災害援助において、災害弱者という概念がある。CWAPと呼ばれるC(Children:子供)、W(Women:女性)、A(Aged People:老人)、P(Poor or Patient:貧困者/病人や障害者)が、災害時に被害を被りやすいといわれている。Cashは「発展途上国は自然災害、人為災害の両者に対して特に抵抗力が弱く、災害が起こると直接の被害にも長期的な後遺症にも、対応能力が無い」といっている。つまり、災害弱者、特に貧困者が多く、災害に対する予備能力の低い途上国は、やはり災害による被害を強く受けるといえる。
また、全世界の人口の約75%は都市に集中している。人口の都市集中による都市や工場の廃棄物や二酸化炭素、フロンガスなどの上昇や、環境ホルモン氾濫による環境の悪化は、21世紀にはより多くの世界の難問題を惹起するのではないかという危険を含んで いるといえる。
さらに、政治体制、宗教、民族の違いなどによる問題も、途上国の災害被害拡大の大きな要因であることは、2001年9月11日アメリカで発生した同時多発テロなどのテロリズムと、その後のアフガンでの戦争をみても明らかである。
自然災害についても、21世紀は地球の活動期に入ったといわれている。阪神・淡路大震災は1995年1月の事であったが、その後、トルコ、台湾、インド地震と巨大地震が続いている。世界で起こっている洪水も、バングラデイッシュ、ベトナム、アフリカ東海岸と次第に被害は拡大してきている。
1) 国連機関
紛争地域や災害など全ての人道的な危機に対する国連機構の対応の調整や、災害の防止や備えを改善するための活動を促進し、NGO・政府間人道期間とも協力している。また、インターネットを通して紛争や災害に関する情報を流している。
http://www.reliefweb.int/w/rwb.nsf
難民の認定、保護、救済を目的とし、世界の難民に対して保護を与え、関係国政府や民間団体を援助する。難民の帰国や新たな国への再定住、関係国政府との協力の下で衣食住の提供、輸送、衛生などの物質的援助も行っている。
全ての人々が可能なかぎりの最高の健康水準に到達することを目的としている。国際的な保険活動を調整する義務があり、事務局長下に人道・緊急援助活動部隊がある。災害時には保健医療援助のチェックポイントとしての役割を果たす。
自然災害や、紛争等の人的災害により生じる食糧不足に対して、緊急食糧援助を実施している。
広域的な不作や災害発生時における食糧不足を回避するため、世界中に適時適切な量の基本的食糧を確保できる体制を整えておく事を目的としている。
防災における化学的技術的側面で主に活動する。被災した学校、文化財などの復興と再建を助けることもある。
United Nations (International) Children's (Emergency) Fund(UNICEF):国連児童基金
自然災害や戦争などの人為災害時に、児童に対する食糧、衣料、医薬品などの緊急援助を行っている。
2) 政府機関
国によりそれぞれ形態が異なるが、資金協力、物資供与、人的貢献を中心に援助を行 っている。日本では、資金供与は外務省が直接行い、物資供与、人的貢献は国際協力事業団(JICA)が行っている。
3) Non-Governmental Organization(NGO)
NGOとは、営利を目的としない国際的な協力活動をする民間組織のことをいう。以下 に紹介するNGOの多くは平常時には開発援助を行い、そして災害や紛争時には緊急援助や復興援助を行う。
アメリカで設立された国際奉仕機関。
アメリカで設立され、日本も第2次世界大戦後CAREの援助を受けている。
イギリスで創設され、災害や紛争で教育の機会が失われる子供の援助や、子供を取り巻く環境の整備を行う。
緊急時の医療目的のため、1971年フランスで設立された。
イギリスで設立され、農業開発や水資源の提供をする。
イタリアで設立され、135国にあるカリタスの連合体で各国間の調整を行う。
1863年イタリアで設立された。紛争地域の救助活動として負傷者や難民、避難民に対して医療・衣食住・水などを援助する。現場で活動する救助要員は各国赤十字社から派遣される。
自然災害による被災者への医療、衣食住などの提供をする。IRFCから出された要請に対して各国の赤十字社は資金援助、物資の援助、救助要員の派遣などの援助を行う。
危険化学物質曝露に対する救命処置は初期サーベイと二次サーベイとに分かれる。初期サーベイの段階で、有機リン系物質、硫化水素、メトヘモグロビンを形成する物質やシアン化物など、可及的速やかに治療しなければならない毒物に対しては、それぞれの特異的拮抗薬を使用するプロトコールが存在するので知っておく必要がある。以下の治療法については除染後の治療を中心に述べる。
〔症状〕
* 中毒症状が出現するまでに10分〜数時間
〔診断〕 血清コリンエステラーゼ活性の著しい低下
〔治療〕
〔症状〕 散瞳、チアノーゼ、臭気(腐卵臭)、不整脈、頭痛、眩暈、痙攣、呼吸不全、肺水腫(曝露後1〜2日で出現することもある)
〔診断〕 散瞳、臭気、チアノーゼ等の症状による
〔治療〕
〔症状〕
* 経口摂取では数分以内に、吸入では数秒で中毒症状が出現
〔診断〕 アーモンド臭と症状、重症例では不整脈、心房細動、虚血、代謝性アシドーシス
〔治療〕
〔症状〕 チアノーゼ、頭痛、呼吸困難
〔診断〕 チョコレート色の血液
〔治療〕
町が掌握している独居高齢者や心身障害者については保健師が優先的に対応。在宅介護支援センター
では利用者の個人的背景もまとめていたので、安否確認行動が円滑に進み、有用であった。
(2)情報網の整備・連絡システムの整備
テレビの災害情報では現揚が必要としている避難先、時刻、避難ルート等には言及されず、実際には
消防車や役場の放送に頼った。地域のネットワークも避難方向の指示まで的確に伝達できるように
なっていない。実際の噴火地点はハザードマップ想定外であり、マップ策定は事前に各種条件も加味
した災害対策の検討が望まれる。さらに、避難所の指定や物資の搬入ルートをマニュアル化するだけ
でなく、災害弱者や障害者個々の救援、その後の支援をどうするかという点も組み入れるべきであ
る。
(3) 避難所の環境改善、整備の充実
避難所の環境改善(段差の問題やトイレの数)は災害の度に指摘されているが、その声は生かされて
いない。「みんな我慢をしている」という状況を身障者に押し付けることは、ノーマライゼーション
の立場から逆行しているといえる。快適な生活空間の環境条件として、1)精神的に安心できる環境
(空間と人との関係)とプライバシー保護、2)十分な睡眠がとれる、3)おいしい食事、4)入浴、
5)必要な医療、6)気分転換が図れることをあげた。また、災害弱者(子供、女性、高齢者、病弱
者)に対し、「気配り」の優先政策ではなく、支援のシステムを事前にマニュアル化すべきとしてい
る。避難所は「避難する場所」のみならず、「短期間ではあれ、生活の場」なので、「生活維持のた
めの条件」や「大量の人たちの生活管理運営するシステム」の構築が必要である。
(4)災害時における医療支援体制の調整とその充実
a)通院及び定期薬の確保に関して : 救援医療班が避難所における健康管理、さらに慢性期疾患の
コントロールを行い、近隣の医療機関の復旧まで臨時に服薬継続を行った。保健師の仲介で薬を入手
できた住民もいた。問題は被災医療機関の入院患者の扱いである。その後の二次避難を考慮すると、
一次避難はグループ単位で数の受け入れが必要である。
b)避難中の医療支援について : 害救助法の規定する救護班にはかかりつけ医師の役割は含まれて
いない。やはり、直接出向いて住民とコミュニケーションをとることが、最大の心のケアになり、被
災者の安心感を得られる。また、災害による心身の体調変化は個別性が大きく、経時的なフォローが
必要である。
(5)身体障害者が生活する地域の連携及び支援体制の充実・強化
一般住民の集団避難を優先して、在宅の障害者への個々の支援が遅滞してはならない。つまり、災害
時孤立の予防策が必要で、発災前から被災障害者の声を対策に反映させていく必要がある。
(6)透析患者の場合
避難所で生活しながら透析治療を受ける場合、代替透析場所の他、通院可能な避難所の確保、食事の
問題があげられた。被災病院から透析情報を得られない状態を想定し、情報を自已管理しておくこと
が有用であろう。患者リストの重要性についても再確認できた。
1996年、日本では厚生省によって標準トリアージタグが選定された。現在は各地でトリアージに関す
る啓蒙や訓練が行われている。しかし、実際にトリアージを行うにはトリアージタグを使用した訓練
を行うだけでなく、様々な環境の整備が必要である。また、行われたトリアージに対する評価方法も
確立されていない。日本集団災害医学会京福電鉄列車事故調査委員会では、2000年に発生した京福電
鉄において実施されたトリアージを検証し、その正当性に関して検討したので報告する。
事故発生から約8分後、救急隊2隊6名(救急救命士1名)と救助隊1隊が事故現場に到着した。直ちに救急
隊は負傷者の概要(重傷者3名と20数名の軽症者)を把握し、救急救命士が重傷者3名の観察を行った。
観察所見は以下の通りである。
上り車両:
下り車両:
いずれの重傷者も列車の乗務員であり、最前線の運転席におり、自力で脱出が不可能であった。救急
救命士が救助前に視診、問診により状態を把握し、救助の優先順位を決定した。その後、救助隊が運
転席のガラスを割って重症2と重症3を2分後、重症1を7分後に救出した。重症2は救出中に意識レベル
がJCS200に低下し、痙攣が発生したため、搬送の最優先として用手的に気道確保して、現場到着から
17分後に搬送した。続いてその3分後に重症3を搬送し、更に1分後に重症1を搬送した。その間、他の
救急隊員が乗客32名のうち24名の負傷を確認した。これらの乗客はいずれも軽症(歩行可能)であり、
全員が自力で車両より脱出し、搬送された。重傷者3名の搬送先は、時間的に一番早く到着可能な福井
医科大学病院であった。
負傷者の転帰は死亡1名(重症1)、入院5名(重症2、3他)、外来処置にて帰宅したもの21名であった。
トリアージを行った救急隊、救急救命士は事故現場および地域の医療状況をよく理解しており、搬送
先医療機関の選定は的確であった。また、現場における負傷者全体の状態を短時間で正確に把握し、
重症の負傷者の観察も的確に行われた。外傷によるCPA(Cardio-Pulmonary Arrest)患者(重症1)に対す
る予後が極めて不良であるとの判断は、頭部顔面の陥没、初診時CPA、さらに救助を要するなどの所見
から妥当である。最優先で搬送された重症2は頭蓋骨骨折および脳挫傷、ついで優先的に搬送された重
症3はび慢性軸索損傷にて1ヶ月以上の入院となったが、救助から搬送までの経過中に痙攣を発症して
意識レベルが低下したことに対する気道確保などの処置も適切であり、転帰を悪化させることなく対
応が行われた。また、委員会が事後の情報より判定したトリアージカラーとも概ね一致していた。
検証の要点は、負傷者の状態が正確に把握されているか、トリアージによって負傷者の転帰を悪化さ
せていないか、とした。その結果、委員会では、きわめて適切なトリアージが施行されたと考えられ
た。
検証に際する最大の問題点は、実際の現場で管理に影響を与える無数の因子を評価に反映するのが困
難なことである。つまり、詳細な調査を行っても災害現場の状況を正確にイメージできるとは限らな
い。
当該地区消防本部のみならず、全国の救急隊は今回の重症1のような場合でも、日常は赤カテゴリーで
搬送している。わが国の法律では救急隊が死亡の診断をすることが出来ない。4カテゴリー式トリアー
ジの黒カテゴリーは必ずしも死亡を診断しているというわけではなく、その状況では救命できないと
いう判断である。日常の重症1名搬送時との落差に批判が行われたり、トリアージの決断をしたものが
その葛藤からPTSDに陥ることがある。わが国の日常の医療における恵まれた部分を十分考えること、
災害管理やトリアージの訓練をつむことはこれらの問題を克服する一助となると考える。
災害時の対応に対して、軽率な批判が行われるべきではない。しかし、対応に関する評価方法を確立
し、事後に検証を行うことは必須である。また、共通確認の上に議論できる啓蒙と訓練が重要であ
り、救急隊がトリアージタグを使用できる法律的擁護を含めた整備が必要である。
要旨:2000年7月に沖縄県でサミット(主要国首脳会議)が開催された。わが国でも医療過疎地である県で、しかも首都より遠く離れた離島県であったため、医療の面でも大いに危機感をもって対処された。その結果、厚生省、日本救急医学会、沖縄県の協力体制がとられ、わが国始まって以来の災害医療対策がとられた。今回、行政、医療、警備、消防による情報の一極集中共有化が実行され非常に有意義であったことが証明された。
東京で開催されたサミット時の医療体制
沖縄開催の問題点
サミット開催が決定してからの厚生省の動き
拠点支援病院の方策(中部病院の場合)
(1)首脳に対して最良の医療を提供する
(2)従来から行われている県民への救急医療を損なわない
(3)集団災害を想定した危機管理体制をとる
まとめ
サミット自体は国の事業として行われ、沖縄県は開催地を提供する。公的医療機関はサミット関係の医療と県民の救急医療の両方を担ったが、現実は国と県の2指揮命令系統に入り混乱がみられた。
各医療機関とも災害対策マニュアルを作成したが、化学兵器テロのように大規模になったとき、市町村や県側との調整をどのように行い、警察消防との連携はどうするかとの、大局的な考えはどのマニュアルにも記載されていなかった。個々の現場に任せきりにするのではなく、各施設で策定したマニュアルを持ち寄り、机上シミュレーションを行う程度の対応は行うべきではなかったと考える。
現地の医療機関にとっては、遅々として進まなかった集団災害に対する対策が一気に進み、そして、集団災害に対する意識を高め、集団災害対応マニュアルをまとめる好機を得た。また、それに付随して救命救急用機器整備もでき、サミット開催は有意義であったといえる。
1995年1月17日に起きた阪神・淡路大震災(兵庫県南部地震)は、人口150万都市・神戸市を中心に兵庫県南部の市町村を直撃し、死者6、400名、負傷者3万人以上、倒壊家屋数70万戸以上の未曾有の被害をもたらしたことは、まだ記憶に新しい。
この地球上において、毎年100万回以上の地震が発生している。最近の20年間に、この地球上で数百万人以上が地震災害により亡くなり、その約80%以上は9カ国(中国、日本、イタリア、イラン、ペルー、トルコ、旧ソビエト連邦、チリ、パキスタン)で占められている。特に大地震が発生する地域は、環太平洋地震帯と欧亜地震帯との二つに集中し、この他に東欧地震帯といわれるものがある。
阪神・淡路大震災における死因の特徴は、老朽化した建物倒壊や転倒した家具などによる頭部、胸腹部の打撲、圧挫による内臓損傷や外傷性窒息などが大半を占めた。神戸市内64病院に入院した外傷患者の特徴として、注目されたのは372名という多数のクラッシュ症候群の発生が見られ、そのうち50名が死亡したことである。地震によるクラッシュ症候群の発生は、建物崩壊などにより重量物により筋肉の圧挫損傷など受け、圧挫物を取り除かれ救出された後圧挫部位の循環再開のより筋肉挫滅部位からミオグロビンなどの腎毒性物質や細胞内カリウムの血中内への流出、循環血液量の減少などにより急性腎不全が急速に進行し、早期に輸液療法などの治療が開始されないと、高カリウム血症や多臓器不全により死亡する病態である。
しかし、救出時には知覚異常や不全連動麻痺が存在しているが、比較的バイタルサインも安定し、外表所見が乏しく、救出された傷病者の安堵感や医療関係者の本症候群の認識不足などにより、現場や医療機関での早期診断は難しかった。したがって、地震災害ではとくに救助者や医療従事者は本症候群の存在を認識しておくことは重要であり、崩壊した建物内から傷病者の救出に際しては、静脈路確保、輸液を開始し、圧挫部位の状況に応じてターニケットを巻いたり、下肢の切断などの救命処置が必要となる。
阪神・淡路大震災での緊急医療対応での問題点は大災害時の普遍的な課題である。大規模地震災害での緊急医療対応は、まず被災状況の把握とその情報収集・伝達を行い、迅速な災害対策本部の設置であり、災害現場への医療救護班の派遣、
保健行政機関は、地震が発生する前に種々の情報伝達方法としてのシナリオを立ち上げておくべきである。地震の直撃を受けた地域では電話サービスは機能しないのが常である。しかし、警察や消防や多くの緊急サービス機関は、無線によるネットワークを持っているので、それらを活用できるよう方法を検討しておく。さらに、災害現場からのラジオやテレビによる最先端情報技術も上手に利用するべきである。
家屋の倒壊などにより下敷になったり、閉じこめられた人々は、負傷の有無にかかわらず、迅速な救出・救助や応急処置がなされなければ、時間経過とともに死亡する。すなわち、生き埋め後の生存救出は時間経過とともに急速に減少し、4日目以降の生存救出はきわめてまれであり、24時間が救出・救助の golden timeといわれている。さらにはクラッシュ症候群患者や胸部圧迫症などの救命率向上のためには、捜査・救助チームと医療チームにより編成された特別な専門チームの迅速な派遣も必要である。
被災現場への医療救護班の派遣、トリアージ、応急処置に基づいた後方医療機関への搬送という流れが基本になるが、当然、医療機関自体も被害を被るので、地震の発生しやすい地域では、病院の緊急対応計画が準備されていなければならない。そこには入院患者を避難させるということや、緊急時に救急処置室、手術室や放射線部などの部門などが安全に機能し、日常的な患者看護サービスの低下を来さないように準備しておくべきである。また、重傷者は被災地外に転送し、被災地内の医療機関の負担を軽減させることも重要であり、広域の患者搬送体制が準備されていなければならない。
また、 広範囲な建物倒壊などによる環境破壊が起こるので、二次的な環境関連の健康問題を未然に予防するために、飲料水や食べ物、衣服などの提供、仮設トイレの設置や公衆衛生指導と最低限の環境整備が必要である。とくに、避難所における呼吸器感染症や食中毒の発生予防に努めなければならない。
混沌としたパニック状況の中では、地震災害の比較研究に必要な医療データはしばしば不足しているのが現状である。できる限り、負傷者の詳細なデータ収集を行い、次の災害への教訓として生かされるようにしなければならない。それには、地震による損傷のタイプと重症度に関連する建物のタイプや屋内家具などとの関連、地震による損傷を受けやすい住民の行動などの分析を含め、医学分野以外の研究者などとの共同で研究していかなければならない。
病院の災害対策にみられる欠陥には以下のようなものがある。
{危機分析}
(2) 病院の収容能力の評価
(3) 災害又は危機時における指揮系統の確立
(4) 通信
(5) 供給:
(6) 院内における災害管理・治療エリア
8 除染後の蘇生と治療
(島崎修次・総監修、化学物質による災害管理、メヂカルレビュー社、大阪、2001、p.34-39)
I.有機リン系物質
* 重症化すると昏睡、呼吸不全、肺水腫、徐脈
最初の数時間は反復投与が必要なことがある
* 曝露後数時間以内の投与のみ有効
* 振戦や痙攣出現時に投与II.硫化水素
III.シアン化物
* 大量摂取では直ちに昏睡に陥り、呼吸停止
* KCN、NaCNの致死量は200〜300mg
成人には3%亜硝酸ナトリウム10ml(300mg)を3分間で静注、小児には10mg/kgを静注し、次いで25%チオ硫酸ナトリウム50mlを10分以上かけて静注
* この療法は、亜硝酸塩でヘモグロビンをメトヘモグロビンとし、それにCNを結合させ、次いでチオ硫酸塩でSCN塩として排泄させることを原理としている。IV.メトヘモグロビン形成物(クレゾール、フェノール、亜硝酸アミル)
低酸素血症の患者あるいはメトヘモグロビン濃度が30%以上の患者にはメチレンブルー(1%溶液、10mg/ml)1〜2mg/kgを5分以上かけて静注。1時間待って効果がなければ1回だけ繰り返す。有珠山噴火災害時における災害弱者の避難状況と今後の課題 ―第二報 身体障害者の場合―
(後藤義朗、後藤義朗、宮崎 悦、釣賀和也、石川鐵男、郡司俊夫、岩村光子:日本集団災害医学会誌 7: 29-36, 2002)はじめに
1.方法
2.結果
3.避難所での問題点
4.今後の対応策
5.考察
6.今後の課題
2000年京福電鉄列車事故におけるトリアージ
(和藤幸弘、中村昭雄、山崎加代、子寺沢秀一、Louise K. Comfort:日本集団災害医学会誌 7: 37-41, 2002)
はじめに
事件の概要
重症3:頭部より出血、意識レベルやや低下(JCS10)、呼吸および脈拍正常。トリアージの検証
考察
サミット開催時における拠点支援病院の受け入れ態勢
(宮城良充ほか:日本集団災害医学会誌 7: 15-20, 2002)
4 自然災害
(石井 昇、山本保博ほか・監修:災害医学、南山堂、東京、2002、pp.51-60)
多角的な面からの事前対策や被害軽減策が継続的に推進されなければならない。1 Crisis Management in Disaster
(Noji EK、山本保博ほか・監修:災害医学、南山堂、東京、2002、pp.269-88)A. 危機管理者の立場からみた災害の定義
B. 救急医療施設に関係する大規模災害の性質
C. 災害時の危機管理
日本・トルコ→地震対策
化学工場に近い病院→徐染に対応できる設備D. 災害対策時における病院と地域の協力
E. 病院の災害対策
F. 大規模災害の被災者管理:災害対策
G. 災害時における治療