a.マイコンメーターによる個別ユーザーの遮断
→ 震度5で自動的に遮断
b.低圧ブロックごとの供給停止
→ 低圧導管の一部漏洩で発動
c.中圧ブロックごとの供給停止
→ 中圧導管の耐震レベル以上の大規模な地震で発動
A 日本から現地首都まで
B 現地首都から被災現場まで
C 被災現場到着
D 活動中
1986年4月26日に旧ソ連のチェルノブイリ原子力発電所において事故が発生してから10年が経過した。事故10周年にあたり「チェルノブイリから10年:事故影響の総括」と題する国際会議が1996年4月8−12日の間、EC,IAEA,WHOの共済でウィーンにて開催された。会議には71カ国と20団体から845名が出席した。
会議で取り上げられたトピックスは、1)事故初期の対応、2)放射性物質の放出と蓄積、3)被爆放射線量、4)急性臨床影響、5)小児甲状腺癌、6)長期健康影響、7)心理的影響、8)環境影響、9)社会的・経済的・政治的インパクト、10)原子力の安全性、11)石棺、12)展望と予測、と広範にわたっていた。今回は健康影響に関係するトピックスについて、その概要を紹介する。
当時推奨された骨髄移植による治療法は効果がなかった。免疫学的リスク、曝露特性の不均一性、手のほどこしようのない胃腸障害や皮膚障害といった放射線による他の合併症によるものと考えられる。今後は、骨髄障害に対してはややかに造血成長因子を投与することが最もよい治療法となるだろう。
急性影響が大きかった患者ほど、現在も精神ストレスの影響を含めた多重の健康障害に苦しんでおり、それらに対する最新の治療と二次的影響に対する予防処置を必要としている。
このような増加は、事故前に生まれていたかあるいは事故後6ヶ月以内に生まれた子供で観察されており、事故後6ヶ月以上たって生まれた子供の甲状腺癌発生率は、非被爆集団において期待される低いレベルに急激に低下する。更に、甲状腺癌の患者の大半は、放射性ヨウ素によって汚染されたと考えられる区域に集中している。
今日までに診断された患者のうち、甲状腺癌によって死亡した子供は三人だけである。チェルノブイリ事故における子供の甲状腺乳頭癌は、進行性にもかわらず標準的な治療処置が適切に行われていれば良好に反応するようである。甲状腺摘出後の子供には生涯L-サイロキシンを投与することが必須である。
白血病はまれな疾患であるが、放射線被爆後に危惧される主要疾患の一つである。日本の原爆被爆者やその他のデータにもとづく予測モデルによる白血病過剰死亡者数は、自然発生死亡者数に対して余りにも少なすぎるため確認されなっかった。要するに、今日まで白血病の発生率にも、あるいは甲状腺癌以外の悪性腫瘍に起因すると思われる整合性のある増加は検出されていない。
事故処理作業者の間で癌以外のいくつかの非特異的健康異常の頻度が増加していることが報告されているが、被爆集団は一般大衆よりもずっと健康状態の追跡調査が受けていることによる可能性がある。また、このような増加がたとえ本当だとしても、それはストレスと不安の影響を反映している可能性がある。
甲状腺癌発生率の増加はおそらく今後数十年間にわたって続くであろう。もし癌が早期に診断され、適切な処置が取られるなら、死亡数はこれよりかなり少なくなるはずである。これらの人々は、その生涯を通して慎重に監視する必要がある。
放射線の影響については、広範囲な科学的知識が存在するにもかかわらず、人体に対する放射線の健康被害に関しては重要な未解決の問題が残されている。
いかなる予測も三共和国の経済的、政治的、社会的状況を考慮に入れなければならない。精神的ストレスに伴う不安のような症状は、この事故の重要な遺産に数えられることになるだろう。
1996年7月、堺市内で6000人以上のE.coliO157による集団感染が発生し、規模の大きさ、小児が中心であること、溶血性尿毒症症候群(HUS)という重篤な合併症を有することから、特殊大災害と考えられた。本院救急部は発生当初より積極的に患者受け入れを行い、大阪府救急医療センタ−、堺市O157対策本部、当院人工腎部からの情報をもとにして、17例が入院した。その経験をもとに、特殊集団災害時の大阪市立大学医学部付属病院の対応と問題点について報告する。
当院に入院した患者は7月31日までで17例であり、小児は12例と約70%を占めていた。また、HUSの合併は4症例に認められた。
treatment for HUS:
当院のHUS4症例のうち、18歳の女性は保存的療法のみで軽快したが、小児の3症例は血漿交換を行なった。全員軽快退院した。
集団災害の際には正確な情報を迅速に収集する必要があるが、大阪府救急医療情報センタ−を中心として情報を得ることができた。集団災害時には情報を集中的に管理する機関が有用であると考えられる。
大学病院は基礎研究を含む広範囲な情報を発信する責務があると考えられるが、今回インタ−ネットを使用して情報発信を行い、その双方向性から、今後の災害医療においても有用に利用できる可能性が示唆された。
当院で治療したHUS4症例は全員良好に経過したが、その治療法は今後の研究課題であり、HUSに対して今後詳細な検討がおこなわれ、治療法が確立することが望まれる。
災害救援援助のチェックリストと撤退判断
仲佐 保. 災害医療ハンドブック、医学書院、東京、1996年、p.157-61(担当:三好)1)災害救援活動のチェックリスト
02、現地日本関係者へのあいさつ 14、宿泊所の情報
03、保険省へのあいさつ 15、ガソリン、灯油の購入
04、災害対策本部へのあいさつ 16、飲料水の購入
05、現場対策本部へのあいさつ 17、食料品の購入
06、通信手段の確認 18、携行品の内容、数の確認
07、衛星通信・無線機の許可 19、現地購入品のリストアップ
08、通行許可証 20、携行機材、個人装備のデポ
09、医師、看護婦免許証の提出 21、資金の現地通貨への換金
10、気象情報の入手 22、航空券の再確認
11、現地地図の入手 23、マスコミとの会見
12、通訳の確保 24携行品の輸送2)撤退判断
チェルノブイリから10年
松本義幸、日本医事新報 No.3779: 53-6, 1996(担当:松田)(被爆放射線量)
(急性臨床影響)
(小児甲状腺癌)
(長期的健康影響)
(展望と予測)
腸管出血性大腸菌O157による堺市集団感染の際の大阪市立大学付属病院の対応と問題点
栗田 聡ほか、日本集団災害医療研究会誌 1997; 2; 32-36(担当:AS)T 情報の入手
U 当院での対応
V 情報の発進
W 治療方針
lactobacillus bifidus
phosphomycin 100 mg/kg/day
gabexate mesilate 2mg/kg/day
gamma-globulin 400mg/kg/day
hepatoglobin 4000 u/kg/day
plasma exchange
hemodialysisHUS症例
Y 考察