国立病院機構 東京医療センター
初期研修医2年 平井智大
米国内科学会(ACP)日本支部の若手医師部会(Resident Fellow Committee:RFC)は、2021年4月18日(日)にACP本部公認のMKSAP勉強会を開催いたしました。
第2回となる今回は「血液内科」領域をテーマに山田 悠史先生(マウントサイナイ医科大学 老年医学・緩和医療科)をお招きし、MKSAPより厳選した5題を解説いただきました。当日は、1問ごとに参加者が回答、チャットボックスには質問が飛び交う、活発な勉強会となりました。
第1問は「鉄欠乏性貧血の治療」について、日常臨床でよく出会うプロブレムを病態から掘り下げて解説いただきました。Common diseaseということもあり、多くの時間を割いたこの問題では、鉄動態に重要なヘプシジンに関連した新薬が生まれつつあるという最新の知識に触れ、病態に立ち戻ることの大切さを考えさせられました。
第2問は「ワーファリンでINRコントロール不良時の対応」についてでした。最近はDOACが頻用されてきており、ワーファリンの処方機会は減少しつつありますが、まだまだ出会うプロブレムです。抗凝固薬の使い分けなど、明日からの診療に役立つTipsが盛りだくさんでした。
第3問は「多血症の診断」でした。診断のフローチャートを見るような見事な解説と、検査の変化の裏に隠れている新たな疾患に気づかれた経験を伺うことができたのは、Liveの勉強会ならではであったと思います。
第4、5問は「HIT(ヘパリン起因性血小板減少症)」「DIHA(薬剤性溶血性貧血)」に関する問題でした。知識としては知っていても、実際のマネジメントには不安を覚える疾患について、鑑別や考えるべきことをまとめて話していただきました。また、新型コロナウイルスワクチンで話題となった新しい知見「VITT(Vaccine-induced Immune Thrombotic Thrombocytopenia)」の紹介を含めて幅広く解説していただきました。
今回のMKSAP勉強会も、専門家の視点を交えながらも、非専門家にもわかりやすく、よくある落とし穴を含めた実際のマネジメントで重要になる点を丁寧に解説していただき、日頃の学習へのモチベーションがアップする時間となりました。
RFCでは、今回の勉強会も含め日常の診療をステップアップさせるイベントを開催していきます。加えて海外を目指す方々のプラットフォームを提供していきます。2021年6月26、27日には初めての試みとなるACP日本支部年次総会のオンライン開催が予定されております。次回のMKSAP勉強会は、総会終了後8、9月の開催を予定しております。関心のある方は総会企画とあわせて、ぜひご参加ください。