災害医学 論文表題集(1997) |
目次:
Bulletin of Allied Medical Sciences, Kobe、
Clinical Engineering、
DENTAL DIAMOND、
Eco-J、
ICUとCCU、
Internal Medicine、
International Journal of Urology、
Japanese Journal of Ophthalmology、
Journal of Occupational Health、
THE LUNG Perspectives、
医科学応用研究財団研究報告、
医学検査、
医学哲学医学倫理、
医学のあゆみ、
医科器械学、
医療情報学、
エマージェンシー・ナーシング、
大阪透析研究会会誌、
大阪府立看護大学紀要、
大阪府立公衆衛生研究所研究報告、
香川県医師会誌、
家族療法研究、
眼科臨床医報、
看護、
看護実践の科学、
救急医学、
救急医療ジャーナル、
教育と医学、
共立薬科大学研究年報、
健康医科学研究助成論文集、
健康文化研究助成論文集、
月刊消防、
公衆衛生、
厚生の指標、
行動科学、
神戸市看護大学紀要、
神戸市看護大学短期大学部紀要、
神戸市立病院紀要、
神戸大学医学部紀要、
神戸大学医学部保健学科紀要、
公立昭和病院医学雑誌、
呼吸、
こころの科学、
こころの看護学、
災害時の救助・救急活動への医療支援に関する研究委員会報告書、
作業療法ジャーナル、
歯科衛生士、
児童青年精神医学とその近接領域、
集団精神療法、
小児の脳神経、
小児保健研究、
神緑会学術誌、
心理臨床、
静岡県精神保健福祉センター所報、
ストレス科学、
整形外科、
整形・災害外科、
精神医学、
精神神経学雑誌、
世界災害救急医学会(第10回)資料、
世界災害報告、
全国自治体病院協議会雑誌、
全国大学保健管理研究集会35回報告書、
蘇生、
タイプA、
逓信医学、
中毒研究、
中部日本整形外科災害外科学会雑誌、
東海大学医療技術短期大学総合看護研究施設年報、
鳥取赤十字病院医学雑誌、
都臨技会誌、
奈良医学雑誌、
日本医師会雑誌、
日本医事新報、
日本外傷学会雑誌、
日本眼科紀要、
日本看護科学会誌、
日本救急医学会誌、
日本救急医学会関東地方会雑誌、
日本救急医学会東海地方会誌、
日本歯科衛生士会学術雑誌、
日本歯科麻酔学会雑誌、
日本集団災害医療研究会誌
、日本災害医学会会誌
、日本集団災害医療セミナー(第1回)資料集
、日本集中治療医学会雑誌、
日本生理人類学会誌、
日本赤十字社幹部看護婦研修所紀要、
日本赤十字武蔵野短期大学紀要、
日本透析医会雑誌、
日本透析医学会雑誌、
日本東洋心身医学研究会誌、
日本病院会雑誌、
日本病跡学雑誌、
日本臨床、
熱傷、
犯罪心理学研究、
兵庫県医師会医学雑誌、
兵庫県立尼崎病院年報、
兵庫県立公害研究所報告、
兵庫歯科学院雑誌、
広島県病院薬剤師会学術年報、
藤田学園医学会誌、
プレホスピタル・ケア
、防衛衛生
、防災白書
、防災最前線レポート
、放射線事故研究会会報、
北陸公衆衛生学会誌、
保健婦雑誌、
保団連、
三重県立看護大学紀要、
未来医学、
名鉄医報、
薬学図書館、
薬理と臨床、
理学療法、
リハビリテーション医学、
理療、
臨床精神医学、
臨床透析、
臨床と薬物治療、
臨床病理、
ロールシャッハ研究、
■Bulletin of Allied Medical Sciences, Kobe
■Clinical Engineering
■DENTAL DIAMOND
■Eco-J「地震と防災」
■ICUとCCU
■Internal Medicine
■International Journal of Urology
■Journal of Occupational Health
■THE LUNG Perspectives
■医科学応用研究財団研究報告
■医学検査
■医学哲学医学倫理
■医学のあゆみ
■医科器械学
■医療情報学
■エマージェンシー・ナーシング
■大阪府立看護大学紀要
■大阪透析研究会会誌
■大阪府立公衆衛生研究所研究報告
■香川県医師会誌
■家族療法研究
■眼科臨床医報
■看護
■看護実践の科学
■救急医学
■救急医療ジャーナル
■近代消防 ■教育と医学
■共立薬科大学研究年報
■健康医科学研究助成論文集
■健康文化研究助成論文集
■月刊消防
○1月号
○2月号
○3月号
○4月号
○5月号
○6月号
○7月号
○8月号
○9月号
○10号
○11月号
○12月号
■経営情報学会春期研究発表大会 1997
■公衆衛生
■厚生の指標
■行動科学
■神戸市看護大学紀要
■神戸市看護大学短期大学部紀要
■神戸市立病院紀要
■神戸大学医学部紀要
■神戸大学医学部保健学科紀要
■公立昭和病院医学雑誌
■呼吸
■こころの科学
■こころの看護学
■平成8年度 災害時の救助・救急活動への医療支援に関する研究委員会報告書
■作業療法ジャーナル
■歯科衛生士
■児童青年精神医学とその近接領域
■集団精神療法
■小児の脳神経
■小児保健研究
■神緑会学術誌
■心理臨床
■静岡県精神保健福祉センター所報
■ストレス科学
■整形外科
■整形・災害外科
■精神医学
■精神神経学雑誌
■第10回世界災害救急医学会(ドイツ、1997年 9月)・資料
■世界災害報告 1997年版
■全国自治体病院協議会雑誌
■全国大学保健管理研究集会35回報告書
■蘇生
■タイプA
■逓信医学
■中部日本整形外科災害外科学会雑誌
■東海大学医療技術短期大学総合看護研究施設年報
■鳥取赤十字病院医学雑誌
■都臨技会誌
■奈良医学雑誌
■日本医師会雑誌
■日本医事新報
■日本外傷学会雑誌
■日本眼科紀要
■日本看護科学会誌
■日本救急医学会雑誌
■日本救急医学会関東地方会雑誌
■日本救急医学会東海地方会誌
■日本歯科衛生士会学術雑誌
■日本歯科麻酔学会雑誌
■日本災害医学会会誌
■日本集中治療医学会雑誌
■第1回日本集団災害医療セミナー資料集 ■中毒研究
■日本生理人類学会誌
■日本赤十字社幹部看護婦研修所紀要
■日本赤十字武蔵野短期大学紀要
■日本透析医会雑誌
■日本透析医学会雑誌
■日本東洋心身医学研究会誌
■日本病院会雑誌
■日本病跡学雑誌
■日本臨床
■熱傷
■犯罪心理学研究
■兵庫県医師会医学雑誌
■兵庫県立尼崎病院年報
■兵庫県立公害研究所報告
■兵庫歯科学院雑誌
■広島県病院薬剤師会学術年報
■藤田学園医学会誌
■プレホスピタル・ケア
■防衛衛生
■防衛白書
■防災最前線レポート、けやき出版、東京、1997年
■放射線事故研究会会報
■北陸公衆衛生学会誌
■保健婦雑誌
■保団連
■三重県立看護大学紀要
■未来医学
■名鉄医報
■薬学図書館
■薬理と臨床
■理学療法
■リハビリテーション医学
■理療
■臨床精神医学
■臨床透析
■臨床と薬物治療
■臨床病理
■ロールシャッハ研究
Abstract:全体的Barthel指数の震災前後の変動により,全スコアが震災後変化しなかった症例(1群)とその他(2群)に大別した.2群では身体状態は震災直後に悪化し,悪い状態は6ヵ月間続いた.移動活動に対するBarthel指数スコアと同じ傾向が他のスコアでも認められた.
Abstract:損傷患者が初期に殺到した後,呼吸疾患,主に肺炎の数が1ヵ月以内に増加した.この同じ事象は喘息患者で発作を減少させたと思われた.続く3ヵ月間に消化性潰瘍患者が増加し,39.5%は巨大胃潰瘍,34.8%は出血性合併症を持っていた.外来患者の糖尿病制御は震災後悪くなった.
Abstract:本研究の目的は,事業場内の危険発生を記録し災害発生原因とその予防に役立つ組織体制を開発することである.鋳物,機械,精肉処理,家具の4事業場を選択した.この4事業場の雇用総労働者数は2,964人.1993年に発生した83件について,頻度,重症度,事件の間接及び直接的原因を検討したところ,事業場によって各種の災害について発生頻度が異なった.少なくとも45.8%の検討事例は基本的な作業基準に関わっていた.1994年に災害と軽傷について精肉処理作業場で行われた調査では,95%が報告されていなかった.結論は 1)事故の発生した環境,安全管理上どのようなタイプに属するかについて報告されねばならない. 2)簡単な治療で治るような軽傷についても注目すべきで,これらの発生,原因,効果は驚くほど繰り返される. 3)作業方法上の問題は災害の発生原因となり,作業法の管理は安全監視システムに組み入れられねばならない.
Abstract:無作為に選ばれた20歳以上の芦屋市民3,000人を対象にアンケート調査を行った.質問項目の作成にあたって,抑うつ症状を調べる為にはZungの自己評価式抑うつ尺度を,PTSDを調べる為にはDSM-IVを参考にした.このように国際的に評価の定まった質問項目で,今回の大地震による精神的症状を調べた報告はまだされていないようである.本調査の結果,40歳代以上の女性に精神的症状が強く現れており,それは人的喪失と物的喪失が複合的にこれらの年代の女性を襲ったものであることがわかった.このことから,人的喪失又は物的喪失を経験している40歳代以上の女性に対する心のケアーと自宅を失っている人々に対する経済的復興計画が急務である.
Abstract:地震体験半年後に行われた実態調査の結果に見られる被災地中学生の心身の訴えの増加傾向は,中学生の心身の柔らかさと過敏性を証明するものであり,地震によるストレス反応であると考えられる.
Abstract:経過中に血中Ca,クレアチンキナーゼ,ミオグロビン値の推移を詳細に観察した.crush syndromeによる急性腎不全の期間短縮には,血中のミオグロビン除去に優れた血漿交換,血液濾過透析等を発症早期に施行することが有効であると考えた.又,利尿期の高Ca血症に対しては無Ca置換液を用いた血液濾過が有効であった.
Abstract:避難場所となる学校施設等のプール水の利用を目的とし,3施設のプール水質の季節変化と膜ろ過の有効性を調べた.室内プールと異なり,屋外プールは使用後放置してあるため,藻の発生や塵等により濁りが生じたが,膜ろ過することにより,藻をはじめ細菌類もほぼ完全に除去された.塩素イオンや硝酸・亜硝酸性窒素は飲用水基準以下であったが,pHや過マンガン酸カリウム消費量は超えることがあった.
特集・心的外傷とストレス
Abstract:小児の身体計測値の追跡調査を震災後1年にわたり行った.倒壊した家屋の多かった地区にある小学校の5年生の身長増加率を震災前後で比較すると,震災直前の2学期に比べて震災直後の3学期では有意に低下していた.
Abstract:阪神・淡路大震災で被災した在宅虚弱・障害老人85名の日常生活活動能力と,社会的機能の1年間に渡る経時的変化,及び会話量と社会的交流に関する喪失感を調査した. 1)同居群は独居群と比べて,日常生活活動の自立度は若干低い値を示したが,社会的機能ならびに積極的会話量は常に高い値を示した. 2)1年後には両群共に,社会的機能が震災前とほぼ同じ程度に回復した. 3)対人交流の積極性を会話量で検討したところ,同居群の方が会話量が多く,友人とのつながりが減少したと思う割合は独居群に高かった. 4)今回のような災害時において,災害弱者である在宅虚弱・障害老人が災害前と同程度の日常生活活動能力を維持し,かつ社会的機能を維持するには,外部からの積極的な対人交流や家族への援助が必要であり,そのためにも日頃から医療従事者及びホーム・ヘルパーとの連携の必要性を示唆している.
・災害弱者を守れ!〜県下初、高齢者世帯に自動消火装置を設置〜
・荏原直下大地震に備える家庭と職場の緊急対策
・小・中学生に対する災害時の行動と心理に関する調査
・今年は住民参加で行こう!〜「広域災害対応総合訓練」を実施〜 弘前地区消防
・災害と行政 依田 博
・病院における防災機能の強化に向けて〜防災訓練マニュアル及び施設・設備自己点検 チェックリストを作成〜 斎藤 実
・国際消防救助隊派遣活動の概要〜エジプトビル崩壊事故〜
・大震災への挑戦〜東京消防庁災害時支援ボランティア制度の概要〜
・「ドラゴンのまち災害時応援協定」を締結
・災害救助犬、走る! 〜第3回全国災害救助犬認定審査会〜 長岡 隆志
・多数傷病者が発生した危険排除 東京消防庁警防部
・「九州は一つ」を合言葉に 〜緊急消防援助隊九州ブロック合同訓練を実施〜
・航空機災害に備えて〜航空機火災消火救難総合訓練を実施〜 島根・出雲広域消防組合消防本部
・データでみる平成8年中の災害・救急等の概要 東京消防庁警防部総合指令室
・自主防災組織の担い手として救急ボランティアを育成〜
・PTSD,見えざる心の傷 桑山紀彦
・災害に対する敏感さと鈍感さの心理 〜災害を軽視する「日常化の偏見」〜
・長野県小谷村「12・6蒲原沢土石流災害」における東京消防庁緊急消防援助
隊派遣の概要 東京消防庁警防部
・大規模災害時における負傷者の搬送業務をタクシー会社と協定 仙台市消防局
・サバイバル・ウォークに挑戦! 〜首都圏大震災を想定して〜
・災害とバイク ジャパン・レスキューサポート・バイクネットワーク
・日本海重油流出事故に対する取組み
・「油濁の海」 〜日本海重油流出事故を見て〜
・「12・6蒲原沢土石流災害」における消防活動状況 長野・大北広域消防本部
・避難時の同調行動と誘導法 〜自信が無いときは他人が頼り〜 加藤孝一
・空陸一体 東京消防庁警防部
・官民一体の総合消防訓練を実施〜緊急消防援助隊受援・企業参加〜愛知・尾三消防
・刻々と変化する東京国際空港の消防対策
・地震時におけるインテリアの安全性
・実戦は訓練のごとく 東京消防庁警防部
・地震を感知したプラグを外す装置の研究開発について 東京消防庁消防科学研究所
・高校生による防災ボランティア活動訓練 福岡・北九州市消防局小倉南消防署
・同時多発有毒ガス災害対応特別訓練を抜き打ちで実施!!
・直下の地震を踏まえた新たな出火要因及び延焼性状の解明と対策
・京都市営地下鉄国際会館駅で消防訓練を実施!
・海からの災害対策の主役〜静岡県のTSL防災船「希望」〜
・横浜市高密度強震計ネットワーク整備事業
・空のかなめ「ももたろう」〜岡山市消防航空隊発足〜
・札幌圏防災関係機関合同訓練を実施 北海道・江別市消防本部
・東京都の地震時における地域別出火危険度測定・延焼危険度測定(第5回)の概要
・防災ボランティアリーダー「With」
・災害救助犬との協定を締結! 〜救助活動に災害救助犬の積極的な活用〜
・様々な情報から隔離される聴覚障害者 〜震災対策用ヘルプカードを作成〜
・災害対応型公園(稲永東公園・稲永公園)の運用を開始
・「安全都市、にいがた」をめざして〜「新潟市防災訓練」を実施〜
・「東京における直下地震の被害想定に関する調査結果」(その1)
・特別展「善光寺地震」を開催!〜善光寺地震から150年目にあたって〜
・災害と防災環境からみる高齢者の実態
・ダイヤモンドグレース号原油流出事故の概要
・防災航空隊との初の連携訓練を実施!
・災害救援ボランティアを養成! 神奈川県消防学校消防職員職員課
・「東京における直下地震の被害想定に関する調査結果」(その2)
Abstract:阪神大震災は,震災後1年余り経過した時点においても,被災者の人々の精神的健康状態のみならず,免疫機能にも影響を及ぼしている可能性が示唆された.
Abstract:震災前当院の外来患者であった男78例,女72例を震災後6ヵ月間追跡した.震災前後でFBS値に有意の変化はなかった.HbA1c値は1〜2ヵ月後に有意に上昇したが,6ヵ月後に震災前値に復していた.環境条件に関連するHbA1c値に有意なものはなかった.しかし,25%の患者は医療を受けられなかった.これら患者のHbA1cの変化は医療を続けられた患者の変化に比べると有意に高かった(19%対5.8%).
Abstract:神戸市立中央市民病院の看護婦718人を対象として平成7年5月にアンケート調査を行った.看護婦は精神的・身体的疲労を同時期に自覚していたが,精神的疲労が身体的疲労より回復が遅れていた.急性心因反応は15.3%に,精神的に疲労した時期では心的外傷後ストレス障害(PTSD)が45.8%に認められた.地震から4ヵ月後の時点でのPTSDは20.0%に低下していた.看護婦の34.3%が地震後4ヵ月の時点で鬱状態と評価された.
Abstract:震災後3月に再受診した糖尿病患者177名に栄養士による食事調査,生活調査を行い,又,震災1年前から1年後までのHbA1cの変化を調査した.HbA1cの平均値は震災直前で7.74±1.82%,震災後3月では8.34±2.12%へと有意に上昇していた.99名にHbA1c 0.5%以上の上昇が認められた.HbA1cの上昇の原因について食事療法未継続の有無,薬物中断の有無,運動量の減少の有無などで重回帰分析を行った.偏回帰係数は食事療法未継続が一番高かった.上昇したHbA1cは時間経過と共に低下し,同年9月には平常に戻った.
Abstract:1)被災の程度が強いほど徴候が現われやすく,又,長引きやすい. 2)生活の安定は災害による心理的被害を軽減させ得る要因の一つである. 3)保護者が徴候や不安を抱えている群の子供が有意に多くの徴候を現わし,長引く徴候も多かった.乳幼児の災害後の精神保健活動は,保護者或いは周囲の大人の精神状態の安定化を同時に行うことが必要であり,家族単位のケアが望まれる. 4)年齢,性別と徴候の現われ方との間には,明確な関連はなかった. 5)睡眠の問題,地震に直接関係する恐怖,退行を示す子供が多く,又,徴候が長期化しやすい傾向があった.今後,震災から時間が経ち,特に地震に直接関係する恐怖が和らいだ時,これら以外の徴候が顕在化する可能性があると考えられる. 6)乳幼児の災害による心理的被害を評価するのにDSM-IVの外傷後ストレス障害の診断基準を用いるのは困難であり,今後,様々な検討が加えられる必要がある.
Abstract:阪神・淡路大震災で被災した住宅虚弱・障害老人85名(独居群は40名,同居群は45名)の日常生活活動と社会的機能の経時的変化および会話量を調査した. 1)震災前,直後,半年後,1年後のいずれの時点でも,日常生活活動は同居群より独居群が高い値を示した. 2)いずれの4時点においても,社会的機能は独居群より同居群の方が良好な値を示した. 3)対人交流の積極性を会話量で検討したところ,同居群の方が会話量が多かった. 4)高い社会的機能を維持するには,対人交流に積極的な方がよく,日頃から医療従事者やヘルパーとの連携が必要である.
第 VIII 章 災害時の検索救助・救急活動における行政対応について
Abstract:地震に直接結びつく恐怖・不安,睡眠の問題,退行といった反応を示した児童が多く見られた.しかし,DSM-IVの基準を満たしPTSDと診断できるものはなかった.兆候の現れ方によって,PTSDの診断基準の内,B(侵入),C(回避),D(過覚醒)の各群全てに,1ヵ月以上持続した兆候が1つ以上認められたもの(I群),B,C,Dの各群全てに,1ヵ月以内の持続期間であっても兆候が認められたもの(II群),いずれかの群に兆候が認められるもの(III群),全く兆候の認められないもの(IV群)の4群に分類した.各群それぞれ9名,9名,50名,30名であった.養育者が何らかの不安を抱えているものが,I群では9名中8名と多く見られた.
Abstract:子どもの示す「サイン」としては,「分離不安・甘え」「恐怖・過敏」が代表的なものと考えられた.激震地区と非激震地区における「サイン」の出現率の差は「恐怖・過敏」においてのみ見られた.相談後の処遇は,約7割が「助言」のみで終えることができる比較的軽度のものが多く,激震,非激震地区ともほぼ同様の傾向を示した.時間経過と共に「助言」の比率は増加しているが,「児童相談所継続指導」となった重度のものもほぼ恒常的に出現しており,重症化したケースの出現が1年間では終息せずに存在し続けている.また震災1周年では,いわゆる「記念日現象」と考えられるものも見られた.
Abstract:子どもたちの被災後の心理変化をアトリエ活動で見られた描画・行動や治療者への態度から6段階に分類した. 1)準備・導入, 2)退行a)スキンシップb)ぬりたくり, 3)やりきれなさa)ぬりつくしb)単調な量産 4)共存a)見ていてほしい欲求b)確認・受容の会話 5)再統合過程a)再想起b)フラッシュバックc)切り離しd)再建 6)自己作業による再統合,である.症例を通して,これらの変化を断時的に見れば,1から6にまで至るが,この間各段階を行きつ,戻りつする.そして6が終了すると子どもたちはアトリエ活動への参加はなくなる,又は減る一方,一部の児は創造的活動への関心が高くなっていた.
Abstract:1995年4月から1996年3月迄に受け付けたPTSD関連相談137件を分析した. 1)相談者は母親が多い(119件). 2)時系列的に見ると,4月から7月までは,時間の経過・生活の安定と並行した兆候表出とその回復過程(幼児・小学生低学年),11月以降は,一時的混乱の再燃や,兆候の慢性化・深刻化を推測させるもの(高年齢児)が多くなっている. 3)激震地区では兆候出現が遅れ,5月以降になって,被害状況に合致した地域差を示す. 4)兆候分類については,低年齢児になるほど「退行・分離不安」,「恐怖症状」の比率が高い.性差は,「恐怖症状」,「心身症状」等で有意に女児の出現率が高かったが,0〜3歳では「退行・分離不安」が男児に高く出現した.
Abstract:淡路島の一宮町の幼児に対し,地域のリーダーに被災地の外から心理士が協力するという方法で,継続的な「心のケア」活動を行った.この活動のうち,特に絵画を見ながらの話し合いは,保母らと子どもの状態について理解を深めるのに役立った.絵の内容をみると,顕著な男女の違いがみられ,男児では自然界や乗り物を含む環境の描写が多く,特に年長組の被災後2ヵ月の絵画では破壊的な力が描かれていた.女児では半数以上が女性の像を描いており,被災後2ヵ月は特に足が地上から浮上している絵が約半数を占めていた.このことから,男児では,震災の体験を環境の脅威として,女児では人間関係の危機として捉えているのではないかと考えられた.
Abstract:この相談は地震発生2週間後から60日間行われ,この間に,48例の相談を受けた.この相談事例の内12例を紹介する.被災地の中にある相談所に窓口が設置されたことは,日々変化する現地の状況に即応できる,必要に応じて子どもに直接介入できる等の利点がある.他方,被災地外から支援のために現地入りすることを考えると,被災地の状況によっては多くの困難があることも考えられる.災害時の精神保健援助には,臨機応変の柔軟な発想と行動が求められる.
Abstract:対象は157人で心身反応を訴えた者は41%であった.訴え項目は睡眠障害や分離不安が多く,訴えの多くは1ヵ月以内に軽快した.特に安心感がもてる住空間へ避難した人の軽快は速やかであった.神経性食思不振症児が震災体験を他人事のように感じ,心身反応を示さなかったが,神経症的傾向児と発達障害児は強い心身反応を呈した者が多かった.
Abstract:被災患者は地震発生後3日目から来院し始め,3月末迄に合計127名が当院を受診した.整形外科入院患者は男6名,女12名,合計18名で,年齢は20〜84歳,平均54歳であった.受傷病名は骨折,打撲,捻挫,挫傷が多く,挫滅症候群も2例あった.治療は手術を6名,透析を1名にそれぞれ行い,その他の患者は全て保存的に加療した.地震発生後6ヵ月の間に全ての患者は軽快退院した.災害では被災地から負傷者を他の地域へ運び,分散して収容することが重要である.
Abstract:災害による外傷などでICUや救急病棟に収容された患者は,患者自身が身体的に重篤であるばかりでなく,家族の喪失や身体的被害も甚大であり,精神症状を発生させやすいと考えられた.急性ストレス障害,外傷後ストレス障害については,早期の対応が昏迷からの離脱を早めると考えられた.今後,震災などの大災害による身体的外傷や疾患により,ICUや救急病棟に収容される患者に対しても,入院早期から精神科医の継続的関与が必要である.
Abstract:1)震災直後,震災関連初診患者とくに転院患者により外来患者数が急増した.震災関連発症初診患者は転院患者殺到のピークより少し遅れて来院し始め,震災後平均4ヵ月を超えて当科初診となった. 2)発症患者(38人)の多くは被災中心地の居住者で,家屋の被害が大きかった.不安・抑うつ状態を呈しやすく,ICD-10に基づく暫定的或いは仮診断分類ではストレス関連障害(24人)が最も多かった.ストレス関連障害の中では適応障害(16人)がPTSD(8人)より多かった.ストレス関連障害の発症には性差(男5人,女19人)がみられた.家屋損壊等に伴う生活環境の変化や地震の恐怖体験がストレス要因と考えられた.
国際赤十字・赤新月社連盟
Abstract:阪神・淡路大震災にて経験した挫滅症候群13例を検討した. 1)筋膜切開後,高率に感染が合併した. 2)死亡例は急性腎不全を基盤とした挫滅症候群の病態に対して,血液浄化を含めた厳重な全身管理を逸した症例であった.
Abstract:今回の大震災後,急性疾患による入院例を多数認めた.これら疾病の発症は圧倒的に高齢者に多く,肺炎,脱水,心不全及び喘息では避難所での発症が優位であった.地域別にみても震災による被害の大きかった地域で疾病の発症率が高く,震災の影響を強く示唆した.被災地内基幹病院からの後方病院への転送状況を検討すると,震災当日入院中であった症例や慢性疾患患者の転送率が高く,急性疾患による新入院例の転送率は低かった.しかも集中治療施行率は被災地内病院と後方病院との間に殆ど差を認めず,震災後被災地の基幹病院では自分で移動が可能であった入院中の症例や慢性疾患例を優先的に転送させたものと思われる.
Abstract:震災後7日間に扱った487例の外傷患者のうち68例に挫滅症候群が疑われ,このうち入院時の血清CPK値が1,000IU/L以上であったものが66例を占めた.理学的所見では水疱を熱傷,四肢麻痺を脊髄損傷や末梢神経麻痺,ミオグロビン尿を血尿と誤診した症例があった.全例に輸液療法を行い,13例には血液濾過透析等の血液浄化を施行した.68例中11例が死亡し,その入院時の平均血清カリウム値は5.71±1.58mEq/Lで生存例の4.55±1.00mEq/Lに比し有意に高かった.死因は早期の高カリウム血症及びショックと晩期の多臓器不全であった.血液浄化施行例で,生存期間の延長が認められ,血液浄化の早期導入の重要性が示唆された.
Abstract:阪神淡路大震災で震災直後より1週間以内に入院した外傷患者131例をSIRS群とnon-SIRS群に分け,SIRSと挫滅症候群,MODSとの関係を比較検討した.初診時の60%がSIRSで,SIRS群の死亡率は24%であった.死亡した症例のSIRS-scoreは軽快例に比べて有意に高値で,死亡率はSIRS-scoreと相関を認めた.SIRS群の血清CPK値,血清クレアチニン値はnon-SIRS群に比べて有意に高値で,挫滅症候群の92%がSIRSであった.以上より,SIRSは挫滅症候群の発症とMODSに密接に関係し,重症外傷患者の予後を予測する上で初診時のSIRS評価の重要性が示唆された.
Abstract:今回の事故では,原因物質のうちbenzyl chloroformate一種類しか搬入時に判明しておらず,そのデータシートも2時間後に初めて工場より送られてきた.したがって本事故のように治療中,処置室の汚染が心配される場合,現在の対応のままでは全く不十分であると思われた.今回の事故以降,当救命救急センターでは有機系ガス及びハロゲン系ガスに対応可能な防毒マスク10組を配備した.一方,会津若松広域消防本部より化学工場が届け出ている化学物質,劇薬物等のリストを入手した.更に近隣の工場にアンケートを出し,化学物質とその反応物質に関しても調査した.
Abstract:平成9年1月24日,信州大学病院において深夜帯の停電事故を経験したので,看護婦・医師等の対応を中心に報告した.深夜勤看護婦は的確に状況を把握し医療機器の調整に当たった.又,非常電源に関する予備知識も普及していたため大きな混乱もなく患者の看護を継続することができた.看護部としての対応も早く,同時進行で調査支援活動を開始した.医師は担当する患者の重症度によって対応にばらつきがみられた.即ち,循環器系の重症者を担当する科では当直医師が非常電源の構造を把握しており的確な対応を行った.一方,従来より医療機器の使用頻度が低い科では非常電源に関する知識の普及が十分でなく,対応を看護婦に依頼する結果となった.中央診療部門では処方オーダリングの停止や血液自動分析装置の一時停止等が,中央放射線部ではMRI装置の故障等が起きた.集中治療部では非常電源に切り替わる間に瞬間停電が生じ,このため人工透析器がリセットされ再設定を要した.
Abstract:救急蘇生法の積極的な普及を推し進める必要性があることが示唆された.かつ現在の状況では,今後増加すると予想される,在宅,寝たきり患者及び高齢者の全身管理を配慮した事故のない歯科治療ができるのか危惧された.
Abstract:1)平成7年1月の阪神淡路大震災を契機に当院精神科へ入院した20症例について,退院後の経過を追跡し精神医学的検討を行った. 2)退院後,状態が寛解又は軽快している症例は12例,状態があまり改善していない症例は8例であった.再入院症例は6例であった. 3)転帰の芳しくない症例には震災の直接的影響よりも震災をきっかけに個人の内面や家庭,職場の問題が顕在化したことの方が強く関与しているという傾向がみられた. 4)家族との死別や転居,自宅の再建など,居住環境上の問題が退院後の状態の安定に大きな影響を与えていることが窺われた.
Abstract:阪神・淡路大震災により四肢麻痺を呈した19例の受傷1年後の経過を報告した. 1)1例に神経剥離術を行いその他の症例は保存的治療を行い比較的良好な結果を得た. 2)麻痺の原因としてはcrush injury,compartment syndrome,牽引や圧迫による神経損傷等の関与が推測されたが,その鑑別は困難であった. 3)crush injuryにおける筋膜切開術の適応は全身と局所の状態を十分に評価し,慎重に決定されるべきである.
Abstract:調査表により179例で検討した.平均50.9歳であった.主訴は不安,不眠,抑鬱,焦燥感,無気力の精神症状が上位を占め,食欲不振,全身倦怠感の身体症状が続いた.A(阪神地区)とB(阪神以外)とで同じであった.病前性格は,Aでは無力型,内閉型,同調型,執着型,Bでは執着型,内閉型,感情型,強迫型,がそれぞれ上位を占めた.ICD-10診断上,Aでは全般性不安障害,鬱病エピソード,外傷後ストレス障害,Bでは鬱病エピソード,双極性感情障害,急性ストレス反応,外傷後ストレス障害,身体表現性障害,がそれぞれ上位を占めた.Aの33%,Bの70%で既往歴があった.Aの71%,Bの85%が治癒・軽快した.
Abstract:1)火砕流犠牲者の口腔内及び肺胞内組織切片を病理組織学的に検討した. 2)それぞれの切片より細胞内に取り込まれた異物様物質が見られ,XMA元素分析によりAl,Siが検出され,雲仙普賢岳火砕流の主成分組成であった.
Abstract:阪神大震災によるクラッシュ症候群6症例の神経学的,機能的予後を調べ,筋の障害の程度と比較検討を行った.来院時は全例とも圧迫を受けた部位より末梢の知覚,筋力は完全に消失していた.入院1〜3週間後より患肢の知覚の回復に伴ってしびれ,灼熱痛を生じ,6ヵ月後も四肢の筋力低下,知覚異常は持続していた.四肢の運動機能の回復度は来院時の筋肉の損傷度と関係はなく,むしろ積極的な自発運動やリハビリテーションによって大きく影響を受けると考えられた.
Abstract:バウムテストにおける空間領域占有率を指標として用い,体験した震度の違いが子どもたちにどのような心理的影響を与えたか検討した.震度7の地震体験群は震度4の地震体験群や非体験群と比べ,平均空間領域占有率が高く,空間領域からはみ出す人の割合も多かった.震度7の激震を体験した子どもは,精神的エネルギーが増大し対人関係においてかなりエネルギーを注いでいる状態にあるのではなかろうか.しかし,高まった精神的エネルギーを表現する方法がわからず,精神的混乱をきたしている.このように震度の差によって子どもの反応が異なるのは,遭遇した地震の震度のみならず,地震後の体験,たとえば,地震による喪失体験,恐怖体験の有無が理由としてあげられる.また,不自由な生活を強いられたことも理由として考えられる.
Abstract:淡路大震災1年後の兵庫県下透析施設の状況についてアンケート調査を行った.1年後でも被害のあった施設のうち,18施設(35.3%)で補修が完了していなかった.透析設備の被害では,RO装置,透析液供給装置等の大型機器の損傷と共にパイプの損傷が目立ったが,特に大型機器相互間をつなぐパイプの損傷が著しく多かった.今後の対策として配管を耐震化したのは12施設で全体の14.6%に過ぎなかった.透析患者数は,22施設(30.1%)において1年後も元の数に回復していなかった.震災後転院して行ったまま,まだ元の施設に戻ってきていない患者,及び震災後移ってきてまだ残っている患者についての調査では,その理由として住居の倒壊が最も多かったが,震災を機に自宅の近くへ移った患者も多く,患者の再配置が起こったと考えられた.
Abstract:震災後では震災前と比較して,維持透析患者の死亡数は回答を得た51施設の調査では26%の増加が認められた.特に平成7年1月中が多かったが,地域別では被災地域と被災地域外では差がなかった.死亡患者の個別調査では,心不全,心筋梗塞等の心臓疾患が最も多く,肺炎等の感染症,脳血管障害が続いたが,死亡原因となった疾患の頻度はこれまでの全国統計と比べて大きな偏りは認めなかった.死亡患者261人の中で,被災した人が79人で,そのうち住居の倒壊が52件と最も多かったが,施設の倒壊や通院困難で透析施設を移った患者も多かった.その261人のうちで震災後に健康状態や検査値の変化が出た患者が21.8%,精神状態の変化をきたした患者が23.0%であった.震災後に何らかのストレスが加わったという患者は37.5%で,そのストレスが死亡に関係あるという回答は25.2%の患者で得られ,いずれも被災した患者に明らかに多かった.
Abstract:谷崎潤一郎は,関東大震災後の関西移住をきっかけに上方の町人文化の残照と遭遇し,町人回帰を果たした.それは間主観性への拘泥から対人関係の失調を来しやすかった谷崎にとって,松子夫人との関係を「御寮人様」と「奉公人」という封建的な主従関係を軸に展開することによる間主観性からの解放を意味していた.谷崎が「奉公人」というマゾヒスティックなポジションをとり,それに対して松子夫人が「御寮人様」として鷹揚に構える.この関係は,封建時代の格式高い大阪の商家の女性たちがその頃には既に姿を消しつつあったことを思えば,松子夫人の固い決意なくしては成立し得ない.
特集【重症熱傷患者集団発生時における地域的対策】
Abstract:1)熱傷各地方会単位でも,同時に取り扱える重症患者数はactivityの高い施設でも3〜4名と少なく,集団発生時には十分な対応は容易ではない. 2)新たに専門施設を新設するだけの症例は平時にはない. 3)効率的強化策は現行の施設を特にマンパワーの面で強化すべきである. 4)大量発生時には重症患者のうち助けられる患者,機能改善が明らかな患者,気道熱傷等を専門施設に集めるトリアージをするべきである. 5)一地域にこだわらず,地方会が連携しパワーアップをはかるべきである. 6)都道府県内の連携をメッシュ,地方会内の連携をサブネットワーク,地方会間の連携をネットワークとすると大量発生時にはネットワークを利用した搬送が必要となる.
Abstract:1)札幌市での年間重症熱傷患者入院数は20〜30名程度で,うち5〜10名は臓器不全を合併する重篤な患者であった. 2)北海道での年間の重症熱傷患者入院数は70〜80名,臓器不全合併患者は20〜30名程度であった. 3)札幌市でのcapacityは,重症熱傷患者総数として20〜30名,臓器不全合併患者として10名程度と推定した. 4)北海道でのcapacityは,重症熱傷患者総数として70〜80名,臓器不全合併患者として20〜30名程度と推定した. 5)北海道内の一地域で多数の熱傷患者が発生した場合は,道内の他地域への患者の振り分けにより対処可能であるが,北海道全体のcapacityをこえる患者の発生があれば,道外への転送が必要であろう.
Abstract:熱傷患者集団発生時には,東京都熱傷救急連絡協議会として重症49例,中等症70例を収容治療しうることを明らかにした.東京都は大量の輸液製剤や血液製剤を備蓄しているが,大災害時には不足する可能性があり,適応症例の選択や使用方法の工夫なども考慮されなければならない.また,備蓄内容や備蓄量についても再検討する必要がある.重症熱傷例は熱傷治療専門施設へ収容することが望ましく,集団発生時には地域内はもとより地域間連絡体制を密にして,迅速に適応医療機関への搬送を行うことが必要である.
Abstract:過去の30年歴史をみると死傷者10名以上の死傷者の発生した火災・事故は9件で約3年に1度の頻度で発生している.複数の死傷者の発生する事故は当然のことながら人口密集地帯に多発し,その原因は工場火災・爆発,船舶火災,住宅火災,劇場,病院,店舗などの火災の順になっている.対応する医療体制としては年間30名以上の熱傷入院患者を受け入れている基幹病院は人口100万人に1施設が機能している.神奈川県,横浜市の救急医療システムに参加している医療機関を対象としたアンケート調査によると約3/4の施設で熱傷患者対応を含む災害時対応の備蓄を行っており,各地域で中等症62件,重症15件くらいの患者に対応可能と推計された.
Abstract:1990年から1995年までの6年間に愛知県熱傷システムに入院した熱傷患者数は年平均243.3人で,このうち愛知県で発生した熱傷患者数は207.3人,名古屋市で発生した熱傷患者数は91.3人であった.名古屋市消防局救急隊が搬送した熱傷患者のうち入院を必要とする中等症以上の患者数は年平均で107人であり年々愛知県熱傷システム収容患者数(名古屋市内発生分)と数値が近似する傾向がみられた.これは愛知県熱傷システムがほぼ順調に運営されていることの裏付けとみなすことができる.重症熱傷や多発外傷の患者を前提として最終的には合計20機関において112床のベッドが確保された.
Abstract:1996年に救急搬送された熱傷患者は1,103名でそのうち少なくとも71名が受傷面積30%以上の重症熱傷であった.そして136名が三次救急医療施設に搬送されていた.一方,医療機関を対象とした調査では,17病院から回答を得たが,これらの医療施設に入院した新鮮熱傷患者は438名で,そのうち54名が受傷面積30%以上であった.また,三次救急医療施設に入院した患者は126名(28.8%)であった.気道熱傷症例は全例三次救急医療施設に収容され,受傷面積30%以上の症例の大半は三次救急医療施設で治療を受けたと思われる.したがって,大阪では熱傷患者のトリアージと選別搬送は概ね良好に行われていると思われた.
Abstract:岡山県における重症熱傷患者集団発生時の地域的対策を考えるために調査を行った結果,重症熱傷患者集団発生時の受け入れ可能数は50〜80例であった.しかし,効率的な受入を可能にするような病院間の連絡体制はなく,地域対策上はまず受け皿となる病院間のネットワーク作りが必要であると考えられた.
Abstract:1991年6月の雲仙普賢岳の火砕流災害では17名の重症熱傷患者が発生し,当科が中心となって治療に当たった.災害発生後も継続的に火砕流の発生が予想され,警察・消防・自治体・医療機関など様々なレベルでの救護体制が整備された.しかし,立入禁止区域などの設定により,その後熱傷患者は発生しなかった.集団熱傷発生時の長崎市の治療可能施設数を推計した.長崎市内で形成外科医が常駐し熱傷の専門治療のできる病院3施設には10名が限度である.これ以上の患者が発生した場合はその他の二次病院で6名,更に近隣市町村の熱傷治療可能な病院に3施設6名が収容可能である.以上長崎県内で22名が収容可能と推計された.
Abstract:震災の影響の一つとして小学生の齲蝕罹患率が増加し,口腔内環境の悪化が示唆された.
Abstract:中華航空エアバス墜落炎上事故による40歳男のパーサーの剖検例を経験した.頭胸腔内損傷が致命的であり脳幹部が断裂,前・中頭蓋冠骨折による前頭葉下面・脳幹部・小脳下面の挫滅があり,小脳は離断していた.胸腔内損傷にては胸壁への外力による多発肋骨骨折の結果である胸壁動揺が認められ,胸部の連続性が失われていた.胸郭を圧迫する外力作用による心臓損傷であり,心筋挫滅,離断,清水圧性破裂と3型の損傷が重複した形であった.
Abstract:在宅酸素療法者は43人中70歳以上29人(67%)と高齢者が多く,単身世帯・高齢者世帯が65%と多いこと,震災により心理面・身体面の変化のある者が回答者の半数を占めており,現在も不安状況のあることがわかった.又,震災時,本人や家族から保健所への連絡がなく,病院への問い合わせも僅か2人と少なかった.
Abstract:震災3ヵ月後においては入眠困難,抑うつ気分,イライラ感といった反応が高率に出現し,女性及び高齢者においては心身の不調の出現率が有意に高いことが判明した.また,IES得点では震災時の想起や再体験に関して高く,震災の否認では男性より女性の方が,想起や感情の麻痺,震災の夢では若年層より高年層が有意に高かった.
Abstract:兵庫県南部の68病院の臨床工学技師を対象に,先の阪神淡路大震災による医療機器の被害状況や,今後の各病院における対策,メーカに対する要望などについての調査を実施した.被害は震度との相関が強いほか,医療機器にキャスタのついているものは損傷を受けなかったことがわかった.今後の対策としては,緊急情報・連絡システムや患者搬送対策とならんで,自院での医療機器管理のための責任体制・組織の設置などが,又,メーカに対する要望に関しては,災害対応措置のためのマニュアルづくりが重要な事項としてあげられた.
Abstract:看護学生の被災1年後の抑うつに関するアンケート調査を行った.抑うつ状態に関してはZungの自己評価式抑うつ尺度を使い,抑うつ傾向ありと判定したグループをD群とした.それ以外のものをND群として分類し,その特徴を比べた.D群は29.2%であり,震災1年後でも頻度は高かった.ND群と比べD群に多い誘因は,看護学生としての救援活動への参加,接死体験,そして死亡喪失体験の存在であった.自宅の被害の程度によって抑うつの頻度が影響を受けることは少なかった.つまり,親族や友人が亡くなった死亡喪失体験や,仕事上の患者の死に代表される接死体験に反応して抑うつ的になったという結論であった.
Abstract:阪神・淡路大震災後にPTSDを示し,外出や登校が困難になった女子高校生が短期間の心理面接で回復を示したがPTSDとは別に人格・適応上の問題を抱えている様であったので面接終結を前にしてロールシャッハテストを実施した.PTSDに特有とされる特徴も一部顕著に認められた他に,対人関係上の問題を示唆する特徴なども検出された.