入れられた状態であることを確認。その際異臭は認められなかった。消防隊により傷病者の把握が行われ、指令室へ報告し、救急隊10隊を出場させた。その後1階操車場に指揮本部と現場救護所を設置し、傷病者を移動させた。また、傷病者および隊員らの安全確保のため、小包を1階操車場から2階集配室へ移動させた。
現場救護所では現場医師と消防機関の救急救命士が傷病者のトリアージと処置を実施し、救急車およびマイクロバスによって医療機関へと搬送した。
一方、化学機動中隊は、発災現場から離れた場所で薬品を分析し、薬品はアセトニトリル、メチルエチルケトン、3クロムプロパン、3-クロロプロピオン酸クロライドということが判明した。
搬送状況
一度に4名を搬送した救急隊は9隊、3名を搬送した救急隊は1隊、5名をマイクロバスにて搬送し、傷病者を病院収容後に再度現場に戻った救急隊により、1名を搬送した。
収容病院は10病院で、8病院へそれぞれ4名、現場での協力医師の病院へ8名、ドクターカーを出動させた病院へは5名を搬送した。
現場活動時間
救急隊・人員輸送車が現場到着してから傷病者を病院へ搬送するまでに要した時間:平均17.7分(±3分)
人員輸送車を除く場合:15.5分
現場指揮体制
考察
現場では45名という多数の傷病者が発生し、消防機関、病院やドクターカーの医師、救急救命士が出場するなど、複数の機関が活動したが、それぞれの機関が連携して短時間で円滑な活動が行われた。
その要因として
が考えられる。
多数の傷病者が発生している現場では、災害の発生およびその状況をいち早く把握できる立場にある消防機関が活動全般の指揮を行う必要があり、トリアージや救急処置などの救急医療面の指揮は医師が行う必要があると思われる。
また、これら両者の間でともに連携、調整を図ることが重要であり、そのためには両者の情報内容をまとめるパイプ役が必要である。そのパイプ役を担うものには、消防活動と救急医学の両者の知識を併せ持つ救急救命士が適任であると思われた。
赤十字の国際活動は、「国際赤十字・赤新月運動の基本原則」に基づき、赤十字国際委員会(ICRC)および国際赤十字・赤新月社連盟(連盟)の二つの国際機関と、各国赤十字・赤新月社(各国赤十字社)の三者の協力体制のもとに実施されている。いわゆる国際赤十字とはこれらの総称であり、正式には「国際赤十字・赤新月運動」と呼ばれている。
赤十字国際委員会が、武力紛争犠牲者救援を主活動としているのに対し、国際赤十字・赤新月社連盟は「平時における健康の増進、疾病の予防及び苦痛の軽減にあたる」ことを主目的に、災害救護・公衆衛生・社会福祉事業・青少年の育成等の活動を行っている。
1998年、国際赤十字・赤新月社連盟は洪水、飢饉、経済危機、台風、難民キャンプ、スラム街における被災者、約1,950万人を援助するため、3億5,850万スイスフランにのぼる国際人道援助のための援助要請を行った。自然災害では、主に連盟が「主導的機関」となって全体の調整にあたる。
まず、被災国の赤十字社が、災害の状況や救援のニーズを記した初期情報とともにスイスのジュネーブにある連盟事務局に国際救援を要請する。連盟は、必要に応じてニーズ調査を重ねた後、「緊急救援アピール」を発し、ジュネーブから主要な各国赤十字社及び政府に協力を求める。緊急救援アピールには、災害や被災者の状況とともに救援活動計画並びに必要な資金・物資・救援要員のニーズが予算書とともに記されており、救援アピールを受けた各国赤十字社は、ジュネーブの調整の下に資金・物資・救援要員を供することになる。
このような過程を経て、被災者の医療及び衣食住の支援など初期の緊急救援段階を過ぎると、住居の再建や傷病者のリハビリなど必要に応じて「災害復興/再建」の段階へと推移する。
したがって、連盟によるこうした救援活動の概略を見ることにより、世界中で起きた主要な災害の実際の状況を把握することが可能である。
1998年事業の報告を災害の分類別にみると受益者数は自然災害の被災者が560万人と最も多く、その大半が洪水の被災者であった。
救援額としては、社会経済危機に対して要請された救援額が最も多く(コーカサス地域 18,553,000スイスフラン、ボスニア・ヘルツェゴビナ 14,568,000スイスフラン、ユーゴスラビア連邦共和国 11,845,000 スイスフランなど、総額95,252,000スイスフラン)、続いて自然災害(77,192,500 スイスフラン)、地域事業(中央アジアや西アフリカなど、総額64,051,000スイスフラン)に要請された額が多かった。
毒ガステロへの対応と事前に必要な準備
(奥村 徹・他、治療 84: 1407-1412, 2002)
野戦状態における多発外傷・多発骨折時の救命処置
(中永士師明 他、治療 84: 1381-1386, 2002)
野戦状態における医療スタッフへの指示系統維持と事前教育
(井上徹英、治療 84: 1400-1406, 2002)
I.集団災害医療の訓練に関連する法律
II.指揮命令系統の構築
III. 事前訓練
IV.まとめ
日本橋郵便局異臭事故の活動報告
(加藤義則ほか、日本集団災害医学会誌 6: 153, 2001)
事故の概要
活動の概要
8時50分頃 刺激臭発生
9時14分 東京消防庁総合司令室に通報あり。
指揮隊、消防隊、救急隊、化学機動中隊出動。
20分 消防隊が現場到着。災害実態の把握・警戒区域設定により、同区域内の進入統制。
26分 傷病者数を確認し、指令室は救急隊10隊を出動させた。
32分 薬品の入った小包をビニール袋に入れ、2階集配場へ移動。
39-55分 各救急隊が現場到着し、救急救命士のトリアージ、処置のもと搬送を開始。
57分 救急隊が搬送してきた医師4名到着。
10時10分 医師2名、救急救命士3名が搭乗したドクターカー到着。
消防機関と医師が連携してトリアージ、処置、傷病者搬送。
26分 マイクロバスにより傷病者5名、すべての傷病者の搬送を終了。
活動全般の指揮 :消防機関
↓ ↑
指揮所と医師をつなぐパイプ役 :ドクターカーに乗務する救急救命士
↓ ↑
現場救護所でのトリアージ、処置:医師、消防機関の救急救命士
まとめ
海外派遣時の隊員の健康管理
−コロンビア地震派遣の経験より
(吉永和正ほか、9巻4号(通巻50号)、2001)【はじめに】
【コロンビア地震の概要】
【コロンビア派遣国際緊急援助隊救助チーム(JDR)の特徴】
【救助チーム医療班の活動】
【救助チーム医療班の役割】
【派遣に関する問題点】
【診療に関する問題点】
【おわりに】
第10章 国際赤十字・赤新月社連盟の1998年事業の概要
世界災害報告 1999年版