阪神淡路大震災では、発生時に就寝中の人が多く人々の活動時間ではなかったため、暖房や調理器具などの火器器具はあまり使用されていなかった。それにも関わらず、上記のような火災による被害が発生した。
1997年、東京都は「東京における直下型地震の被害想定に関する調査報告書」を発表した。条件は以下の通りである。
また、東京の基本状況は以下のようになっている。
このような状態で震源が区部直下の大地震が起こった場合、区部だけで627件、多摩地区まで合わせると824件の出火があると想定されている。この想定には、住民が火の始末や初期消火を行うこと、住民が対応できない火災には消防によって消火活動がなされることが考慮されているが、実際には大地震の中で特に住民による消火活動を行うことは難しく、被害は想定を上回る可能性があると考えられる。
また、巨大地震により火災が同時多発した時には、急速に火災が広がる可能性のある、火災合流・火災旋風などの状況も考えなければならない。大規模な火災が同時多発した場合、各炎が合流し巨大な炎となることがあり、これを火災合流という。
巨大な炎では、空気中の酸素はほとんど火災の周縁部で使われてしまうため、火災の中央付近で発生した可燃性のガスは酸素と反応しないまま上昇し、酸素がある部位に到達してから燃焼する。このため大規模な火災のときは通常よりも非常に炎が高くなることがある。火災が大きくなると輻射熱が増え燃え残った住宅から可燃ガスが発生し、このガスにより火災がより大きくなり、それがさらに可燃ガスの発生を促進させるという悪循環が見られる場合もある。
火災旋風とは大規模な火災のときにしばしば発生する火炎・火の粉・煙・有毒ガスなどをはらんだ竜巻様のものである。1923年の関東大震災では被服廠跡だけで約3万8000人の死者が出たが、この一因として火災旋風が考えられている。どのような状況で起こるかは現在のところまだはっきりと解明されていないため、東京都の被害想定には火災旋風による被害は含まれていない。しかし、大規模な火災の場合はいつでも火災旋風が起こる可能性があり、また火災旋風が起きた場合は避難場所も安全では無くなるため、被害が飛躍的に大きくなることが予想される。急速に火災が広がる状況には、他に工場やトンネル内、地下(地下鉄、地下街)での出火なども考えられる。
1994年6月27日松本サリン事件、95年1月阪神大震災、3月地下鉄サリン事件が発生しその度に集団災害時における救急医療体制の問題点である医療体制の不備、不足、遅れが指摘されてきた。今回のレポートの目的は「松本サリン事件」から学んだ経験をより一般化し、集団災害が引き起こされた際の迅速な救急医療初期対応を行うため手引き書作成である。
7月3日に長野県衛生公害研究所から「サリンと推定される物質が検出された」という発表が行われるまで、その当時日本で誰も経験をしたことのない物質であった。サリンに関する情報は極端に少なく、日本の文献はなく、パソコン通信を介してアメリカの文献検索を行い、ようやく僅かなサリン中毒についての情報を得られた。
2)治療方針の標準化:
有機リン系薬剤による中毒としか解明されていない段階では、治療は従来の方法を選択することとした。サリンと分析結果が出され、文献を調査したところ治療法は有機リン系薬剤中毒と変わるところはなく治療方針の適正が確認された。
中毒事故との情報しか伝達されなかった混乱した状態では患者の衣類などに毒物が付着しているとは想像もできなかったと思われる。中毒患者の救助や治療にあたる医療従事者は患者の嘔吐物や衣類に含まれる中毒物質で二次被災を受けることが以前から指摘されており、手順を省略したことも二次被災を増加させた一因と思われる。病着後、可能なら患者にシャワーを行い除染し、換気の良い部屋で治療を行うべきである。
2)地区住民への二次被災:
被害の出た区域では環境調査が終了するまで地
区住民、報道関係者などの立ち入りを制限し、サリンガスによる汚染がないことが確認されてから制限を解除すべきである。
以上のようなものが記載されている。ここまで見てきて血液型が抜けているのに気付く
が災害現場では正確な血液型は判定しがたいという理由がある。
などが挙げられる。また原則として装着は右手首とし、この部分が負傷していたり切断さ
れていたりする場合は左手首、右足首、左足首、首の順番で装着する部位を決める。首は
最後の手段である。また衣類や靴に装着することは有ってはならないことである。
概ね震度6以上の地震が発生した場合には、地区医師会内にすみやかに災害対策本部を設置し、情報連絡、医療救護班編成、広報部門など、災害に対応できるよう努めることとします。
(2)区市町村との連携
区市町村災害対策本部と、防災行政無線などにより連絡をとり、被害状況を把握し、医療救護班の出動要請に対応できるようにします。また、定期的な連絡方法を定め、被害状況など、最新情報の把握と連絡に努めることとします。
(3)医療救護班の編成及び出動
地区医師会は、あらかじめ定められた医療救護班を編成し、要請のあった場所に出動させるものとします。医療救護班は、原則として、医師1名、看護婦1名、事務1名、をもって1班を編成するものとします。地区医師会会員は、電話連絡などが不能な場合には、指示伝達を待つことなく、あらかじめ定められた参集場所(病院や保健所)などに、自ら出動するものとします。
医療救護班の活動場所は、被災直後の初動期においては、負傷者が多数発生した災害現場等又は負傷者が殺到する病院など、医療救護所の活動を中心にしますが、その後は、避難所における医療救護所を中心とします。救護活動は、原則として、区市町村が設置する医療救護所において行うものとしますが、災害現場等において救命措置が必要な場合には、医療救護班員等の安全に十分留意の上、事故現場などにおいても活動するものとします。
(2)医療救護班の活動内容
(3)医療救護班の指揮
複数の機関やボランティアによる救護班などが共同して活動する場合は、当該地域事情を最も知っている、地元医師会の会員が指揮をとるものとします。
医療救護所の入り口等で、原則として医師がトリアージを行います。時間の経過や、傷病者等の状況等を勘案し、必要に応じて、2回目以降のトリアージを行います。
(2)応急処置の実施
災害発生現場での応急処置は、原則として必要最小限の処置にとどめ、より多くの傷病者に迅速に対応します。重傷者がいる場合は、できるだけ設備の整っている後方医療機関への搬送に努めることとします。
(3)重症患者の搬送
トリアージの結果に基づき、緊急治療群から順次、後方医療機関へ、搬送を行います。
一定規模以上の災害が発生した場合に備えて、参集場所の指定、「緊急連絡網」の整備、地区別班編成などをあらかじめ徹底するようにします。
(2)医薬品・医療器材の備蓄
医療救護班は、最低3日間程度、自給自足で活動できるように、食料および宿泊に必要な携行品も備えておくように努めます。
(3)医療救護活動に関する研修
(4)防災訓練の実施
避難継続中
また、市町村においては緊急災害広報に関する役割を明確に定めておく必要がある。但し、実際に大規模地震が発生した直後の段階では、様々な混乱した状況が予想されるため、あらかじめ定めた広報体制が確立するまでの間は、どの職員でも緊急広報について応急的な対応ができるよう、緊急災害広報のフロー図を形成するなどして、広報内容をわかりやすくしておくことも必要である。
その他防災機関とは、警察署・電話会社・電力会社・ガス会社・公共交通機関などが含まれ、
これらとの協力をスムーズに行えるよう努力すべきである。
その実例として、ここ最近約10年間で、ハリケーン「ミッチ」は中央アメリカの国々を縦断して恐ろしい被害をもたらした。中国では洪水によって、およそ1億8000万の人々の命と生活が被害を蒙った。
1.沿岸部の洪水の深刻化
沿岸地域には最も肥沃な農業用地の多くと、大都市地域があり、世界人口の半数の約30億人が住んでいる。沿岸地域の人口は世界平均の2倍の速さで増加している。
そのため沿岸地域は、真っ先に洪水の危機に直面し、その被害は深刻化することが予想される。世界的に潮の高さは、過去1世紀で平均20センチ上昇してきており、気象学者は2080年までに海水面は44センチ上昇すると予測されている。東京、上海、ラゴス、シドニーなど世界の各都市はその危険にされされており、堤防を建設し都市を保護しなければならなくなる。しかし、現在における最大の問題は低海抜の島国と河川のデルタ地域にある。低海抜の島国は島全体の沈没にされされており、デルタ地域は海水面の上昇による洪水の被害の拡大がおこっている。
2.内陸の乾燥
海水面の上昇による被害がある一方で、乾燥による破滅的な干ばつと飢饉のリスクが増大している。地球の温暖化は内陸部の高温の砂漠地帯が広がるのを推し進めている。また、降雨の減少により河川の水流も減少することが予想され、これにより飢饉・飢餓のリスクがサハラ、アジア、ラテンアメリカの熱帯地帯において増加している。
3.感染症
高い気温の下では、大気汚染や、空気中の花粉やカビの胞子が人命を奪うほどの原因となり、高い気温に関係する死亡が今後増加していくと考えられる。また、熱帯性の感染症である、回旋糸状虫、マラリア、従血吸虫症、デング熱、黄熱病などが、いままで見られなかった地域に既に拡大している。
森林伐採による世界的な森林消滅は、予防できるはずの自然災害が起きる原因となり、地球温暖化の一因ともなっている。
財政的に余裕のない国家では十分な準備がなく、災害が拡大する傾向にある。その例として、朝鮮民主主義人民共和国は90年代後半におきた一連の自然災害に絡み数百万人が飢餓に苦しんできた。
災害時の世界的な対応としての国際緊急サービスが必要であり、人道援助機関がその役割を担っている。しかし、その活動は必ずしもうまくいっているとは言えず、その活動資金も先進国の援助に頼っており、年々減少している状況である。今後の改善点として、地元の組織との協力を密にし、より早く、取り正確にニーズに応じた活動をしていかなければならない。
松本サリン事件と救急医療活動
(清水幹夫、松本市の保健衛生 vol.22 別冊、2000、pp.98-103)
経過の概略
患者の特定病院への集中
治療
二次被災
『司令塔』『窓口』としてのメディカルコントロールセンターの立ち上げ
まとめ
放射線医学総合研究所の放射能災害時の医療への取り組み
(明石真言、原口義座ほか編・ワークショップ:原子力災害に対する国際的医療対応のあり方、p.121-144, 2000)
【日本の緊急被爆医療体制について】
【放医研について】
<役割>
(医師・看護・技師・放射線専門化の現地派遣チーム、緊急被爆医療棟の中で患者の除染等の一般的な管理を行うチーム、無菌室で患者管理をするチーム)
(放射線障害、画像を含めた放射線診断、放射線を使った治療の研究を大きなプロジェクトとしている。更に生物学的もしくは核医学の診断分野、新しい画像解析、放射線の応用に関する教育、訓練も行っている。又、24時間体制で携帯電話を含めてアクセス出来る体制を取っている。)<活動>
(緊急被爆医療に対して、medical sideだけでなく、行政を含めた問題点を提起し、それの改善策をねっている。)3.トリアージタッグの記載方法
(山本保博ほか監修、トリアージ、荘道社、東京、1999、p.31-46)
I、トリアージとは
II、トリアージタッグの記載方法
トリアージには通し番号をつけることになっている。
これらは必ず記載する。漢字よりなるべくカタカナのほうがより迅速に記載できる。
分の単位まで記載する。
フルネームで記載する。
「○○消防本部○○救急隊」、「家族の自家用車」等と具体的に記載する。
「○○駅前現場救護所」、「○○学校医療救護所」等と具体的に記載する。
「○○病院」、「○○診療所」等と具体的に表記する。
「○○大学病院班」、「○○地区医師会」等とトリアージを行ったものの所属する機関
名を記載する。またあわせてトリアージを行ったものの職種も医師、救急救命師、そ
の他の3種の中から選択し○印をつける。
現場においては最も疑わしい傷病名や病態を記載する。
III、トリアージタッグの記載事項
IV、記載済みトリアージタッグの保存について
V、トリアージタッグの統一化について
第2章 被災地内の医療救護班活動マニュアル
(東京都衛生局医療計画部医療対策課、災害時医療救護活動マニュアル、社会福祉法人 東京コロニー、1996、p.27-39)
●医療救護班の対応
●医療救護班の活動内容等
以上の他にも、状況に応じて、遺体の検索に協力します。●災害現場等での応急医療救護の実施
●避難所等での医療救護活動
●平常時からの準備等
第4編 緊急災害広報・広聴の推進
(地震防災対策研究会、自主防災組織のための大規模地震時の避難生活マニュアル、(株)ぎょうせい、東京、1999, pp.255-276)
<序論>
<緊急災害広報の目標>
<広報内容及び手段の基本方針>
<発災後からの段階別の広報>
<救急災害広報の体制の整備>
第1章 環境の傾向、災害とその影響
(世界災害報告 1999年版、p.9-26)
現在の世界環境の傾向
世界環境と災害
エルニーニョに関して
その他の災害危険因子
国際的な取り組み
まとめ