Scientific Program Committee委員長の濱口杉大先生よりいただいた、第116回日本内科学会総会・講演会の「医学生・研修医の日本内科学会ことはじめ2019 名古屋」にて行われた日本内科学会とACP日本支部とのジョントセッションの活動報告を紹介いたします。
(PRC委員 小尾佳嗣)
***************************
テーマ:あなたが海を渡ったらこんな世界が待っている!
-先人が語る米国臨床研修とは-
企画を終えて
大ホールに8つのブースが用意され、各グループはローテーションを始めました。その周りには沢山のオブザーバーが興味津々で見学をしておりました。それぞれの講師の話の内容はテーマ名は似ているものがあっても実際には全く異なり、単なる米国研修の設営ではなく、実体験に基づいた内容で、今後の米国研修に興味をもつ人にとっては非常に貴重で興味深い情報が提供されました。医学生も若手医師もみんなが講師の話に引き込まれ、時には米国人講師のブースを回っているときであっても臆することなく英語で議論をしておりました。徐々にまわりの見学者がさらに増えてきて、気づくと大ホールには多くの人が集まっておりました。
各講師に1名ずつRFCの若手医師がアシスタントとしてうまくコーディネートしてくださり会をスムーズに進行することができました。
最後に最も議論に活発にかかわった参加者10名が優秀討論者として発表されました。
今後このような企画をつづけていくかについてはまだ決定しておりませんが、今回の成功により前向きに検討いただけるようです。
今回の企画内容の詳細は、以下をご参照ください。
テーマ:あなたが海を渡ったらこんな世界が待っている!-先人が語る米国臨床研修とは-
日時:2019年4月27日 12時45分~14時15分(90分間)
場所:ポートメッセなごや イベント館2階
内容:
海外研修に興味をもつ医学生や若手医師が、米国研修経験者からお話を聞いて議論し、将来のキャリア形成に役立てるようにするのがこの企画の目的です。
米国臨床研修経験者8名を講師として招聘し、1ブースに1名の講師がいる計8つのブースを、海外研修に興味をもちあらかじめ募集をした医学生・研修医グループ(1グループ7名で計 8グループ)がローテーションします。
各ブースの講師はそれぞれのブースにおいて3回同じ話をいたします。内容は実際の症例検討から米国研修医としての裏話まで、講師によって多種多様です。ローテーションは1回25分で計3回行われるため、1つのグループは3名の講師のお話を聞くことができます。
講師は1回のローテーションにてグループでもっとも積極的に議論に加わった人を選びます。3回終わった時点で合計点数が最も高かった10名が優秀討論者として、後の懇親会で受賞されます。
またグループで参加していない一般の人でも、その周りでオブザーバー参加つまり見学することができます。
各講師とブースでのお話の内容は以下のとおりです。
北野夕佳 先生
現所属:聖マリアンナ医科大学 横浜西部病院 救命救急センター
ヴァージニア・メイソン医療センター内科
企画内容説明
Let’s Learn GENERAL RULES from everyday cases. 5-minute bedside teaching
We’ll do a brief case discussion of a bread and butter case on hospitalist service or general internal medicine clinic.
The goal of my session is for the participants to achieve a sense of learning concise general rules (”5-minute bedside teaching”) from a simple case.
田川美穂 先生
現所属:奈良県立医科大学 腎臓内科
ペンシルベニア病院内科、ペンシルベニア大学病院腎臓内科
企画内容説明
Bed side teachingのすすめ
アメリカの初期研修では、指導医と研修医が患者を一緒に回診します。研修医が患者についてプレゼンテーションを行い、指導医が症例について、teaching pointをその場でdiscussion形式で教えてくれます。実臨床に即した考え方の道筋を学ぶことができ、非常に有用でした。今回のセッションでは、このbed side teachingの雰囲気を味わっていただければと思っています。皆さんとのdiscussionを楽しみにしています。
関口健二 先生
現所属:信州大学医学部附属病院 総合診療科
ハワイ大学内科、ハワイ大学老年内科
企画内容説明
米国臨床研修って本当にやる価値あるの?
- やるべきかやらざるべきか それが問題だ
- どうして米国臨床研修を実際に経験した人はみんな留学を強く勧めるのに、やってない人はそうでもないのか?
- 米国臨床研修じゃなきゃ得られなかったものと米国でなくても得られたであろうもの
- 米国臨床研修で失ったもの
- 「肚を決める」
八重樫牧人 先生
現所属:亀田総合病院 総合内科
コロンビア大学セントルークス・ルーズベルト病院内科、ニューヨーク州立大学ダウンステート校呼吸器内科、ピッツバーグ大学集中治療科
企画内容説明
知れば日本の医療が良くなる、世界のスタンダード:
米国内科研修で学んだ事のうち、従来の日本での医療より数多くの選択肢の中から各患者さんの最適解を探す「広い視野」が、最も有益だったと実感している。日本で行われていない世界の標準医療、逆に日本で行われているが有益ではないと示されている医療行為を例示する。未来を担う若手医師が、日本という「ガラパゴス」で「井の中の蛙大海を知らず」状態から、より広い視野と可能性があることに気づいて頂ければ幸いである。
Dr. Shadia Constantine
現所属:札幌徳洲会病院
企画内容説明
Are you interested in medical training in the US? Let’s contrast your questions with my experience as an International Medical Graduate (IMG) in the US. We will talk about the following topics:
- Why? Could you believe that the US was NEVER in my dreams?
- Traditional path: studying and taking the tests, ERAS application, matching. Share some of your plans and I will share what I did.
- Challenges? Share your fears and I will share the main obstacles I had to jump
- Is the US the only way to have an international medical career?
Dr. Gautam Deshpande
現所属:聖路加国際病院
企画内容説明
During this activity, interested students and residents will be taken through a typical `day in the life` of a first-year intern in an Internal Medicine training program in a US hospital. Topics included will include pre-rounding, structure of supervision, daily presentations to attending physicians, balance of hospital vs outpatient clinic work, and expectations for education. Topics will also touch on chief resident opportunities and preparing for fellowships in the US. The format will be primary lecture-based, with ample time for question-and-answer. Time permitting, we will also discuss some fundamental strategies to prepare for a successful US residency.
鈴木孝幸 先生
現所属:University of Utah Health Care, Division of Gastroenterology
企画内容説明
臨床留学に対する、皆さんの目標は何でしょうか?実際に海外で医療に携わり、日本との違いやそれぞれの優れたところ、改善が必要な点などを冷静に見定めることは、日々の診療、そして自身の医師としての生き方に大きな影響を与えるのではないかと考えます。私が経験した米国での研修や、現在のユタ大学での診療の様子を紹介し、留学に興味のある皆さんの疑問などにお答えすることで、その一助になることができたらと思います。
Dr. Robert Dobbin Chow
現所属:University of Maryland School of Medicine
企画内容説明
Residency Training in the United States: Why, What, and How
- Why choose to train in the United States?
- What is the difference between Internal Medicine training in Japan and training in United States?
- Emphasis on evidence based medicine
- Exposure to alternative teaching styles: emphasis on bedside rounding and physical examination skills
- Multi-disciplinary approach to patient care
- Research opportunities for residents; opportunities to present at national professional meetings
- Structured feedback and evaluation system based on milestones
- Duty hours and restricted service size for residents – attention to resident wellness
- What are the challenging aspects of training in the United States?
- English can be a limiting factor
- American culture and values do not promote humility, respect, politeness
- Lack of a personal support system
- Cost of application and travel for rotations, CS, interviews
- How to apply
- USMLE Step I, Step 2 CK, Step 2 CS => ECFMG certification
- 3-4 letters of recommendation
- Clinical experience in the U.S.
- ERAS application, including personal statement
ACP日本支部からの運営担当
オーガナイザー
上野文昭 前支部長
SPC:濱口杉大、志水英明
各講師のアシスタント
RFC:西村義人、上月友寛、鵜木友都、多賀谷知輝、花本明子、森博隆、山本竜也、大谷真紀