沖縄海軍病院 PGY4
尾畑 翔太
米国内科学会(ACP)日本支部の若手医師部会(Resident Fellow Committee: RFC)は、新企画として2021年2月17日(水)にMKSAP勉強会を開催いたしました。これは、前回のRFCセミナーのアンケートでMKSAPの勉強会が好評であったことから、定例化したものです。当日は、内科領域の専門家を招聘し、1つ1つの問題を丁寧に解説いただきました。取り上げたのはRFCメンバーがピックアップした5問で、1問ごとに、参加者各自が考え、回答を投票し、解説を受けるというサイクルを回すことで、理解を深めることができました。MKSAPの良質な問題と専門家の最新の知見に触れることで、短時間で各分野の知識を磨くことを目的としており、今後も数ヶ月に1回の頻度で開催していく予定です。
今回は「呼吸器・集中治療」領域を題材として、片岡惇先生(練馬光が丘病院・総合救急診療科・集中治療部門)をお招きしました。
1問目・2問目は急性呼吸不全における挿管の適応やARDSの治療方法についてスライドを使用しながら詳しく解説をいただきました。個人的には、これまで治療法の選択肢を選ぶことができてもなぜその治療法が有効なのかは説明できず、難しいと感じておりました。しかし、呼吸生理学や画期的な研究の紹介を交えた簡潔かつ明瞭な解説で、一歩さらに深く理解できました。
3問目は胸水の性状に関する問題でした。日常でよく出会う疾患であるがゆえに普段何気なく診療しがちな領域ですが、一度振り返って定義を見直すとさらに見識を深めることができると実感しました。また、ドレナージの適応および落とし穴についての、実臨床に基づいた解説が印象的でした。
4問目は喘息の重症急性増悪に対する治療法について解説をいただきました。臨床現場での薬剤の使い分けは明日の診療に直結すると感じました。また、関連する話題として喘息の慢性期管理に関する最新の治療にも触れていただき、さらに知識を広げることにつながりました。
最後の問題は急性増悪を繰り返すCOPDの治療についての問題で、一番興味深く感じた点はCOPDに対するICSの有効性と注意点および好酸球数の関連性でした。ICSをどの患者に導入するか、好酸球数や喘息の合併などを考慮しながら決めていく実際の診療過程を垣間見ることができ、非常に有意義でした。
RFCでは、今回の勉強会も含め日常の診療をステップアップさせるイベントを開催していきます。加えて海外を目指す方々のプラットフォームを提供していきます。前回のLetterでもご紹介いたしましたが、2021年6月には初めての試みとなるACP日本支部年次総会のオンライン開催が予定されております。関心のある方はぜひご参加ください。