災害医学・抄読会 2001/01/19

3.外傷患者への対応/4.外傷患者の長期予後

西村明儒、吉岡敏治ほか編・集団災害医療マニュアル、へるす出版、東京、2000年、pp.75-85


3.外傷患者への対応

 本文では阪神・淡路大震災での被災地内病院と後方病院へ収容された外傷例の傷病構造、治療経過を比較し、被災内病院に収容可能な症例と後方病院に転送すべき症例の判断基準を示している。

・外傷患者の重症度

 まず重症度を背景とした患者分類行った。第1群はクラッシュ症候群372例、第2群は臓器損傷群で、頭蓋内損傷37例、脊髄損傷29例、胸腔内臓器損傷63例、腹腔・後腹膜臓器損傷48例の計177例でいずれの群も高い集中治療施行率と死亡率となっている。第3群は骨盤・脊柱骨折で634例を占め、14%で集中治療を必要としたが、死亡率は低い。第4群はその他の外傷1406例で集中治療の必要も死亡率も低い。第5群は不明としたもの113例で診療録から読み取れなかったものである。これは集中治療の記載は認められないが、高い死亡率、早期死亡が多い。

・被災地内病院と後方病院での死亡率の比較

 クラッシュ症候群と臓器損傷群では、被災地内病院での死亡率が有意に高かった。また不明と分類された群の死亡のほとんどは被災地内病院症例であった。しかし、震災当日に被災地内病院でなくなった犠牲者を後方病院に搬送できたとしても果たして救えたかどうかは疑問である。そのため、収容から24時間以内の死亡例を除き、かつinjury severity scoreが16以上の症例のみを選択して被災地内病院と後方病院を比較した。この結果においても臓器損傷群は被災地内病院での死亡率が優位に高かった。したがって臓器損傷例においては、集中治療の可能な後方病院に速やかに搬送すべきだといえる。またクラッシュ症候群で死亡した大半が、循環不全、高K血症のために受傷5日以内に死亡している。クラッシュ症候群の治療には大量の輸液や血液透析をはじめとした集中治療が不可欠なので、これも速やかに設備の整った医療施設に搬送すべきだといえる。

・傷病構造別、収容患者数および死亡者数の経日的変化

 震災後15日間の累積入院数を傷病ごとに被災地内・後方別および生存・死亡別に調べたところ以下のことが分かった。

 クラッシュ症候群と臓器損傷群は、後方病院への転送が間に合わず死亡していることが読み取れる。骨盤・脊柱骨折とその他の外傷群では至急の転送が必要なかったことが考えられる。不明群においては震災当日に被災地内病院でほとんど死亡している。このようなことからもクラッシュ症候群と臓器損傷群においては速やかな後方病院への転送が大事だといえる。

外傷患者の長期予後

 本文は阪神・淡路大震災で受傷した外傷患者の身体的な機能と精神的な予後を明らかにし、大災害が長期予後に与える影響を検討している。

・調査方法

 外傷患者のうち現住所の把握できた1464例に対して、受傷2年後と3年後にアンケート調査を行った。調査内容は傷病衝撃度指数(The Sickness Impact Profile:SIP)を用いた。

・受傷2年後の結果

 35%の患者が痛みや不快を自覚しており、身体的な機能障害より精神面の機能障害の程度のほうが強かった。また性別や入院期間、集中治療の有無などの背景因子は予後に影響を与えていなかった。年齢に関しては身体的障害が高齢者ほど高くなる傾向があったが、精神的障害は不明瞭であった。

 外傷別にまとめると、神経損傷例が身体的障害、精神的障害ともに最も強く残存していた。クラッシュ症候群はすべて全体の平均値あたりでそれほど障害を残していなかった。また臓器損傷例も長期予後は比較的良好だった。

・受傷3年後の結果

 身体的・精神的および全体の障害、また12のカテゴリーにおいては2年後と有意差はなかった。外傷別ではクラッシュ症候群で精神的障害のうち情動行動と計画性・反応性のカテゴリーにおいて改善されたことが分かった。四肢・脊椎骨盤骨折では睡眠・休息と余暇の過ごし方において改善された。

・身体的機能障害と精神的機能障害

 外傷患者の受傷後の精神的障害に関してはpost traumatic stress disorder(PTSD)として報告されており、時間経過とともに精神的障害は癒され身体的障害が残ることが推測される。また、震災以外での外傷時に比べ、身体的障害に対して精神的障害が強いことにはアンケートより、年齢、現在なお仮住まいかどうか、近親者の死亡の有無が影響していることも分かった。


5.クラッシュ症候群

西村明儒、吉岡敏治ほか編・集団災害医療マニュアル、へるす出版、東京、2000年、pp.85-102


【クラッシュ症候群】

 クラッシュ症候群とは、受傷機転として、長時間四肢が圧迫を受けるか窮屈な肢位を強いられた後に救出されている場合に発症する.クラッシュ症候群はこのような得意な外因によって、引き起こされる循環不全や急性腎不全などの様々な全身症状を呈する疾患を言う.

【病因】

 本症候群の病因を考えるうえで、骨格筋の崩壊がなぜ生じるのかが重要なポイントである.この場合、四肢圧追中の変化と、圧追解除後の変化について考える必要がある.

(1)四肢圧追中の変化

 圧追中では虚血による障害と筋細胞膜の進展による損傷が考えられる.この2つが起こることにより、体液シフト、損傷筋細胞内容の流出(Mb、K)また、後者と、体液シフト、損傷筋細胞内容の流出によって、コンパートメント、筋浮腫が起こってくる.

(2)圧追解除後の変化

 進展や虚血によって損傷を受けた筋細胞が、圧追の解除によって急速に浮腫を形成し、次第に壊死に陥っていく.すなわち虚血後再還流障害が生じる.

 虚血中の変化と再還流により豊富に流入してきた酸素により、活性酸素種を産生し、細胞障害が引き起こされる.また、白血球も活性化され、活性酸素種を産生し、筋細胞膜の障害が生じる.さらに白血球と血管内皮細胞の接着も増強し、微小血管が閉塞され微小循環障害が生じ、筋細胞は再び虚血状態となる.この結果、血管透過性の亢進と白血球の浸潤が起こり、局所では強い間質性浮腫と炎症反応が生じる.

【全身状態に及ぼす作用】

(1)体液シフトと高カリウム血症

 血管透過性の亢進と細胞膜の障害により再還流後、局所の浮腫とKの細胞外への流出が生じるため、低容量性ショックと高K血症を生じる.

(2)急性腎不全発症の病態

 体液シフトからくる脱水による腎血流量の低下と尿細管虚血、ミオグロビン、アシドーシス、高尿酸血症や高リン血症、腎神経の緊張などの複数の要因が関与している.

【診断】

 集団災害では、その発生現場からトリアージをして対処するのが原則である.クラッシュ症候群患者の全身状態は、一般には意識清明で血圧も保たれており重篤感に乏しいので注意を要する.

(1)検査所見

 血液検査においてクラッシュ症候群患者に認められる特徴的な異常所見は、代謝性アシドーシス、ヘマトクリット値の上昇(血液濃縮)、高ミオグロビン尿、CPK値の上昇、高K血症、血清Ca値の低下とリン酸の上昇などである.

 また、心電図ではT波の増高が見られる.尿所見は赤褐色のミオグロビン尿、さらに、尿量が時間とともに減少する.

【治療】

 クラッシュ症候群の急性期の治療は、全身管理と局所療法に大別される.

(1)全身管理

 高K血症に加えてアシドーシスが急速に進行すると、心室性不整脈や心停止を来たすため、早急に治療を開始する必要がある.まず静脈路を確保し、炭酸ナトリウムやグルコン酸カルシウムの投与、あるいはグルコース−インスリン療法を行う.また、即効性はないが、消化管へのイオン交換樹脂の投与も有用である.これらの方法で対処できない場合や腎不全の明らかな場合は血液透析を行う.

 輸液療法の目的はhypovolemiaの是正と末梢循環の回復、ならびに腎不全の予防である.クラッシュ症候群では局所および全身の浮腫の増強、他部位での出血、あるいは乳酸や傷害された細胞から放出されるメディエーターによる血管拡張、さらに救出前後における脱水などのために循環血液量は減少している.輸液開始が遅れた場合や十分な輸液が行われなかった場合には低容量性ショックに陥り、ショックに陥れば筋細胞から遊離したミオグロビンの毒性と相まって容易に腎不全となる.

(2)局所管理

 局所管理では、筋組織内圧が30〜40mmHg以上あれば筋膜切開の適応となるという意見もあるが、感染の危険性が増すこと、体液管理が難しくなることなどから、重症例にしか適応しないほうがいいだろう.

【考察】

 クラッシュ症候群は非常に診断の難しい疾患だと思った.運動、知覚麻痺はあるので脊椎損傷と診断されてから、後に腎不全が明らかになりクラッシュ症候群と判断されたという症例もあり、受傷状況の把握と、クラッシュ症候群を疑うということは忘れてはいけないことだと思った.


閉鎖空間からの救出

Sargent C、救急医療ジャーナル 第8巻第4号通巻44号 39-47, 2000


 最近、閉じ込められた狭い空間における救急活動に対する関心が急速に高まっている。このような事故は、起こる確立は非常に小さいにもかかわらず、いざ起こってしまった場合には、頻度に不釣り合いなほどの多数の人命が失われる。

【閉鎖空間の特徴】

  1. 出口が制限されている。
  2. 入りっぱなしになるとは考えられてない場所である。
  3. 酸素欠乏、可燃性ガス、有毒ガスの危険がある。
  4. 生命や健康が急激に危険に曝される可能性がある。
  5. 吸い込まれる危険がある。
  6. そこから独力で脱出する個人の能力が、何らかの理由で妨害される状況にある。

 具体的には工業用に掘られた隧道やその側孔、タンカー、列車内、下水の入口部およびその他の工業関連施設、公共の貯蔵施設や船舶、潰れてしまった建物塹壕、洞穴、地下道等。

【医療担当者としての特殊な訓練】

 閉鎖空間での救助を行うには、通常の路上における救急活動に関して、十分に訓練されている以上の卓越した技術が要求される。狭い空間の中で、救急隊員のすぐそばで活動することができるだけの知識、経験、技量を得るためには、医療チームのメンバーも全員、救急隊員と同等の訓練を受けなければならない。最低限、ロープの使用法、閉所への侵入と脱出法、倒壊建築や坑道での救助法、危険物取扱法については、医療メンバーといえども全員が実動レベルでなければならない。特殊な例としては、ヘリコプターや高速艇の操縦訓練が必要となることもある。

【危機的状況における医療活動の方法の分析と準備】

 患者の気道、呼吸、循環を確保することが治療の基本である。現場での処置を予想し、危険の程度に基づいて、その処置を行うためには最大どのくらいのリスクがあるのかを推定し、医療チームの行う医療活動の方法を、重要なものから順に決めておく必要がある。

【閉鎖空間の理解】

 閉鎖空間での救急において、予後が致死的となる障害の90%は、大気中の問題によって起きているため、まず、最初に評価し管理しなければならない問題は、窒息である。また、いろいろな化学物質は窒息だけでなく、爆発性であったり有毒であったりするので注意が必要である。

【現場での切断】

 患者を外に出すために患者の、または生存しうる患者にたどり着くための通路を確保するために、死亡した犠牲者の、足、腕、体幹を切断する必要に迫られることがある。

【患者の受傷パターン】

 閉鎖空間の場所によって、受傷パターンは様々である。救出に要する時間が長引けば、その文官者は自己の代償機能が効かなくなり、救出後により高度な医療を必要とするようになる。また、救助チーム、医療チームもともに、寒さや長期の救助活動などで体力を消耗したり、けがをしたりすることがあるため、このようなことも、考慮に入れる必要がある。

【2人またはそれ以上の法則】

 現場では、複数の犠牲者が出ると予想しなければならない。そして大切なのは、事故の犠牲者のうち、約35%の人が救助をしようとした人ある。

【生存者不在】

【成功と失敗の差】

 医療活動を行なう時には、時間が経つことが敵である。救出活動の最中に病態のメカニズムや合併症、治療の優先順位を理解し、患者ばかりでなく救助隊員にも適切な処置を提供するためには、時間を稼がなくてはならない。

 医療チームに求められているのは、命のある患者をただ救出するだけでなく、救助チームが必要としている時間は作り出し、完璧な救出活動を行なうことである。


病院災害と危機管理 2.看護部門―災害時患者受け入れと医療班の派遣体制―

塚越郁代、エマージェンシー・ナーシング 2001年新春増刊 293-301, 2001


 国立病院東京災害医療センターは、わが国初の広域災害医療中心施設である。災害時に中心的役割を果たす本施設の現状および今後の課題についてまとめた。

A. 施設

1. 立地条件

 本施設は立川広域消防災基地内に位置しており、厚生省、国土庁、消防庁、警視庁等との連携がとりやすい。

2. ライフラインの整備

B.災害レベル別の対応システム

1. 災害レベル I (当院が大災害の中心地域内にある場合)

地域の救急医療システムが破綻し、医療機能も制限されている状況では、周辺地域の第一線病院として機能する。

2. 災害レベルII(当院が大災害の近隣地域にある場合)

 地域の医療機能や救急医療システムが維持されている状況では、当院が災害後方病院としての機能と初期災害医療班の派遣を行う。

3. 災害レベルIII(当院が大災害の中心地から離れている場合)

 初期災害医療班の派遣を行うとともに災害高度医療機関としての機能を果たす。

C.人的体制

1. 初期医療班の派遣体制

 年間を通じて、月ごとに派遣メンバー登録表を作成し、月初めには引継ぎ物品の確認、個々の持参品を個人用ロッカーに準備しておく。派遣メンバーは該当月には国内外旅行が制限され、1〜2時間で病院に招集できる体制を取っている。

2. 患者の受け入れ

 平常時390床の病床が広域災害発生時には900床で運営(平常時4人部屋を災害発生時には6人部屋として利用)。災害用ベッド(診察台、ストレッチャー、ベッドと多用途に使用可能)580台、医薬品・医療資器材7日分、食料5日分などの災害時院内用備蓄品が準備されている。

3. ボランティアの活用

 登録制をとっており、ケースワーカーから連絡網に沿って連絡が流れる。

D.教育

 平成10年より、できる限りフィールドワークを取り入れ、特に野外の何もない所からの救護所の設置、誘導、トリアージの実施などを行っている。平成12年より、東京消防庁第八方面消防救助機動部隊との合同で連携した訓練を実施している。その他、シュミレーション主体の院内勉強会も実施している。

 ボランティアの教育は災害ベッドの作成および収納方法、体位変換、足浴、搬送、救急蘇生法などの研修を定期的に行っている。

E.今後の課題


管理側の原因 1.何台もの呼吸器が作動しているICUが停電した

中川美幸、ジェンシー・ナーシング 2001年新春増刊 229-234, 2001


テーマ 何台もの呼吸器が作動しているICUが停電したときの対応

ポイント

人工呼吸を必要とする患者は呼吸器疾患、意識障害などにより換気が不十分である。このような状況で呼吸器が停止すれば生命に危険を及ぼす事があり 得る。そのような状況にどのように対処すべきか。

実際の行動

  1. 停電時にまず確認すべき事項
    • 呼吸器の稼動状況
    • 呼吸器による呼吸管理が必要な患者の把握
    • 無停電電源装置(停電時の緊急代替電源)の稼動状況
    • 酸素・圧縮空気の供給状況
    • 呼吸器の何のアラームがなっているか
    • 停電の範囲の把握(ICU,施設、地域・・・)

  2. 患者の観察
    • 呼吸状態(自発呼吸、呼吸回数、呼吸音、意識レベル・・・)
    • 血圧、脈拍
    • 意識レベル

  3. その後の対応
    • 直ちに医師への連絡と人員の確保
    • 停電が続く場合は自家発電装置が稼動しているかを確認
    • 適宜バイタルサインの確認
    • 電気供給の見通しがたたなければ転室、転院を行う

  4. 事前の備え
    • 無停電装置があれば呼吸器、監視モニターの電源は常に無停電装置に差し込む
    • 停電時に必要な設備の確認(無停電装置の有無と持続時間、自家発電装置)
    • 呼吸器の内蔵バッテリーは消耗品であるため定期的に点検・交換
    • 停電時に使用可能なポータブル吸引装置の確認(人工呼吸の患者は気管内挿管有)
    • 自家発電に切り替わるまでは無照明なので非常灯の確認


MSBOS, Type & Screenによる輸血システムの導入について―阪神・淡路大震災を経て―

尾林慶治ほか、日臨麻会誌 16: 667-71, 1996


概 論

 阪神大震災はわずか一本に集約された国土軸のもろさを露呈した災害であった。兵庫県立淡路病院も例外でなく血液製剤の供給が絶たれることにより、即座に医療業務に障害をもたらす可能性があった。その際に神戸からの海上輸送経路が不通となったが徳島・鳥取県血液センターからの供給で回避した。その教訓として、病院業務の特殊性を考慮し、行政区分によらない複数の供給経路確立を検討する必要がある。

報告例

 淡路病院ではMSBOS・Type&Screen方式の導入により効率よい血液運用がされている。1994年3月の導入前後における外科的手術時の血液製剤利用効率の検討を行った。

 MSBOS(Maximum Surgical Blood Order System)は平均輸血血液量の130%とし、輸血症例数が手術症例数の30%を越える場合に設定、T&S方式は輸血症例数が30%以下のものに設定した。

 症例では。MSBOS方式は胃全摘術に、T&Sは胃切除、胆嚢摘出、腹腔鏡下胆嚢摘出、けちょう切除、低位前方切除、ileus解除、乳房切除、肺葉切除、甲状腺切除、単純子宮全摘、付属器摘出、帝王切開、VPシャント、脳動脈瘤クリッピング、開頭血腫除去、穿頭血腫除去、非駆血骨結合、人工股関節、脊椎手術に用いられた。

 また、症例数の月別統計によると、MSBOS導入によって、C/T比(交差単位数/適合単位数)は著明に改善した。

輸血用血液について

 輸血用血液はパイロット血液を二本準備し患者の血液とクロスマッチを行う。しかし、パイロット血液は1パックにつき5本なので、二度のクロスマッチで使用されなかった場合は破棄される。MSBOS、T&S方式はこれによって生まれる無駄な血液を激減させる。報告では胃全摘術で56%、T&S適応術式では90%の減少を実現できた。結果として、善意の血液資源を有効に活用、医療費の削減を実現できた。また、予め予測される輸血量に基づいて準備されるため効率よい運用ができる。なお、術中の追加輸血以来は全1697例中41例(4%)であった。

 system運用開始後著明に準備血液量が減少したのは腹部大動脈瘤人工血管置換術で、平均準備単位数が20単位から10単位となった。これは院内システム向上により、主治医が追加輸血が比較的容易であることを認識したことが考えられる。

阪神大震災の影響

 阪神大震災の影響は殆ど受けていない。なぜならば、血液輸送ルートを速やかに神戸から鳥取・徳島に切り替えたためである。災害に強い医療を行うとは、いかにバックボーンを太くするか、多くするかである。情報通信網においても、地上線が寸断されても衛星通信を確保する、実際の機材および患者輸送についてはヘリコプターの積極的投入により効率化と高速化を図る必要がある。

展 望

 東京都ではすでに、都民・政治一体での防災訓練は為されている。直下型震災に備えてのことであると考える。

 愛媛県においても、いつ、南海大地震が発生するかわからない状況である。積極的に防災ヘリを活用し、普段から災害に備えた救急体性を複数のルートで確保する必要があると考える。また、自衛隊とも緊密な関係を持ち、速やかな災害支援活動が為されるこを期待する。


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