野戦状態における心肺停止時にできること

(越智元郎、治療 84: 1387-1394, 2002)


I.はじめに

 20世紀は戦争の世紀と言われたが、21世紀も2000年9月のニューヨーク市における貿易センタービル の事件で幕を開けた。また2002年1月の日本近海での海上保安庁と国籍不明船との銃撃戦なども記憶に 新しい。このようにわれわれ自身が人為災害の典型である争、あるいは交戦状態の中に身をおいたり、 テロリズムの結果としての混乱の中で医療活動をすることも皆無とは言えない。以上のことを念頭にお き、本稿では限界状態下での救命処置、とくに野戦状態での心肺停止患者への対応について述べたい。


II.軍隊における心肺蘇生法の位置づけ

 一般に軍隊として優先される活動内容は、新たな人的被害(市民、隊員の生命など)を最小限にとど めることであり、具体的には市民(非戦闘員)の避難誘導および交戦によって敵の攻撃を抑止すること を平行して実施する。一方で、すでに発生している傷病者の救出・救助・救護活動を可能な範囲で行う ことになる。この場合、救命に必要なすべての活動を実施できないことがあるのは、災害救助の場合と 同様である。またしばしば多数の傷病者の手当や搬送を行う必要があり、大災害時同様のトリア−ジの 方法論が必須となる。この結果、しばしば心肺蘇生法の適応は縮小され、実施時間も短縮される。

 ここで、赤十字の標章を付けた衛生隊員などはジュネーブ協定などにより攻撃を免れるかも知れない が、同僚や市民に対して救護活動を行っている一般隊員にはそのような保護はない。米国 Department of the Army作成の一般隊員向けのファーストエイドマニュアル1)によると、結局は米軍では心肺蘇生 法(以下、CPR)は必須のものとしては教えず、希望者にはアメリカ心臓協会(American Heart Association、AHA)の一次救命処置(BLS)コースを受講させるにとどめている。これは兵士における CPRの必要性はやや低く、心肺停止を引き起こす前に直面する、出血、ショックなどに対する処置法 (自己ならびに他者に対するファーストエイド)の教育こそが重要であるとの考えからである。

 しかし兵士(自衛隊員を含む)への教育という観点に立てば、彼らを育成する過程で心肺蘇生法を教 えることは、(軍人に対しては一件矛盾して見えるが)、人命尊重の精神を育成し 市民や同僚への 愛、ひいては軍隊の存在目的について理解を深めることにつながると考えられる。軍とは結局は市民の ための存在であり、戦争によってより多くの人命が失われるのを防止・抑止することが使命であるから だ。そして彼らが隊を退いた後にもCPRの技術や知識は家族や隣人を守り、また彼らがよき市民として 生きて行く上で大きな力になると思われる。


III.野戦状態における心肺蘇生法 (戦闘員による)

 戦闘下のCPRと前線からやや離れた救護所でのそれでは性質が異なる。前者では一般兵士や市民が応 急手当の主体となり、後者では衛生兵(救急救命士や看護師の資格を持つ者)や医師によって処置・治 療が行われ、また救助者自身の安全性にも大きな差があるからである。

a) 戦場における心肺蘇生法

 軍隊(自衛隊)においても国際蘇生法連絡協議会(ILCOR)、AHAなどの普遍性の高いCPRガイドライ ン2)応手順の骨格となる。CPRの流れにおいては、実施すべき評価と処置が交互に現れるが、その流れ の中で幾つかの戦場独特の注意点もおさえておく必要がある。なお、戦闘下に8歳未満(または概ね 25kg未満)の小児(当然ながら市民=非戦闘員である)への対応が必要となる場合があるが、これにつ いてはAHAなどのガイドライン2)を参照されたい。

1.救助者及び傷病者の安全の確保

 まず救助者の安全を確保できる状況かどうかを判断する。また頚髄損傷の恐れがあるか、対処を要す る出血があるかどうかを短時間で評価する。救助者の安全確保はすべての応急手当の前提であり、また 頚髄損傷の恐れは傷病者を動かしてよいかどうかの判断の目安となる。著しい出血に対しては救命処置 と並行して止血処置を実施する。

 また、傷病者が生物化学兵器に暴露されていることはあり得ることであり、傷病者にマスクを付けさ せ、衣服や身体の除染をはかったり、救助者自身マスクや手袋を着用する(図1)。

2.意識・反応の確認

 やさしく肩を揺すり、「わかりますか?」と声をかけ、それに対する傷病者の反応をみる。もし反応 がなければ「3.呼吸確認」を行う。このとき、他の隊員がいるなら、衛生要員を呼びに行かせる。 (1)もし傷病者に意識があれば、具合の悪いところがあるかどうか、またその部位を尋ねる(痛みや違 和感、知覚麻痺、運動麻痺など)。判明した軟部損傷、骨折、脊髄損傷、出血などへの対応をする。脊 髄損傷に対しては、生命を脅かす危険が迫った場合を除いては、むやみに傷病者を移動させない。 (2)傷病者に意識があるが、窒息のサインがあり会話ができない場合は、上腹部圧迫法(Heimlich法、 図2)を実施する。その後、意識を失ってしまった場合は応援を求めるとともに胸骨圧迫を繰り返して 異物除去をはかる。

3.呼吸確認

 できれば傷病者の元の体位を変えずに、傷病者の額に自分の手を置いて、頭部を静かに後ろに反らせ る。その際、救助者の親指と人差し指は、人工呼吸が必要なときに傷病者の鼻をつまめるように空けて おく。同時に反対の手の指先を傷病者のあご先の下に当て、あご先を持ち上げることによって気道を確 保する(頭部後屈あご先挙上法)。うまくいかない場合は、傷病者を仰向けにした上で、上記のように 気道を確保する。頸部損傷が疑われるときには、頭部を後屈させてはならない(下顎挙上法を行う)。

 気道を確保したまま、傷病者の呼吸の徴候を見て(胸郭の上下)、聴いて(傷病者の口元に耳を近つ け呼吸を)、感じる(傷病者の暖かい呼気を頬で)。最長で10秒間よく観察しても呼吸が見られなけれ ば、呼吸停止と判断する(図3)。

(1)自発呼吸が認められる場合は「5.出血のチェック」をする。
(2)自発呼吸がない場合は、以下のように人工呼吸を開始する。

 もし傷病者が仰臥位になっていなければ、仰臥位にする。外れた入れ歯など、口から見える異物を取 り除く。

 頭部後屈あご先挙上で気道を確認する。 傷病者の鼻を額に置いた手の親指と人指し指でやさしく挟 む。 傷病者の口を軽く開けるが、あご先は持ち上げたままに保つ。 息を吸って、傷病者の口を自分の 口で覆い、空気が漏れないようにする。 傷病者の胸の上がりを見ながら、ゆっくりと2秒かけて、息を 吹き込む(体重あたり 10mlが目安)。頭部後屈とあご先挙上を継続しながら、自分の口を傷病者の口 から離す。息が吐き出されるとともに傷病者の胸が下がることを確認する。また息を吸い込んで、もう 一度同じように呼気吹き込みを行い、合わせて2回の効果的な吹き込みを行う。

 生物化学兵器などの使用が疑われる状況では、呼気吹き込み式人工呼吸は実施せず、必要により心臓 マッサ−ジのみを行う。

4.循環のサインの確認

 ここでは嚥下動作や呼吸動作のいろいろな動きを同時に見る。評価に費やす時間は呼吸確認と同様、 10秒までとする。

 実際には、人工呼吸に対する咳反射があったかどうか、呼吸の確認(見て、聴いて、感じる)をした 後、救助者は自分の身体をおこし足先から顔面までの体動の有無を観察する。

 循環のサインがあれば、心臓マッサージの必要性はない。その時十分な自発呼吸がなければ、気道確 保と人工呼吸をしながら衛生要員の到着を待つ。その間、およそ1分ごとに循環のサインを再評価す る。

 十分な自発呼吸があって意識がもどらなけるば、回復体位として衛生要員を待つ(状況によっては頚 髄保護に気をつけながら搬送する(図4)。

 循環のサインがなければ、「5.胸骨圧迫心臓マッサージ」を実施する。

5.胸骨圧迫心臓マッサージ

 圧迫部位は胸骨の下半分で、胸骨上で左右の乳頭を結ぶ線と交わる部が目安であるが、剣状突起基部 の1横指上に接して手掌基部を置くかたちでもよい(図5)。具体的には、傷病者の足側にある救助者 の中指で肋骨下部をなぞり剣状突起の基部まで進め、その手の示指に接するように、反対側の手掌を置 く。さらに片方の手をその上に重ねる。

 両手の指は伸ばしても、組み合わせてもよいが、指先を浮かせ、傷病者の肋骨に圧がかからないよう にする。腹部上部や、剣状突起にも圧力をかけないこと。

 救助者は上肢を傷病者の胸に垂直に置き、両腕を真っ直ぐに伸ばしたまま、胸骨が3.5〜5cm沈むよう に押し下げる。続いて胸骨圧迫を完全に解除するが、手は胸骨からは離さない。この動作を毎分 100分 のペ−スで繰り返す。胸骨圧迫と圧迫解除には同じ時間をかける。

6.人工呼吸と胸骨圧迫の組み合わせ

 15回胸骨圧迫をしたら、頭部を後屈しあご先を挙上をして、2回の人工呼吸を行う。

 救助者の手をすぐに、胸骨上の正しい位置に戻し、15回の心マッサ−ジを行う。そして胸骨圧迫と人工 呼吸の比を 15:2として、両方の処置を繰り返す。

7.循環のサインの再評価

 最初は蘇生処置開始およそ1分後(人工呼吸2回、胸骨圧迫15の約4セット後)に循環のサインの再評 価を行う。その後は2〜3分後に再評価をする。

8.蘇生処置の終了(または中断)

 蘇生処置を終了(または中断)するのは、傷病者に生命反応が現れた場合、衛生要員と処置を交代す る場合、または救助者に危険が迫るか彼が疲労困憊してしまった場合である。戦闘下においては短時間 の心肺蘇生法しか行い得ないことがあり、その場合は遺体として収容するか、遺体自体を残して移動さ せ ざるを得ない場合もある。

b) 救護所などにおける心肺蘇生法(衛生要員や医師による)

 本項では看護師、救急救命士などの資格を持つ衛生要員または医師による心肺蘇生法について述べ る。ジュネーブ条約などで保護される救護所において実施できる場合もあるが、戦場での対応が必要と なることもある。主に一般隊員による対応と異なる部分について述べる。

1.多数傷病者への対応が必要となる場合

 多数傷病者に対して治療や搬送の順番をきめるために、いわゆるトリアージの概念が必要となる。戦 場においてはじめから不十分な医療の人手、機器・薬品などが不足し、対応困難となるからである。そ の状況で最大多数の傷病者の救命にしぼった対応が必要となる。

 多数の負傷者を対象とする場合の一次トリアージは、短時間に実施できる、簡単な選別基準が望まし い。わが国で近年、災害時のトリアージ方法として推奨されているのは「START方式(Simple Triage And Rapid Treatment)」である。これは以下に述べるように、医師でなくとも実行できる非常に簡単 な方法である。米国の救急隊でもこの方法が採用されている。

 まずステップ 1(呼吸の評価) では、負傷者のそばに立ち声をかけ身体を揺する。反応がなけれ ば、下顎挙上などで気道を開放して、自発呼吸の有無を調べる。気道確保を2回繰り返し呼吸を認めな ければ、死亡群( トリアージ表示色=黒)とする。浅表呼吸で呼吸数が毎分30回を超えていれば、緊急治療群(赤)とす る。30回/分未満ならステップ2へ。

 ステップ 2(循環の評価)では、爪床を5秒間圧迫し解除後に爪床の色がもどるまでの時間を観察す る(refilling time)。2秒以上を要するようなら緊急治療群(赤)。2秒未満ならステップ3へ。  ステップ 3(意識レベルの評価)では開眼、離握手などの簡単な命令に従うかどうかをみる。命令 に応じなければ、緊急治療群(赤)とする。

 ここまでの評価で緊急治療群とならなかった群で、歩けない負傷者を準緊急治療群(黄)とする。 歩ける負傷者(緑)の群で、歩行不能となったものや急変者がいれば再トリアージを行う。

2.一次救命処置

1)安全確認、体位管理と頚髄保護、止血

 傷病者が生物化学兵器に暴露されたと考えられる場合は、傷病者や救助者ともにマスクを着用し、衣 類や身体の除染をはかる。サリンなどの神経毒への暴露が疑われる場合(状況、患者の症状―縮瞳な ど)、傷病者と救助者の両者に解毒薬を投与する(図1)。

 鎖骨より高位の損傷がある場合は、頚髄損傷の疑いが濃厚と考え、複数の救助者でいわゆる丸太転が し(ログロール)の要領で仰臥位とする。可能であれば頚椎カラーや搬送に備えバックボードを併用す る。

 体表からの出血に対し、圧迫止血、止血帯、止血鉗子などによる止血をはかる。

2)気道確保(窒息への対処を含む)と人工呼吸

 頭部後屈あご先挙上法(頚髄損傷を疑う場合は下顎挙上法)で気道を確保し、自発呼吸を確認する。 自発呼吸がなければバックマスク法(Back-Valve-Mask、BVM法)で人工呼吸を2回行う。原則としてリ ザーバー付きのバックを用い、高流量(10L/分)の酸素を付加する。40%以上の酸素を付加できるとき は 6-7 ml/kg(400-600ml)を1-2秒で送気する。酸素付加ができない場合のバックマスク換気は、10 ml/Kg(700-1000ml)を2秒で送気する。

 用手気道確保をしても換気がうまくゆかない時は、気道確保をやりなおし、場合によっては喉頭鏡で 上気道を確認する。気道異物などによる窒息が疑われる場合はハイムリック法などを実施する。衛生要 員が実施する場合、傷病者が意識を失っていてもハイムリック法や側胸下部圧迫法を実施してもよい。

3)循環の評価と胸骨圧迫心臓マッサ−ジ

 頭部後屈あご先挙上法を実施した場合、あご先に当てた指2本を離し甲状軟骨を触れ、そこから外側 へ胸鎖乳突筋の内側まで指を移動させ、地面に向かって垂直に圧迫し、頸動脈の拍動を調べる。10秒以 内で拍動の有無を判定する。脈拍を触知しなければ胸骨圧迫心臓マッサ−ジを開始する。患者の背部に 背板などを敷く。

4)心電図波形の確認と電気的除細動、薬物療法(二次救命処置)

 心電図モニタ−または自動式除細動器(Automated External Defibrillator、AED)の電極を装着 し、心電図波形を救助者が確認、またはAEDによる自動解析を行う。心電図が心室細動または無脈性心 室頻拍(VF/VT)であれば、200Jで除細動を実施する。除細動後もVF/VTが続く場合は連続して3回ま で、200〜300 J、360 Jで実施する。

 VF/VTに対する除細動実施後、または初期心電図がVF/VTでなければ、器具を用いた気道確保法(気管 挿管、laryngeal mask airway、食道閉鎖式エアウエイ)を状況にあわせて選択し実施する。また肘静 脈などできるだけ流量の多い部位で静脈路確保をする。エピネフリン1mgを静注し、自己心拍が再開す るか心室細動が得られるようになるまで、CPRを続けながら3 〜5分ごとに静脈投与を繰り返す。アトロ ピン 1 mgを 3〜5分毎に、合計 0.04 mg/kgまで投与する。静脈路を確保できない場合は薬剤の気管内 投与を行うか、骨髄輸液(脛骨粗面より注射針、血管流置針などで刺入)を実施する。

5)心停止の原因の診断と改善

 non-VF/VTと大別される波形のうち、心静止(aystole)以外のものを無脈性電気活動(Pulseless Electrical Activity、PEA)と総称する。PEAでは、改善可能な心停止の原因が存在する場合があり、 これらの除外診断をし、あてはまる原因があれば治療をする(図6)。これによって蘇生に成功する場 合がある。その原因は戦場においては、緊張性気胸、心タンポナ−デ、貧血・脱水症など外傷に伴うも のが多く、また低酸素血症、アシド−シス、高または低カリウム血症、低体温、薬物中毒などもある。 一方、心筋梗塞、肺塞栓など、内因性疾患による心停止もあり得る。緊張性気胸をはじめとする上記の 病態への対応は急を要するが、これらへの対策は本号の他の章で述べられる。

  6)心停止継続時の蘇生中止の判断と死亡確認

 戦場においては、多数傷病者への対応時など、呼吸停止のみで蘇生不能と判定せざるを得ないことも 多い。蘇生処置を開始した場合でも心電図が心静止となり薬物投与にも反応しない場合、蘇生中止を考 慮せざるを得ない。

 蘇生を中止する際には、実施した蘇生の質が適切かどうか再確認する。また著しい低体温など、非定 型的な臨床兆候はないか確認する。蘇生中止のプロトコールがある場合は、これに合致するか調べる。 これらの判断は短時間のうちでなされる必要がある。

7)蘇生後の全身管理と後方搬送

 蘇生に成功した場合の治療の目標としては、1)適切な呼吸・循環の補助により、組織血流量、特に脳 血流量を確保することに努めること、2)後方の専門的治療部門へ搬送・収容すること、3)心停止の原因 検索に努めること、4)不整脈対策など、心停止の再発防止策を講じることが上げられる。患者移送に は、可能であればモニター監視下に経験のある隊員が随行し、蘇生用器材を携行する。


まとめ

 野戦状態における心肺停止時の対応について述べた。戦場を知らずまた戦場を模した訓練の経験もな い筆者が記載したものであるので、批判的に参照して下さることを期待する。

 野戦状態では心肺蘇生法よりも、止血法や骨折の管理などの知識がより重視されるかも知れない。た だ、国や市民を守るために戦う兵士にとって、同僚や市民が傷ついたりその命を失いつつあるのを見る 時、可能であれば心肺蘇生法を実施したいと思うだろう。本稿ではその時に実施すべき方法を解説した ものであり、特に世界で標準的に実施される心肺蘇生法ガイドラインの変更点を織り込んで説明した。

 一方、衛生要員や医師にとって、戦場での医療は結局は平常時の蘇生治療や外傷管理の延長である。 様々な救急医療の場で自らの救急対応能力を磨くとともに、AHAをはじめとする関連団体によるBLS(一 次救命処置)、ACLS(二次救命処置)、BTS(基礎的外傷管 理)、ATLS(高度外傷管理)などの教育コースに積極的に参加されることを推奨したい。


参考文献

1) U.S. Navy Bureau of Medicine and Surgery. Virtual Naval Hospital
http://www.vnh.org/VNHHome.html

2)The American Heart Association in collaboration with the International Liaison


図の説明

図1 毒物などへの防御と解毒薬の投与

 生物化学兵器へのばく露が推測される場合は救助者、傷病者ともに防御服を着用する。このとき、呼 吸停止に対しては必ずバックマスク法で人工呼吸をする。神経ガスの場合は解毒薬を投与する(図では 大腿外側に筋注)。

図2 Heimlich法

 意識がある傷病者では、立位で行う。意識がなくなり倒れてしまったら、前胸部圧迫法を行う(衛生 要員はHeimlich法などを継続してもよい)。

図3 呼吸確認

 気道確保を維持した状態で、胸郭の動きを視認し、呼吸音を聴取し、呼気を感じることによる。

図4 患者搬送

 傷病者の脊髄に伸展、屈曲、ねじれなどがおこらないように注意する。

図5 胸骨圧迫心臓マッサ−ジ

 左)剣状突起基部から1横指頭側を圧迫部位の目安とする。単純に左右乳頭を結ぶ線の中点で胸骨上 を圧迫してもよい。
 右)両肘を伸ばし垂直に圧迫する。

図6 無脈性電気活動(PEA)の対応手順


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