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Antivirals plus antibiotics may lower risk of hospitalization in some patients with influenza

インフルエンザ罹患時の抗ウイルス療法に抗菌薬を併用することによって入院リスクを低減できるかもしれない

この研究では抗ウイルス薬単独療法と比較して、抗ウイルス薬・抗菌薬併用療法では30日以内の呼吸器疾患が原因の入院リスクが有意に減少した(註1)が、このことは併用療法が一般的に用いられるべきであることを意味する訳ではない、と著者は述べた。

インフルエンザに罹患した米国退役軍人では、抗ウイルス薬・抗菌薬併用療法により原因を問わない入院・呼吸器疾患での入院が減少したことが最近の後ろ向き研究で示された。

研究者はVeterans Affairs Informatics and Computing Infrastructure (VINCI:退役軍人の健康管理データ情報)を利用し、2011年1月から2019年1月の間に検査で確定したインフルエンザ患者の臨床経過に注目した。

インフルエンザ診断から30日以内に、原因を問わない入院と呼吸器疾患での入院を、無投薬群、抗ウイルス薬単独群、抗菌薬単独群、抗ウイルス薬・抗菌薬併用群の間で比較した。プライマリケア施設もしくは病院救急外来を訪れて診断された者、救急外来に搬送された者は除外、インフルエンザ診断の30日前までに入院歴がない者、インフルエンザ診断当日に入院となった者は除外、受診時からのvital signのデータがある者を対象者とした。結果はオンライン版1月24日付 Clinical Infectious Diseaseに掲載されている。

インフルエンザと診断された12806人の対象者の内、4228は無投薬群、6492人は抗ウイルス薬単独、671人は抗菌薬単独、1415人は抗ウイルス薬・抗菌薬を処方された。インフルエンザの診断の大部分は病院救急外来で行われた。抗菌薬で投与頻度が高かったものはマクロライド、ペニシリン、キノロン系、テトラサイクリンであった。抗ウイルス薬はオセルタミビルが筆頭で99.9%を占めた。抗ウイルス薬と抗菌薬を処方された群はチャールソン併存疾患指数(Charlson Comorbidity Index)が最も高く(1.62)、抗ウイルス薬群は最も低かった(1.35)。

原因を問わない入院の割合は、無投薬群で最も高く(10.48%)、抗ウイルス薬・抗菌薬併用群で最も低かった(3.18%)。呼吸器疾患が原因の入院でも同じ傾向がみられ、無投薬群で最高となり(6.58%)、抗ウイルス薬・抗菌薬併用群で最低であった(1.06%)。診断から30日以内での原因を問わない入院のリスクは無投薬群と比較して、抗ウイルス薬群では63%(相対危険度RR 0.37:95%CI 0.32-0.44)、抗菌薬単独群では57%(RR 0.43 : 95%CI 0.31-0.62)、抗ウイルス薬・抗菌薬併用群では72%低かった(RR 0.28:95%CI 0.21-0.38)。治療薬の投与は、最初の5日間で最も高い入院阻止効果を示した。

抗ウイルス薬・抗菌薬併用群では、原因を問わない入院のリスクが抗ウイルス薬単独群よりも低い傾向にあったが、CIは各経過期間で1をまたいでいた(調整相対危険度:診断後1-5日0.67 (95%CI 0.41-1.11)、診断後1-10日0.67 (95%CI 0.44-1.01)、診断後1-30日0.73 (95%CI0.53-1.01))。呼吸器疾患による入院でも同様の傾向にあったが、異なる点は、診断後30日の時点で抗ウイルス薬・抗菌薬併用群では抗ウイルス薬単独群に対して有意差をもってリスクが低くなった(調整相対危険度0.53 (95%CI 0.31- 0.94))。サブグループ解析では65歳以上の慢性呼吸器疾患を有する患者において、抗ウイルス薬・抗菌薬併用群では抗ウイルス薬単独群と比較して呼吸器疾患による入院リスクが低くなっていた。

研究の限界が複数ある中で特に著者が言及した点は、観察研究であること、保険請求データベースに基づいていることであった(註2)。また研究対象者が主に白人、男性、平均年齢が57歳から60歳であり、結果は他の背景を持つ患者にまで一般化するものではないとも著者は述べている。研究の結果を踏まえると、抗ウイルス薬と抗菌薬の併用は、インフルエンザが確定した患者の内で一定条件を満たした患者には役立つかもしれないと著者は結論している。一方で、「併用療法を画一的に用いることは推奨しないし、今回の結果が現時点でのインフルエンザ診療に変化をもたらすものとも考えていない」と論文に記載されている。

註1:紹介記事では、「関連を認めた」と記載されています。
本研究は観察研究であり、評価項目とoutcomeに統計的関連を認めた、しかし、
研究の性質上因果関係は評価できないとの意味合いが込められています。PRC委員会Bグループ内で討論した結果、翻訳では内容理解を優先した表現としました。
註2:患者の併存症、その後の疾患発症・入院、処方内容は保険請求データから抽出

元になった論文は下記となっています。
Clin Infect Dis. 2020 Jan 24. pii: ciaa074. doi: 10.1093/cid/ciaa074. [Epub ahead of print]
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/31974543

https://acpinternist.org/weekly/archives/2020/02/04/2.htm

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