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2-7.アピアランスケア(外見の変化に対するケア)

患者Tさん手術後の変化について、片方の胸を失うこと自体は、実は、私自身はあまり気にしていないのですが、今まであったものがなくなることで、外見が大きく変わってしまうし、それに、体のバランスを取りにくくなったりすることもあると聞きました。子どもたちが見たら、驚いたり、怖がったりするのではないかも心配です。

相談員Nさん外見の変化ということでは、 Tさんの場合、最初に抗がん剤治療を行うので、使用する薬剤によっては、脱毛や爪の変形などの副作用が生じることも考えられますね。

がん治療によって起こるおもな外見の変化

手術療法

  • 手術による創あと
  • 身体の一部の喪失
  • むくみ

放射線療法

  • 照射部分の脱毛
  • 皮膚障害 (皮膚の赤みなど)

薬物療法

  • 脱毛 (頭髪、眉毛、まつ毛)
  • 皮膚障害
  • 爪の変化爪囲炎そういえん、変色、菲薄ひはく化)

患者Tさんはい。担当の先生からは、私の治療に使うお薬では、「脱毛」はほぼ確実に起こると言われました。治療が終われば、また徐々に生えてくると聞いたのですが、治療中も仕事を続けていきたいので、外見が大きく変わって見える髪の毛については、なんとかならないかと……。

相談員Nさん治療のためとはいえ、身体の一部が失われたり、見た目が変わってしまうことで、自分らしさが失われたように感じたり、周囲の目が気になって外出が億劫になってしまった、という方は少なくありません。

患者Tさんそうなんです! このロングヘアこそ私のトレードマークで、大切に伸ばしてきた自慢の髪だったので……。

相談員Nさんそうだったのですね。外見の変化は、時に、患者さんにとって大きなストレスとなることから、医療の現場でも、外見のケア(アピアランスケア)は、治療と同様に大切に考えるべきケアという認識が広まっています。現在、ほとんどのがん診療連携拠点病院では、外見の変化についての相談を受け付ける体制が整えられているんですよ。

患者Tさんそういえば、私がかかっている病院にも「アピアランスケアセンター」という看板があったのですが、外見の変化について相談できる部門のことだったのですね。

相談員Nさんはい。もちろん、相談したからといって、すべての外見の悩みが解決できるわけではありませんが、外見の変化に対するつらさを感じたときに、相談できる先があることを知っているだけでも、力になると思います。

患者Tさんまだ治療が始まっていないうちから相談しても大丈夫ですか?


相談員Nさんもちろんです。Tさんの場合であれば、今後の脱毛への対策――医療用ウィッグなどの情報や、身体のバランスを補整するための下着に関する情報なども聞くことができると思います。ほかにも、失われた身体の一部を補完するための外科的な治療法や生活上の工夫、創あとを目立たなくするお化粧の方法など、悩みに応じたさまざまなアドバイスを受けることができます。また、自治体によっては、医療用ウィッグや装具の購入費用の一部が助成されるなどの支援制度を設けているところがあります。

患者Tさん相談できることがわかってうれしいです。抗がん剤治療を受けると聞いてから、ずっと気になっていたので……。

掲載日:2024年06月20日
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