新型コロナウイルス

2020年1月24日付のNew Engl J Med誌には新型コロナウイルスに関連した記事が複数123掲載されています。無料で読めるようになっていますので、購読契約された職場でなくても読めます。(職場で購読契約しているovidはリアルタイムで読めなくて、少し遅れて全文を見ることができるようになります)スタンリーパールマン(真珠男?)さんの論説2からの情報を中心に、少し整理してみました。

新型コロナウイルスの名前

2019-nCoVと暫定的に命名された。

2019-nCoVが見つかった場所

中国武漢のシーフード市場、生鮮食品市場(wet market)にさらされているヒトに見つかった。

2019-nCoVについて

人から人への感染

当初の報告では人から人への感染は「ない」あるいは「限定的」とみられていたが、1/24/2020現在では人から人への感染は発生しているとされている。かつて流行したSARS-CoVやMERS-CoVのアウトブレイクと同様に重症の呼吸器感染症を引き起こす。1/24/2020現在、800を超える症例が報告されていて、感染した人のうち死亡した者の割合は3%と報告されている。(https://promedmail.org/)

ゲノム配列

同誌のZhu et alが報告した通り3、2019-nCoVのゲノム配列が決定されている。SARS-CoVの配列と75-80%が共通で、いくつかのコウモリコロナウイルスと密接に関連している。初代ヒト気道上皮細胞を用いて培養することができる。培養法は、治療法を開発するための基礎研究に使用できるかもしれない。たとえば、迅速診断法の開発を通して、市場・野生の動物や人での感染者の割合を評価して対策を検討することが可能となる。また、治療薬・ワクチン・動物モデルの開発を促進できる。

SARS-CoV, MERS-CoVで学んだことから

SARS-CoVのヒト気道上皮の受容体はACE2とされている。SARSの時の様にヒトACE2への結合の強い変異を2019-nCoVが獲得しヒト宿主への適応力を高める可能性が指摘されている。このヒト宿主への適応状況を広範囲にモニターする必要がある。

MERS-CoVはラクダから人へ感染し、SARS-CoVは生鮮市場の動物から人へ感染したとされているが、2019-nCoVはコウモリのコロナウイルスとの類似性が高いことから、コウモリがウイルスの主要な貯蔵所である可能性が高い。コウモリから中間ホストを介して感染するのか、コウモリから直接人に感染するかを明らかにすることは人畜共通感染の対策を策定する際に有用である。

References

1.
Munster V, Koopmans M, van D, van R, de W. A Novel Coronavirus Emerging in China – Key Questions for Impact Assessment. N Engl J Med. January 2020. [PubMed]
2.
Perlman S. Another Decade, Another Coronavirus. N Engl J Med. January 2020. [PubMed]
3.
Zhu N, Zhang D, Wang W, et al. A Novel Coronavirus from Patients with Pneumonia in China, 2019. N Engl J Med. January 2020. [PubMed]

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