目次: Environmental Health and Preventive Medicine、 Japanese Circulation Journal、 Newton別冊、 Pediatrics International、 愛仁会医学研究誌、 医学のあゆみ、 医薬ジャーナル、 医療放射線防護、 岩手県立病院医学会雑誌、 栄養管理の研究、 エキスパートナース、 エマージェンシー・ナーシング、化学・生物兵器概論、化学物質による災害管理、香川県医師会誌、 看護、救急・集中治療、 救急医学、 救急医療ジャーナル、 救急隊員標準テキスト、 月刊消防、 神戸大学医学部紀要、 神戸大学医学部保健学科紀要、 こころのりんしょうa・la・carte、 災害時の適切な Triage実施に関する研究、 児童青年精神医学とその近接領域、 社会保険神戸中央病院医学雑誌、 15年戦争と日本の医学医療研究会会誌、 順天堂医学、 小児科、 小児看護、 精神科救急、 精神科治療学、 世界災害報告、全国自治体病院協議会雑誌、中毒研究、治療、天使大学紀要、 特色ある教育研究特別補助金研究報告書、 ナーシング・トゥデイ、 長岡赤十字病院医学雑誌、 新見公立短期大学紀要、 日本医師会雑誌、 日本外傷学会雑誌、日本看護学会論文集、日本救急医学会誌、日本救急医学会関東地方会雑誌、日本災害看護学会誌、日本社会精神医学会雑誌、日本集団災害医会誌、日本職業・災害医学会会誌、 日本透析医会雑誌、 日本における災害時派遣医療チーム(DMAT)の標準化に関する研究、 日本放射線技師会雑誌、 日臨救医誌、 病院防災ガイドブック、 プレホスピタル・ケア、 防衛医科大学校雑誌、 防衛衛生、 保健婦雑誌、 北海道児童青年精神保健学会会誌、 北海道立精神保健福祉センター年報、 北陸と公衆衛生、 麻酔、 山口医学、 労働の科学
■Environmental Health and Preventive Medicine
■Japanese Circulation Journal
■Newton別冊、2001年2月10日号、2001
■Pediatrics International
■愛仁会医学研究誌
■医学のあゆみ
■医薬ジャーナル
■医療放射線防護
■岩手県立病院医学会雑誌 ■栄養管理の研究
■エキスパートナース ■エマージェンシー・ナーシング
■化学・生物兵器概論(Tu AT・著、井上尚秀・訳.じほう、東京、2001)
■化学物質による災害管理
■香川県医師会誌 ■看護 ■救急・集中治療
■救急医学
■救急隊員標準テキスト、東京、へるす出版、2001 ■月刊消防
■神戸大学医学部紀要 ■神戸大学医学部保健学科紀要 ■こころのりんしょうa・la・carte ■災害時の適切な Triage実施に関する研究 ■児童青年精神医学とその近接領域
■社会保険神戸中央病院医学雑誌
■15年戦争と日本の医学医療研究会会誌
■順天堂医学 ■小児科 ■小児看護
■精神科救急
■精神科治療学
■世界災害報告 2001年版
■中毒研究
■全国自治体病院協議会雑誌
■治療
■天使大学紀要
■特色ある教育研究特別補助金研究報告書
■ナーシング・トゥデイ
■長岡赤十字病院医学雑誌 ■新見公立短期大学紀要
■日本医師会雑誌
■日本外傷学会雑誌 ■日本看護学会論文集
■日救急医会誌
■日本救急医学会関東地方会雑誌
■日本災害看護学会会誌
■日本社会精神医学会雑誌
■日本職業・災害医学会会誌
■日本透析医会雑誌
■日本における災害時派遣医療チーム(DMAT)の標準化に関する研究
■日本放射線技師会雑誌
■日臨救医誌
■病院防災ガイドブック ■プレホスピタル・ケア
■防衛医科大学校雑誌
■防衛衛生
■保健婦雑誌 ■北海道児童青年精神保健学会会誌
■北海道立精神保健福祉センター年報
■北陸と公衆衛生
■麻酔 ■山口医学 ■労働の科学
Abstract:1995年におきた阪神-淡路地震の1年後に成人の被災者380例を対象にアンケート調査を行い,生命イベントと情緒的支援及び外傷後ストレスについて調査した.明らかに被災により生活イベントは変容を受けており,精神的外傷後ストレス性異常(PTSD)に関連し,PTSDは経験の再想起,逃避と驚愕の要素が男女共に認められた.震災に被災することは,その後の精神衛生に大きな悪影響を及ぼす危険因子であることが明らかとなった。
Abstract:被災者1361例に対し,その精神活動性に対する地震の強さの情報の有用性を評価するため,質問表により経験した地震の強さと地震関連の生活事象あるいはメンタルヘルスとの量的関係を調査した.親密な家族構成員の死や精神障害のような厳しい生活事象の発生頻度は,震度の弱い地域より強い地域に多く,震度7を経験した被災者はModified Mercalli(MM)スケールで11以上のスコアを示し,震度4以下を経験した被災者に比し,より多くの鬱症状(odds ratio2.11)とより低いメンタルヘルス状態(odds ratio1.87)を示した.後者のMMスケールは種々の社会人口統計的因子で補正して7以下であった.以上,震度の強さは重度の生活事象とメンタルヘルスの異常に関係する。
Abstract:圧挫症候群は多発四肢損傷を持つ小児でより重症で,これら小児で急性腎不全がしばしば発生した.ピーク血清クレアチンキナーゼ値,カリウム,尿素,尿酸,クレアチニン,乳酸脱水素酵素,アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ,アラニンアミノトランスフェラーゼ,及びカルシウムは圧挫症候群の重度を評価するのに有用な生化学的パラメータであった。
Abstract:災害時に透析患者の危機管理を促すため,患者に透析条件・内服薬を理解させ,安全かつスムーズに誘導できる避難訓練方法のパンフレットを作成した.このパンフレットに基づき透析中の患者25名に避難訓練を実施し,災害時の緊急避難のあり方を検討した.本パンフレットや体外循環路の図示,避難経路の標識図,緊急避難のビデオ学習などの対策を有用化するためには,避難訓練を年2回行うことで危機管理に対する認識を患者及び医療スタッフに高められることが示唆された.避難訓練を伴わない避難マニュアルだけの災害対策では,現実に発生した災害に間に合わないことも示唆された
Abstract:救急医療関係者がインターネットを用いてどのような情報を得,どのような活動をすることができるかについて,救急医療と通信ネットワーク,遠隔医療と救急医療における可能性,救急医療に関する文献検索とウェブの利用,災害医療とインターネット,草の根の救急・災害医療情報ネットワーク,救急医療機関と消防本部との情報共有をどう実現するか,の6つの観点から考察を加えた.医師をはじめ,様々な職種・機関が関与する救急医療において,円滑な情報共有をはかるうえでインターネットは極めて有用な通信手段になると考えられる。
Abstract:災害が発生すると災害救護班が出動するが,その救護班編成の中に,いったい薬剤師は編入されているのかどうかについて,全国赤十字病院91施設の薬剤部責任者を対象にアンケート調査を行った.又,薬剤師は救護班に入って,どのような貢献ができるのか.更に薬剤師が救護に貢献するには,今後どのような勉強,研修が必要かについても調査した.その結果,「災害救護班に薬剤師は必要か?」の質問には85.6%の施設は「必要」と回答し,「災害救護班に入っても薬剤師が貢献できるか?」の問いには89.2%が「できる」と回答していた.又,「災害救護に薬剤師は必要ない」,「災害救護班に入っても貢献できると思わない」という施設も若干あった
(島崎修次・総監修、化学物質による災害管理、メヂカルレビュー社、大阪、2001)
(p.55-9)
特集【救急・集中治療 key word】
Abstract:阪神淡路大震災被災地中心部と周辺部に位置する総合病院精神科外来を受診した65歳以上の高齢者の特徴を,外来診療録を元に後方視的に調査した.その結果,中心部,辺縁部共に痴呆・譫妄,気分障害が多く,更に中心部では身体表現性障害が,周辺部ではPost-traumatic stress disorder(PTSD),acute stress disorder(ASD)を含む不安障害が多数を占めていた.地震後,周辺部病院群ではPTSD・ASDの有意な増加がみられた.震災を契機に発症した例では,痴呆・譫妄及び身体表現性障害は周辺部病院群より中心部病院群において有意に高率で,PTSD・ASDは逆に中心部病院群より周辺部病院群において高率であった.又,周辺部でPTSD・ASDの受診率が高かったことは,避難先での精神保健活動の必要性が高いことを示唆していると考えられた。
Abstract:恒久住宅で独居する阪神・淡路大震災被災高齢者3名を対象に,被災後の生活力量の形成過程を明らかにする目的で,半構造化面接を行った.質的・帰納的方法で分析を行った結果,被災時から避難生活(1期),仮設住宅生活(2期),恒久住宅生活(3期)の各期において,生活力量が形成されていた.全過程で諦めを付ける力量を認め,1期では被災者同士の助け合いなど六つの力量,2期では被災者同士の繋がりの形成と助け合いなど五つの力量,3期では被災者同士 の繋がりの再構築と助け合いなどの五つの力量が形成されたことが明らかになった。
(有賀 徹・編:平成13年度 厚生科学研究費補助金総括研究報告書, 2001)
Abstract:集団感染症の相談システムによる相談38例の内,子どもがこの感染症による不安を自分自身で感じていない為に,PTSD確定例や非確定例と同様の症状を示しながら,災害と関連付けて意識化できない症例が10例あった.この内,症状は軽微で,保護者の心配や不安による相談が3例あった.この3例を除き,残り7症例の症状特徴は,急性期においては再体験症状の内,侵入的再想起症状が認められず,主症状は不活発,困惑,集中力低下及び生理的反応や食べ物回避であった.相談時期は発災後6〜13ヵ月であったが,出現した症状は短期での症状変化に乏しく,3例に社会性の発達障害の存在が疑われた.対応上の特徴はデブリーフィングを主とするPTSDの急性期対応法に反応し難しく,対応法としては,本人の置かれている状況全体を受け入れる保護者や大人の態度が事態の安定にはよかった.結果として症状の軽減が見られたが,出来事の意識化・再統合をさせられなかった。
Abstract:O157の集団発症後のメンタルヘルスに関する相談希望38例中,PTSD確定例及び非確定例で,発災6ヵ月以後に症状が増悪或いは発現した遅発例6例について臨床的検討を行った.病前の心理行動特性は4例に対人関係上の過敏,抑圧,不安が見られ,1例に身体不安が見られた.遅発発症時の増悪要因はO157に関すること2例,身体疾患及び生活変化2例,対人関係上のストレス・不安2例であった.発症迄の期間は6〜11ヵ月であった.遅発発症時の主症状は出来事の侵入的再想起・再体験6例,食べ物・給食への苦痛や回避努力6例,過度の警戒心5例,麻痺症状4例であったが,死への不安や発病不安に関係した強迫的確認行為4例,身体症状3例,飛躍した関連づけ2例を認めた.5例にPTSD急性期対応の原則に沿って対応し,症状軽減に有効であった.少なくとも発災後1年間は,不安があり過敏性の高い状態にある児童は,何らかのきっかけがあれば症状が増悪する可能性があった。
Abstract:阪神淡路大震災で経験したcrush syndromeの検査データの特徴として以下のことが見られた.筋肉の損傷を示すものとして,CK,K,P,ミオグロビン,AST,ALT,LD上昇,Ca低下,ミオグロビン尿,テント状T波が見られた.血液濃縮を示すものとしてHb,Ht上昇が見られた.代謝性アシドーシスを示すものとして,血液ガスpH低下,BE陰性化が,炎症を示すものとして,CRP,WBC上昇が見られた.CKは桁外れに高値を示したが,それと共にK,尿酸,Pの上昇とCa低下が顕著であった。
Abstract:昨年の大震災時の患者,看護婦の精神状態について,アンケートを作成し災害時対応の示唆を得た.地震が起こったことで,患者46名中21名が透析に不安を感じ,看護婦全員が,業務に追われ,精神的に余裕がなかった.こうした状況で,大切なことは,できる限りの透析を提供すること,看護婦が患者の話を聞いたりそばにいること,看護婦同士のコミュニケーション,であった。
Abstract:著者等は,1996年以来,災害時の初動医療のあり方,更にNBC(Nuclea,Biological,Chemical)とT(Terrorism)に代表される特殊災害の対処について研究を進めてきた.しかし,日本の医療体制では特殊災害に対しては十分に機能せず,残念ながら医療機関のみでは十分な対処が出来ないのが現状である.災害自身が進歩する中で複雑多岐に亘る問題を,日本の多関係機関がどうまとめていくかに大きな期待がよせられている。
Abstract:幼児や障害児にも,災害後には様々な心身症状が現れる.しかし,これらの子どもでは心理的な反応が身体症状や行動上の問題として現れやすい.又,時間の概念が十分に発達しておらず,言葉で表現することもうまくできないためその評価が難しい.学齢前の幼児例を示し,その対応法を含めて災害が心身に及ぼす影響について述べた.幼い子どもたちは家族の心理的な状況からも影響を受けやすいので,家族全体の状況を観察しながら支援していく必要がある.災害後の対応には,専門医だけではなく子どもにかかわるもの全てが基本的な知識をもち,必要な場合に専門医に相談できるシステム作りが重要である。
特集【外傷後ストレス反応への対応と外傷後ストレス症候群に陥った児のケア】
Abstract:子どもにおいては外傷後ストレス障害(PTSD)の発症は少ないが,肉親の死亡,自宅の全壊,避難所生活等の体験や,母親に不安が強い場合,心身に障害を有する場合には,早期から十分な心のケアが必要である.又,子どもにおける心のケアは被災地の小児科医やナースが子どもの背景に配慮し,息長く行うべきであり,専門療法は急性期以降に開始するのが適当である。
Abstract:事故や災害で外傷体験をしたうえに入院をしたり,危害を被ったうえに非難・批判や叱責を受けることなど,或いは,いじめや虐待を受けることはいくつもの心的外傷を負うこととなり多重外傷となる.子どもは外傷体験で種々の反応を引き起こし,その後に身体症状や行動異常を起こしやすい.外傷体験が強すぎるとストレス障害を起こす.多重外傷は強いストレスとなりストレス症候群を起こし,更には外傷後ストレス障害となる.その対策には安全・安心を保障し信頼を回復する取り組みが必要であり,チームケアが必須である。
Abstract:災害に遭遇したとき子どもたちは,どのような反応を示すのか,子どもによって反応が違うのはなぜか,子どもたちが心的外傷後ストレス障害にならないようにするためには,どのような援助が必要なのかなど,子どものストレス或いはストレス反応,心的外傷後ストレス反応,心的外傷後ストレス障害を軽減するための看護の役割について述べた。
Abstract:地震は突然にやってくる.避けられない自然災害であるゆえに,その程度の差はあれ,深刻な心身の外傷を残す被災者もまれではない.阪神・淡路大震災での著者の支援(プロジェクト)活動を振り返り,被災した子どもの外傷後ストレス症候群の看護ケアについて,その予防を中心に述べた.早期発見と早期介入,有機的連携に基づいた支援活動,子ども本来の内的意欲を尊重した看護ケア,災害に関する健康教育等の重要性が改めて確認できた.今後は,事後措置から予防措置への転換が求められる。
Abstract:長期に避難所で暮らしている小児の心のケアとは,災害によって何らかの精神的症状をきたしている,或いはきたす可能性がある場合への援助と,避難所の生活そのものが心的外傷とならないようにすること,即ち,できる限り小児の発達段階に応じた生活が保障されることである.両者の場合の援助について,乳児,幼児,学童,思春期別及びそれらに共通するものとして,家族と生活の場に関して論述した。
Abstract:災害や事故・自死等不条理な死により,親や家族を喪失した子どもの衝撃と心的外傷体験は深く,長期のケアが必要である.とくに親を亡くした子どもの心的外傷後ストレス反応と障害の要因を述べ,併せて震災遺児及び病気遺児の体験を記した.又,こうした子どもと家族へのケアについて,世界的実績のある米国のダギーセンター及びあしなが育英会:レインボーハウスのケア理念と癒しの環境,ケアプログラムを紹介した.併せて看護職者の課題と役割について言及した。
Abstract:いつまで続くかわからない避難生活は,子どもたち,親たちに,多大な不安を与えている.経済的な支援,精神的ケアが必要である.子どもたちの変化に早期に気付き,対応していく必要がある.全国各地では,三宅島以上に長期にわたり,悩み苦しんでいる子どもたちもいる.精神的ケアについては,いろいろな機関で情報交換し,いろいろな方向から個々のケースに対してケア方法を生み出していく必要がある。
Abstract:子どもにも外傷後ストレス障害を含むストレス関連傷害が起こりうることが知られるようになってきた.一過性の集団的な外傷体験である災害に対する予防と治療を含めた対応について,腸管出血性病原性大腸菌O157による堺市学童集団下痢症での具体的対応を例に挙げ説明した.子どもの場合には薬物療法が単独で行われることは少なく,精神療法が中心となり,精神療法においても言語的手段のみでなくパラ・バーバルセラピーが併用される.具体的には,個人精神療法,薬物療法,家族療法,グループ療法,予防的危機介入などがあり,子どもの場合には特に学校を基礎とした予防的危機介入を含めた取り組みが重要である。
Abstract:1996年に起きたガルーダ航空機事故被災者と,2001年に起きたえひめ丸沈没事故被災者への実際の支援活動について報告した.両事故は各々事件の様相や災害の程度は相当に異なってはいたが,この2つの事故被災者への支援を通じて,行政との連携,或いは支援活動をチームで行うことの重要性について考察した.前者については,特に行政と連携して長期的なケアを行うことの困難さについて述べ,後者については,事故・事件発生早期に出動できる危機即応チームの有用性について述べた
国際赤十字・赤新月社連盟
Abstract:東京都及び政令指定都市の消防機関,各都道府県の災害基幹医療センター計65機関を対象に化学災害対策の実態をアンケート調査した.その結果,84.6%の回答を得,消防機関では,全てが化学災害を想定していた.一方,医療機関では化学災害を想定していないものが68.2%に及び,関心の低さが目立った.又,消防機関では全てが化学災害マニュアルを有していたのに対し,医療機関では皆無であった.個人防護装備の配備状況は,消防機関100%,医療機関では4.5%に過ぎなかった.又,個人防護装備,廃液の貯留,臥位対応の集団除染システムをもっていたのは,医療機関,消防機関を通じて皆無であった.その最大の理由は,医療機関,消防機関共に予算の不足であった.今後,医療機関では,まずは化学災害を想定することから始め,化学災害マニュアルの策定や定期的かつ実際的な化学災害訓練を含めた集団除染運営上の努力が望まれた
Abstract:コンピュータ・ソフトとしてSIMUL Corporation社のSIMUL8を用い,病院における災害訓練のシミュレーションを行った.その結果,シミュレーションは実際の訓練に比べ以下のような点で優れていることが明らかになった.1)各部署での人員の過不足の把握,2)人員の稼働率を含めた災害マニュアルの検証,3)反復検証可能。
Abstract:1998年12月〜2001年2月に派遣された国際緊急援助隊医療チームの救援活動について報告した.派遣期間は原則2週間,活動期間は平均10日間で,災害発生から現地での活動開始迄の期間は平均5日であった.1チームの派遣人数は平均19名で,職種は医師(2〜3名),看護婦(4〜8名),医療調整員(2〜4名),業務調整員(2〜4名)等であった.診療患者数は一日平均132.6名で,年齢別では10歳以下が17.5%,60歳以上は17.4%であった.被災者の疾患分類では内科的疾患が52%で,急性ストレス障害と思われる患者は約2割であった.処置内容は薬物治療が全体の80%近くあり,外科的処置を必要とする患者は17.6%であった.看護活動の内容は,診療所・テント設営に関する業務,受付業務,診療補助業務,チーム員の健康管理を含めたスケジュール管理,診療カルテ管理・集計業務等に分類された.看護業務で特異なことは,創洗浄,デブリードメント,切開,抜糸といった準医師業務で,多人数の患者を少数の医療者で治療するためには「治療」という部分も看護者に委ねられることがある。
Abstract:平成12年の新島震災のさいに8月27日から4ヵ月間行った救護活動の記録をもとに被災者が必要としている看護職の役割について検討した.その結果,被災者の看護においては特に以下のことが重要であると考えられた.PTSDの発症も念頭においた精神的援助.慢性疾患患者に対する意識的な経過観察.季節を考慮した流行性疾患への対策。
Abstract:日本災害看護学会ではネットワーク活動の一環として明石市花火大会・歩道橋事故のおりに対応にあたった病院に聞き取り調査を行った.その結果,中・小規模病院の中にはマンパワー確保のために緊急呼び出しを行うなど,対応に苦慮したところも見受けられた.対応にあたった看護婦の中には心理的な苦悩を覚えた人も少なくなく,フォローの重要性が示唆された.災害時緊急対応の経験や対策本部設置の実践からマニュアル等について見直し・検討を行っている病院も多数あった。
Abstract:阪神・淡路大震災後,大阪府八尾市志紀町に県外仮設住宅が建設されたが,被災市からの援助が届き難く混乱が生じた.地域精神保健ネットワークは精神保健福祉従事者,ボランティア,仮設住宅自治会役員,行政職員等の参加を求め,震災1年後に八尾志紀仮設住宅支援連絡会が結成された.その活動について報告し,県外被災者への支援のあり方を考察した.被災住民の孤立無援感を軽減するには,被災地以上にボランティアの意義が大きく,援助者の継続的なかかわりが必要であった.仮設住宅住民の精神保健福祉ニーズは,精神科,心理色を前面に出すよりも,一般的な援助の中で汲み取り,対応するのが効果的であった.アルコール問題は早期から顕在化しやすく,地元断酒会の協力を得て断酒例会を開き有効であった.住民,ボランティアの精神障害者への偏見を軽減する試みを必要とした.住民,ボランティアと行政機関との対立を解消する努力を要した。
Abstract:多くの生物剤テロは秘匿的攻撃となると考えられ,最初の兆候は感染症患者であり,その症状は多彩で潜伏期間も様々である.生物剤曝露の認識は,常に遅れがちとなるため初期対応の困難さを常に念頭に置かなければならない.ワクチン療法は将来的にも生物剤脅威に対して最も効果的な予防手段であり,ワクチンの国家的備蓄が緊要である.秘匿的テロ攻撃への対策では,集団発生を正確・迅速に把握できるサーベイランスシステムの整備が最も重要である.本邦では現行の感染症新法をテロ対処可能なかたちとするのが,最も現実的で効果的と思われる.
Abstract:厚生省健康政策研究会調査で有床施設とされている該当地域の医療機関1814施設を対象に,敦賀湾における核事故を想定した医療対応力に関して,北陸・東海・近畿の一部の医療機関にアンケート調査を実施した.最終返信率は35.8%で石川(48.8%)と兵庫(44.9%)が高く,滋賀(27.1%)は低かった.調査の結果,ヨウ素製剤の備蓄・重症熱傷や骨髄抑制の治療等の急性期治療は,限定された人数なら対応可能であるが,大規模事故により多数の被曝者が出た場合は対応が困難であることが推定された.
Abstract:全国520災害拠点病院を対象に,自衛隊の災害派遣(医療支援)に関し小冊子を作成して配布し,アンケート調査を行った.その結果,1)返信率は自治体に比べ60%と低率で,基幹災害医療センターでも70%であった.2)要請の必要性は自衛隊衛生部門も含め要請の必要性は認知されているが,その手続きは「知らない」が61%と高率であった.3)自衛隊衛生への期待度は自治体と同様95%と高く,項目も類似した.4)地域防災訓練は自治体と大きな差があり,「全く参加したことがない」が28%であった.5)今後の自衛隊との連携については,その必要性は自治体の95%に比べて40%と低く,「どちらとも言えない」が23%と高かった.
Abstract:G県に発生した爆発事故を例に,被災者が搬入された病院4施設の看護部に焦点を当て,事故発生時に看護職はどのような行動をとったのかアンケート調査を実施し,地域の病院施設の災害対策は災害にどのような対応ができるかについて検討した.その結果,三つの施設の看護管理者は多死傷者の発生を予測し,うち2施設は現場で指揮をしている.又,勤務中の看護職員には緊急対応の必要性を考慮した動きがみられ,緊急時の役割行動に対する意識の高さがうかがえた.勤務外の婦長・主任やスタッフでは,事故の情報収集以外に非常時体制に関わる積極的な行動,病院に連絡する,応援に駆けつけるといった看護職としての役割意識に基づく行動をとったのは極めて少数であった.今回の体験から,緊急時の連絡体制や災害マニュアル等の確立,地域・病院間ネットワークの必要性等の意見が多くあげられ,看護職員の災害マニュアル等に関する周知度が薄いことがわかった.
Abstract:有珠山噴火(2000年3月31日).迅速な避難指示により,壮瞥町,虻田町の住民は噴火前に無事避難終了.壮瞥町の1診療所,洞爺湖温泉町から1病院が避難したが,後者は入院患者141名を近隣の病院(伊達日赤病院64名,洞爺温泉32名,羊蹄グリーン20名)に自主搬送した.噴火当日は,虻田本町の1病院,3診療所が避難.本町住民も状況の変化で避難所を転々とした.全避難所は16ヶ所から倍増したため,救護班による支援体制の早期確立は困難であったが,徐々に整備された.5月に地元医療機関も再開でき,徐々に落ち着きもみせた.地元の医療機関を対象にし,アンケート調査を行った.当時の医療体制を時間的推移で調査し,救護班と地元医療機関との連携,医療上の問題点に検討を加えた.
Abstract:本祭終了直後の22時35分頃,当日の後片付けをしていたイベント実行委員10名が原因不明の爆発により受傷した.爆発による複数名受傷者発生の通報を受け,はじめに救急隊2隊が出動し,その後先着救急隊の要請によって更に2隊及び指揮隊が出動した.先着救急隊が傷病者を確認し,うち1名がショックのため当部へ搬送となった.搬入時,心タンポナーデを認め,心嚢ドレナージを施行したが心停止をきたした.処置室内で開胸したが出血のコントロールがつかず,手術室で人工心肺下に止血術を施行した.術後経過は順調で,第36病日に独歩退院した.多数傷病者発生にも拘わらず傷病者数の把握とトリアージによる重症者の選別,応急処置,及び病院搬送が適切に行われた為に救命できたものと考えられた.
Abstract:広域集団災害医療の経験により,消息安否情報の問い合わせが医療現場を混乱させる為,医療機関より発信する消息安否情報の伝達が重要であると考え,広域集団災害時の総合的な医療活動において,災害現場での基本的医療活動の"Three T"に消息の英訳としてのTidingsを加えた災害医療の"Four T"を提唱し,負傷者の消息安否情報の伝達をいかに効率的に行うかの訓練を積み重ね,その問題点を浮き彫りにしておく必要があると考え,平成12年度近畿府県合同防災訓練においてTidingsの訓練を行い,その概要を述べると共に運用上の問題点について若干の考察を加えた.
Abstract:近年の大規模災害において,自衛隊の医療活動の役割は増加している.災害時においては,地方自治体が災害対処の主体であり,自衛隊はその要請を受けて地方自治体等を支援する立場である.災害派遣は,地方自治体等の要請があって,公共性,緊急性,非代替性の3条件がある時実施できる.自衛隊の特徴は,自ら独立して行動できる自己完結性を有していることである.阪神大地震以降,自衛隊に人命救助セット等の器材が充実し,逐次災害派遣の態勢が整備されている.しかし,自衛隊の本来任務は国の防衛であり,この厳しい訓練が災害派遣時に活躍する能力の基礎となっている。
Abstract:未曾有の大規模な都市型地震災害であった阪神・淡路大震災も,満5年を経過した.当時指摘された問題点,提言は,十分には解決,或いは,生かされずに過去のものと形骸化してきている.一方,この間,火山噴火や想定されていなかった震度6強の鳥取県西部地震による被害が発生し,著者等に注意,対処策の再検討を喚起しているようである.したがって,当時,指摘,提言された大規模都市型地震災害の医療上の問題点を再度,顧みることは有意義であると思われる.まず,阪神・淡路大震災の被害状況,震災直後の医療活動の状態を報告し,次いで,大規模震災での医療上の問題点を提示した.最後に,阪神・淡路大震災時の体験から大規模震災時の対応策について述べた。
Abstract:赤十字国際委員会はスーダン内戦被災者救援のため,1987年国境から20kmのケニア領内に戦傷外科病院を設立した.著者は日本赤十字社から派遣され,そこで3ヵ月間戦傷医療を経験した.戦傷外科の経験を報告し,戦時と日常における医療の違いから大規模災害時の医療における取り組みと問題点を考察した。
Abstract:1999年9月21日に台湾に発災した地震災害に対して,国際緊急援助隊医療チームが派遣され医療活動を行ったので報告した.医療チームは9月23日発災後48時間で被災地入りした.23日未明に南投県救災指揮センターに出向き,災害状況の把握とJDRの活動の打ち合わせを行った.診療活動は初日より開始できたが,救済指揮センターの情報の混乱,及び現場での交渉に時間を要し,最終的な活動場所が決まるまで,3日間を要し3ヶ所の活動場所を移動した.症例は軽症が大部分を占め,緊急搬送を要する症例は認められなかった.実質11日間の診療活動で計1,041名(内新患746名)の患者を診察した。
Abstract:地下鉄サリン事件被災者における非顕性の神経行動障害の存在について,サリン中毒患者18名(男女各9名,平均31歳)を対象に検討した.被災当日の血清コリンエステラーゼ値は13〜131(平均72.1)IU/Lであった.これらの患者に対し事件後6〜8ヵ月時に,神経行動テスト,心的外傷後ストレス障害(PTSD)チェックリスト,大脳誘発電位(事象関連電位,視覚・聴覚誘導電位)測定と重心動揺検査を実施した.その結果,患者群では符号問題の得点が対照群より有意に低く,General Health Questionnaire,気分プロフィール検査(疲労)とPTSD得点が有意に高く,事象関連電位(P300)潜時と視覚誘発電位(P100)潜時が有意に遅延していた.重心動揺検査では女性の開眼時低周波性(0〜1Hz)動揺と面積の有意な増加がみられ,被災当日の血清コリンエステラーゼ値とは有意な相関を示した.地下鉄サリン事件被災者に高次中枢(精神運動・認知機能)と前庭,小脳に対するサリンの慢性・非顕性の影響とPTSD関連の精神症状の持続が示唆された。
Abstract:人質事件では事件開始時の襲撃と,事件中の持続的な恐怖という二重の外傷体験が見られる.人質の心理状態は一般に段階的に変化されるとされ,第一に混乱と現実否認,第二に現実受容と諦め,第三に対処行動,第四に人質と犯人双方の疲労による混乱が見られる.また解放後の社会適応の問題が生じることもある.人質の支援のためには家族支援と,職務との絆を保つことが重要であり,解放後の復職の保証などは有効である
Abstract:労働省労働基準局補償課職業病認定対策室は平成11年9月14日に「心理的負荷による精神障害等に係わる業務上外の判断指針について」を発表し,前認定指針を大きく変更し,全ての精神障害(ICD-10のF0〜F9)が認定の対象となった.今回の認定指針では心的負荷表を用いてストレス強度を強,中,弱と三段階に分類し,業務ストレスが強い修正される場合に初めて業務上となるようにチャート式に判断が進められる.過去にPTSDとして労災申請された6事案を呈示し,精神医学的立場から業務に起因した心的外傷(トラウマ)をどう捉えていくのか,更に業務上PTSDの認定に関しての考察を述べた。
Abstract:有珠山噴火における腎不全医療の実態を調査し,その問題点を解析し,従来の災害対策マニュアルの内容を再検討した.被災地区および周辺地区の透析スタッフの努力により,透析医療が確保できずに死亡した患者は皆無と断言できる程度以上に確保された事が明らかになった.交通規制により通院不能となったり,避難場所の関係で他院への通院を余儀なくされたり,通院手段が確保できず入院した透析患者など,多数の透析患者が災害で苦労していた.噴火前後の透析確保だけでなく,災害時対応法として,長期の対応をも見据えたシステム化の必要性が示唆された.インターネットを用いた災害時透析情報連絡システムにおいて,更に情報収集能力の向上,情報分析機能の付加,情報発信能力が拡張すれば,患者の避難・透析室の機能状況の把握,透析医療の確保など,直接役立つ事が期待できる。
Abstract:早稲田大学災害情報センターのデーターベースから将棋倒し事故を抽出し検討した.将棋倒し事故はイベント,宗教関係儀式,階段やエスカレーターでの転落,交通事故関連などで発生していた.出入り口など一箇所に人が集中する,異常に人出が多い,人の密度が高い,異常な興奮状態等の条件下では,イベント時の将棋倒し事故の発生を十分に考慮する必要がある.大規模なイベント開催時には過去の経験を生かし,観客の安全,健康を考慮したイベント開催時のメディカルコントロールの観点から事前の十分な検討が不可欠である。
(真興交易医書出版部、東京、2001)
Abstract:地震や異常気象による災害発生時や戦争が勃発する際に,しばしば急性心疾患や心臓性突然死が多発することが知られている.この発症機序には心臓性自律神経のうち交感神経が大きく関与し,これらの自律神経機能には日内変動が存在する.また血小板凝集能やカテコラミンの分泌にも日内変動が存在することが知られている.著者等は,これらの諸点について述べ,急性心疾患や心臓性突然死の主要な原因であるとされる不整脈や,血管内に発症したプラックの破砕のメカニズムについても解説した.更に,これ迄の自験例を中心に急性心疾患や心臓性突然死の有効的な予防法についてもあわせて述べた。
Abstract:2000年9月11日の東海集中豪雨災害に派遣された隊員の疾病状況を調査し分析した.災害発生3日目にあたる13日に8名を認める以外大きな患者変動は認められなかった.総受診率は,派遣隊員で0.63%(派遣隊員受診者63名/のべ派遣人員数9940名),非派遣隊員0.64%(非派遣隊員受診者213名/非派遣人員数33044名)で派遣の有無によって受診率は増加しなかった.疾病特異性を明確にすることを目的とし,派遣何日後に受診したかを把握した.派遣日から2日目以内が61%を占め,耳鼻科1名,整形外科6名,眼科3名,皮膚科7名,内科7名であった.整形外科の件数が多かったのは,避難救助,水防,道路修復等の作業に起因するものと類推された.20日以降は皮膚科疾患で接触性皮膚炎,湿疹,足白癬等が多かった.これは粉塵や異物の多い作業環境に起因することが示唆された.派遣による健康への悪影響は少なかったと考えられた。
Abstract:神戸市内でホームヘルパーを利用していた高齢者118名(男30名,女88名)を対象とし,「リソース喪失評価尺度」「心理的問題項目」を用いて震災の影響を心理的側面から明らかにした.その結果,「自己維持に関するリソース」,「生活維持に関するリソース」,「社会交流に関するリソース」では,得点の分布はすべての因子で男女ともに得点の低い方に偏った分布を示した.「心理的問題項目」の平均値は女性で7.62,男性7.86であり,得点の分布は男女とも得点の低い方に偏った.さらに,リソースの喪失と心理的問題項目との関連では,男性ではいずれのリソースとも心理的問題との有意な相関を認めなかったが,女性は「自己維持に関するリソース」「社会交流に関するリソース」で心理的問題との間に有意な相関を認めた.これらより,災害時の高齢者への支援には,その生活背景あるいは価値を置いているリソースを見極めた支援が必要である事が示唆された。
特集・心的トラウマとは何か