ACP diabetes monthly 2月14日号よりSGLT-2阻害薬の心血管アウトカムに対する レビュー記事を紹介いたします。
SGLT-2 inhibitors reduced risk of cardiovascular disease, death, review finds
システマティックレビュー/メタアナリシスの著者は心血管リスクがある患者に対しSGLT-2阻害薬の使用を増やすためにガイドラインの再考を推奨した。
最近のシステマティックレビューによるとSGLT-2阻害薬は患者が心血管疾患または腎疾患の既往を有していたかどうかにかかわらず、糖尿病患者の心血管疾患および死亡リスクを低下させた。
研究者達は糖尿病患者を対象とした、プラセボとSGLT-2阻害薬を比較した4つの大規模研究のシステマティックレビュー/メタアナリシスを行った。4つの研究では全母集団および研究開始時に、心血管疾患、腎機能低下、心不全のいずれかを既往として有していた患者の各サブグループで心血管アウトカムに対する効果が報告されている。結果は1月29日号のJournal of the American Heart Associationに公開されている。
追跡期間中央値は2.9年で38723人の患者を対象としている。 22870人(59%)に心血管疾患、7754人(20%)に腎機能障害、4523人(12%)に心不全をそれぞれ既往として有していた。対象となった4研究では合計で3823回の主要な心臓イベント、1192回の心不全入院、1506人に心血管死及び、2612人に全原因死亡がそれぞれ発生した。全体的効果の検討ではSGLT-2阻害薬はクラス効果として主要な心臓イベントの有意な減少を認めた(ハザード比0.88 95% CI 0.82-0.94 P<0.001)。 SGLT-2阻害薬で観察された有用性が、治験参加時に基礎疾患として存在する心血管疾患、心不全によって定義づけられるサブグループによって異なるということはなかった。(サブグループでの異質性評価:P>0.252 I2検定<25%)
どの患者サブグループ(心血管疾患 腎機能低下 心不全)も「心不全による入院」(サブグループ異質性 P>0.302 I2<10%)「心血管死」(サブグループ異質性 P>0.167 I2<50%)「全原因死亡」(サブグループ異質性 P>0.354 I2=0%)というアウトカムにSGLT-2投与群で有用性が見られた。この研究ではサブグループ間で効果に1つ違いが明らかにされた。SGLT-2阻害薬は腎機能が低下した患者では脳卒中のリスクが低下したが、腎機能が保たれている患者では脳卒中のリスク低下を認めなかった。(サブグループ異質性 P=0.020 I2=81%)
“サブグループ間での研究結果の広範な一致から、クラス全体としてSGLT-2阻害薬の幅広い臨床使用が提案される。“と著者らは記載している。彼らは様々な背景を持った2型糖尿病の患者がこのクラスの薬剤の恩恵を受ける可能性が高いと述べている。”我々の結果は心血管疾患の既往の有無にかかわらずSGLT-2阻害薬投与の推奨に関して現行のガイドライン再評価が必要である。“ と記載されている。著者らは基礎疾患として心血管疾患のない患者のイベント発生率が低いことがそのサブグループで統計検出力を低下させることを警告している。
注)
I2統計:偶然を超えた不均一性の変動率
0-25% 不均一性は低い可能性
26-75% 不均一性は中等度の可能性
76-100% 不均一性は高度の可能性
異質性評価におけるP値<0.05は偶然を超えて異質性が高い可能性がある
PRC 西村 光滋
#SGLT-2阻害薬 #心血管アウトカムリスク低下 #死亡リスク低下
元になった論文は下記となっています。
PMID: 31992158
https://diabetes.acponline.org/archives/2020/02/14/3.htm…